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2019年04月09日

4月9日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1983年4月9日は、アメリカのロック・グループ、Styx(スティクス)がStyx初の公式ライブ・アルバム、"Caught in the Act(邦題:スティクス・ライヴ)"のレコーディングを始めた日です。ニュー・オリンズのSaenger Theatre(ゼンガー・シアター。ウェブサイトはこちら)で1983年4月に行われたライブを音源に、2日間制作が行われ、同年同月にリリースされました。Styxにとっては初の公式ライブ盤で、かつ初の2枚組アルバムとなりました。

 1976年発表の"Crystal Ball(邦題:クリスタル・ボール)"以来、Dennis DeYoung(デニス・デヤング。vo,key)、John Panozzo(ジョン・パノッツォ。drums)、Chuck Panozzo(チャック・パノッツォ。Bass)、James [JY] Young(ジェームズ・ヤング。gtr,vo)、Tommy Shaw(トミー・ショウ。gtr,vo)の5人で創り上げた音楽は、1977年発表の"The Grand Illusion(邦題:大いなる幻影。全米6位)"よりヒット街道を直進していきます。1978年発表の"Pieces of Eight(邦題:古代への追想。全米6位)"、1979年発表の"Cornerstone(邦題:コーナーストーン。全米2位)"はいずれも大ヒットを記録、特に"Cornerstone"からのシングル、"Babe(邦題:ベイブ)"はBillboard HOT100シングルチャートで1位を記録し、幅広い聴衆層を獲得しました。
 そして1981年には"Paradise Theatre(邦題:パラダイス・シアター)"がリリースされ、このアルバムはBillboard200アルバムチャートNo.1を記録、文字通りグループは全米のロック&ポップスの頂点に立ち、グループの黄金時代を築き上げたのです。

 1983年2月リリースの"Kilroy Was Here(邦題:ミスター・ロボット〜キルロイ・ワズ・ヒア〜。全米3位)"もシングル、アルバム共に大ヒットを記録して、翌3月からツアーも行われました。ツァーは"Kilroy Was Here"のストーリー性を織り交ぜた、シアトリカルなロック・コンサートとなりましたが、ツァー終了後にTommyがグループ活動を消極化していき、"Caught in the Act"に唯一収録されたスタジオ録音の"Music Time(邦題:ミュージック・タイム)"のプロモーション・ビデオ制作中にはTommy自身のソロ・アルバム"Girls with Guns(邦題:ガールズ・ウィズ・ガンズ)"の制作を並行させておりました。

 制作陣の盟友Gary Loizzoが営むPumpkin Studiosにて"Caught in the Act"の制作が行われました。これまでと同様、Styxのセルフ・プロデュース、Gary Loizzo、Rob Kingsland、Ted Jensenらのエンジニア陣で制作が行われました。
 またアルバムと並行して、ビデオ"Caught in the Act"も制作され、"Kilroy Was Here"のショート・フィルム(監督:Brian Gibson)をオープニングに、Saenger Theatreのライブ模様を、アルバム曲目とは一部違えてリリースされました(プロデュース:Jerry Kramer)。

 まずアルバムのトラックリストです。

 Side-1(アナログ盤)
 
  1. "Music Time(邦題:ミュージック・タイム)"・・・Dennis作
  2. "Mr. Roboto(邦題:ミスター・ロボット)"・・・Dennis作
  3. "Too Much Time on My Hands(邦題:時は流れて)"・・・Tommy作
  4. "Babe(邦題:ベイブ)"・・・Dennis作

 Side-2
 
  1. "Snowblind(邦題:白い悪魔)"・・・JY,Dennis作
  2. "The Best of Times(邦題:ザ・ベスト・オブ・タイムズ)"・・・Dennis作
  3. "Suite Madame Blue(邦題:スィート・マダム・ブルー)"・・・Dennis作

 Side-3
 
  1. "Rockin' the Paradise(邦題:ロッキン・ザ・パラダイス)"・・・Dennis,JY,Tommy作
  2. "Blue Collar Man (Long Nights)(邦題:ブルー・カラー・マン)"・・・Tommy作
  3. "Miss America(邦題:ミス・アメリカ)"・・・JY作
  4. "Don't Let It End(邦題:愛の火を燃やせ)"・・・Dennis作
  5. "Boat on the River(邦題:ボート・オン・ザ・リヴァー)"・・・Tommy作

 Side-4
 
  1. "Fooling Yourself (The Angry Young Man)(邦題:怒れ!若者)"・・・Tommy作
  2. "Crystal Ball(邦題:クリスタル・ボール)"・・・Tommy作
  3. "Come Sail Away(邦題:永遠の航海)"・・・Dennis作


 ビデオのトラックリストです
 
  1. Kilroy Was Here(Short Film)
  2. "Mr. Roboto"
  3. "Rockin' the Paradise"
  4. "Blue Collar Man"
  5. "Snowblind"
  6. "Too Much Time on My Hands"
  7. "Don't Let It End"
  8. "Heavy Metal Poisoning(邦題:ヘヴィ・メタル中毒)"・・・JY作
  9. "Cold War(邦題:冷たい戦争)"・・・Tommy作
  10. "The Best of Times"
  11. "Come Sail Away"
  12. "Renegade(邦題:逃亡者)"・・・Tommy作
  13. "Haven't We Been Here Before(邦題:時が過ぎれば)"・・・Tommy作
  14. "Don't Let It End (Reprise)(邦題:ロックンロールの火を燃やせ)"・・・Dennis作


 さらに、ビデオのDVD化に伴い、以下の bonus tracksが加えられました。
 
  1. "Come Sail Away(1977 Promo Video)"
  2. "Borrowed Time(邦題:虚飾の時。1979 Promo Video)"
  3. "Babe(1979 Promo Video)"
  4. "Boat On the River(1979 Promo Video)"
  5. "A.D.1928(邦題:1928年〜パラダイス・シアター・オープン〜)"・・・Dennis作)"/"Rockin' the Paradise(Previously Unreleased Music Video)"
  6. "The Best of Times(Music Video)"
  7. "Too Much Time on My Hands(Music Video)"
  8. "Mr. Roboto(Music Video)"
  9. "Don't Let It End(Previously Unreleased Music Video)"
  10. "Heavy Metal Poisoning(Previously Unreleased Music Video)"
  11. "Haven't We Been Here Before(Previously Unreleased Music Video)"
  12. "Music Time(Previously Unreleased Music Video)"


 アルバムは1975年発表の"Equinox(邦題:分岐点)"以降の作品から"Kilroy Was Here"まで満遍なく選曲されておりますが、ビデオは"Kilroy Was Here"の収録曲を中心に選曲されています。ライブ・バンドとしての下積みが長いグループだけに、コンサートでの熱い臨場感が体の芯まで伝わってくるような、非常に感動的なライブ盤です。
 アルバムでは、"Best of Times"のイントロに"Paradise Theatre"の最終章であるDennisの作品、"State Street Sadie(邦題:ステイト・ストリート・セイディ)"を聴かせてくれたり(ビデオもあり)、"Suite Madame Blue"の"〜You conquered the world and more heaven's door〜"のパートでDennisが"more"の部分を伸ばし、ビブラートを効かせながら息継ぎなく熱唱するという、これぞプロフェッショナルの歌唱を見せてくれたり、ビデオにおいては、"Rockin' the Paradise"に入る前のJYのテクニカルなギター・ソロ、"Heavy Metal Poisoning"におけるJY,Panozzo兄弟の軽快なダンス、"Cold War"での観客に飛び込みながらのTommyの華麗なギター・ソロ、"Come Sail Away"のDennisでの熱唱に酔い痴れた観客の女性がステージに上がり込んでDennisに抱きつくシーン、"Renegade"のエンディングから続くJohnの見事なドラム・ソロ、"Don't Let It End (Reprise)でのTommyの感動を呼ぶギター・ソロなど、実に味わい深く楽しませてくれるシーンが山ほどあります。

 Billboard200アルバムチャートでは、1984年4月21日に69位で初登場、以後49位→34位→33位と上がり、5月19日付より2週連続で31位を記録後、後退して計15週のチャートインしました。ロック部門においてはメインストリームロックチャート(当時はThe Rock Albums & Top Tracks charts)でのThe Rock AlbumsチャートにおいてもTop50には入らず、いわゆるエントリー予備軍のチャートであるTop Adds(HOT100やBillboard200でいうBubbling Under)でも4月21日に10位内の10位にランクされるのみにとどまりました。UKアルバムチャートでは、1984年5月5日付で44位にエントリーし、これが最高位となって翌週67位に後退、2週間のチャートインでした。当時の2枚組ライブ盤はスタジオ盤に比べて、チャートには反映しにくい面もありましたが、"Kilroy"ブームがやや冷めた時期でのリリースからか、すでにStyxの内部紛争が知れ渡っていたか、その後リリースされるメンバー各自のソロ・アルバムに気が移っていたのか、いずれにしても結果的には全盛期のチャート・アクションにようにはなりませんでしたが、個人的にはチャートでは評価し得ない、ライブの素晴らしさが伝わる名盤だと思います。ビデオを観ても、Styxのライブならではの熱狂ぶりであり、非常に趣ある作品です。

