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2017年08月21日
独国景気指標「ZEW景況感調査」発表前後のEURJPY反応分析(2017年8月22日18:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月22日18:00に独国景気指標「ZEW景況感調査」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月21日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
独国ZEW景況感指数(期待指数)は、独国の今後6カ月の景気見通し(「良い」「同じ」「悪い」)について、アナリスト・機関投資家・市場関係者など約350人を対象に行ったアンケート調査に基づく指標です。指数は、「良い」から「悪い」を引いた数で0が基準になっています。
一般に景況感調査は、プロが調査対象のときと無作為抽出した消費者かによって、事前参考すべき対象が異なります。プロが対象のときは直近の関連指標(含金利・株価)を参考にすべきだし、一般消費者が対象のときは調査月前半のマスコミ報道内容も参考にすると良いでしょう。
ZEWはプロが調査対象ゆえ、マスコミ報道内容よりも直近の指標結果を参考にした方が良いようです。
さて、本指標に絡む話にはオカルトが多いのです。
以下、そのオカルトの代表例を3つ挙げて、事実を述べておきます。他人の話を単なるオカルトと断じる都合上、出典は示せません。他人を非難したり論争をするつもりではなく、読者に事実さえ伝えられれば十分です。
まず、ZEW景況感調査の結果はECBの金融政策に影響を与えている、という解説記事を目にしたことがあります。
けれども、もしそうだとしても、景況感よりも物価指標や実態指標を中銀は重視するはずです。だから、この話が本当だとしても(ECBがZEWを参考にしていたとしても)、ECBの政策を予想する材料とはなりません。
これは「はず」の話ですが、大きな決定を事実の裏付けなく決定できる「はず」ありません。
次に、ZEW景況感調査はIfo景況感指数よりも先に発表され、Ifo指数よりも1か月の先行性がある、という解説を見たこともあります。だから、ZEW指標が注目に値する、という話です。
こういう話は確かめずにはいられません。
詳細はIfo指数の記事で説明しますが、少なくとも2015年1月から2017年7月発表までの31回の結果を見比べる限り、そんな傾向はありません。
確かに、過去から現在に亘る指標結果の上昇基調や下降基調といった情報は、今回の取引でも参考にできます。がしかし、単月毎の指標結果の良し悪しを比べても、そんなものはアテになりません。上記期間におけるZEW指標とIfo指標とは、前月より翌月が良くなったか悪くなったかすら、一致しないことの方が多いのです。
そして最後に、独国ZEWは期待指数と現況指数とが発表されます。多くの資料では期待指数の方が現況指数より重要だという解説が見受けられます。既に終わった現状よりも、将来の景気動向の方が重要だという話は、何となく納得しやすい話です。
がしかし、2015年1月から2017年7月発表までの31回の実績を調べたところ、事後差異(市場予想と発表結果の大小関係)は、期待指数よりも現況指数との方が直後1分足の反応方向との一致率が高くなっています。
きちんと調べないと、事実はわかりません。
尤も、多くの解説では「期待指数の方が重要」と記載され、「何に対して」重要かが記されていません。だから、きっとそれら解説は間違っていないのでしょう。でも、その記事の読者が誰かを考えると、そんな解説はそれをアテにして取引する読者に不親切です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で8pipsしかありません。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。だから、こうした反応が小さい指標で取引するときは、例えば、
というやり方が良いでしょう。
個々の取引で大けがさえしなければ、これらを守れば年間を通してプラスにしやすくなるでしょう。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、独国期待指数と独国現況指数と欧州指数の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、それぞれの式の方向一致率は60%・75%・63%となりました。事後差異と直後1分足の方向一致率が高いので、うまく項目毎の影響力を掴んでいたら素直に反応する指標だと言えるでしょう。
ともあれ、−1✕独国期待指数の差異+4✕独国現況指数の差異、を事後差異判別式として採用すると、その符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向一致率が75%となります。
判別式係数から、直後1分足方向は独国現況指数の市場予想との差異が大きく影響することがわかりました。
独国現況指数は、2015年2月以降前回までの30回において、前月と当月とを比べて発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが13回あります(入れ替わり率43%)。入れ替わり頻度が高く、市場予想後追い型とは言えません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 独国ZEW・欧州ZEW発表時の直後1分足反応方向は、独国現況指数の市場予想に対する良し悪しに素直に反応する傾向があります。これは、同期待指数を重視した本指標解説が多いことに反しています。ご注意ください。
(2) 直後1分足反応方向は、−1✕独国期待指数の差異+4✕独国現況指数の差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との一致率が75%です。
(3) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
補足します。
本指標は、市場予想後追い型でなく、本指標よりも先行して8月景況感を示唆する指標もありません。がしかし、後述する反応一致性分析や指標一致性分析の項をご覧ください。
本指標直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に反応しがちです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)あります。この9回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsより大きい、と言えます。そして、この9回の直前10-1分足と直後1分足の方向は7回(78%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたときには、それが直後1分足の方向を示唆し反応が大きくなりがちです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度16%)あります。この5回の直後1分足跳幅の平均は9pipsで、これは過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。この5回の直前1分足は全て陰線で、そのときの直後1分足は全て陽線です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率37%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率38%)です。反応が小さい指標では、これら戻り率が大きくなる傾向があります。戻り率が大きいことで、余計に勝ちにくい指標となるのです。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) ときどき(頻度29%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。過去事例では、こうした場合に直後1分足は直前10-1分足と同方向に(一致率78%)やや大きく(平均跳幅14pips)反応しがちです。
(2) たまに(頻度16%)直前1分足跳幅が10pips以上となることがあります。過去事例では、こうした場合に直後1分足の反応が全て陽線となっています。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率37%)、直後11分足のそれは14pips(戻り比率38%)です。反応が小さい指標では、これら戻り率が大きくなる傾向があります。戻り率が大きいことで、余計に勝ちにくい指標となるのです。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異のプラス率は70%と偏りがあります。市場予想が低くなりがちです。
そして、実態差異は直前10-1分足との方向一致率が70%となっています。一方、今回の市場予想は、前回結果を下回っています。ならば、直前10-1分足が陽線なら、発表結果が前回結果を上回る期待的中率が70%なので、今回の発表結果が市場予想を上回る可能性が高い、ということになります。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ75%・70%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する傾向があります。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が93%、直後1分足は陽線率が75%と、偏りが目立ちます。直前1分足と直後1分足の方向一致率は14%(不一致率86%)で、矛盾ありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は70%と高く、発表から1分を過ぎて反転する可能性は低いようです。
直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は71%となっています。
全体を通して、直前10-1分足が陽線で直前1分足が陰線なら信頼度が高いものの、直前10-1分足が陰線か直前1分足が陽線だと、一部分析結果に矛盾を生じてしまいます。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが84%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは41%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは30%で、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことも30%もあります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そして発表から1分過ぎてからの追撃にはあまり適していません。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年8月23日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、期待指数が前回・予想を大きく下回り、現況指数が前回・予想を僅かに上回りました。反応は陰線でした。
期待指数は、2017年2月分の水準まで低下し、同年5月分をピークとした下降基調転換の可能性があります(3か月連続で前回結果を下回りました)。グラフ推移の印象からは、来月に2017年2月分水準を下抜けると、下降基調がはっきりします。
現況指数は、前回を僅かに上回ったものの、グラフ推移の印象から言えば、頭を押さえられています。こちらは、2016年7月以降継続している上昇基調がまだ維持されていると見なせ、先行して下降基調に転じた可能性がある期待指数とは様子が異なります。
ただ、2015年の期待指数と現況指数の関係を見ると、両指数の性格がわかりやすいかもしれません。
2015年は、年初から5月頃まで現況指数が上昇し、その後9月まで横這いとなりました。ところが、期待指数は、年初こそ上昇していたものの、3月をピークに10月頃まで下降しています。
