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2019年08月26日

ネタの仕込みにしばらくお休みします

ウミガメ亀は万年.jpg
タグ:休暇

2019年08月25日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道H

120歳時代ー健康寿命を延ばす道H

老化細胞を狙う

抗老化薬隣そうな薬の候補はすでにいくつもある。

例えばアカルボース(グルコバイレジスタードマーク)は糖尿病治療薬は雄マウスの寿命を有意に延ばす。
α-エラストラジオール(女性ホルモン剤)も、ラパマイシンの老化防止効果が発見されたのと
同様の実験で好結果を出している。

より新しくもっと有望とみられる
抗老化薬候補は、
代謝経路に作用するのではなく、
いわゆる「老化細胞」を除去するものだ。

老化細胞は分裂を停止しているものの棚田_夕暮れ.jpg

死んでないゾンビのような細胞で、
その場に居座り、
サイトカインという低分子タンパク質を
分泌して周囲の細胞を傷つける。

老化細胞の本当の役割は
がんに対する防御機構で、
悪性とみられる近隣の細胞を殺すためにあると
メイヨークリニック加齢研究センターの所長で
メトホルミンの臨床試験に協力している
カークランド(James L. Kirkland)は考えている。

老化細胞は分泌したサイトカインが免疫系
を誘導することを通じて創傷治癒にも関与している。

サイトカインの毒性は近隣組織のはるか先まで及び、
老化した体の特徴である
軽度の炎症をもたらす。

皮肉なことに周辺組織のがん化のリスクをむしろ高める。

カークランドらは老化細胞を重要な老化促進因子とみている。

さらに年をとればとるほど体内の老化細胞は増える。

これを取り除いたらどうなるか?

カークランドとメイヨークリニックにいる分子生物学者
ヴァン・デュールセン(Jan van Deursen)らは、

遺伝子組み替えでマウスの老化細胞を排除すると
健康寿命が延びることを示した。

問題は、老化細胞が健康な細胞の間に点在していて
分離が非常に難しく、
殺すのはもっと難しい点だ。

メイヨークリニックとスクリプス研究所など
からなる研究チームは
老化細胞にアポトーシス(細胞の自殺)を誘導して
殺す薬を探した。

そして2015年の論文で3つの物質を報告した。

ダサチニブとナビトクラックスという2つの抗がん剤と
天然に存在するフラボノイドのケルセチンだ。

ケルセチンは抗酸化作用のある色素成分で、
リンゴの皮やケッパーに含まれている
(他の多くの食品にもある)。

研究チームはマウスの片脚に放射線を照射し、
加齢に伴って生じるのに似た筋萎縮を起こさせた。

放射線照射で筋肉に大量の老化細胞も生じ、
がん患者が放射線治療や化学療法を受けた後と
似た状態になった。

これを先に挙げた薬で短期間治療したところ、
マウスの足の機能はぼぼ完全に回復した。

この劇的な効果は、
薬によって老化細胞が他の細胞よりも
多く死んだからだとカークランドは考える。

「1回量を与えただけで運動量がかなり改善し、
その効果が7ヶ月続いた」
「これは実際に老化細胞が除去された証拠だと言える。
老化細胞も一度死んだらそれで終わりだ」。<了>


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月24日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道G