 "Caught in the Act"は全盛期を現出した、この5人で制作された最後のアルバムとなりました。レコードからCDへの移行期にあたる80年代の後半はメンバーのソロ・アルバムが中心となり、グループとしては、1986年発表の" A&M Gold Series"、1987年発表の"Styx Classics Volume 15"など、過去のナンバーで構成されたベスト盤のリリースにとどまりました。Styxの次作スタジオ盤としては、離脱したTommy Shawに代わり、Glen Burtnik(グレン・バートニック。gtr,vo,1999年以降はbassも)が加入した"Edge of the Century(邦題:エッジ・オブ・ザ・センチュリー。1990年10月発表)"を待たねばなりませんでした。現在、全盛期のメンバーはTommy、JY、Chuckの3人ですが、彼らはしっかりとStyxの暖簾を守っており、2017年も最新作"The Mission"で健在ぶりを示してくれています。

さて、"陽当たって精進"は昨年の4月10日から始まり、ちょうど1年を迎えました。365日すべて、"陽"を当てましたが、非常に精進できた1年でした(自分が)。これをもちまして、一旦充電したいと思います。歴史は世界史を、洋楽は主にStyxでしたがロック・アーチストをそれぞれ中心にしてご紹介させていただきました。自身についても大いに勉強させていただきました。
1年間、ありがとうございました。

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2019年04月05日

4月5日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1986年4月5日は、イギリスのグループで、ジャズ/フュージョン/ファンク系サウンドで人気のあるLevel42(レベル42)のシングル、"Something About You(邦題:サムシング・アバウト・ユー)"がBillboard HOT100シングルチャートでTop40入りを果たした日です。この曲は同チャートでの初チャートインとなりました。

 この曲は6枚目のアルバム"World Machine(邦題:ワールド・マシーン)"からのシングルで、当時のメンバーは、Mark King(vo,bass)、Mike Lindup(key,vo)、Boon Gould(gtr)、Phil Gould(drums)の4人で、サポートにWally Badarou(key,vo)、Gary Barnacle(sax)の編成でした。特にMarkの早弾きチョッパーはレジェンドの領域です。
 "Something About You"はMarkの低音で重みのある渋い歌声が軸ですが、サビでMikeのファルセット・ボイスが冴え渡り、クライマックスのBoonのギター・ソロ、冒頭とエンディングにおける印象的なハミング等、単なるポップなナンバーには終わらない作品で、大人の恋愛を歌った歌詞と相まって非常にシブく、深みのある名曲であります。

 この曲にはもう1つの特徴があり、当時リアルタイムで見ていたのですが、映画風のプロモーション・ビデオも優れており、個人的にも忘れられない作品です。走る列車の中、3人座席用が向かい合い、計6人が入れる個室に6人が座っています。まず片方の3人席には2人の警察官の間にMarkが座り、Markはどうやら被逮捕者で護送中のようです。その向かいの3人席にはLevel42のメンバー3人(彼らは他人同士で、相手の素性を知らない)が座っています。ビデオはこの光景から始まります。ドラマ設定はいろいろな見方があると思いますが、あくまでも個人的見解でお話しさせていただきますと、Markの扮する男は目の前に座っている3人の男たちの素性を知っているようです。実はMark扮する男は道化師で、彼らがそれぞれ相愛するガールフレンドが皆同じ人(演じる女優はCherie Lunghi)であり、道化師は彼らの恋愛が波乱を迎えることを予期しているかのようです。
 Boonのギター・ソロのパートで道化師がステージでおどけた踊りを見せているシーンがあり、3組のカップルが道化師によって負の真実が明かされる所はこのビデオのクライマックスで、個人的にこのあたりのカメラワークが非常に気に入っており、Mark扮する道化師が嘲っている姿が遠ざかっていくシーンが、列車がトンネルに入っていく光景と重ね合わせていく所が素晴らしいです。列車が駅に到着して、Markと両横の警察が下車し、改札へ向かう途中に、Cherie Lunghi扮する3人の彼女が立ち止まっており、Markとすれ違うところでビデオが終わります(映像はこちらYouTubeより)。私が過去鑑賞してきた洋楽のプロモーション・ビデオの中では五本の指に入るほどの名作です。当時のリアルタイムでは、クライマックスでMarkが大声をはり上げるふりをするシーンでは実際にエコーを使っておどろおどろしい声を上げるという効果が使われ、Mark扮する道化師の不気味さを演出していましたが、現在ではその効果音が使われていないものが公開されているようです(もしかすれば日本用にアレンジした効果音だったかもしれません)。

 さて、"Something About You"は、1986年2月15日付HOT100で85位と下位にチャートインしました。その後80位→73位→62位→57位→52位→45位とじわじわ上昇していき、8週目にあたる、陽の当たった1986年4月5日に38位とTop40入りを果たします。
 すると、32位→27位→20位と順調にTop20入りを果たしますが、その後は18位→15位→13位→12位と少し動きが鈍ります。しかし翌週となる5月31日付で一気に7位とTop10入りを果たし、2週続けます。これが最高位となり、その後は10位→13位→29位→34位→45位→56位→64位→69位→92位→100位と後退し、圏外へ消えていきましたが、結果的に27週のチャートインで、1986年のYear-Endチャートでは100位中で堂々の37位にランクインしています。その下位にはこの年1位になったBananaramaの"Venus(38位)"や、Cyndi Lauperの"True Colors(41位)"、Bostonの"Amanda(50位)"よりも上位にランクされたのです。
 またメインストリームロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)では4週チャートインし、1986年4月12日付より2週45位を記録しており、ダンス・クラブ・ソングスチャート(当時はHot Dance/Disco Club Play)ではこの曲のリミックス・ヴァージョンが17週チャートインし、1986年5月24日付で4位を記録しております。またAdult Contemporaryチャートでも17週チャートインし、1985年5月31日付より2週10位を記録しており、総合チャートのHOT100に加えて、ロック、ダンス、ポップスの計4部門でチャートインする偉業を成し遂げています。
 本場のUKシングルチャートは1985年9月11日付より2週連続で6位を記録、17週チャートインして1985年のUK年間チャートでも100位中53位にランクしており、人気の高さを証明しております。

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posted by ottovonmax at 00:00| 洋楽

2019年04月02日

4月2日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1977年4月2日は、アメリカのプログレッシブ・ロック・グループ、Kansas(カンサス)のシングル、"Carry On Wayward Son(邦題:伝承)"が、Billboard HOT100シングルチャートで最高位11位を記録した日です。2週11位を記録し、Kansasとして初のチャートイン・シングル、および初のTop20入りを果たす大ヒット・シングルとなりました。

 "Carry On Wayward Son"は、アメリカン・プログレの名盤として名高い1976年リリースの4作目"Leftoverture(邦題:永遠の序曲)"のオープニングを飾るハードロック・ナンバーで、Henry Winkler主演の映画、"Heroes(邦題:幸福の旅路)"のラストにも印象的に使われました。メンバーのギタリスト兼キーボーディストであるKerry Livgrenの作品で、聞き応えある5分26秒であり、隙のない見事な構成と詞で現在においてもなお色褪せない名曲です。シングル・ヴァージョンは3分26秒に短縮しています。

 Steve Walsh(key,vo)とRobby Steinhardt(violin,vo)のダブル・ヴォーカルによる導入部と強いギターリフによるイントロで始まり、KerryのピアノをバックにSteveのゆったりした歌声を聴かせるAメロが進行、そしてややアップになるサビも切なさと力強さが伝わります。間奏の2台のギターとキーボードの合わせ技は非常に感動的であり、ビデオではSteveがサビの熱唱の後、キーボードとパーカッションを素早く乗り移るシーンが印象的です(映像はこちらYoutubeより)。この曲ではRobbyがヴァイオリンを奏でるシーンはありませんが、ヴォーカル担当および間奏部分でタンバリンを叩いています。

 1976年12月25日付のHOT100シングルチャートで87位にエントリーしたこの曲は、Kansasにとって初めてのチャート・インしたシングルとなりました。年が明けて1977年1月1日付はお休みのため25日付と同位の87位でしたが、その後76位→66位→55位→45位と順調に駆け上がり、2月5日付で36位と、初のTop40入りを果たしました。その後は30位→25位→21位と順調に上がり、3月5日付で18位とTop20入り、そして16位→15位→13位と順調にアップし、陽の当たった1977年4月2日付で11位を記録、2週続けてこれが最高位となりました。その後は14位→21位→34位→68位と後退し、結果100位内20週、Top40内13週のチャートインとなり、大ヒットを記録したのです。その後Kansasのベスト盤やライブ盤には必ずと言っていいほどこの曲が収録されました。

 1977年のYear-Endチャートでは100位内58位とTop10入りを果たせずとも高地位にランクされ、1990年12月にはRIAA認定のゴールド・ディスクを勝ち取り、Kansasの代表曲として永遠に心に刻まれました。

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タグ:billboard KANSAS
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2019年03月27日

3月27日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1982年3月27日は、オレゴンのポートランド出身のロック・グループ、Quarterflash(クォーターフラッシュ)のシングル、"Find Another Fool"がBillboardのメインストリームロックチャート(当時はThe Rock Albums & Top Tracks charts)で最高位12位を記録した日です。