実際には、独経済は2014年頃から上向きとなり、英EU離脱が決まっても好調が続きました。つまり、期待指数は、調子が良くなると、そろそろ危ないというサインが出やすいのです。がしかし「そろそろ」と言っても、ずいぶん待たないといけなかったり、それが杞憂に終わることが多いのです。
そんなことで為替が動くなんてFXを始めるまでは知りませんでした。
うっかり取引時間を過ぎてしまって、取引できませんでした。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
今回は取引できなかったものの、もしシナリオ通りの取引を行っていたら、とんとんか僅かにプラスだった、ということでしょうか。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月22日18:00に独国景気指標「ZEW景況感調査」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月21日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 多くの指標解説で期待指数に注目が集まりがちですが、指標発表直後の反応方向との一致率が高いのは現況指数の方です。現況指数の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は75%です。期待指数のそれは46%しかありません。
- 市場予想は低く見込まれがち(事後差異のプラス率70%)で、直前10-1分足・直前1分足と直後1分足との方向一致率はそれぞれ71%・14%です。
この数字から、本指標の取引参加者は市場予想が低く見込まれがちだという特徴を掴んでいる可能性が高いようです(自分だけがそのことを知らない、というのは癪ですよね)。 - 指標発表から1分を過ぎてからの追撃は避けた方が良さそうです。直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしたことは約40%です。直後1分足や直後11分足の戻り率(1−跳幅/値幅)も40%弱と大きく、追撃で利幅を伸ばすことは難しい、と言えます。
以上の本指標特徴を踏まえ、後記詳述した調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、過去平均跳幅が5pipsしかありません。1・2pipsで利確しなければいけない場合が多いので、スプレッドが大きいFX会社で取引しているなら、取引は止めておいた方が良いでしょう。 - 直後1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に買ポジションを取って早期利確します。
直前10-1分足が陰線の場合、一部の分析結果に矛盾が生じているものの(反応一致性分析)、それは気にしないことにします。単純な陰線率や陽線率の高さよりも、発表前に多くの取引参加者が発表後の反応方向を読めている、と考える方が納得しやすいためです。
但し、直前10-1分足「跳幅」が10pips以上となるとき、直後1分足は同方向にやや大きく反応しがちです。直前1分足「跳幅」が10pips以上となったとき(なりそうなとき)は、直後1分足は過去全て陽線となっています。
これらの予兆が生じた場合は、直前10-1分足が陽線であれ陰線であれ、指標発表直前に予兆に従ってポジションを取ることにします。 - 追撃するなら、指標発表から1分以内にポジションを取り、1分を過ぎたら早めに利確・損切した方が良いでしょう。
発表から1分経過時点での逆張りの期待的中率は60%です。逆張りのリスクの大きさの割に、期待的中率が低くお勧めできません。逆張りするならもっと高い的中率が必要です。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
独国ZEW景況感指数(期待指数)は、独国の今後6カ月の景気見通し(「良い」「同じ」「悪い」)について、アナリスト・機関投資家・市場関係者など約350人を対象に行ったアンケート調査に基づく指標です。指数は、「良い」から「悪い」を引いた数で0が基準になっています。
一般に景況感調査は、プロが調査対象のときと無作為抽出した消費者かによって、事前参考すべき対象が異なります。プロが対象のときは直近の関連指標(含金利・株価)を参考にすべきだし、一般消費者が対象のときは調査月前半のマスコミ報道内容も参考にすると良いでしょう。
ZEWはプロが調査対象ゆえ、マスコミ報道内容よりも直近の指標結果を参考にした方が良いようです。
ーーー$€¥ーーー
さて、本指標に絡む話にはオカルトが多いのです。
以下、そのオカルトの代表例を3つ挙げて、事実を述べておきます。他人の話を単なるオカルトと断じる都合上、出典は示せません。他人を非難したり論争をするつもりではなく、読者に事実さえ伝えられれば十分です。
まず、ZEW景況感調査の結果はECBの金融政策に影響を与えている、という解説記事を目にしたことがあります。
けれども、もしそうだとしても、景況感よりも物価指標や実態指標を中銀は重視するはずです。だから、この話が本当だとしても(ECBがZEWを参考にしていたとしても)、ECBの政策を予想する材料とはなりません。
これは「はず」の話ですが、大きな決定を事実の裏付けなく決定できる「はず」ありません。
次に、ZEW景況感調査はIfo景況感指数よりも先に発表され、Ifo指数よりも1か月の先行性がある、という解説を見たこともあります。だから、ZEW指標が注目に値する、という話です。
こういう話は確かめずにはいられません。
詳細はIfo指数の記事で説明しますが、少なくとも2015年1月から2017年7月発表までの31回の結果を見比べる限り、そんな傾向はありません。
確かに、過去から現在に亘る指標結果の上昇基調や下降基調といった情報は、今回の取引でも参考にできます。がしかし、単月毎の指標結果の良し悪しを比べても、そんなものはアテになりません。上記期間におけるZEW指標とIfo指標とは、前月より翌月が良くなったか悪くなったかすら、一致しないことの方が多いのです。
そして最後に、独国ZEWは期待指数と現況指数とが発表されます。多くの資料では期待指数の方が現況指数より重要だという解説が見受けられます。既に終わった現状よりも、将来の景気動向の方が重要だという話は、何となく納得しやすい話です。
がしかし、2015年1月から2017年7月発表までの31回の実績を調べたところ、事後差異(市場予想と発表結果の大小関係)は、期待指数よりも現況指数との方が直後1分足の反応方向との一致率が高くなっています。
きちんと調べないと、事実はわかりません。
尤も、多くの解説では「期待指数の方が重要」と記載され、「何に対して」重要かが記されていません。だから、きっとそれら解説は間違っていないのでしょう。でも、その記事の読者が誰かを考えると、そんな解説はそれをアテにして取引する読者に不親切です。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で8pipsしかありません。反応が小さいため、大きなトレンドが発生しているときには、指標発表結果の影響はすぐにトレンドに呑まれてしまいます。だから、こうした反応が小さい指標で取引するときは、例えば、
- まず、本指標にはトレンド方向を転換するほどの影響力がないことを頭に入れておく
- 事前に15分足チャートでトレンド方向と上下のサポート・レジスンタンスの位置を確認しておく
- トレンドに逆らわない方向に期待的中率が高ければ取引し、そうでなければ取引しない
- 指標発表後の追撃も同様
- トレンドに反する方向に反応を伸ばしても、サポートやレジスタンスを抜けることは滅多にないことを覚えておく
というやり方が良いでしょう。
個々の取引で大けがさえしなければ、これらを守れば年間を通してプラスにしやすくなるでしょう。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、独国期待指数と独国現況指数と欧州指数の各項目を、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
結果、それぞれの式の方向一致率は60%・75%・63%となりました。事後差異と直後1分足の方向一致率が高いので、うまく項目毎の影響力を掴んでいたら素直に反応する指標だと言えるでしょう。
ともあれ、−1✕独国期待指数の差異+4✕独国現況指数の差異、を事後差異判別式として採用すると、その符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向一致率が75%となります。
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判別式係数から、直後1分足方向は独国現況指数の市場予想との差異が大きく影響することがわかりました。
独国現況指数は、2015年2月以降前回までの30回において、前月と当月とを比べて発表結果と市場予想の大小関係が入れ替わったことが13回あります(入れ替わり率43%)。入れ替わり頻度が高く、市場予想後追い型とは言えません。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 独国ZEW・欧州ZEW発表時の直後1分足反応方向は、独国現況指数の市場予想に対する良し悪しに素直に反応する傾向があります。これは、同期待指数を重視した本指標解説が多いことに反しています。ご注意ください。
(2) 直後1分足反応方向は、−1✕独国期待指数の差異+4✕独国現況指数の差異、という判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)との一致率が75%です。
(3) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
補足します。
本指標は、市場予想後追い型でなく、本指標よりも先行して8月景況感を示唆する指標もありません。がしかし、後述する反応一致性分析や指標一致性分析の項をご覧ください。
本指標直後1分足は、直前10-1分足と同じ方向に反応しがちです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度29%)あります。この9回の直後1分足跳幅は14pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均8pipsより大きい、と言えます。そして、この9回の直前10-1分足と直後1分足の方向は7回(78%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたときには、それが直後1分足の方向を示唆し反応が大きくなりがちです。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去5回(頻度16%)あります。この5回の直後1分足跳幅の平均は9pipsで、これは過去全平均8pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません。この5回の直前1分足は全て陰線で、そのときの直後1分足は全て陽線です。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率37%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率38%)です。反応が小さい指標では、これら戻り率が大きくなる傾向があります。戻り率が大きいことで、余計に勝ちにくい指標となるのです。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) ときどき(頻度29%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。過去事例では、こうした場合に直後1分足は直前10-1分足と同方向に(一致率78%)やや大きく(平均跳幅14pips)反応しがちです。
