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2014年07月01日
化粧箱の中
誰にも話さずに鞄の二重底に隠して、その上から絵葉書を詰めて誤魔化しておいたんです。……けれども万一、あの曲馬団がやられる時に、どさくさに紛れて外の人間の手に渡って反古にされるような事があったら大変と気が付きますと、何でも自分の手に奪い取っておきさえすれば安心と思いましたから、直ぐ狭山さんにお手伝いをお願いして取りに行ったのです。……僕が曲馬団を飛び出す時に、その地図の事を忘れていたのが悪かったんです。

Posted by salchan at 22:59 | この記事のURL
2014年07月01日
招待の意味を覚った
当日一同が打ち解けた席上で、もう一度今日の話をくり返して恥の上塗りをしなければならぬ事を知りつつ、どうしても後へ退けない事を覚悟した。
 私が承諾した意味を答えると、樫尾大尉は巨大な体躯を傾けて一礼しつつ、辞し去ろうとした。するとその時に嬢次少年は私の背後の机の下の暗い処から、黒いボックス皮の手提鞄を取り出して、中に詰まっている絵葉書を掻き廻していたが、やがてその底の方から、四角に折った薄い新聞包を取り出すと、帰りかけた樫尾大尉を追かけるようにして、無言のまま手渡しした。

Posted by salchan at 22:59 | この記事のURL
2014年07月01日
私はちょっと失望した
私はこうして昨夜岩形氏と洋装の女が対座していた卓子を見付け出すつもりであった。そうして、ボーイが持って来て岩形氏のすぐ横に置いたに違いないであろうウイスキー入りの珈琲に、洋装の女がどんな機会を狙って、どんな方法で毒薬を入れたか……それを又岩形氏が、どうして感付いて引っくり返したか……という事実がどうかして探り出せはしまいか……それを中心にして二人の態度を細かく探ったら事件の経緯がもっとハッキリなりはしまいかと期待して来たのであった。

Posted by salchan at 08:56 | この記事のURL
2014年07月01日
営業規則を突破する
二時か三時頃まで……」
「へへっ。お蔭さまで……へへ……」
「何がお蔭さまだ。俺あ初めてだぞ……」
「恐れ入りやす。毎度ごしいきに……」
「そんなに云うんならごしいきにしてやる。飲みに来てやるぞ。女は居ねえのか」
「はい。私くらいのもので……」
「…ぷっ……馬鹿にするな……全く居ねえのか」
「……お気の毒さまで……」
「……そんなら今日は珈琲だけだ。濃いんだぞ……」
「畏こまりやした」
 と云うなり頭を一つ下げてボーイは飛んで降りたが、間もなく下の方で二三人哄と笑う声がした。

Posted by salchan at 08:55 | この記事のURL
2014年07月01日
改良したらよかろう
嘗て一度もこの赤煉瓦が取り除かれたためしがない。そうしてその煉瓦がいよいよ丼型に磨り滅ってしまうと又、新しい赤煉瓦で埋める。こんなカフェーや洋食店は東京中のどこにもないので、恐らくこのカフェーの主人は、自分の店の繁昌と評判を、この赤煉瓦のお蔭と心得ているのであろう。志免刑事はよくこんな些細な事を記憶している男で、岩形氏の靴に赤い泥が附着いているところを見ると、氏は昨夜たしかにこのカフェーに這入ったに相違ないのである。

Posted by salchan at 08:55 | この記事のURL
2014年06月25日
デパートのアドバルーン広告
白い建物がはっきりと、しかし逆さまに浮かぶ。そうか、左右も逆になっているのかと、僕は気が付く。その少し上に古い駅のホームがあり、そこに至る線路が二本、上の方に延びていく。たくさんの線路が入り組む操車場のあたりは複雑すぎてわけが分からない。

Posted by salchan at 06:22 | この記事のURL
2014年06月25日
旧式の大型カメラ
僕は気がつく。学校の行事で記念写真を撮る時のカメラマンを思い出したのだ。
 「よし、そっちの太った方の坊や」
 かがみ込んでいた老人が指さし、耳障りに高く響く声で叫ぶ。オサムだった。
 「今度はあんたひとりを撮りますよ。風景の力を撮影しているんですからね、私は。人物は点景なんですから力む必要はありません。もうひとりの子は、見たかったらこちらにおいで」

Posted by salchan at 06:21 | この記事のURL
2014年06月25日
駅のホーム
足元の二本の鉄道線路は、その手前で右側に何本も支線を広げ、そこが貨物列車の操車場になっていた。荷物を載せた貨車、空のままの荷台式の貨車、箱型のもの、石油を運ぶ専門のタンク車、銀色に光る冷凍車など、いろいろな型式の貨物車が行き来し、そのさらに右側にはコンクリートの荷物置き場が広がり、運送会社の黄色い大型トラックが何台も止まっている。

Posted by salchan at 06:21 | この記事のURL
2014年06月24日
大切な仮定の下
もう一度推理をし直してみる必要があったのだ。
 その証拠には第一の仮定がぐら付いて来ると同時に、第二の仮定までもがどん底からぐら付いて来るではないか。すなわちステーション・ホテルで岩形氏を秘密に訪問した女の姿までは、殆んど寸分の狂いもない位的中したようであるが、その女がたしかに男を殺すつもりであったという事実上の証拠と認むべき第一回の珈琲事件の真相がこんな風に正反対に引っくり返って来るとなれば、第二回の注射事件に関する私の論証も、すっかりあやふやになって来る。第二回目にホテルに来て、扉の外から様子を窺ったのも、たしかに紳士を殺すつもりで来たとは断言出来ない事になる。

Posted by salchan at 22:33 | この記事のURL
2014年06月24日
二人は夫婦
女を犯人と認める理由は、最前ホテルで説明した通りである。殊に東洋銀行から大金を引き出しながら落ち着いて出て行ったところ……又紙幣の包みを金と覚られぬように、若い車夫を雇ったところなぞはなかなか一筋縄で行く女でない。況んやステーション・ホテルでボーイに金を呉れて十四号室へ案内をさせてから後の奇々怪々な行動を見たら、誰でもてっきり犯人と認めるのが当り前で、決して私の逃げ口上でもなければ、負け惜しみでも何でもないという自信を今でも持っているのである。

Posted by salchan at 22:33 | この記事のURL
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