120歳時代ー健康寿命を延ばす道G

健康寿命を延ばすC

TAMEはTargeting Aging with Metforminー
メトホルミンにる老化抑制

メトホルミンを服用する健康な被験者と服用しない被験者
で単に寿命を比較するのではなく、
各被験者の加齢関連疾患の進行を調べるのだ。

老化の特徴の1つとして、
高齢者は高血圧や糖尿病、心疾患、認知障害といった
慢性症状がいくつも現れる傾向がある。

TAME研究では糖尿病や高血圧などの加齢関連症状がすでに1つ
現れている高齢者にメトホルミンを投与する計画だ。

これを5〜7年に渡って追跡し、
メトホルミンを服用しないとに同意した対照群と比較して、
他の加齢関連疾患の発症時期に早い遅いの差
が出るかどうかを調べる。

メトホルミンが本当に老化を遅らせるなら、
併存疾患の発症を食い止められるはずだ。

同様の手順は、心臓発作を起こしたことのない人に
高血圧治療薬を処方する可否を判断する際に取られた。

TAME研究が成功し、FDA(米食品医薬品局)が
新たな抗老化薬を評価する試験に門戸を開けば、
製薬会社もこの分野に進出してくる

と、メトホルミンの臨床試験の責任者で、

アルバート・アインシュタイン医科大学老化研究所所長
バージライ(Nir Barzilai)はみる。

従来の製薬会社だけでなく、
グーグル傘下のキャリコのようなベンチャーも動き出すだろう。キャリコ_グーグル.png

1993年、カリフォリニア大学サンフランシスコ校の
ケニヨン(Cynthia Kenyon)は、DAF-2というたった1つの遺伝子の変異が
線虫(寄生虫)の寿命を2倍に延ばすことを発見した。

この遺伝子は代謝(体が
食料をエネルギーに変換する過程)の速度にも関連している。

しかし、老化の遺伝学はまだあまりわかっていないため、
現在はmTOR(ラパマイシンの標的機構)経路や

メトホルミンのAMPK(AMP-activated protein kinase)経路
ー細胞の栄養が不足するとブドウ糖を細胞に届けるほか、
この輸送を助けるインスリンに対する感受性を高めたり、
脂肪の分解を促進して、より多くのエネルギーを作り出す。
さらに細胞のエネルギー生産機関であるミトコンドリアの生成を促す

に焦点をあてている。

キャリコの老化研究担当副社長は、
20年前に老化遺伝子DAF-2を発見した
ケニヨンその人だ。

キャリコは健康寿命を延ばす薬の探索に
10億ドル以上を投資しているようだと報道されている。

これは米国立老化研究所の全予算に相当する金額だ。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月23日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道F

120歳時代ー健康寿命を延ばす道F

健康寿命を延ばすB

メトホルミンが寿命を延ばす可能性はアルバート・アインシュタイン医科大学
老化研究所所長バージライ(Nir Barzilai)らの関心をつかんだ。

晴れはアシュケナージ系ユダヤ人の百寿者の大規模研究を率いた経験から、
これら長寿の人が高血糖や糖尿病を抱えている例が稀であることを知っていた。

超効率的な糖代謝は長寿の指標だ。晩秋_紅葉.jpg

メトホルミンは私たちの代謝を変えて
百寿者の代謝に近づけるのかもしれない
とバージライはみている。

「糖尿病治療薬としての作用の多くは抗老化作用でもあり、
細胞機能とインスリン感受性を高める」
と言う。

実際、彼は両親が2人とも糖尿病だったので、
予防のため自分でもメトホルミンを服用している。

バージライは50歳を超えたら皆メトホルミンを
処方してもらうことを考えた方がよいとまでは言わないが
(彼自身は60歳)、
「メトホルミンはスーパードラッグに思える」と言う。

「老化関連の多くのことに関連しているようだ」。

メイヨークリニック加齢研究センターの所長で
メトホルミンの臨床試験に協力している
カークランド(James L. Kirkland)も同意見だ。

「過去60年分のデータからメトホルミンが
実に様々な症状に作用することが示されており、
それらを総合すると、
メトホルミンが老化の基本プロセスに
作用していると考えて良いだろう」と言う。

だがヒトで抗老化薬候補を試す際には
もう一つ別の壁がある。

『時間』だ。

従来の寿命研究は完結までに数十年、
文字通り一生を要する。

これに対して2015年に承認された
『TAME』という臨床試験は別の方法を採用する。

TAMEはTargeting Aging with Metforminー
メトホルミンにる老化抑制

メトホルミンを服用する健康な被験者と服用しない被験者
で単に寿命を比較するのではなく、
各被験者の加齢関連疾患の進行を調べるのだ。

老化の特徴の1つとして、
高齢者は高血圧や糖尿病、心疾患、認知障害といった
慢性症状がいくつも現れる傾向がある。

これら複数の疾患が重なった
「併存症」
は高齢者を苦しめる主要因となっている
(医療費増大を招いていることは言うまでもない)。

TAME研究では糖尿病や高血圧などの加齢関連症状がすでに1つ
現れている高齢者にメトホルミンを投与する計画だ。

これを5〜7年に渡って追跡し、
メトホルミンを服用しないとに同意した対照群と比較して、
他の加齢関連疾患の発症時期に早い遅いの差
が出るかどうかを調べる。

メトホルミンが本当に老化を遅らせるなら、
併存疾患の発症を食い止められるはずだ。



【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月22日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道E