(2) たまに(頻度16%)直前1分足跳幅が10pips以上となることがあります。過去事例では、こうした場合に直後1分足の反応が全て陽線となっています。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は3pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率37%)、直後11分足のそれは14pips(戻り比率38%)です。反応が小さい指標では、これら戻り率が大きくなる傾向があります。戻り率が大きいことで、余計に勝ちにくい指標となるのです。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
まず、指標一致性分析の結果を下図に示します。
事後差異のプラス率は70%と偏りがあります。市場予想が低くなりがちです。
そして、実態差異は直前10-1分足との方向一致率が70%となっています。一方、今回の市場予想は、前回結果を下回っています。ならば、直前10-1分足が陽線なら、発表結果が前回結果を上回る期待的中率が70%なので、今回の発表結果が市場予想を上回る可能性が高い、ということになります。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ75%・70%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する傾向があります。
次に、反応一致性分析の結果を下図に示します。
直前1分足は陰線率が93%、直後1分足は陽線率が75%と、偏りが目立ちます。直前1分足と直後1分足の方向一致率は14%(不一致率86%)で、矛盾ありません。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は70%と高く、発表から1分を過ぎて反転する可能性は低いようです。
直前10-1分足と直後1分足の方向一致率は71%となっています。
全体を通して、直前10-1分足が陽線で直前1分足が陰線なら信頼度が高いものの、直前10-1分足が陰線か直前1分足が陽線だと、一部分析結果に矛盾を生じてしまいます。
最後に、反応性分析の結果を下図に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は70%です。そして、その70%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが84%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは41%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは30%で、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことも30%もあります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そして発表から1分過ぎてからの追撃にはあまり適していません。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
- 直前1分足は陰線と見込みます。
但し、過去平均跳幅が5pipsしかありません。1・2pipsで利確しなければいけない場合が多いので、スプレッドが大きいFX会社で取引しているなら、取引は止めておいた方が良いでしょう。 - 直後1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に買ポジションを取って早期利確します。
直前10-1分足が陰線の場合、一部の分析結果に矛盾が生じているため、その場合は取引見送りです。
但し、直前10-1分足跳幅が10pips以上となるとき、直後1分足は同方向にやや大きく反応しがちです。直前1分足が10pips以上となったとき(なりそうなとき)は、直後1分足は過去全て陽線となっています。
これら予兆が生じた場合は、直前10-1分足が陽線であれ陰線であれ、指標発表直前に予兆に従ってポジションを取ります。 - 追撃するなら、指標発表から1分以内にポジションを取り、1分を過ぎたら早めに利確・損切した方が良いでしょう。
一方、発表から1分経過時点での逆張りは、期待的中率60%です。逆張りのリスクの大きさの割に、期待的中率が低くお勧めできません。
以上
2017年8月22日18:00発表
以下は2017年8月23日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、期待指数が前回・予想を大きく下回り、現況指数が前回・予想を僅かに上回りました。反応は陰線でした。
期待指数は、2017年2月分の水準まで低下し、同年5月分をピークとした下降基調転換の可能性があります(3か月連続で前回結果を下回りました)。グラフ推移の印象からは、来月に2017年2月分水準を下抜けると、下降基調がはっきりします。
現況指数は、前回を僅かに上回ったものの、グラフ推移の印象から言えば、頭を押さえられています。こちらは、2016年7月以降継続している上昇基調がまだ維持されていると見なせ、先行して下降基調に転じた可能性がある期待指数とは様子が異なります。
ただ、2015年の期待指数と現況指数の関係を見ると、両指数の性格がわかりやすいかもしれません。
2015年は、年初から5月頃まで現況指数が上昇し、その後9月まで横這いとなりました。ところが、期待指数は、年初こそ上昇していたものの、3月をピークに10月頃まで下降しています。
実際には、独経済は2014年頃から上向きとなり、英EU離脱が決まっても好調が続きました。つまり、期待指数は、調子が良くなると、そろそろ危ないというサインが出やすいのです。がしかし「そろそろ」と言っても、ずいぶん待たないといけなかったり、それが杞憂に終わることが多いのです。
そんなことで為替が動くなんてFXを始めるまでは知りませんでした。
(5-2. 取引結果)
うっかり取引時間を過ぎてしまって、取引できませんでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 反応への影響と判別式について、次のように記していました。すなわち、
「多くの指標解説で期待指数に注目が集まりがちですが、指標発表直後の反応方向との一致率が高いのは現況指数の方です。現況指数の事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率は75%です。期待指数のそれは46%しかありません。」
結果は、前述の通り、期待指数が前回・予想を大きく下回り、現況指数が前回・予想を僅かに上回りました。期待指数の結果に反応して、現況指数の結果に反しており、分析を外しました。
論拠に挙げた事後差異判別式の解は+7.4となっています。事後差異判別式は、−1✕期待指数事後差異+2✕現況指数事後差異、です。期待指数の係数がマイナスとなっていたため、今回発表結果で解の符号と直後1分足の反応方向が一致しなかったのです。
この事後差異判別式の実績は方向一致率75%です。2か月続けて外しても、この確率が低下しこそすれ、大きく間違った式とも言えないものの、もし来月も外したら、判別式見直しを行うことにします。 - 市場予想の傾向から今回結果を予想する分析は次の通り記していました。すなわりち、
「市場予想は低く見込まれがち(事後差異のプラス率70%)で、直前10-1分足・直前1分足と直後1分足との方向一致率はそれぞれ71%・14%です。
この数字から、本指標の取引参加者は市場予想が低く見込まれがちだという特徴を掴んでいる可能性が高いようです(自分だけがそのことを知らない、というのは癪ですよね)。」
ふたつの点で、この内容は検証しなければいけません。
ひとつは、「市場予想が低く見込まれがち」という点です。結果は、判別式係数がマイナスの期待指数はさておき、係数がプラスで大きい現況指数は市場予想が低く見込まれていました。今回結果を受けて、来月発表時の事後差異の指標方向率は71%(今回は70%)と、僅かながらさらに偏りが大きいと認知されます。
もうひとつは、方向一致率に関してです。今回の直前10-1分足は同値終了で判定外です。直前1分足は陽線となり、陰線だった直後1分足との一致率の低さは、正しく分析できています。 - 追撃可否についての分析も検証しておきます。
「指標発表から1分を過ぎてからの追撃は避けた方が良さそうです。直後1分足終値を超えて直後11分足終値が反応を伸ばしたことは約40%です。直後1分足や直後11分足の戻り率(1−跳幅/値幅)も40%弱と大きく、追撃で利幅を伸ばすことは難しい、と言えます。」
結果は、直後1分足跳幅・値幅に対し、直後11分足のそれらはいずれも反応を伸ばしていました。分析を外していたことになります。ただ、いずれもヒゲは長くなっており、その点の注意は来月も同じです。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込みました。論拠は、過去の陰線率が93%と高かったため、です。
結果は陽線で、もし取引していたら、最悪5pipsの損切となっていたでしょう。
なお、直前1分足が陽線となったことは、2015年1月以降まだ3回目でした。 - 直後1分足は、直前10-1分足が陽線ならば、指標発表直前に買ポジションを取って早期利確するつもりでした。
結果は、直前10-1分足は同値終了なので、取引できなかったと思われます。 - 追撃は、指標発表から1分以内にポジションを取り、1分を過ぎたら早めに利確・損切した方が良い、と見込んでしました。
これは問題ありません。数pips程度の利確ができていたでしょう。
なお、もし反応が伸びると見込んで、ポジションを少し長く取った人が居ても、発表時点での15分足チャートのサポートは、128.64(08:30-09:00頃安値)、128.45-50付近(03:15-03:30頃安値)にありました。本指標にはこれらのサポートを抜ける影響強力がない場合が多い、という本文中の説明は、ほぼ当たっていたようです。サポート到達時点で利確していたなら、最初のサポートで8pipsの利確です。
今回は取引できなかったものの、もしシナリオ通りの取引を行っていたら、とんとんか僅かにプラスだった、ということでしょうか。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月20日
2017年8月第3週成績と、次週第4週主要指標反応pipsと、反省の仕方
大した経験ではないにせよ、それなりに経験を積んでも負けが続くことはあります。8月第3週がそうでした。分析を外しまくって、週の途中でお詫びしたぐらいです。
本ブログの想定読者は、「FXは上達するのか」で述べているように、少しやってうまくいかない初心者や、やり直しをしている人が対象です。だから、負けたときは、
の反省の重要性を強調しておきます。
「雑なやり方」というのは、お金を賭けているのに馴れてしまって油断が生じていないか、の確認でもあります。馴れとは違いますが、熱くなって損切を繰り返しながら負けを取り戻すポジションを取ろうとしていなかったか、も反省対象です。
つまり「集中と自制のバランス確認」と言ってもいいでしょう。本当のFXの練習というのは、そういうことだと考えています。デモトレードで勝てるようになることではない、と思います。この訓練ができていないと、大きな金額を扱うことなんてできません。
「取引方法」というのは、事前分析とその実行是非の判断力(状況認識力)を指しています。
そもそも、事前分析によって高い勝率を安定して維持できるようになることを目指している訳です。がしかし、どれだけ熱心に事前分析を緻密に行っても負けることがあるなら、その負けを運の問題と分析の問題とに区別する必要があります。分析方法の確立にとって、連敗はノイズになってしまいます。
区別する方法は、例えば3連敗、例えば2週続けての負け、例えば月次成績での負け、といったことで機械的・段階的に捉える方がいいでしょう。
機械的なルールがなければ、理性と感情を扱うことになってしまうので難しそうです。段階的に捉えないと、問題の程度がよくわかりません。
下図は、8月第3週に発表された指標の直後1分足跳幅(青)と直後11分足値幅(緑)について、今回の反応pipsと過去平均pipsを対比表示したものです。
日本指標は4-6月期GDP速報値が発表されました。
相変わらず嫌になるぐらい反応しなかったものの、発表結果には驚きました。前年比が+4.0%で、この数字は他の主要国、米国2.6%・欧州2.2%(改定値)・独国2.1%・英国1.7%・豪州1.7%(1-3月期)、と比較して群を抜いています。内容は、設備投資が好調(前期比+2.4%)で、個人消費も前期比+0.9%だったことが寄与したようです。
