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2017年08月12日
真っ逆さまに落ちる
「すべて最上なるものは、一歩を誤ると中間には留まり得ないで最下に転落する―」とは、げに至深の真理というべし。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 134頁
落ちるときに、一段階ずつ落ちるのであれば、落ちるにしても安心でしょう。
しかし、実際は、一気に最下に落ちるという。
恐ろしいことです。
それも、たった一歩を誤るだけでそうなるのですから、とんでもないことですね。
上に位置する者は、心しておかなければならない言葉です。
しかし、一歩を誤り、真っ逆さまに落ちてゆく。
よく見かける光景です。
他人事と思わず、我が事として、この言葉を噛みしめたいですね。
信用
すべて物事には基礎蓄積が大切である。そしてそれは、ひとり金銭上の事柄のみでなく、信用に関しても同じことが言えます。否、この方がはるかに重大です。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 133頁
まず、金銭の蓄積が大切であると指摘されています。
お金がないということは、ある意味、信用がないといえますので、次の信用に関する事柄とつながってきますね。
いずれにしても、お金は貯めておかなければなりません。ある程度の金員が手元にないと身動きが取れないものです。
世の中のことは、ほとんど、お金で解決がつくものです。
しかし、お金で解決できない問題は、どうすればよいのか。
そこで必要とされるのが、信用なのでしょうね。
いざという時は、お金ではなく、信用、信用そのものが大切ということでしょう。
お金は、所詮、数値ですから、いっぺんになくなることはありません。数値にしたがって、その数値ごと減るだけです。
しかし、信用は、その人そのものと一体化しているため、ちょっとでも信用がなくなると、すべての信用がなくなってしまうのですね。よって、信用の基礎蓄積は、積み上げるのには、何十年もかかるけれども、無くなるときは一瞬です。怖いですね。
この観点からすると、お金の方が安心に思えてきます。
しかし、お金より重要なのは、信用なのですね。信用があれば、お金に困ることはなく、お金の源泉が信用と考えておくのがよいでしょうね。
いずれにしても、信用という基礎を固め、信用の蓄積に励むのが人生といえましょう。
自分のことをしっかりと考えること
一眼はつねに、個としての自己の将来の展望を怠らぬと同時に、他の一眼は、刻々に変化しゆく世界史の動向を見失わぬことです。
こうした異質的両極を、つねにわが身上に切り結ばせつつ、日々を生きぬくことが大切でしょう。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 132頁
社会派を気取る人間は、ここでいうところの世界史の動向には敏感ですが、自分のことになると全く眼中にないものです。よって、自らの将来についてフラフラしているという特徴があります。
しかし、これでは、いけないでしょうね。
確かに、世界史の動向、世の中の変転を観察することは重要ですが、それにもまして重要なのは、自分の先のことでしょう。
「個としての自己の将来の展望を怠らぬ」ことは、必須であり、先を見通しながら、自らの将来の展望を描くべきですね。
人生には、さまざまなパターンが考えられるわけで、それこそ、軍事作戦並にさまざまなシミュレーションをしておくことですね。
実際、シミュレーション通りにはなりませんが、シミュレーションをしていた人の方がうまく対処できるものです。
自分のことをしっかりできない人に、社会のことができる人はいません。
まずは、自分の将来について、備えるべきは備え、為すべきことは為しておくことですね。
その上で、世の中のことを洞察することが肝要でしょう。いくら自分のことを考えるといっても、世の中の動向に影響を受けるわけですから、自分のことと世の中の動向とは、切り離せないということですね。
人間の智慧とは
人間の智慧とは、
(一) 先の見通しがどれほど利くか
(二) 又どれほど他人の気持ちの察しがつくか
(三) その上何事についても、どれほどバランスを心得ているか
という事でしょう。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 131頁
智慧は、知識とは違い、人間力そのものといってよいでしょう。
その智慧に3つあるということですね。
まず、先の見通しがどれほど利くか、ということですが、ほとんどの人間にとって、先のことを見通すことは不可能に近いといえましょう。それ故、自らの智慧を洗練させ、見通していく力を付ける必要があるということでしょう。
確かに、先を見通す人が勝者になり、豊かになっていくものです。端的に言えば、幸せになるということですね。大変ではあっても、先を見通す力を付けることは、絶対に必要ですね。
次に、他人の気持ちを察するということですが、これも、ほとんどの人間にとって不可能に近い。特に、他人に痛みの気持ちを察する能力に至っては、あることを認定することすら困難といえましょう。
とはいっても、他人の気持ちを察することができなければ、さまざまな不運に巻き込まれます。不必要な摩擦を生じることもあるでしょう。そのようなことは、避けるべきですから、やはり、自分のことだけでなく、他人の気持ちにも配慮する必要があります。
最後に、何事においてもバランスが大切ということですが、人は、つい、感情的になると一方的な方向に流れてしまい、その方向性もマイナスの方向性であることがほとんどです。
バランスを考えれば、偏る必要がないにも関わらず、バランスを失うために、変な方向に自らを持っていくのですね。
特に、怒りの感情が出てきた時が危ない時ですね。バランスがなくなるときといってもよいでしょう。
バランスを失わないためには、怒りの感情をなるべく起こさないよう、自らを律することですね。何かにつけ怒っている人は、バランスがないものです。
不必要な紛争を避けるためにも、バランスは重要ですね。