 リード・ヴォーカルとサックスを担当するRindy Ross(リンディ・ロス)と、彼女の夫でギターを担当するMarv Ross(マーヴ・ロス)を中心に結成された6人組のロック・グループで、Quarterflashのデビュー作"Quarterflash(邦題:クォーターフラッシュ。1981年)"からのデビュー・シングル"Harden My Heart(邦題:ミスティー・ハート)"は1981年12月26日付The Rock Albums & Top Tracks chartsで堂々の3週1位を獲得、1982年1月23日付Adult Contemporary Chartでも2週連続41位を記録しました。また1982年2月13日付HOT100シングルチャートでは3位を2週続けて記録し、1982年のYear-Endチャートでも100位内13位にランクされるなど、華々しいデビューを飾りました。

 ミドルテンポの"Harden My Heart"の曲の雰囲気は、Rindy Rossのセクシーな歌声と、聴く者をうっとりとさせるサックスの音、これをさらに引き立てるMarv Rossのギターに尽きます。8月20日のブログでも綴りましたが、デビュー作"Quarterflash"の幻想的なジャケットに相まって、夜を酔わすアダルトなサウンドを漂わせ、当時のロック・グループの中でも異彩を放っておりました。

 "Find Another Fool"は、"Harden My Heart"に続いて、"Quarterflash"からカットされたセカンドシングルです。こちらは"Harden My Heart"とは打って変わってハードでエネルギッシュなロック・ナンバーに仕上がっております。ただし単純なロック・ナンバーではなく、Quarterflashの独創的なサウンドとして、この曲も大きなアクセントがありました。ハードなナンバーではありますが、バックにサポート・ミュージシャンのBruce Sweetmanによるヴァイオリンがフィーチャーされています。エンディングはRindy RossのサックスとBruce Sweetmanのヴァイオリンのソロが掛け合いで聴くことができ、非常に聴き応えのあるロック・ソングです。ちなみにBruce Sweertmanはその後カントリー界やブルーグラス界、クラシック界などで活躍、Garth BrooksやCollin Raye、Trisha Yearwoodなどのヴァイオリンやストリングスを担当、また自身もNashville Mandolin Ensembleのメンバーとしてその名が知られます。

 The Rock Albums & Top Tracks chartsでの"Find Another Fool"は"Harden My Heart"が同チャートを駆け上っている間にもすでにチャートインしており、1981年11月21日付で53位に初登場、ゆっくり駆け上がっていきます。翌週47位、その後43位→37位→29位→23位となった12月26日付では、同チャートで"Harden My Heart"が1位に輝き(3週連続)、オンエアも"Harden My Heart"に集中したためか、一方の"Find Another Fool"は次も23位にとどまり、その後22位→22位→19位→18位→19位→18位→21位→21位と少し伸び悩みました。"Harden My Heart"もチャートを後退して、次に"Find Another Fool"が19位に上がったところで、初めてチャート上で20位に後退した"Harden My Heart"の上に立ち、21位→18位と勢いを盛り返し、陽の当たった1982年3月27日に最高位12位を記録したのです。
 その後は15位→19位、そして4月17日付で31位まで下降して圏外へ消えましたが、24週チャートインした"Harden My Heart"につぐ22週のチャートインという、立派な成績を残しました。最終アクションとなった4月17日付では、HOT100シングルチャートの方で、"Find Another Fool"は最高位16位を2週連続して記録、13週チャートインしています。

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2019年03月22日

3月22日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1986年3月22日は、リード・ボーカリストのAnn Wilson(アン・ウィルソン)とギタリストのNancy Wilson(ナンシー・ウィルソン)姉妹を中心に活動するアメリカのロック・バンド、Heart(ハート)のシングル、"These Dreams(邦題:ジーズ・ドリームス)"が、全米Billboard HOT100シングルチャートで1位を獲得した日です。ハートにとって、初の全米制覇を成し遂げました。
 ハード・サイドとアコースティック・サイドのロック・サウンドを見事に使い分ける技巧、そして男性ボーカリストに引けを取らないアン・ウィルソンの迫力ある歌声、ナンシー・ウィルソンのキュートで力強いギター・プレイ、これらがハートの大きな持ち味で、1976年のデビュー・アルバム"Dreamboat Annie"から1980年リリースの5枚目"Bebe Le Strange"まで、順調なアルバムセールスを続け、カットされたシングルも各アルバムからは必ずトップ40入りする活躍を見せました。また同年リリースされたベスト・アルバム"Greatest Hits/Live"からカットされた"Tell It Like It Is"はHOT100では過去最高のランクを記録し(1981年1月10日付で2週8位)、80年代も安定して活動できると思われました。
 しかし80年代前半の作品は低調で、メンバーチェンジ後、1983年リリースの7枚目スタジオ・アルバム"Passionworks"では、力強いロック・ナンバーの"How Can I Refuse?"がシングルとしてカットされましたが、Billboard HOT100シングルチャートでは44位(1983年9月17日付より2週)が最高で(ただしメインストリームロックチャートでは1位を記録)、Billboard200アルバムチャートも39位に終わり、ハートのどん底の時期にありました。
 その後ハートは所属レーベルのEpicを離れ、Capitolと契約します。Michael Schenkerが在籍したUFOの"Strangers in the Night"をはじめ 、Thin Lizzy、Survivor、The Babysなどを手がけたRon Nevisonをプロデューサーに迎え、楽曲を外部のソングライターで収め、アルバム・タイトルをセルフ・タイトル"Heart(邦題:ハート)"として心機一転をはかり、1985年7月にリリースされました。
 するとまずファースト・シングル・カットされたドラマティックな"What About Love"ではチャートこそスロー・アップを続けたものの、"Tell It Like It Is"以来のシングルTOP10入りを果たし(1985年8月24日付10位)、しかもポップでキャッチーながらアン・ウィルソンの迫力あるボーカルは顕在のセカンド・シングル、"Never"では1985年12月7日付HOT100でなんと4位を記録し、この時点でシングル最高位となりました。
 シングル・ヒットで息を吹き返したことで、アルバムにも順調なアクションを見せ始めます。1985年12月21日、92週という長い歳月をかけて、アルバム"Heart"は1985年12月21日付のBillboard200アルバムチャートで1位に輝き、見事にカムバックを果たしました。
 アルバム初制覇の勢いそのままに、翌1986年1月18日、ギター・サウンドが大幅に控えられた、ナンシー・ウィルソンがボーカルをとる美しいバラード、"These Dreams"がサード・シングルとしてリリースされました。同日54位にチャートインした同曲は45位→37位→28位→19位→14位→10位と、上位を狙うチャート・アクションを見せ、続いて4位→2位、そして陽の当たった3月22日についに1位に輝きました。ハートにとってアルバム、シングル両方を制しました。"These Dreams"のあとも"Nothin' at All(1986年6月21日付10位)"、"If Looks Could Kill(1986年8月9日付54位)"がカットされ、ヒットを飛ばしました。
 ハートの快進撃はその後"Bad Animals(1987年。邦題:バッド・アニマルズ)"、"Brigade(1990年。邦題:ブリゲイド)"も大ヒットとなり、ロック界に大きく君臨するのでした。

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タグ:Heart billboard
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2019年03月19日

3月19日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1988年3月19日は、Tommy Shaw(トミー・ショウ)のシングル、"Ever Since The World Began"がBillboard HOT100シングルチャート77位を記録した日です。

 Styxを離脱していたTommyが1987年に放ったサード・アルバム、"Ambition"からのシングルで、カバー・ソングです。原曲はアメリカのロック・グループ、Survivor(サヴァイヴァー)のFrankie SullivanおよびJim Peterikによるもので、アルバム"Eye of the Tiger(邦題:アイ・オブ・ザ・タイガー)"のB面(アナログ盤)3曲目にも収録されました。

 Tommy版の"Ever Since The World Began"は、AORムードの漂うメロディアスなバラードで、サックスは、アメリカのミュージシャン、Billy Joel(ビリー・ジョエル)のバンドで知られるRichie Cannataが担当しています。Tommyのアルバム"Ambition"収録の"The Outsider"とのカップリングでリリースされました。

 "Ambition"からは、1曲目収録のロック・ナンバー、"No Such Thing"が先行シングルとしてリリースされました。メインストリームロックチャート(当時は"Album Rock Tracks")ではTop40入りを果たせず(1987年11月14日で41位)、総合チャートであるHOT100シングルチャートにも登場しませんでしたが、続く"Ever Since The World Began"で攻勢をかけたところ、1988年2月12日付HOT100で93位にエントリーしました。Tommyのソロ・シングルとしては4曲目のHOT100エントリー曲で、本作を含むソロ3作品、すべてのアルバムからHOT100へチャートインしたシングルが産まれました。
 93位に初登場した"Ever Since The World Began"は、翌週86位、その後83位→81位と上昇、3月12日付で75位を最高位とし、1988年の本日3月19日で77位に後退しました。その後は79位→84位→89位と下がり、合計9週間のチャートインとなりました。