120歳時代ー健康寿命を延ばす道E

健康寿命を延ばすA

メトホルミンは1950年代に
英国で2型糖尿病(一般的な糖尿病)濡れた若葉 みずみずしい.jpg

の治療薬として承認され、
米国では1994年にFDAの審査を通過した。

以来、第一選択薬として
数百万人の患者に処方されてきた。

今では、安価なジェネリック薬もあり、
世界で広く処方され、
世界保健期間(WHO)は
「必須」の医薬品と位置付けている。

メトホルミンは
血液からのブドウ糖の取り込みを促す
ホルモンである『インスリン』
に対する細胞の感受性を高める。

非常に多くの人がメトホルミンを服用しているため、
研究者は患者に見られる興味深いパターンに気づいた。

例えば、
メトホルミンを服用している患者は
”がんの発生率が低い”
ことが疫学的研究でわかった。

別の研究では
心血管系に対する有益な効果が示唆されている。

さらに、糖尿病にかかると
一般的に寿命が数年短くなるのに、
英国人患者のデータに関する2014年の解析によると、

メトホルミンを服用していた年配の患者は
糖尿病でない同年代の対照群よりも
18%長生き
だった。

別の一般的な糖尿病治療薬である
スルホニル尿素剤を使っていた
患者よりも長生きであり、
長寿をもたらしたのは
糖尿病の管理ではなく、
『メトホルミン』そのもの
であることが示された。

メトホルミンが具体的にどう作用しているのか
は完全にはわかっていない。

ガレガソウという古来の生薬
に由来するこの薬の作用は
研究者の間で何十年も議論されてきた。

AMPK

AMPK(AMP-activated protein kinase)
という酵素がある。

細胞で燃料計のような働きをしており、
運動やカロリー制限などで
細胞の栄養が不足すると、

AMPKがただちに作動して、
エネルギーとなるブドウ糖(グルコース)
を細胞に届けるほか、
この輸送を助けるインスリンなどの
ホルモンに対する
感受性を高める

また、脂肪の分解を促進して、
より多くのエネルギーを作り出す。

さらに、運動中には
AMPKが細胞のエネルギー生産機関である
ミトコンドリアの生成を促す

これらはいずれも健康を増進する。

mTORもある程度阻害するようだ。



【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月21日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道D