米国指標は、実態指標(7月分小売売上高・7月分鉱工業生産)と景気指標(8月分NY連銀製造業景況指数・8月分Phil連銀製造業景況指数・8月分UM消費者信頼感指数速報値)が発表されました。
実態指標は、前月にいずれも数値悪化が目立っていたので、当月結果で米経済の好調ぶりを再確認できました。
小売売上高は、前月比・コア前月比ともに直近ピークの2017年4月を上回り、前月比は2016年12月以来、コア前月比は2017年1月以来の良い数字です。それらの時期はトランプ相場終盤の最も米国指標全般に良かった時期です。
鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、今回の発表結果によって好不調変化の兆しが窺えません。ただ設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。最近の設備稼働率は、シェールガス油井稼働率と相関が強くなっています。当面は原油一段高が期待できない以上、当面の最大値に達している可能性があります。
景気指標は、NY連銀製造業景況指数が改善、Phil連銀製造業景況指数がやや低下、UM消費者信頼感指数速報値が改善、でした。
ただ、8月月初はダウが22000ドルを一時上抜けた時期で、その後は株価が下げた報道が目立つため、今後発表される8月分景気指標はまた低下が目立つかも知れません。
欧州指標は独国4-6月期GDP速報値・欧州4-6月期GDP改定値が発表されました。
前年比は独国2.1%・欧州2.2%で、比較基準とすべき米国2.6%に抜かれたことがポイントです(1-3月期は米国の方が低かった)。
英国指標は7月分物価指標・7月分雇用指標・7月分小売売上高が発表されました。
直近の英国指標はBOEの金融政策絡みで注目を集めています。こういうときは、指標結果そのものを見るだけでなく、発表前後の反応が今後の参考になります。
物価指標は、CPI前年比が前月結果と同値だったものの、前月比ほか、市場予想を下回った他の項目が多く、過去上位10%に入る大きな陰線(直後1分足跳幅45pips)で反応しました。
雇用指標は、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
小売売上高は前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、発表直後こそ陽線側に20pips跳ねたものの、直後11分足は始値同値で終わり、その後は陰線側に転じました。市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。
豪州指標は7月分雇用統計が発表されました。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。RBAは当面の利上げ無しを表明しています。やはり、金融政策変更に繋がらない指標結果は、歓迎されないようです。
本ブログ記載の取引方法を検証するため、週次・月次で取引成績を記録しています。人にやり方を薦める以上、(個別取引はさておき)全体として間違っていないことを検証しておきたいからです。
ただ、他人の取引成績なんて興味ありませんよね。ぱぱっと8月第2週の取引結果を纏めておきます。
8月第3週は9指標で取引を行いました。
取引時間は34分10秒(1指標当たり3分53秒)で、損益はいつも1枚ずつの取引で△2,043円(1指標当たり△227円)でした。
勝率は、指標単位で44%(4勝5敗)、シナリオ単位では65%(17勝9敗、見送り4)でした。
確か、週次では今年3度目の負けで、今年最大の負けだと思います。
ぼろ負けですが、負けがせいぜい20pipsに抑えられているので、熱くならずに自制ができたと見なして、「良し」としておきましょう。
3連敗が生じていますが、これは反応が小さいと予めわかっていた指標(分析の期待的中率が低くなりがち)に手を出したことも一因と思われます。
次週8月第4Wの主要指標の過去平均反応を示します。
8月第4週はたいした指標発表が予定されていません。指標名をクリックすると、前回分析にリンクされています。
日本指標は7月分CPIが発表されます。
前週に発表された4-6月期GDP速報値前年比が+4.0%もあったことを思えば、物価は少しずつ上昇しているものの、まだ+0.4%(6月分コアCPI前年比)しかありません。既にこの数年のアベノミクスと黒田バズーカで、GDP100%分の資金を市中供給したのに、貨幣価値が下がっていないのです。
「変なやつ」という解説記事が増えてきたことなんて、大した問題じゃありません。今はいいけど、もし経済状況が悪くなったとき、何をやってもまたも対策にならない、ということが大した問題なのでしょう。「またも」とは、1991年からの「失われた20年」を指しています。
本指標は、結果がどうあれほぼ反応しません。上記の興味から注目しているだけです。
米国指標は、7月分住宅指標(新築住宅販売件数・中古住宅販売件数)が発表されます。
現在、米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。指標結果はまちまちとなっています。
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標です。これら指標結果を予想するための指標も多く発表されているものの、反応は小さくてがっかりします。
欧州指標は8月分景気指標が続けて発表されます。独国ZEW景況感調査・独国PMI速報値・欧州PMI速報値・Ifo景況指数です。
全体に欧州景気指標は、反応が小さく影響期間が短い、という特徴があります。
英国指標は4-6月期GDP改定値が発表されます。7月26日に発表された前年比速報値は+1.7%で、1-3月期確定値+2.0%を下回りました。+1.7%というのは悪い数字ではありません。市場では、発表直後こそ陽線で反応したものの、その後は反転陰線で反応しました。
本ブログの想定読者は、「FXは上達するのか」で述べているように、少しやってうまくいかない初心者や、やり直しをしている人が対象です。だから、負けたときは、
- 雑なやり方をしていなかったか、
- 取引方法・判断が間違っていないか、
の反省の重要性を強調しておきます。
「雑なやり方」というのは、お金を賭けているのに馴れてしまって油断が生じていないか、の確認でもあります。馴れとは違いますが、熱くなって損切を繰り返しながら負けを取り戻すポジションを取ろうとしていなかったか、も反省対象です。
つまり「集中と自制のバランス確認」と言ってもいいでしょう。本当のFXの練習というのは、そういうことだと考えています。デモトレードで勝てるようになることではない、と思います。この訓練ができていないと、大きな金額を扱うことなんてできません。
「取引方法」というのは、事前分析とその実行是非の判断力(状況認識力)を指しています。
そもそも、事前分析によって高い勝率を安定して維持できるようになることを目指している訳です。がしかし、どれだけ熱心に事前分析を緻密に行っても負けることがあるなら、その負けを運の問題と分析の問題とに区別する必要があります。分析方法の確立にとって、連敗はノイズになってしまいます。
区別する方法は、例えば3連敗、例えば2週続けての負け、例えば月次成績での負け、といったことで機械的・段階的に捉える方がいいでしょう。
機械的なルールがなければ、理性と感情を扱うことになってしまうので難しそうです。段階的に捉えないと、問題の程度がよくわかりません。
【1. 8月第2W主要指標結果】
下図は、8月第3週に発表された指標の直後1分足跳幅(青)と直後11分足値幅(緑)について、今回の反応pipsと過去平均pipsを対比表示したものです。
日本指標は4-6月期GDP速報値が発表されました。
相変わらず嫌になるぐらい反応しなかったものの、発表結果には驚きました。前年比が+4.0%で、この数字は他の主要国、米国2.6%・欧州2.2%(改定値)・独国2.1%・英国1.7%・豪州1.7%(1-3月期)、と比較して群を抜いています。内容は、設備投資が好調(前期比+2.4%)で、個人消費も前期比+0.9%だったことが寄与したようです。
米国指標は、実態指標(7月分小売売上高・7月分鉱工業生産)と景気指標(8月分NY連銀製造業景況指数・8月分Phil連銀製造業景況指数・8月分UM消費者信頼感指数速報値)が発表されました。
実態指標は、前月にいずれも数値悪化が目立っていたので、当月結果で米経済の好調ぶりを再確認できました。
小売売上高は、前月比・コア前月比ともに直近ピークの2017年4月を上回り、前月比は2016年12月以来、コア前月比は2017年1月以来の良い数字です。それらの時期はトランプ相場終盤の最も米国指標全般に良かった時期です。
鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、今回の発表結果によって好不調変化の兆しが窺えません。ただ設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。最近の設備稼働率は、シェールガス油井稼働率と相関が強くなっています。当面は原油一段高が期待できない以上、当面の最大値に達している可能性があります。
景気指標は、NY連銀製造業景況指数が改善、Phil連銀製造業景況指数がやや低下、UM消費者信頼感指数速報値が改善、でした。
ただ、8月月初はダウが22000ドルを一時上抜けた時期で、その後は株価が下げた報道が目立つため、今後発表される8月分景気指標はまた低下が目立つかも知れません。
欧州指標は独国4-6月期GDP速報値・欧州4-6月期GDP改定値が発表されました。
前年比は独国2.1%・欧州2.2%で、比較基準とすべき米国2.6%に抜かれたことがポイントです(1-3月期は米国の方が低かった)。
英国指標は7月分物価指標・7月分雇用指標・7月分小売売上高が発表されました。
直近の英国指標はBOEの金融政策絡みで注目を集めています。こういうときは、指標結果そのものを見るだけでなく、発表前後の反応が今後の参考になります。
物価指標は、CPI前年比が前月結果と同値だったものの、前月比ほか、市場予想を下回った他の項目が多く、過去上位10%に入る大きな陰線(直後1分足跳幅45pips)で反応しました。
雇用指標は、7月分失業保険申請件数が5か月ぶりにマイナスとなり、6月分失業率も直近最低の4.4%まで低下しました。6月分平均所得も2%を上回り、全面的に良い結果となりました。発表直後の反応は2015年8月以来の大きな陽線を形成したものの、それでも発表から2時間も経つ頃には「行って来い」で指標発表前のGBPJPY水準に戻しました(GBPUSDでは半値戻し)。
小売売上高は前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、発表直後こそ陽線側に20pips跳ねたものの、直後11分足は始値同値で終わり、その後は陰線側に転じました。市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。
豪州指標は7月分雇用統計が発表されました。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。RBAは当面の利上げ無しを表明しています。やはり、金融政策変更に繋がらない指標結果は、歓迎されないようです。
【2. 8月第2W成績】
本ブログ記載の取引方法を検証するため、週次・月次で取引成績を記録しています。人にやり方を薦める以上、(個別取引はさておき)全体として間違っていないことを検証しておきたいからです。
ただ、他人の取引成績なんて興味ありませんよね。ぱぱっと8月第2週の取引結果を纏めておきます。
8月第3週は9指標で取引を行いました。
取引時間は34分10秒(1指標当たり3分53秒)で、損益はいつも1枚ずつの取引で△2,043円(1指標当たり△227円)でした。
勝率は、指標単位で44%(4勝5敗)、シナリオ単位では65%(17勝9敗、見送り4)でした。
確か、週次では今年3度目の負けで、今年最大の負けだと思います。
ぼろ負けですが、負けがせいぜい20pipsに抑えられているので、熱くならずに自制ができたと見なして、「良し」としておきましょう。