 現時点では、Tommyのソロ・シングルにおいて、HOT100にエントリーした最後のシングルであります。

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2019年03月08日

3月8日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1975年3月8日は、アメリカのロック・グループ、Styx(スティクス)の2枚目のアルバム、"Styx II(邦題:「スティクスU」,他「黄泉の国より」,「レディ/スティクス・セカンド」など)"が、Billboard200アルバムチャートで、同年同月同日付より2週連続で最高位20位を記録した日であると同時に、このアルバムからカットされたシングル、"Lady(邦題:憧れのレディ)"もBillboard HOT100シングルチャートで同年同月同日付より2週連続6位を記録し、1973年7月リリースから、2年越しのヒットとなった日です。この大事な1975年の末にStyxはインディ・レーベルからメジャー・レーベルへの移籍を決意していくわけで、Styxの歴史を語る上でも非常に重要な作品と言えます。このブログではStyxのスタジオ・アルバムを一作ずつ紹介しておりますが、遅ればせながら"Styx II"を改めて探っていきたいと思います。アルバム"Styx II"およびシングル"Lady"のチャート・アクションはこちらの下部にございますのでご参照下さい。このブログでの80年代までのStyxのスタジオ・アルバムのご紹介は、この"Styx II"がファイナルとなります。

 前述の通り、"Styx II"がヒットしたのは1974年末から1975年の春先ですが、アルバム自体のオリジナル・リリースは1973年7月であります。優秀なソングライターの楽曲提供ででほぼ占められた前作"Styx(邦題:「スティクスT」または「スタイクス」)"はBubbling Underチャート内では健闘したものの、200位入りは果たせませんでした。所属先のWooden Nickelレーベルでは、次に制作する"Styx II"では、収録する楽曲をメンバーのソングライティングに期待しました。
 1972年末に前作からのシングル・カット、"Quick Is The Beat of My Heart"がリリースされました。このシングルは、のち"Styx II"に収録される"I'm Gonna Make You Feel It"をカップリングとしてリリースされました。そしてシングルリリース時には、Styxは当時のスタジオであるParagon Recording Studiosにて"Styx II"の制作に当たっていました。グループメンバーはDennis DeYoung(デニス・デヤング。key,vo)、John Panozzo(ジョン・パノッツォ。drums)、Chuck Panozzo(チャック・パノッツォ。Bass)、John [JC] Curulewski(ジョン・クルルウスキー。gtr,key,vo)、James [JY] Young(ジェームズ・ヤング。gtr,key,vo)の5人です。
 プロデュースはJohn Ryan、エグゼクティブ・プロデューサーはStyxの産みの親であるBill Traut、エンジニア陣はParagon Recording Studiosの設立者であるMarty Feldman(マーティ・フェルドマン)と、Foodという60年代サイケデリック・バンドのドラマーをつとめたBarry Mraz(バリー・ムラッツ)と、前作同様のスタッフでレコーディングが行われました。ソングライティングはDennis作とJC作の楽曲が収録され、JY作の楽曲は収録されませんでした。これはStyxでのオリジナル中心のスタジオ・アルバム(2005年リリースのカバーアルバム" Big Bang Theory"を除く)ではこの"Styx II"が唯一、JYがソングライティングに関わっていない作品です。
 
 ジャケットはWooden Nickel時代で使用された"Styx"のロゴ・サインを表紙いっぱいに拡大し、ロゴの枠線だけを残して中を切り抜き、そこにメンバーの演奏風景写真を載せております。"S"の部分にDennis、"t"の部分にChuck、"y"の左側にはすでに髭を蓄えたJY、右側にはJohn、そして"x"にはJCが写っています。スリーブ・デザインのジャケットの写真はMurray Laden、アートワークはBob Milesという人物が担当で、Bobは裏ジャケットに、グループの本来の意味である"三途の川"をイメージした幻想的なデザインが施されております。1975年の再リリースでは表ジャケットの切り抜き部分に"三途の川"を入れたヴァージョンもあり、2005年リリースのWooden Nickel時代のベスト盤"The Complete Wooden Nickel Recordings"での内ジャケットではこのレーベルからリリースされた4枚のアルバムの表ジャケットを載せておりますが、"Styx II"の場合は"三途の川"ヴァージョンが使われておりました。
 ちなみに、1979年から1980年にかけてRCAレーベルから再発されました時は、アルバムタイトルも"Lady"となり、ジャケットも天高くそびえるお城から平地へとらせん状に山道が下り、山肌に"Styx"や"Lady"と描かれ、目の前の車道にオープンカーが走るといったモダンなイラストに差し替えられています。

 さて、曲目紹介です。
A面(アナログ盤)
  1. "You Need Love(邦題:ユー・ニード・ラブ)"・・・Dennis作
  2. "Lady(邦題:憧れのレディ)"・・・Dennis作
  3. "A Day(邦題:ア・デイ)"・・・JC作
  4. "You Better Ask(邦題:ユー・ベター・アスク)"・・・JC作


B面
  1. "Little Fugue in G(邦題:リトル・フーガ)"・・・Johann Sebastian Bach作
  2. "Father O.S.A.(邦題:ファーザー・OSA)"・・・Dennis作
  3. "Earl of Roseland(邦題:ローズランドの伯爵)"・・・Dennis作
  4. "I'm Gonna Make You Feel It(邦題:アイム・ゴナ・メイク・ユー・フィール・イット)"・・・Dennis作


 Wooden Nickel時代のStyxの代名詞となるクラシックのカバーは、本作ではバッハを起用しており、この曲のためにDennisはシカゴのセント・ジェームス大聖堂のパイプ・オルガンを使ってレコーディングしました。これを縁に、1978年のアルバム、"Pieces of Eight(邦題:古代への追想)"収録の"I'm Okay(邦題:アイム・OK)"でも同聖堂のパイプ・オルガンを使用しています。
 A-1の"You Need Love"は軽快なハード・ロック・ナンバーで、JYのワイルドな歌声でアルバムの幕を開けます。サウンドはヘビーですが、サビはStyxの持ち味である美しいコーラスなので、馴染みやすい楽曲です。初回リリースでは次作"The Serpent Is Rising(邦題:「サーペント・イズ・ライジング」。または「サーペント・イズ・ライジング/スティクスV」)"に収録される"Winner Take All"とカップリングでシングルカットされましたがノンアクションで、1974〜5年の再発ヒット時(その内容はこちら。下部にございます)でのリカットでは本作A-4とのカップリングで、1975年5月17日から2週連続88位を記録しています。
 A-2はStyxの名を世に広めた不朽の名作であり、リード・ヴォーカルを担うDennisが妻Suzanneに捧げたラブ・ソング、"Lady"の登場です。前半Aメロのピアノをバックにバラード進行、1番サビ以降はややロックになり、2番サビがどこかしらMaurice Ravel(モーリス・ラヴェル)の"Boléro(ボレロ)"にも通じるドラマティックさが加わり、さらにバックのギター・ソロで盛り上げ、華やかに終わります。1995年8月22日にA&Mレーベルからベスト盤"Greatest Hits(邦題:スティクス・グレイテスト・ヒッツ)"をリリースする際に、このナンバーを収録するために、レーベル所有権の関係から、あらたに録音しなおしてリリースされました。タイトルは"Lady'95(邦題:レディ'95)"で、1997年5月リリースの再々結成ライブ盤、"Return to Paradise(邦題:リターン・トゥ・パラダイス)"でも歌われました。
 ちなみに"Lady"のシングルカットでは、初回リリース時ではA-4とのカップリングで、全米6位を記録した74年11月のリリースでは、前作収録の"Movement for the Common Man"の第1楽章”Children of the Land”とのカップリングでリリースされました。
 A-3の"A Day"はStyxの全オリジナル・アルバム収録の、組曲形式を除く単品ナンバーでは、現時点で最長の、8分19秒の長尺曲です。JCがメイン・リード・ヴォーカルを披露する初めてのナンバーであり、JCがソングライティングしたお披露目のナンバーです。幻想的なメロディで、間奏はややジャズ寄りのインストゥルメンタルを展開します。2番でのJCが歌う"Pondering the motion of time"の部分で、最後の"time"と発したJCの声が高音に上がりながら反響(残響)していき、その声が知らぬ間にギターの音色に変わっているように聞こえるテクニックは見事の一言です。
 A-4の"You Better Ask"は前述の通り、2度のシングルでカップリングされた実績を持つナンバーで、これもJCの作品ですが、A-3とは打って変わってシングル向きのポップなロック・ナンバーです。JCはA-3ではやさしい声色でどちらかと言えば高いキーで歌っておりましたが、この作品は同じヴォーカリストかと思うぐらいに唸るような歌声を聞かせてくれます。この曲は、前作収録の"Quick Is The Beat of My Heart"、次作収録の"Jonas Psalter"同様、エンディングに別の曲を挿入させる手法を採り入れることによって、本編とは違った流れで終わり、変わった余韻を残すところが特徴です。この"You Better Ask"では、あのFrank Sinatra(フランク・シナトラ。1915-98)の1966年の大ヒット曲で知られる"Strangers in the Night(夜のストレンジャー)"と、大笑いする効果音をエンディングに導入しています。

 B-1"Little Fugue in G"はバッハの有名な"フーガ ト短調 BWV 578"、いわゆる"小フーガ"をDennisのパイプ・オルガンでじっくり聴かせてくれます。これをプロローグに本作の目玉でもあります7分の大作、B-2の"Father O.S.A."へ途切れなく移ります。Dennisがリード・ヴォーカルをとります。
 「O.S.A.」とはカトリック修道会である「Order of St.Augustine(訳:聖アウグスチノ修道会)」の略語ですが、Dennis、Chuck、Johnはカトリック信仰者で、StyxがまだThe Tradewinds時代にベーシストのChuck Panozzo(当時はリズムギター担当)は神学校に通うため短期間だけ離脱していたり、さらに高校生時代はChuck、John Panozzo、そしてのちにソングライティングにも関わるDennisの親友であり、義兄にあたるCharles Lofrano(1949-2010)の3人はシカゴのMendel Catholic High School(1951-88)の通学歴もあり(いわゆる遺伝の法則を発見したオーストリアのMendelはO.S.A.出身です)、この高校で"O.S.A."の教義を学んだこともこの作品に影響していると思われます。
 Styx風のプログレッシブ・ロックが充実した作品であるこの"Father O.S.A."は個人的にも本作で最もよく聴いた作品で、ギターの音色中心のイントロの後、前半は静かな流れで進みますが、間奏のキーボード・ソロが終わった後半から盛り上がり、特にエンディングに懸けてのインストゥルメンタル・パートは圧巻です。特にJYとJCのダブル・リード・ギターの重ね技と、Johnによるドラムの超高速連打は聴きもので、前作からの成長が一瞬で分かる傑作となっております。特にドイツではバッハ絡みが関係したのか、1973年にシングルとしてのリリース歴があり、A面は4分13秒の"Little Fugue In "G" & Father O.S.A. (Part 1)"、B面は4分25秒の"Little Fugue In "G" & Father O.S.A. (Part 2)"のタイトルとなっております。
 B-3の"Earl of Roseland"は軽快なハード・ロック・ナンバーで、Dennisがリード・ヴォーカルを担当しています。シカゴ市内では南方にあたるRoselandはメンバーのDennis、John、Chuckの出生地です。ちなみに1999年リリースの"Brave New World(邦題:ブレイヴ・ニュー・ワールド)"でもDennis作の"Goodbye Roseland"というナンバーでも故郷のRoselandを歌っています。
 ラストを締めくくるB-4の"I'm Gonna Make You Feel It"はJYが歌うロック・ナンバーで、2分半弱にもかかわらずヘビーで生き生きした曲構成には度肝を抜かされます。"You Need Love"同様、コーラスが美しいので、それほどヘビーには聞こえません。前述にもあるように、アルバム・リリースに先駆けて"Quick Is The Beat of My Heart"とのカップリングでリリースされましたが、チャートインとはなりませんでした。"Brave New World"に収録され、シングルにもなった"Everything Is Cool"のイントロ最前には過去のStyxの楽曲らしきものがチラホラと聞こえる仕掛けがありますが、その中にこの"I'm Gonna Make You Feel It"のサビの部分が挿入されています。このナンバーは1999年リリースの"Best of Styx 1973-1974"ではなぜか収録からはずれましたが、これを除くWooden Nickel時代のベスト盤では決まって収録されています。
 2016年でのデジタルリマスター盤のリイシューでは、ボーナス・トラックとして、"Unfinished Song(邦題:アンフィニッシュト・ソング。Dennis, Charles Lofrano作)"も収録されています。Dennisが歌う短尺曲ながらもドラマティックなバラードで、随所にメロトロンも効果的に使われています。このナンバーは当時"The Serpent Is Rising"からのシングル、"Young Man"とのカップリングで収録され、アナログ盤では1979~80年にRCAからの再リリースによる"Man of Miracles(邦題:ミラクルズ。当時原題は'Miracles'と改題)"に収録されたきりで、この"Man of Miracles"のCD化に伴い収録から外されてしまったため、結果"Unfinished Song"は2005年リリースのベスト盤"The Complete Wooden Nickel Recordings"に収録されるまでは、"幻のCD未収録ナンバー"として重宝されたものです。

 陽の当たった1975年3月8日に最高位を記録した"Lady"のTop10入りヒット、さらにはアルバムもTop20入りのヒット(詳細はこちらの下部)後、1975年末にA&Mへ移籍が決まり、1975年12月1日には"Equinox(邦題:分岐点)"をリリースすることになるのですが、実を言うと2年越しの"Styx II"および"Lady"のヒットによる人気上昇の勢いを付けたことでA&Mへの移籍が決まったわけではなく、Wooden Nickelからリリースされた1974年の4作目"Man of Miracles(邦題:ミラクルズ)"のリリース時点で移籍を考えていたと言われております。その理由として、StyxのメンバーはこれまでのWooden Nickelレーベルからのプロモートやサポートの弱さに難色を示していたためと言われております。具体的には、1作目"Styx"収録のデビュー曲"Best Thing(邦題:ベスト・シング)"がそれまで唯一チャート・インしたシングルということで、"Man of Miracles"の初回リリースで再び収録したこと、"Man of Miracles"からの新曲をシングル・カットせず、"Lady"をシングルに選択したこと、よもやの"Lady"のヒットを受け、便乗して"You Need Love(前述。1975年4月)"、さらには"Best Thing(1975年6月の再リリース。B面は'Havin' A Ball')"、また"Lady(1975年11月。B面は'Children of the Land')"のシングル再々発を強行したといった経緯にみられるように、過去のヒットした作品から再発を繰り返した、いわば過去の栄光にすがりついた商業優先主義にもとれる、当時のWooden Nickelの販売戦略によって、Styxとレーベル間に不協和音が生じてしまったとされており、しかも"Lady"の6位記録後は"You Need Love"の88位のみにとどまったことからWooden Nickelの販売戦略はお世辞にも成功したとは言えず、結果的にメンバーは移籍に踏み切ったとされています。A&M移籍についてStyxはWooden Nickelとは裁判沙汰にまで発展し、移籍しようとしたStyxの契約違反として違約金が発生したと言うことですが、結果的に移籍して以降はStyxの全盛期が訪れ、成功を楽しむことができたわけです。Wooden Nickelは1977年、ちょうど黄金期の幕開けを告げる"The Grand Illusion(邦題:大いなる幻影)"のA&Mからのリリース期に、Wooden Nickel時代の全4作をチョイスしたベスト盤"Best of Styx(邦題:レディ・スティクス・ベスト)"をリリースしたのを最後に事業を停止、権利は親会社のRCAに移されました。

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2019年02月22日

2月22日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1983年2月22日は、アメリカのロック・グループ、Styx(スティクス)の11枚目スタジオ・アルバム、"Kilroy Was Here(邦題:ミスター・ロボット〜キルロイ・ワズ・ヒア〜)"がリリースされた日です。タイトルはアメリカ軍兵士による壁への落書き、"Kilroy Was Here(当時の和訳は「キルロイ参上」)"からとられたものとされています(画像はこちらWikipedia Commonsより)。

 実はこの2月22日は、Styxが1972年の同月同日にて、最初のレコード・レーベル、Wooden Nickel社と契約に至った日でもありますが、9月16日のブログでこのあたりの話を綴っておりますので、そちらを参考にしていただこうかと思います。本日は"Kilroy Was Here"を取り上げます。

 Styxの黄金時代の最終作品がこの"Kilroy Was Here"です。Dennis DeYoung(デニス・デヤング。vo,key)、John Panozzo(ジョン・パノッツォ。drums)、Chuck Panozzo(チャック・パノッツォ。Bass)、James [JY] Young(ジェームズ・ヤング。gtr,vo)、Tommy Shaw(トミー・ショウ。gtr,vo)の5人によるスタジオ・アルバム制作はこの作品がラストと言うことになります。

 このアルバムは1981年の前作"Paradise Theatre(邦題:パラダイス・シアター)"に続くコンセプト・アルバムです。アルバム・コンセプトの内容はイギリスの映画監督Brian Gibsonの脚本と監督によってショート・フィルム"Kilroy Was Here"が作られ、1983年のライブ・アルバム"Caught in The Act(邦題:スティクス・ライヴ)"およびそのビデオ版(2007年DVD化)では、"Kilroy Was Here"のロック・オペラとして具現化されました。
 その中にThe MMM(the Majority for Musical Morality)と呼ばれるアンチ・ロック・ミュージック団体が登場しますが、かつてStyxは前作"Paradise Theatre"収録の"Snow-blind"問題(詳細は1月19日のブログの"Snow-blind"の項をご参照下さい)において、"Snow-blind(邦題:白い悪魔)"を薬物撲滅を掲げるアンチ・ロック・ミュージック団体らに抗議された経緯を、政治がロック・ミュージックを制圧するという話に置き換えて"Kilroy Was Here"を制作したとされております。実質的に、このアルバムからのファースト・シングルに選ばれた"Mr.Roboto(邦題:ミスター・ロボット)"とのカップリングは"Snow-blind"が選ばれました。