120歳時代ー健康寿命を延ばす道D

健康寿命を延ばす

重要なことは「より健康」に「長生き」することだ。

人の寿命は延びているが、
人生の後半は病気や障害に苦しむことが多い。

人口統計学者のファウペル(James W. Vaupel)と
エッペン(Jim Oeppen)が
2002年のScience誌で示したように、

長寿国の平均寿命は1840年代からほぼ直線的に延びてきた
(現在最も長寿なのは日本人女性)。

人間は人類史上買ってないほど長生きするようになった。

しかし、健康寿命(健康な生活を送れる期間)
は、それほど速くは延びていない。

つまり、晩年に病気や障害を抱えて、
衰えていく恐ろしい期間が実際には長くなっている。

ますます長生きするようにつれて変わったのは、
かかる病気の種類だけだ。

がんや心疾患による死亡率が下がり、
アルツハイマー病(日本ではまだ、アルツハイマー型認知症)
になる人が増えている。

65歳以上の米国人の9人に1人はアルツハイマー病などの
認知症を患い、そのリスクは80歳以降急激に高まる。

「アルツハイマー病が驚くほど増えているが、
この疾患が一般的になる70代後半から80代くらいまで
多くの人が生きられるようになった
のだから、当然だと言える」

とイリノイ大学シカゴ校の人口統計学者
オルシャンスキー(S. Jay Olshansky)は言う。

「このままでは事態はもっと悪くなると思う。日の入り晩秋のイメージ.jpg

これに変わる道は、老化を遅らせて、
病気の期間と終末期を縮めることだ」。

先進国ではがんと心臓病、アルツハイマー病、糖尿病
を合わせて死因の約半数を占める。

100歳超えの人たちは
人生の最後に床に伏す期間が、
70代で亡くなる人よりもかなり短い
傾向が研究で示されている。

抗老化薬の成功には、
単に寿命を延ばすだけではなく、
健康で元気でいられる期間を
延ばすことが求めれると
オルシャンスキーは言う。

しかしごく最近まで、
そのような薬の開発には難しい”壁”があった。

米食品医薬品局(FDA)が老化を病気とみなしてこなかったからだ。

このため老化の過程そのものを
標的とした薬は承認されなかった。

老化を”測定”する客観的な方法はない。
当人の老化が速いか遅いかを知る血液検査はない。

これでは抗老化薬の効果を評価しようがない。

だが、2015年にFDAが
『メトホルミン』
の老化防止効果を評価する
臨床試験を承認したことで、
道が開けてきた。

メトホルミンは1950年代に
英国で2型糖尿病(一般的な糖尿病)
の治療薬として承認され、
米国では1994年にFDAの審査を通過した。

以来、第一選択薬として
数百万人の患者に処方されてきた。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月20日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道C

120歳時代ー健康寿命を延ばす道C

老化を止めるスイッチC

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。

ラパマイシンの構造を少し変えた老犬セントバーナード.jpg

「アフィニトール」
という薬を抗がん剤として
販売しているノバルティス
による小規模臨床試験では、

この薬を投与された高齢者は
インフルエンザワクチンに
対する
反応が実際に高まった。

これはラパマイシンが
免疫応答を促進する
場合があることを示している。

ほかにも興味深い証拠がある。

健康な90代の人は
mTORの活性が低い
ことがオランダの研究で示されている。

次のステップは、資金が許せば、
高齢のイヌで長期的な研究を行い、
老化の進行を追跡することだ。

マウスでの結果と同様に
イヌが健康に長生きすれば、
ヒトでの臨床試験も考えられる
ようになるだろう。

「あと5年もすれば、
実際にどれくらいの効果があるかわかるだろう」
とケバーラインは言う。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月19日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道B

120歳時代ー健康寿命を延ばす道B

老化を止めるスイッチB

1970年代、イースター島の土壌から柴犬2匹.jpg

真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。

ラパマイシンに欠点がないわけではない。

副作用があり、
一部の患者では口内炎が生じるほか、
感染症にかかる例が増える。

これは免疫応答を抑えるため。

マウスの実験では、
オスの睾丸の萎縮が見られた。

これらの副作用は
がん患者や移植患者など
すでに重篤な状態にある人には
許容できても、

健康な人に
抗老化薬として使う場合には
認められないだろう。

悪影響が効果を上回りかねない。

治療量ではなく、低容量にしたらどうだろう?

老年生物学の第一人者である
ワシントン大学(シアトル)の
ケバーライン(Matt Kaeberlein)
と同僚の
プロミスロウ(Daniel Promislow)は

低容量のラパマイシンを
中齢の飼い犬に与えるという試験を始めている。

イヌは私たちと同じ環境に暮らし、
年をとるとヒトと同じ病気にかかる。

ラパマイシンをほんの数週間与えた
イヌは心臓超音波検査の結果、
心臓の働きが若々しかった。

「ラパマイシンを与えなかった
イヌに比べ、心臓がよく収縮するのがはっきり見える」
と言う。

「老齢の動物では、おそらく
血流の低下が体の他の組織を衰えさせる
要因になっている」。

抗老化薬としての可能性
を期待させる材料として、

ラパマイシンは低容量では
免疫抑制剤ではなく、
免疫調節剤として作用すると
ケバーラインは言う。

それどころか、低容量では
いくつかの免疫機構を
強める
ようだ。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月18日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道A

