2019年08月18日
120歳時代ー健康寿命を延ばす道A
120歳時代ー健康寿命を延ばす道A
老化を止めるスイッチA
1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。
成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。
これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。
この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。
この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。
2009年、ラパマイシンで実験用マウスを長生きさせたとNaure誌に発表があった。
これは衝撃的な発見だった。
対象実験で哺乳類の寿命をここまで延ばした薬はそれまでになかった。
しかも単一系統のマウスだけでなく、
遺伝的に異なる3系統のマウスで効果が見られた。
どの系統のマウスも長生きし、
平均寿命だけでなく、最長寿命も延びた。
これはラパマイシンが老化の過程そのものを
遅らせる明白な証拠だと考えられた。
ラパマイシンを与えたマウスは概して、
与えなかったマウスに比べて長期に渡って
健康で若々しかった。
腱の柔軟性と弾力性が高く保たれ、
心臓や血管もそうだった。
肝臓も対象群のマウスよりも状態がよかった。
また年をとっても活発なままだった。
その上、投与開始が20ヶ月齢を超えてからだったのに、
平均寿命と最長寿命が延びた。
ヒトに例えれば、70歳の女性に薬を与えて
95歳まで長生きさせたことになる。
この実験は他の研究室で再現され、
さらに発展した。
成体になってから
ずっとラパマイシンを投与された
マウスは25%長生きした。
カロリー制限をした場合と
ほぼ同等だ。
もちろんマウスはヒトと違うが、
ラパマイシンは”何か”で老化を遅くして
加齢関連疾患の発症を遅らす
ことができる可能性を示した。
「ラパマイシンは初めて確かなあたりで、
これは本物かもしれないと
誰もが思った初の薬だった」
とカリフォルニア州ノバートにある
バック加齢研究所代表
ケネディ(Brian Kennedy)は言う。
【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日
老化を止めるスイッチA
1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。
成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。
これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。
この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。
この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。
2009年、ラパマイシンで実験用マウスを長生きさせたとNaure誌に発表があった。
これは衝撃的な発見だった。
対象実験で哺乳類の寿命をここまで延ばした薬はそれまでになかった。
しかも単一系統のマウスだけでなく、
遺伝的に異なる3系統のマウスで効果が見られた。
どの系統のマウスも長生きし、
平均寿命だけでなく、最長寿命も延びた。
これはラパマイシンが老化の過程そのものを
遅らせる明白な証拠だと考えられた。
ラパマイシンを与えたマウスは概して、
与えなかったマウスに比べて長期に渡って
健康で若々しかった。
腱の柔軟性と弾力性が高く保たれ、
心臓や血管もそうだった。
肝臓も対象群のマウスよりも状態がよかった。
また年をとっても活発なままだった。
その上、投与開始が20ヶ月齢を超えてからだったのに、
平均寿命と最長寿命が延びた。
ヒトに例えれば、70歳の女性に薬を与えて
95歳まで長生きさせたことになる。
この実験は他の研究室で再現され、
さらに発展した。
成体になってから
ずっとラパマイシンを投与された
マウスは25%長生きした。
カロリー制限をした場合と
ほぼ同等だ。
もちろんマウスはヒトと違うが、
ラパマイシンは”何か”で老化を遅くして
加齢関連疾患の発症を遅らす
ことができる可能性を示した。
「ラパマイシンは初めて確かなあたりで、
これは本物かもしれないと
誰もが思った初の薬だった」
とカリフォルニア州ノバートにある
バック加齢研究所代表
ケネディ(Brian Kennedy)は言う。
【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日
追加プレゼント申請
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9083341
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック