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2019年08月20日

120歳時代ー健康寿命を延ばす道C

120歳時代ー健康寿命を延ばす道C

老化を止めるスイッチC

1970年代、イースター島の土壌から
真菌の成長を止める物質が見つかり、
同島の現地名「ラパ・ヌイ」から
「ラパマイシン」と命名された。

成長や増殖などの細胞活動に
必要なある酵素を
ラパマイシンが阻害することが
後にわかった。

これらの細胞活動は最終的に
細胞の機能を劣化させるため、
細胞活動に必要な酵素を阻害すると
細胞が元気でいられる期間が長くなる。

この酵素は「ラパマイシンの標的機構
(mechanistic target of rapamycin)」
を略してmTORと呼ばれ、
老化スイッチのオン・オフを
切り替えることで
動物の寿命を延ばすと見られている。

この経路こそ
「ラパマイシンの標的機構(mTOR エムトア)」
で、細胞という小さな工場の電流遮断機となっている。

ラパマイシンの構造を少し変えた老犬セントバーナード.jpg

「アフィニトール」
という薬を抗がん剤として
販売しているノバルティス
による小規模臨床試験では、

この薬を投与された高齢者は
インフルエンザワクチンに
対する
反応が実際に高まった。

これはラパマイシンが
免疫応答を促進する
場合があることを示している。

ほかにも興味深い証拠がある。

健康な90代の人は
mTORの活性が低い
ことがオランダの研究で示されている。

次のステップは、資金が許せば、
高齢のイヌで長期的な研究を行い、
老化の進行を追跡することだ。

マウスでの結果と同様に
イヌが健康に長生きすれば、
ヒトでの臨床試験も考えられる
ようになるだろう。

「あと5年もすれば、
実際にどれくらいの効果があるかわかるだろう」
とケバーラインは言う。


【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日

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タナカマツヘイ
総合診療科 医学博士 元外科学会専門医指導医、元消化器外科学会専門医指導医、元消化器外科化学療法認定医、元消化器内視鏡学会専門医、日本医師会産業医、病理学会剖検医
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