 では、本コンセプト・アルバム、"Kilroy Was Here"のストーリー内容を見ていきたいと思います。アルバムの内ジャケットには"The Past(過去)"と"The Present(現在)"の見出しでストーリー内容が示されています。

The Past

 The MMMの創設者であり、代表を務めるDr.Everett Righteous(配役はJY)は、彼自身のケーブルテレビ・ネットワークを使ってアメリカ政界の有力者となっていました。Dr.Righteousはロック・ミュージックを社会悪ととらえ、どんな形であってもロックを許すことは非難の対象となり、この悪影響によってアメリカ経済も減退させると説いていました。ロックがアメリカを潰すという実態をメディアを通じて説いたThe MMMはたちまち人々の支持を集め、ロックンロールを禁じる法律も決まり、Dr.Righteousは人々のカリスマ的存在となっていたのです。
 世界的に有名なロック・スター、Robert Orin Charles Kilroy(配役はDennis)もこの法律が決まる頃には自身のロック・バンドによるコンサートツアーを終えようとしていました。"Paradise Theatre(パラダイス・シアター)"劇場での最終日、大入りの観客の前で上演するはずだったKilroyの最終ツアーにて、MMMの委員たちが、可決したばかりのロック禁止法を試験的に施行しようとしてステージに上がり込み、ロック・コンサートを終わらせてしまいました。会場は大混乱におちいり、MMMの委員の一人は群集に殺害されました。Kilroyは委員殺害の疑いをかけられて逮捕され、委員殺害の有罪判決を受け、監獄送りになってしまったのです。

The Present

 日本製のロボットによって監視された近未来。テクノロジー過剰の機械に依存する社会となっていました。このロボットは日本製だけに、仏像の雰囲気を醸し出すロボットでありますが、そのロボットは日本風に"Mr.Roboto(ミスター・ロボット。英語ではrobot。日本製らしく語尾に「o」をつける)"と呼ばれます。低コストで終身で働くように設計されたロボットで、かつては人間が行っていた肉体労働を担い、近未来の社会を管理していました。
 Dr.Righteousは彼自身のモラルを強く主張するため、夜に集会を開催し、支持者にロックにおける"負"のシンボルとも言うべきエレキ・ギターやロック系のレコード集を火に投じさせ、ロックの社会悪をうったえました。一方で彼の主張に反し、ロック復興の地下活動を行っていた中心者、Jonathan Chance(配役はTommy)という人物がいました。JonathanはKilroyをロック復興のシンボルとして捉えておりましたが、当のKilroyは、もう何年も刑務所に入れられており、しかもMMMのケーブルテレビ・ネットワークを通じてマインド・コントロールされるという屈辱を受けておりました。JonathanはKilroyとコンタクトを取ろうとして、MMMの電波を妨害し、違法映像であるKilroyのコンサート(劇中では"Cornerstone〔邦題:コーナーストーン〕"収録の"Borrowed Time〔邦題:虚飾の時〕"が流れる)を流してMMMからのマインド・コントロールを解除させようとしました。
 Jonathanの尽力で目が覚めたKilroyは脱出を企てます。Kilroyは、ある夜更けに大胆にも警備Robotoを取り押さえて解放を試み、Robotoに扮して街の至る所にJonathan宛のコード・メッセージ"Rock Code"の落書きを残していきました。そのコード・メッセージを発見したJonathanは解読した通りに動いていくと、かつての"Paradise Theatre"にたどり着きます。そこはDr.Righteousの設立した「ロック病理博物館」という、ロックによって発生した異常や機能障害を歴史的に展示する場所に成り変わっていました。展示物としてElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)やJimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)、そしてKilroyのバンド(これがStyx)の機械仕掛けの人形が置かれ、演奏シーンをモーターで動かしていました。その中でKilroy人形はエレキギターで人を殴る動きをしていました。Dr.Righteousはロック病理博物館の展示物を、"最後の"ロック・コンサートと銘打ち、ロックの暴力的な末路として表していましたが、この有様に堪えきれなくなったJonathanはそのギターを奪い人形を壊そうとしました。しかしこれを阻止しようと、一体のRobotoが近づいてきます。JonathanはギターでRobotoを殴ろうと構えますが、Robotoはゆっくりと頭部のマスクを外します。Robotoの中身は正真正銘のKilroyでした。Jonathanに安堵が流れ、Kilroyと初めての対面を果たすのでした(ツアーでは、ここで"Mr.Roboto"が披露されます)。


 個人的に所有している"Kilroy Was Here"は1989年2月21日リリースのCD(D20Y4008)ですが、内ジャケットに書かれていたThe PastとThe Presentの大まかな内容は以上の通りです。Robotoのデザイン製作は、1982年の「The Thing(邦題:遊星からの物体X)」や、のち1984年の「 The Terminator(邦題:ターミネーター)」のデザインを担当したSFXクリエイターのStan Winstonが手掛け、これが本作"Kilroy Was Here"の表ジャケットにも使用されました。

 レコーディング・スタジオは前作"Paradise Theatre"同様、エンジニアのGary Loizzo(ゲイリー・ロワイツォ)の Pumpkin Studiosで行われ、GaryやRob Kingsland、Ted Jensenらエンジニア/マスタリング陣、またプレイヤーとしてもサックス奏者Steve Eisen(スティーヴ・アイゼン)を中心とするホーン・セクションも前作に引き続いて参加しました。プロデュースは名義としてはStyxですが、これも前作と同じくDennis DeYoungが主導しました。

 さて、ようやく曲目リストの紹介です。
A面(アナログ盤)
  1. "Mr. Roboto(邦題:ミスター・ロボット)"・・・Dennis作
  2. "Cold War(邦題:冷たい戦争)"・・・Tommy作
  3. "Don't Let It End(邦題:愛の火を燃やせ)"・・・Dennis作
  4. "High Time(邦題:ハイ・タイム)"・・・Dennis作

B面
  1. "Heavy Metal Poisoning(邦題:ヘヴィ・メタル中毒)"・・・JY作
  2. "Just Get Through This Night(邦題:ディス・ナイト)"・・・Tommy作
  3. "Double Life(邦題:ダブル・ライフ)"・・・JY作
  4. "Haven't We Been Here Before(邦題:時が過ぎれば)"・・・Tommy作
  5. "Don't Let It End〜Reprise〜(邦題:ロックン・ロールの火を燃やせ)"・・・Dennis作