3連敗が生じていますが、これは反応が小さいと予めわかっていた指標(分析の期待的中率が低くなりがち)に手を出したことも一因と思われます。
【3. 8月第2W主要指標】
次週8月第4Wの主要指標の過去平均反応を示します。
8月第4週はたいした指標発表が予定されていません。指標名をクリックすると、前回分析にリンクされています。
日本指標は7月分CPIが発表されます。
前週に発表された4-6月期GDP速報値前年比が+4.0%もあったことを思えば、物価は少しずつ上昇しているものの、まだ+0.4%(6月分コアCPI前年比)しかありません。既にこの数年のアベノミクスと黒田バズーカで、GDP100%分の資金を市中供給したのに、貨幣価値が下がっていないのです。
「変なやつ」という解説記事が増えてきたことなんて、大した問題じゃありません。今はいいけど、もし経済状況が悪くなったとき、何をやってもまたも対策にならない、ということが大した問題なのでしょう。「またも」とは、1991年からの「失われた20年」を指しています。
本指標は、結果がどうあれほぼ反応しません。上記の興味から注目しているだけです。
米国指標は、7月分住宅指標(新築住宅販売件数・中古住宅販売件数)が発表されます。
現在、米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。指標結果はまちまちとなっています。
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標です。これら指標結果を予想するための指標も多く発表されているものの、反応は小さくてがっかりします。
欧州指標は8月分景気指標が続けて発表されます。独国ZEW景況感調査・独国PMI速報値・欧州PMI速報値・Ifo景況指数です。
全体に欧州景気指標は、反応が小さく影響期間が短い、という特徴があります。
英国指標は4-6月期GDP改定値が発表されます。7月26日に発表された前年比速報値は+1.7%で、1-3月期確定値+2.0%を下回りました。+1.7%というのは悪い数字ではありません。市場では、発表直後こそ陽線で反応したものの、その後は反転陰線で反応しました。
以上
2017年08月18日
米国景気指標「UM消費者信頼感指数速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月18日23:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月18日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結すると言われています。これは今度、確かめておきましょう。
本指標は、調査数が少ないためブレが大きいという解説を見かけたことがあります。がしかし、本ブログ調査期間に関する限り、他の景気指標と比較して特にブレが大きいようには見受けられません。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%となっています。
一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、後述する通り、本指標は違います。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目についてひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
実態差異判別式は、1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+2✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率は62%となります。
前述の通り、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
景況感指数は、発表結果と市場予想の大小関係が前月と入れ替わったことが16回(交代率53%)となっています。同様に、現況指数・期待指数は、それぞれ13回(同43%)・15回(同50%)です。
市場予想はほぼ中立的に行わており、クセのような偏りは見出せません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均10pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、それが勝率を下げやすいので気を付けましょう。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%しかありません。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、お薦めできません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は97.6(前回93.4)で、反応は陽線でした。
現状指数のグラフ推移を見ると、2016年9月分以降の上昇基調は、5月分・6月分の指数低下で基調転換が懸念されていました。がしかし、7月分・今回8月分で、上昇基調維持を予感させます(8月分は低下したものの、その幅が小さかったため)。
期待指数のグラフ推移を見ると、今回8月分が急上昇となっています。
これは、ダウの動きを見るとわかるように、20000ドル・21000ドル・22000ドルといったキリの良い数字の上抜け定着前には停滞が続きます。現在は22000ドルの上抜け前に位置しています。8月2日には、この22000ドルを上抜けた時期があって、速報値ではこの報道が影響した可能性があります。
株価の上昇は繰り返し報道をされ、その後、今度は株価の下げの方が多く扱われているので、確定値はかなり下がるかも知れません。
取引結果は次の通りでした。
結果オーライという言葉の通り、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応を伸ばしたにも関わらず、追撃は売りの短期利確で稼ぎました。
これは4本足チャートではわからないことですが、指標発表からの7分間がペナント型(上下動の振れが徐々に小さくなる動き)で、この間は108.7付近にレジスタンスに何度も跳ね返されたため稼げました。
下記の通り、本指標の直後1分足終値をその後は削る確率が高かったこと、を頭に入れていたことが幸いしました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月18日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標は、後日発表されるCB消費者信頼感指数と同じような目的・調査内容・対象期間となっています。がしかし、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は50%を僅かに上回る程度しか一致していません。
- そして、本指標への反応は小さく、直後1分足跳幅は10pips以下となったことが60%強を占めています。反応方向は素直で、指標結果の市場予想に対する良し悪しに素直な傾向があります。がしかし、発表から1分経過後に反応を伸ばすことが少なく、追撃には向いていません。
- 反応が小さく、追撃で利を伸ばせず、後日のより反応が大きい指標の参考にもなっていない、ということです。こんなことを書きたくありませんが、ちょっと取引の魅力に乏しい指標だと言えるでしょう。
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今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
(2) 反応一致性分析の結論は以下の通りです。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%です。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、あまりお薦めできません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足終値が付く頃に、逆張り短期取引をやってみます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結すると言われています。これは今度、確かめておきましょう。
本指標は、調査数が少ないためブレが大きいという解説を見かけたことがあります。がしかし、本ブログ調査期間に関する限り、他の景気指標と比較して特にブレが大きいようには見受けられません。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%となっています。
一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、後述する通り、本指標は違います。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目についてひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
実態差異判別式は、1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+2✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率は62%となります。
前述の通り、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
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景況感指数は、発表結果と市場予想の大小関係が前月と入れ替わったことが16回(交代率53%)となっています。同様に、現況指数・期待指数は、それぞれ13回(同43%)・15回(同50%)です。
市場予想はほぼ中立的に行わており、クセのような偏りは見出せません。
ーーー$€¥ーーー
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均10pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、それが勝率を下げやすいので気を付けましょう。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%しかありません。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、お薦めできません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月18日23:00発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は97.6(前回93.4)で、反応は陽線でした。
現状指数のグラフ推移を見ると、2016年9月分以降の上昇基調は、5月分・6月分の指数低下で基調転換が懸念されていました。がしかし、7月分・今回8月分で、上昇基調維持を予感させます(8月分は低下したものの、その幅が小さかったため)。
期待指数のグラフ推移を見ると、今回8月分が急上昇となっています。
これは、ダウの動きを見るとわかるように、20000ドル・21000ドル・22000ドルといったキリの良い数字の上抜け定着前には停滞が続きます。現在は22000ドルの上抜け前に位置しています。8月2日には、この22000ドルを上抜けた時期があって、速報値ではこの報道が影響した可能性があります。
株価の上昇は繰り返し報道をされ、その後、今度は株価の下げの方が多く扱われているので、確定値はかなり下がるかも知れません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
結果オーライという言葉の通り、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応を伸ばしたにも関わらず、追撃は売りの短期利確で稼ぎました。
これは4本足チャートではわからないことですが、指標発表からの7分間がペナント型(上下動の振れが徐々に小さくなる動き)で、この間は108.7付近にレジスタンスに何度も跳ね返されたため稼げました。