120歳時代ー健康寿命を延ばす道A

老化を止めるスイッチA

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。

2009年、ラパマイシンで実験用マウスを長生きさせたとNaure誌に発表があった。

これは衝撃的な発見だった。
対象実験で哺乳類の寿命をここまで延ばした薬はそれまでになかった。

しかも単一系統のマウスだけでなく、ウミガメ亀は万年.jpg

遺伝的に異なる3系統のマウスで効果が見られた。

どの系統のマウスも長生きし、
平均寿命だけでなく、最長寿命も延びた。

これはラパマイシンが老化の過程そのものを
遅らせる明白な証拠だと考えられた。

ラパマイシンを与えたマウスは概して、
与えなかったマウスに比べて長期に渡って
健康で若々しかった。

腱の柔軟性と弾力性が高く保たれ、
心臓や血管もそうだった。

肝臓も対象群のマウスよりも状態がよかった。
また年をとっても活発なままだった。

その上、投与開始が20ヶ月齢を超えてからだったのに、
平均寿命と最長寿命が延びた。

ヒトに例えれば、70歳の女性に薬を与えて
95歳まで長生きさせたことになる。

この実験は他の研究室で再現され、
さらに発展した。

成体になってから
ずっとラパマイシンを投与された
マウスは25%長生きした。

カロリー制限をした場合と
ほぼ同等だ。

もちろんマウスはヒトと違うが、
ラパマイシンは”何か”で老化を遅くして
加齢関連疾患の発症を遅らす
ことができる可能性を示した。

「ラパマイシンは初めて確かなあたりで、
これは本物かもしれないと
誰もが思った初の薬だった」

とカリフォルニア州ノバートにある
バック加齢研究所代表
ケネディ(Brian Kennedy)は言う。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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2019年08月17日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道

120歳時代ー健康寿命を延ばす道

先進国の男性の平均寿命は、
80歳にわずかに届かない。

100歳まで生きられるのは
1万人中たったの2人で、
その大半は女性だ。

これまでで最も長生きした人は
フランス人女性の
カルマン(Jeanne Calment)
で、1997年に122歳で亡くなった。

下等生物を使った実験で、
細胞で栄養が不足すると
複数の有益なシグナル伝達経路
が作動することがわかった。

これらの経路は、
食料なしの期間を生き延びるために
進化したものだ。

老化を止めるスイッチ

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構春の花.jpg
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

2001年、南カリフォルニア大学の
生物学者ロンゴ
(Valter Longo)は、
実験で使っている酵母に
餌をやるのを忘れたまま週末に旅行に出た。

驚いたことに、しばらく完全な飢餓状態に置かれた
この酵母は通常よりも長生きした。

ロンゴは、その原因が
一連の生化学反応にあることを見出した。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。

哺乳動物にも同じ経路が見つかっており、
mammalian target of rapamycinの略として
やはりmTOR エムトアと呼ばれる。

mTOR経路が活性化しているとき、
細胞という”工場”は着々と新しいタンパク質を
生産して成長し、やがて分裂する。

mTORがラパマイシン
あるいは一時的な飢餓などで
阻害されると、細胞の成長と分裂が遅くなり、
あるいは停止する。

ラパマイシンが移植臓器を守る免疫抑制剤として、
また最近ではがん治療薬として
効果があるのは、

それらの状態で問題になっている
細胞分裂の暴走を抑えるからだ。

ロンゴの研究から、
mTORが老化に果たしている
重要な役割が明らかになった。

栄養が少ないときは、
mTORが抑制され、
工場が効率のよいモードに切り替わる。

古いタンパク質をリサイクルして
新しいタンパク質を作り、

老廃物除去と修復を行う
細胞機構を強く働かせて
飢餓が終わるのをじっと待つ。

細胞分裂は遅くなる。

こうして動物は次の食事にありつくまで
うまく生き延びられる。

mTORは環境を感知し、
食料が豊富だと活性化する。

単純な生物の場合、
実に急速に成長し、分裂するようになる。

食料が豊富なときは、子孫を残す
のにもってこいなのだから、

mTOR経路が進化的に大成功を収め、
単細胞の酵母から
ヒトやクジラに至る多種多様な生物で
繰り返し使われてきたのも当然だ。

【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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