 1983年の音楽は、Culture ClubやDuran Duran等、イギリスで始まった"ニュー・ロマンティック"と呼ばれるムーヴメントに代表されるように、エレクトロ・ポップを前面に押し出したシンセ・サウンドが主流で、硬派のロック・ミュージシャンがシンセを多用するケースも見られるようになり、アメリカにも伝播していきました。
 同時に、これらに並行してMTVの活動が活発化した時期でもあり、プロモーション・ビデオの勃興が見られました。サウンド面だけでなくヴィジュアル面でもアーチストが評価されるようになり、イメージ戦略としてのプロモーション・ビデオは欠かせないツールとなって、優れたビデオが多く誕生しました。
 "Kilroy Was Here"はこうした背景にリリースされたこともあり、ファースト・シングルの"Mr.Roboto"では上記The Presentまでのストーリーが軸となった大がかりなビデオが製作され、ジャケットのRobotoも数体登場するインパクトの強いビデオとして世に出ました(映像はこちらYoutubeより)。"演奏"ではなく、"演技"を披露するビデオが世に出たことで、ライブ・バンドとしてこれまでプレイしてきたStyxの、大胆なイメージ・チェンジでありました。
 サウンド面でも大きな変革があり、ギター・サウンドは減り、これに変わりシンセサイザーがこれまで以上に多用されたのも大きな特徴ですが、シンセサイザーは過去の作品とはベクトルを変えた使い方で、いわばパワーポップ、あるいはシンセ・ポップを主体とした楽曲群がほとんどを占めます。その代表がA-1の"Mr.Roboto"です。リード・ヴォーカルはDennisが担当、ヴォコーダーを通した日本語が飛び出すこのナンバーが最初にシングル化されたのです。
 この曲でStyxを認知した日本人リスナーも多く、場合によっては、Styxはニュー・ロマンティック系のポップなバンドとも思われたり等、少々誤解されることもありました。"The Grand Illusion(邦題:大いなる幻影)"や"Pieces of eight(邦題:古代への追想)"の時代の硬質なロック、さらにはWooden Nickel時代のプログレを愛好するStyxのリスナーにとっては、非常にざわついていたと思われます。日本にとってはオリコンチャートに唯一チャートイン(1983年5月16日付で29位)した楽曲であり、日本での初めてのヒットを記録したことで、Styxの代表曲としてその存在感を見せつけています。
 ちなみにBillboard HOT100シングルチャートでの"Mr.Roboto"のチャート・アクションも素晴らしく、1983年2月12日付HOT100で40位で初登場、Top40内でのエントリーを果たしました("The Best of Times"が1981年1月24日付で31位にエントリーして以来のTop40内エントリーです)。その後34位→24位→20位→13位と順調に上昇、3月19日付で10位とTop10入りを果たします。その後は7位→7位→5位とアップし、4月16日付より2週連続3位を記録しました。その後は後退していきますが(4位→8位→16位....)、HOT100内18週、Top40内16週はお見事です。この結果より、1983年のYear-Endチャートは100位内28位を獲得しています。カナダのRPMシングルチャートでは1位を記録しています。
 このナンバーのシングル・エディットはヴォコーダーでの"Domo Arigato Mr.Roboto"から始まります。日本のイントロ当てクイズを扱った番組では、このヴォコーダーでのフレーズがクイズで出たりしたことでも記憶に残っています。
 A-2の"Cold War"はTommyがリード・ヴォーカルをとる軽快なロック・ナンバーです。ライブ・ビデオとしてリリースされた"Caught in The Act"ではTommyはこの曲のプレイ中に客席に飛び込んでギター・ソロを聴かせる無謀なアクションを見せてくれます。やはりこの曲でもポップなシンセ・サウンドが基本となっています。
 A-3の"Don't Let It End"はセカンド・シングルとしてリリースされた、Dennisがヴォーカルをとるラブ・ソングです。このナンバーのプロモーション・ビデオは、"Mr.Roboto"とは異なりしっかりと演奏シーンはあります(映像はこちら)。1983年7月2日付HOT100シングルチャートで6位を記録し、16週チャートインしたバラード・ナンバーで(エントリーは4月30日付35位。その後27位→23位→20位→14位→14位→9位→7位→7位→6位→9位→18位→28位....)、1983年のYear-Endチャートでは100位内60位でした。Tommyのリード・ギターも美しいですが、Styxの得意とするコーラス・ワークでも変化があり、本作品はTommyだけがバック・ヴォーカルを担当しています。そのせいか、DennisのリードとTommyのバックが光るサビのパートでは、Tommyのバッキング・ヴォーカルには存在感が強く出ており、ほぼデュエットのような印象を受けます。Top10入りした名バラードですが、なぜかグループとしてはこの曲は疎遠されがちで、例えば2002年リリースのA&M専用ベスト盤"20th Century Masters"では収録されず、2004年リリースの集大成的ベスト盤"Come Sail Away – The Styx Anthology"にいたっては2枚組にもかかわらずやはり収録されず、1999年のDennis離脱によって、ライブ盤収録は疎か、ツアーでもリストに載ることはありません。
 A-4の"High Time"はサード・シングルとしてカットされ、1983年9月10日付HOT100で48位を記録、7週間チャートインしたミュージカル風のポップ・ナンバーです。Dennisの歌声が力強く、ホーンセクションも効果的で華やかな印象を受けますが、女性的高音が持ち味だったStyxのバック・コーラスが、イントロダクションでは男気ある低音を聴かせるのには驚きの一言です。実はB-4の"Haven't We Been Here Before"もサード・シングル候補に挙がっており、プロモーション・ビデオも作られるなどして準備していたのですが、この曲の作者兼リード・ヴォーカルをとるTommyが"Haven't We Been Here Before"のシングル化に難色を示し、シングル化は見送られ、急遽"High Time"に差し替えられたというエピソードがあります。
 B-1の"Heavy Metal Poisoning"はタイトルとは裏腹にポップなナンバーですが、JYが歌うので、サウンドもヘビーに聞こえます。プロモーション・ビデオはショート・フィルム"Kilroy Was Here"から取られ、"Caught in The Act"でも同様のカットが挿入されました。Dennisは登場せず、The MMMサイドでの進行で、Dr.Righteous役のJYと、彼を取り巻く配下のVanish役のChuck Panozzo、Col Hyde役のJohn Panozzoの3人が主役です。間奏で3人はダンスも披露しながら、JYはおどろおどろしく歌い、そこへギター・ソロを弾くJonathan役のTommyが入り込む設定です。JYが奏でるギター・シンセも非常に印象的です。このナンバーはライブ盤"Caught in The Act"からシングルカットされたスタジオ録音の"Music Time(邦題:ミュージック・タイム)"とカップリングで収録されました。なお、イントロの逆再生はラテン語の"Annuit cœptis(アンヌイト・コエプティス。=彼は我々の取組を支持します)"と"Novus ordo seclorum(ノヴス・オルド・セクロールム。=新たな時代の秩序)"という、アメリカ合衆国の国章(国璽)に書かれた標語を発しています。
 B-2の"Just Get Through This Night"は個人的にもこのアルバムの中で最も聴いたナンバーで、収録曲中、最もドラマティックな作品です。過去では長尺の曲もたくさん作られたStyxの楽曲でしたが、"Just Get Through This Night"は"The Grand Illusion"収録の"Come Sail Away(邦題:永遠の航海)"以来の6分超えとなりました。静けさの中にTommyの奏でる三味線が流れ、高いキーでTommyが歌い始めた瞬間に、この歌の世界に引きずり込まれます。ロック復興にむけて、クーデターを起こそうとする若者が、静寂の夜を迎え、覚悟を決めてこの長い夜を乗り切ろうとする情景が目に浮かぶ楽曲です。個人的にも暗闇の夜を走る夜汽車の中にいるイメージを抱きながらこの曲を聴いていました。Tommyのドラマティックなギター・ソロやPatrick Moraz(パトリック・モラーツ。スイス出身のキーボード奏者。Yes、Moody Blues等に在籍)を彷彿とさせる、星空を見ているるようなエンディングにおけるシンセサイザーの響きは非常に美しく、聴き惚れてしまいます。
 B-3のJYが歌う"Double Life"はDavid Bowieの雰囲気を醸し出すナンバーです。ホーン・セクションも印象的ですが、JYのギター・シンセが美しいのがこの曲一番の魅力です。JYの作品と言えばStyxの楽曲の中でもとりわけハード路線になりますが、この曲でもJYはワイルドな絶唱を聴かせてくれるものの、サビのコーラスがポップで、サウンドもシンセ中心で、"Heavy Metal Poisoning"ほどヘビーではないので、耳に馴染みやすいナンバーだと思います。
 B-4の"Haven't We Been Here Before"は"High Time"の項でも述べた通りシングル化が検討されたナンバーで、ヴォーカルをTommyがメインリードでとり、サビではDennisと掛け合いでツイン・リード・ヴォーカルをとるバラード・ナンバーです。同時にTommyとJYの間奏でのツイン・リード・ギターも大変味わい深いです。プロモーション・ビデオではTommyが時計の振り子につかまるパフォーマンスがあったり、バーで、賭け事をしている客人のDennisとJY(同じく店の客でChuck、店員でJohnもいる)が、査察隊の手入れにしらを切るための作戦を演じる場面があったりと、バラエティに富んだビデオでしたが、別の意味で捉えると、Tommyだけ他の4人のメンバーと行動を別にしているようにも窺えて、その後TommyがStyxのレコーディングに消極的になっていくことを考えると(関連内容はこちら)、一抹の寂しさを感じてしまいます。
 B-5"Don't Let It End〜Reprise〜"ではTommyがA-1"Mr.Roboto"のメロディに乗せて歌い、サビはコーラスでA-3"Don't Let It End"を叫びながら、Dennsの力強いロックを聴かせてくれます。この曲でthe MMMに打ち勝ち、夜通しロックし続けていくということで、ようやく最後でStyx本来のロックを聴かせてくれます。短尺の楽曲ですが、個人的にはこの楽曲も気に入っております。

 "Kilroy Was Here"はBillboard200アルバムチャートでは34週チャートインし、1983年4月30日付より2週連続3位を記録、Year-Endチャートのアルバム部門(Top POP ALBUMS )では24位にランクされました。Michael Jacksonの"Thriller(邦題:スリラー)"やサントラ盤"Flashdance(邦題:フラッシュダンス)"などの驚異的セールスと1位独占もあって、前作に続く連覇はなりませんでしたが、本作はアメリカ、カナダともにプラチナディスクを獲得しています。
 現時点では、Styxは1977年の"The Grand Illusion"から続くアルバムTop10入りはこの"Kilroy Was Here"が最後になっており、全盛期から徐々に後退していきます。この5人でのアルバム制作は次のライブ盤"Caught in The Act"のみとなり、スタジオ・アルバムは本作が最後となりました。その後メンバーはグループ活動を休んでソロ活動を始め、1990年になってTommy ShawはDamn Yankeesとして再出発し、残ったメンバーも同年"Edge of the Century(邦題:エッジ・オブ・ザ・センチュリー)"がようやくリリースされることになりますが、それまでのStyxの残りの80年代はライブ盤とベスト盤のリリースのみにとどまり、鳴りを潜めることになるのでした。

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2019年02月19日

2月19日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1972年2月19日は、英米混合のロック・トリオ、America(アメリカ)のデビューシングル、"A Horse with No Name(邦題:名前のない馬)"がBillboard Hot100シングル・チャート84位に初登場した日です。現在においても色褪せないフォーク・ロックの名曲です。

 グループ名は"America"ですが、メンバーのDewey Bunnell(デューイ・バネル。gtr,vo)はイギリスのハロゲイト出身、Dan Peek(ダン・ピーク。1950-2011vo,gtrmkey,bass)はフロリダのパナマシティ出身、Gerry Beckley(ジェリー・ベックリー。vo,gtrmkey,bass)はテキサス出身と、英米混合で構成され、イギリスのロンドンで結成されました。3人とも父親は駐英米軍で、母がイギリス人、ロンドンにあるアメリカン・ハイスクール出身です。1971年12月、グループ名を冠した"America"でデビューしました。

