湘南と海と俺のライフスタイル

22：00　夕飯を終えた後、ソファで寛いでいると携帯電話がなった。
息子からの連絡。今から行くから酒を飲まないか？との誘いだった。
仕事を終えた後ばかりの様子である。珍しく畏まって話があるという。


息子が来ると2人で大船に出かけた。
駅に途中玉縄の山間を歩きながら、彼が「急遽転勤になった」と話す。
彼はイタリアンの料理人なのだが、話を聞くと支店から本店への移動とのこと
「栄転じゃないか」と俺が言うと首を振って、それだけプレッシャーがあり
不安だと。一方で自分がどれだけできるのか？挑戦することのワクワク感も
あるのだという。

その話を聞いて俺の心配は吹き飛んだ。


時間も23時を回っていた。早仕舞いの店が多くやっと一軒の居酒屋が見つかった。
外は寒かったが20分くらい歩いたおかげで、のどの渇きを覚えるくらいになっていた。
息子がアサヒスーパードライの生を二つ頼んだ。


彼が家を出てから彼是一年になるだろうか？深い仕事の話をすることは、あまり
なかったが、こんな話があった。


はじめて職場についてから、上司から「常に疑問を持て」と言われたという。それが、
なんだか解らず、ただ我武者羅にやってきた。それが3年目になってやっと解ったと。
要するに新人のうちは疑問を持たず作業的に仕事をこなしていたが、後輩がついて教える
立場になり、何故という質問に対して答えなければならない。そのためには自分が常に疑問を
もってその意味合いを理解していなければ、人には教えることは出来ないと。


ある気付きに対し自分で実感し、それを人に伝えることは、簡単な様で非常に難しい。
そこには、彼の成長が伺えた。


また、サザンビーチカフェの友人が自分の料理を食べに来てくれて、その時「本当に
うまいものを出してやろう」と思ったと。食事を終えた友人に挨拶すると「うまかったよ」
と言われ「料理人なって良かったと」最高な喜びを感じ、更に料理が好きになったと言う。


その後も、息子は仕事に対する思いにいて淡々と語った。俺も聞き役に徹し男としての
仕事に対するやりがいと情熱を受け止めた。



真面目な話、俺はこれを聞いて、こいつは一つステップアップしたなと思った。
また、語る彼は俺の知っている子供ではなく一端の「男」の顔をしていた。


俺も少し嬉しくなってビールを頼んだ。そして明け方まで語り合った。

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