下記の通り、本指標の直後1分足終値をその後は削る確率が高かったこと、を頭に入れていたことが幸いしました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 本指標は、後日発表されるCB消費者信頼感指数と同じような目的・調査内容・対象期間となっています。がしかし、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は50%を僅かに上回る程度しか一致していません。
この内容は来月もこのままで構いません。 - そして、本指標への反応は小さく、直後1分足跳幅は10pips以下となったことが60%強を占めています。反応方向は素直で、指標結果の市場予想に対する良し悪しに素直な傾向があります。がしかし、発表から1分経過後に反応を伸ばすことが少なく、追撃には向いていません。
今回は、直後1分足跳幅が5pipsでしたが、直後11分足はそのまま反応を伸ばしました。ただ、今回の分析を外しても、まだ反応を伸ばす確率は30%強しかありません。 - 反応が小さく、追撃で利を伸ばせず、後日のより反応が大きい指標の参考にもなっていない、ということです。こんなことを書きたくありませんが、ちょっと取引の魅力に乏しい指標だと言えるでしょう。
これもその通りなので、来月もこの内容で良いでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は同値で判定無しとなりました。
- 直後1分足終値が付く頃に、逆張り短期取引をやってみました。結果は、発表から7分間有効なシナリオでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月17日
米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月17日22:15発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。景気良し悪しを計る兆候のひとつとして、本指標は眺める方が良さそうです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は67%でした。
事後差異判別式符号と直後1分足の方向一致率は66%でした。
実態差異判別式符号と直後11分足の方向一致率は66%でした。
どの判別式にせよ、70%を超える一致率となる判別式は導けませんでした。
これは、反応が小さな指標なので、そのときどきのトレンドに反応が埋もれてしまうためと考えれば、この結果は納得できます。
逆に言えば、そのときどきのトレンドで結果が決まるなら、指標分析には意味がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
本指標では取引を行いません。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
今回の発表があっても鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、変化の兆しが窺えません。ただ、設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。
巻頭に述べたように、ほぼ反応しない指標のため、分析に手間暇をかける気がしません。よって、以下は定量的な分析結果でなく、定性的な分析に主観的解釈を加えたものです。
このところ、鉱工業生産は原油・ガス・石炭の価格の影響を受けているようです。
製造業生産は、自動車販売との相関が高いようです。
設備稼働率を押し上げるためには、製造業よりも鉱工業のシェールガス油井の稼働率が上がらないと難しいようです。
なお、珍しいことにFRBは今回の発表で、予定時刻より早くデータを公表してしまったそうです。原因は単純なヒューマンエラーだと発表されています。反応が小さい指標で良かったですね。
巻頭指標要点に挙げた通り、反応が小さ過ぎて取引には向かない指標です。
数か月毎に数値・傾向をチェックして、指標方向を当てやすい兆しが見出せるまで、本指標での取引は行いません。
事前調査分析内容を以下に検証します。
この内容で、暫く間違いないでしょう。
取引しないので、シナリオもありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 最も指標結果に素直に反応する指標発表直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
- かすかな指標発表の影響として、市場予想に対する発表結果の良し悪しと直後1分足方向とは、62%の方向一致率があります。
もし、この62%の素直に反応したときに反応方向を見てから追撃しても、直後1分足は6pips跳ねたら、過去平均の利確ポイントに達してしまいます。
この程度なら、反応が大きい指標で、直前1分足で陰線にかけた方が勝率も利幅も稼げます。 - よって、本指標は指標分析に基づく取引に向いていません。そのときどきのトレンドを見た方がマシです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。景気良し悪しを計る兆候のひとつとして、本指標は眺める方が良さそうです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は67%でした。
事後差異判別式符号と直後1分足の方向一致率は66%でした。
実態差異判別式符号と直後11分足の方向一致率は66%でした。
どの判別式にせよ、70%を超える一致率となる判別式は導けませんでした。
これは、反応が小さな指標なので、そのときどきのトレンドに反応が埋もれてしまうためと考えれば、この結果は納得できます。
逆に言えば、そのときどきのトレンドで結果が決まるなら、指標分析には意味がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
【4. シナリオ作成】
本指標では取引を行いません。
以上
2017年8月17日22:15発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
今回の発表があっても鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、変化の兆しが窺えません。ただ、設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。
巻頭に述べたように、ほぼ反応しない指標のため、分析に手間暇をかける気がしません。よって、以下は定量的な分析結果でなく、定性的な分析に主観的解釈を加えたものです。
このところ、鉱工業生産は原油・ガス・石炭の価格の影響を受けているようです。
製造業生産は、自動車販売との相関が高いようです。
設備稼働率を押し上げるためには、製造業よりも鉱工業のシェールガス油井の稼働率が上がらないと難しいようです。
なお、珍しいことにFRBは今回の発表で、予定時刻より早くデータを公表してしまったそうです。原因は単純なヒューマンエラーだと発表されています。反応が小さい指標で良かったですね。
(5-2. 取引結果)
巻頭指標要点に挙げた通り、反応が小さ過ぎて取引には向かない指標です。
数か月毎に数値・傾向をチェックして、指標方向を当てやすい兆しが見出せるまで、本指標での取引は行いません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 最も指標結果に素直に反応する指標発表直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
そして、かすかな指標発表の影響として、市場予想に対する発表結果の良し悪しと直後1分足方向とは、62%の方向一致率があります。
もし、この62%の素直に反応したときに反応方向を見てから追撃しても、直後1分足は6pips跳ねたら、過去平均の利確ポイントに達してしまいます。
この程度なら、反応が大きい指標で、直前1分足で陰線にかけた方が勝率も利幅も稼げます。 - よって、本指標は指標分析に基づく取引に向いていません。
この内容で、暫く間違いないでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
取引しないので、シナリオもありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
米国景気指標「Phil連銀製造業景況指数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月17日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日21:30に米国景気指標「Phil連銀製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時刻に前週分新規失業保険申請件数が発表されます。少なくとも指標発表直後は、Phil連銀製造業景況指数の方が、前週分新規失業保険申請件数よりも、反応方向に結び付きやすいという印象があります(市場予想との差異次第だと思いますが)。
よって、以下の分析は、Phil連銀製造業景況指数についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
フィラデルフィア連銀管轄のペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウエア州の製造業の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。
製造業景気指数は、ニューヨーク連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がフィラデルフィア連銀製造業景気指数で、フィラデルフィア連銀製造業景気指数の先行指標がニューヨーク連銀製造業景気指数、という見方があります。
後述するように、これはアテにならない言い伝えです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。反応が小さな指標です。10pips以上反応したことは39%です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
このグラフ推移は市場予想後追い型のようです。確認しておきます。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは15回です。入れ替わり率はほぼ50%で、市場予想後追い型ではありません。
次に、関連指標であるNY連銀景況指数との相関有無について調べておきます。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。市場予想は、後で発表される指標が先に発表される指標結果によって影響されてしまいます。
結果は、2015年1月以降前回までの31回の発表で、実態差異の符号(プラス/マイナス)が一致したことは16回でした(52%)。
これでは、先に発表されたNY連銀景況指数が前回より良かったか悪かったかを、Phil連銀景況指数が前回より良くなるか悪くなるかの予想論拠とすることができません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。反応は小さく、10pips以上反応したことは39%です。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 本指標のNY連銀景況指数との実態差異一致率は52%しかありません。これでは、先に発表されたNY連銀景況指数が前回より良かったか悪かったかを、Phil連銀景況指数が前回より良くなるか悪くなるかの予想論拠とすることができません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。この4回の直後1分足跳幅は12pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsよりやや大きい程度です。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍強の10pips以上だったことは過去にありません。直前1分足は陰線率が高いものの、過去87%が数pipsの上ヒゲを持っています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さく、戻り比率が大きいので、あまり追撃には適していません。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度13%)直前10-1分足均跳幅が10pips以上動くことがあります。がしかし、過去のこうした事例では、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍強の10pips以上だったことは過去にありません。10pipsも跳ねたら何か過去にない異常なことが起きています。そして、直前1分足は陰線率が高いものの、過去87%が数pipsの上ヒゲを持っています。
