2019年08月24日
120歳時代ー健康寿命を延ばす道⑧
120歳時代ー健康寿命を延ばす道⑧
健康寿命を延ばす④
TAMEはTargeting Aging with Metforminー
メトホルミンにる老化抑制
メトホルミンを服用する健康な被験者と服用しない被験者
で単に寿命を比較するのではなく、
各被験者の加齢関連疾患の進行を調べるのだ。
老化の特徴の1つとして、
高齢者は高血圧や糖尿病、心疾患、認知障害といった
慢性症状がいくつも現れる傾向がある。
TAME研究では糖尿病や高血圧などの加齢関連症状がすでに1つ
現れている高齢者にメトホルミンを投与する計画だ。
これを5~7年に渡って追跡し、
メトホルミンを服用しないとに同意した対照群と比較して、
他の加齢関連疾患の発症時期に早い遅いの差
が出るかどうかを調べる。
メトホルミンが本当に老化を遅らせるなら、
併存疾患の発症を食い止められるはずだ。
同様の手順は、心臓発作を起こしたことのない人に
高血圧治療薬を処方する可否を判断する際に取られた。
TAME研究が成功し、FDA(米食品医薬品局)が
新たな抗老化薬を評価する試験に門戸を開けば、
製薬会社もこの分野に進出してくる
と、メトホルミンの臨床試験の責任者で、
アルバート・アインシュタイン医科大学老化研究所所長
バージライ(Nir Barzilai)はみる。
従来の製薬会社だけでなく、
グーグル傘下のキャリコのようなベンチャーも動き出すだろう。
1993年、カリフォリニア大学サンフランシスコ校の
ケニヨン(Cynthia Kenyon)は、DAF-2というたった1つの遺伝子の変異が
線虫(寄生虫)の寿命を2倍に延ばすことを発見した。
この遺伝子は代謝(体が
食料をエネルギーに変換する過程)の速度にも関連している。
しかし、老化の遺伝学はまだあまりわかっていないため、
現在はmTOR(ラパマイシンの標的機構)経路や
メトホルミンのAMPK(AMP-activated protein kinase)経路
ー細胞の栄養が不足するとブドウ糖を細胞に届けるほか、
この輸送を助けるインスリンに対する感受性を高めたり、
脂肪の分解を促進して、より多くのエネルギーを作り出す。
さらに細胞のエネルギー生産機関であるミトコンドリアの生成を促す
に焦点をあてている。
キャリコの老化研究担当副社長は、
20年前に老化遺伝子DAF-2を発見した
ケニヨンその人だ。
キャリコは健康寿命を延ばす薬の探索に
10億ドル以上を投資しているようだと報道されている。
これは米国立老化研究所の全予算に相当する金額だ。
【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日
健康寿命を延ばす④
TAMEはTargeting Aging with Metforminー
メトホルミンにる老化抑制
メトホルミンを服用する健康な被験者と服用しない被験者
で単に寿命を比較するのではなく、
各被験者の加齢関連疾患の進行を調べるのだ。
老化の特徴の1つとして、
高齢者は高血圧や糖尿病、心疾患、認知障害といった
慢性症状がいくつも現れる傾向がある。
TAME研究では糖尿病や高血圧などの加齢関連症状がすでに1つ
現れている高齢者にメトホルミンを投与する計画だ。
これを5~7年に渡って追跡し、
メトホルミンを服用しないとに同意した対照群と比較して、
他の加齢関連疾患の発症時期に早い遅いの差
が出るかどうかを調べる。
メトホルミンが本当に老化を遅らせるなら、
併存疾患の発症を食い止められるはずだ。
同様の手順は、心臓発作を起こしたことのない人に
高血圧治療薬を処方する可否を判断する際に取られた。
TAME研究が成功し、FDA(米食品医薬品局)が
新たな抗老化薬を評価する試験に門戸を開けば、
製薬会社もこの分野に進出してくる
と、メトホルミンの臨床試験の責任者で、
アルバート・アインシュタイン医科大学老化研究所所長
バージライ(Nir Barzilai)はみる。
従来の製薬会社だけでなく、
グーグル傘下のキャリコのようなベンチャーも動き出すだろう。

1993年、カリフォリニア大学サンフランシスコ校の
ケニヨン(Cynthia Kenyon)は、DAF-2というたった1つの遺伝子の変異が
線虫(寄生虫)の寿命を2倍に延ばすことを発見した。
この遺伝子は代謝(体が
食料をエネルギーに変換する過程)の速度にも関連している。
しかし、老化の遺伝学はまだあまりわかっていないため、
現在はmTOR(ラパマイシンの標的機構)経路や
メトホルミンのAMPK(AMP-activated protein kinase)経路
ー細胞の栄養が不足するとブドウ糖を細胞に届けるほか、
この輸送を助けるインスリンに対する感受性を高めたり、
脂肪の分解を促進して、より多くのエネルギーを作り出す。
さらに細胞のエネルギー生産機関であるミトコンドリアの生成を促す
に焦点をあてている。
キャリコの老化研究担当副社長は、
20年前に老化遺伝子DAF-2を発見した
ケニヨンその人だ。
キャリコは健康寿命を延ばす薬の探索に
10億ドル以上を投資しているようだと報道されている。
これは米国立老化研究所の全予算に相当する金額だ。
【引用文献】
B. ギフォード(Bill Gifford)サイエンスライター
別冊日経サイエンス 人体の不思議
日経サイエンス編集部 日経サイエンス社 2018年2月17日
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