 Dewey Bunnell作で、リード・ヴォーカルも彼がとる"A Horse with No Name"は、実はデビュー作"America"には収録されておらず、新人ということもあり、アルバムの売れ行きはよくありませんでした。そこで、アルバム未収録の"A Horse with No Name"をシングルとしてリリースしたところ、バンド名と曲調と当時の流行サウンドとが相まって知名度が上昇し、急遽このナンバーをアルバムのA面5曲目に収録し、再リリースすることになりました("America"。アルバム邦題:名前のない馬)。

 "A Horse with No Name"はおおよそ2コードのアコースティック・サウンドで、淡々と進んでいきます。歌詞内容に「名前のない馬にまたがり砂漠を横断する」とありますが、もともとこの曲は"Desert Song(=砂漠の歌)"というタイトルでした。それは、Dewey Bunnellが幼少期に父がカリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地在駐だった頃があり、そこで砂漠を渡った記憶がベースになっているといわれています。メディアでは"horse"が薬物の隠語であったことで話題を集め、一部放送禁止となる局も出たりしましたが、チャートの上ではこの上ないアクションを見せたのです。

 陽の当たった1972年2月19日付HOT100に84位にエントリーしたこの曲は翌週47位、3週目でさらにジャンプアップして20位に駆け上がり、Top40入りはおろか、いっきにTop20入りを果たしたのです。すると4週目でTop10入りとなる7位、5週目で2位、そして6週目の3月25日付で1位に輝き、3週間キープしました。
 その後は後退しましたが(2位→4位→5位→6位→10位→20位)、14週間のチャートインの中で、Top10内10週とどまるという異例の大ヒットとなり、1972年のBillboard Year-Endチャートで100以内27位を獲得しました。

 アメリカ以外においてもAmericaの健闘ぶりが目立ちました。カナダRPMシングル・チャート1位、オーストラリアのKent Music シングル・チャート2位、本国イギリスUKシングル・チャート3位、フィンランドのシングルチャートも1位を記録しました。アルバム"America"も1位を記録し、華々しいデビューとなりました。
 見事な功績によって、Americaは1973年の15th Grammy AwardsではBest New Artistを受賞しました。

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2019年02月18日

2月18日は何に陽(ひ)が当たったか?

 1989年2月18日は、イギリスのロック/ニュー・ウェイブグループ、The Fixx(フィクス)のシングル、"Driven Out(邦題:ドリヴン・アウト)"がBillboardのメインストリーム・ロックチャート(当時はAlbum Rock Tracks)で1位を記録した日です。実は1947年のこの日は贔屓にしているStyx(スティクス)のDennis DeYoung(デニス・デヤング)の生誕年月日だったり、2003年のこの日はStyxの14枚目のスタジオ・アルバム、"Cyclorama(邦題:サイクロラマ)"のリリース日だったりするのですが、あえて今回は2018年7月5日以来のFixxを取り上げたいと思います。

 1987年のライブ盤"React(邦題:リアクト)以来、スタジオ・アルバムとしては"1986年の4作目"Walkabout(邦題:ウォークアバウト)"以来の5作目、"Calm Animals(邦題:カーム・アニマルズ)"からのファースト・シングルとして選ばれたのが"Driven Out"です。デビュー作から"Walkabout"まで、Rupert Hineのプロデュースでヒット作を積み上げてきましたが("React"はHugh Padghamがプロデュース)、これまで所属してきたMCA Recordsを離れ、RCA Recordsに移籍しての再出発アルバムとなり、イギリスのミュージシャン、Graham Parker(グラハム・パーカー)の1985年のアルバム"Steady Nerves(邦題:ステディ・ナーヴス)"や、同じくイギリスの新人ロック・グループでアメリカで大ヒットを飛ばしたThe Outfield(アウトフィールド)のデビュー作"Play Deep(邦題:プレイ・ディープ)"をプロデュースしたWilliam Wittman(ウィリアム・ウィットマン)がプロデュースに当たることになりました。FixxのRCAへの移籍は親会社BMGのA&R(Artists and repertoire。アーチスト発掘係)も兼ねていたWilliam Wittmanのすすめによるものでした。

 William Wittmanはプロデュース業のかたわら、ミュージシャンとしてもToo Much Joyというオルタナ系バンドのベーシスト兼ヴォーカリストとして活躍しており(90年代以降)、80年代でもアメリカのロック・ミュージシャン、Patty Smyth(パティ・スマイス)をはじめ、前述のGraham ParkerやThe Outfieldでもヴォーカルで参加し、ポップかつ純粋なロック・スピリッツをリスナーに表現したアーチストとして知られました。William Wittmanのプロデュースで、Fixxはこれまでのエレクトロニックなポップ・サウンドから、ギター要素の濃いロック・サウンドに変貌を遂げました。事実、個性派ヴォーカリストのCy Curnin(サイ・カーニン。vo)もリズム・ギターを担当し、メインギタリストのJamie West-Oram(ジェイミー・ウェスト=オーラム。gtr)とダブル・ギター体制としてレコーディングが行われました。

 ギター・ロックがメインのアルバムとなった"Calm Animals"でしたが、1曲目に収録された"I'm Life(邦題:アイム・ライフ)"では間奏部分などはキーボード・ソロではあるものの、これまでの"柔らかさ"や"軽やかさ"というよりは、ヘビーでズシンとくるような、極端な言い方だとプログレッシブ・ロック的なアプローチで来ており、3曲目の"Subterranean(邦題:サブタレイニアン)"やラスト収録の"Cause to Be Alarmed(邦題:コーズ・トゥ・ビー・アラームド)"などは完全に90年代で見られるオルタナティブ・ロック的なアプローチであり、Fixxにとっては新しい試みでありました。ドラマーのAdam Woods(アダム・ウッズ。drum)も"I'm Life"、"Subterranean"、そして"Driven Out"の次にシングルとなった"Precious Stone(邦題:プレシャス・ストーン)"の3曲を作詞するなど、Fixxの活動の中でも最初の大きな改革でした。Cy Curninは自作の詞ではなく他人の詞を歌うことで、新しいテクニックの開拓になったと語っております(日本盤リリース時のライナーノーツより)。

 こうして完成した"Calm Animals"からのシングル、"Driven Out"もダイナミックさと切なさを兼ね備えたロック・ソングで、Cyの叫びとJamieのギター・リフがいつまでも耳に残る非常に格好いいナンバーです。特にCy Curninが最後に叫ぶ"With the strength to rival you"のパートは個人的にも非常に気に入っており、リリース当時は何度も何度も聴き込んだものです。

 プロモーションビデオではおそらく歌詞のストーリーに合わせた作りだとは思いますが、暗闇に光が当たるシチュエーションが最後まで続き、長髪になったCy Curninが歩きながら歌い続け、後半からメンバーの演奏シーンも登場するというものであり(映像はこちら)、Cyが歩きながら歌うというビデオは大ヒットした1983年の"One Thing Leads To Another(邦題:ワン・シング)"を思い浮かべますが(映像はこちら。以上、Youtubeより)、"One Thing Leads To Another"では下水道のような、大きな筒の中で歩いていました。

 さて、Billboard HOT100シングル・チャートでの"Driven Out"は1989年2月25日付で81位初登場、その後69位→62位→62位と続き、3月25日付で55位を最高位にその後は後退(58位→61位→68位→79位→97位)し、10週のチャートインに終わりました。HOT100では"Calm Animals"からのチャートインはこの1曲で終わりました。
 しかしThe FixxとしてはBillboardのフォーマットではメインストリーム・ロック部門に強さを発揮しており、これまでも1984年の"Are We Ourselves?(邦題:アー・ウィ・アー・ウィ)"や1986年の"Secret Separation(邦題:シークレット・セパレーション)"はともに2週連続の1位を記録しています。そしてロック色がより濃くなった"Driven Out"で、Fixxは過去最高のヒットを飛ばすことになるのでした。
 1989年1月21日付Album Rock Tracksチャートにまず19位でエントリーした"Driven Out"は、次週で8位、その後5位→2位と順調に上がり、陽の当たった1987年2月18日に1位を獲得、そして過去最長の4週連続1位を記録したのです。その後は後退しましたが(3位→6位→15位→25位→31位→40位)、計14週チャートインしました。
 またオルタナ系からの支持も得ました。1988年から立ち上がったBillboard Modern Rock Tracks(現在のAlternative Songs)では1月28日付で29位にエントリーし、翌週15位に上がり、2月11日付から2週11位を記録、結果これが最高位でしたが、その後は13位→13位→12位とあまり後退せず、3月18日付で再び11位を記録、結果3週11位を記録しその後は12位→16位→26位と後退しアクションを終えました(総計11週)。

 アルバム"Calm Animals"は、Billboard200アルバムチャートでは1989年4月1日付から2週続けての72位が最高位で、現時点ではこれが最後の100以内にエントリーしたアルバムとなりました。

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