(3) そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さく、戻り比率が大きいので、あまり追撃には適していません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目すると、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが82%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは41%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは19%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが41%もあります。
早期追撃で得たポジションは発表から1分を過ぎたら早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ74%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は+18.9(前回+19.5、予想+18.5)で、反応は陽線でした。
市場予想を上回ったものの、前回結果を下回り、調査対象外期間ですが、その後は陰線側に転じています。
内訳で見るべき大きな変化は、新規受注が大きく伸びています。この原因のひとつは、4月以降にUSDJPYを除く多くのドルストレート通貨ペアで、ドル安が進行しているため、と推察されます。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日21:30に米国景気指標「Phil連銀製造業景況指数」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
同時刻に前週分新規失業保険申請件数が発表されます。少なくとも指標発表直後は、Phil連銀製造業景況指数の方が、前週分新規失業保険申請件数よりも、反応方向に結び付きやすいという印象があります(市場予想との差異次第だと思いますが)。
よって、以下の分析は、Phil連銀製造業景況指数についてのみ行います。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標結果の分析で、単月毎のNY連銀景況指数の良し悪しは、本指標結果の良し悪しと一致率が52%しかありません。NY連銀との対比はグラフ全体の傾向を見て行うべきで、単月毎に参考にすることは確率的に無意味です。
- 過去の初期反応は、市場予想に対する良し悪しに素直に反応しがちですが、平均的な反応は10pipsにも達していません。
- 反応は発表から1分を過ぎても伸びがちですが、どの時点かで反転するのでしょう。直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは50%を切っています。追撃を行うなら、早期参加・短期利確です。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。反応は小さく、10pips以上反応したことは39%です。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 本指標のNY連銀景況指数との実態差異一致率は52%しかありません。これでは、先に発表されたNY連銀景況指数が前回より良かったか悪かったかを、Phil連銀景況指数が前回より良くなるか悪くなるかの予想論拠とすることができません。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度13%)直前10-1分足均跳幅が10pips以上動くことがあります。がしかし、過去のこうした事例では、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍強の10pips以上だったことは過去にありません。10pipsも跳ねたら何か過去にない異常なことが起きています。そして、直前1分足は陰線率が高いものの、過去87%が数pipsの上ヒゲを持っています。
(3) そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さく、戻り比率が大きいので、あまり追撃には適していません。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事後差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ74%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。こうした傾向がなければ、指標分析の意味がありません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしがちなので、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。がしかし、早期追撃で得たポジションは発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。そしてその後の追撃にはあまり適していません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。がしかし、pipsが小さいため、無理に取引しません。
(2) 指標発表後は、反応方向を確認してから追撃を行います。発表から1分を過ぎたらいつ反転し始めるかがわからないため早期利確します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
フィラデルフィア連銀管轄のペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウエア州の製造業の景況感と現状を指数化した指標です。
具体的内容は、仕入価格・販売価格・新規受注・出荷・入荷遅延・在庫水準・受注残・雇用者数・週平均就業時間などの11項目を、1ヶ月前と比較した現状と6ヶ月後の期待を、「良い」「同じ」「悪い」から選択して指数化したものです。
数値は0を分岐点に景気改善(+)・悪化(−)と読みます。
製造業景気指数は、ニューヨーク連銀製造業景気指数→フィラデルフィア連銀製造業景気指数→リッチモンド連銀製造業景気指数→シカゴ購買部協会景気指数→ISM製造業景気指数があります。ISM製造業景気指数の先行指標がフィラデルフィア連銀製造業景気指数で、フィラデルフィア連銀製造業景気指数の先行指標がニューヨーク連銀製造業景気指数、という見方があります。
後述するように、これはアテにならない言い伝えです。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。反応が小さな指標です。10pips以上反応したことは39%です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
このグラフ推移は市場予想後追い型のようです。確認しておきます。
2015年2月以降前回までの30回の発表で、市場予想と発表結果の大小関係が入れ替わったことは15回です。入れ替わり率はほぼ50%で、市場予想後追い型ではありません。
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次に、関連指標であるNY連銀景況指数との相関有無について調べておきます。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。市場予想は、後で発表される指標が先に発表される指標結果によって影響されてしまいます。
結果は、2015年1月以降前回までの31回の発表で、実態差異の符号(プラス/マイナス)が一致したことは16回でした(52%)。
これでは、先に発表されたNY連銀景況指数が前回より良かったか悪かったかを、Phil連銀景況指数が前回より良くなるか悪くなるかの予想論拠とすることができません。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で9pipsしかありません。反応は小さく、10pips以上反応したことは39%です。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 本指標のNY連銀景況指数との実態差異一致率は52%しかありません。これでは、先に発表されたNY連銀景況指数が前回より良かったか悪かったかを、Phil連銀景況指数が前回より良くなるか悪くなるかの予想論拠とすることができません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去4回(頻度13%)あります。この4回の直後1分足跳幅は12pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均9pipsよりやや大きい程度です。そして、この4回の直前10-1分足と直後1分足の方向は2回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍強の10pips以上だったことは過去にありません。直前1分足は陰線率が高いものの、過去87%が数pipsの上ヒゲを持っています。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さく、戻り比率が大きいので、あまり追撃には適していません。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度13%)直前10-1分足均跳幅が10pips以上動くことがあります。がしかし、過去のこうした事例では、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は4pipsです。跳幅がその2倍強の10pips以上だったことは過去にありません。10pipsも跳ねたら何か過去にない異常なことが起きています。そして、直前1分足は陰線率が高いものの、過去87%が数pipsの上ヒゲを持っています。
(3) そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率44%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さく、戻り比率が大きいので、あまり追撃には適していません。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は81%です。そして、その81%の方向一致時だけに注目すると、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが82%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは41%しかありません。直後1分足と直後11分足とが反転したことは19%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが41%もあります。
早期追撃で得たポジションは発表から1分を過ぎたら早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が77%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が81%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足の方向一致率がそれぞれ74%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しがちです。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月17日21:30発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は+18.9(前回+19.5、予想+18.5)で、反応は陽線でした。
市場予想を上回ったものの、前回結果を下回り、調査対象外期間ですが、その後は陰線側に転じています。
内訳で見るべき大きな変化は、新規受注が大きく伸びています。この原因のひとつは、4月以降にUSDJPYを除く多くのドルストレート通貨ペアで、ドル安が進行しているため、と推察されます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 指標結果の分析で、単月毎のNY連銀景況指数の良し悪しは、本指標結果の良し悪しと一致率が52%しかありません。NY連銀との対比はグラフ全体の傾向を見て行うべきで、単月毎に参考にすることは確率的に無意味です。
これは実態差異の一致率について述べています。それを書き加える必要があります。 - 過去の初期反応は、市場予想に対する良し悪しに素直に反応しがちですが、平均的な反応は10pipsにも達していません。
今回の事後差異はプラスで初期反応は陽線、10pipsに達していません。 - 反応は発表から1分を過ぎても伸びがちですが、どの時点かで反転するのでしょう。直後1分足終値に対し直後11分足終値が伸びていたことは50%を切っています。追撃を行うなら、早期参加・短期利確です。
これは分析を外しています。「どの時点かで反転する可能性が高い」と来月から直します。
今回は、直後1分足跳幅・値幅を直後11分足跳幅・値幅が超えて反応を伸ばしました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線と見込みました。がしかし、pipsが小さいため、無理に取引しないつもりでした。結果は陽線で、取引しませんでした。
- 指標発表後は、反応方向を確認してから追撃を行うことにしていました。発表から1分を過ぎたらいつ反転し始めるかがわからないため早期利確するつもりでした。結果は追撃成功で、ポジション保有時間は29秒でした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月17日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが40%、31-45pips跳ねたことが30%で、この範囲に分布の70%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6・7行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足・実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の差異+1✕前年比の差異+4✕コア前月比の差異+2✕コア前年比の差異、となります。
事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
今回の事前差異はマイナスです。よって、直前10-1分足は陰線となる期待的中率が77%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率が高いということは、発表結果の良し悪しに素直に反応する、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が22pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度47%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度30%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しょっちゅう(頻度47%)直前10-1分足跳幅は20pips以上に達します。がしかし、直前10-1分足が20pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(2) しばしば(頻度30%)直前1分足跳幅が10pips以上に達します。がしかし、直前1分足が10pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%と、50%を切ってしまっています。直後1分足と直後11分足とが反転したことは28%しかないものの、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが24%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、注目していた全項目で前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、弱い陽線で反応しました。
市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。発表直後から陰線でも不思議ではない結果でした。
取引結果は次の通りでした。
指標発表を跨いだ取引は、気の迷いでしょうか、止めてしまいました。そんなときに限って、シナリオが当たっていました。
FXをやっていると、何をやっても駄目なとき、というのがあります。そんなときにやけくそになって取引すると、もっと酷い目に遭います。だから、やけくそになるぐらいなら、何もしない方がマシです。そんな感じの取引になってしまいました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日17:30に英国実態指標「小売売上高指数」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 指標発表前に大きく動きがちにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。
最も取引が難しい指標だと言えるでしょう。 - 後掲する判別式符号は、事前差異について直前10-1分足との方向一致率が77%、事後差異について直後1分足との方向一致率が79%です。
- 追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、「超」短期取引(せいぜい10秒とか20秒の取引)に徹する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、直前10-1分足と同方向、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 事前差異判別式と直前10-1分足の方向一致率が77%です。
(2) 反応一致性分析の結果、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が高く、直後11分足は直後1分足との方向一致率が高い、と見込まれます。
(3) 指標一致性分析の結果、直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、と見込まれます。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) 直前10-1分足跳幅は20pips以上に達した頻度は47%、直前1分足跳幅が10pips以上に達した頻度は33%もあります。がしかし、直前10-1分足や直前1分足がそれだけ動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。慌てて釣られると、痛い目に遭いかねません。気を付けましょう。
(2) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生しています。高値(安値)掴みに気を付けましょう。
(3) 以上のローソク足観察の結果、本指標は取引が難しい指標だと言えます。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
(2) 直前1分足は陰線と見込みます。
(3) 直後1分足は直前10-1分足と同じ方向と見込みます。
(4) 追撃は早期開始・短期利確します。
(5) 発表から1分を過ぎたら、追撃は超短期利確が狙える機会を窺います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響します。特に1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動することが知られています。
英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。
発表元は英国国家統計局、時期は翌月中旬です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で30pipsです。16-30pips跳ねたことが40%、31-45pips跳ねたことが30%で、この範囲に分布の70%が属します。
反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上4行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めたものです。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から5行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、全項目の差異を単純に全て加えたものになります。直前10-1分足は、この判別式差異符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、方向一致率が77%になります。
上から6・7行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足・実態差異(発表結果ー前回結果)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この判別式は、3✕前月比の差異+1✕前年比の差異+4✕コア前月比の差異+2✕コア前年比の差異、となります。
事後差異判別式符号と直後1分足は、方向一致率が79%になります。
今回の事前差異はマイナスです。よって、直前10-1分足は陰線となる期待的中率が77%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率が高いということは、発表結果の良し悪しに素直に反応する、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が22pipsです。跳幅が20pips以上だったことは過去14回(頻度47%)あります。この14回の直後1分足跳幅は29pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均30pipsとほぼ同じです。そして、この14回の直前10-1分足と直後1分足の方向は8回(57%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去9回(頻度30%)あります。この9回の直後1分足跳幅の平均は26pipsで、これは過去全平均30pipsよりやや小さいものの、ほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(44%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応方向程度や方向を示唆しているとは言えません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) しょっちゅう(頻度47%)直前10-1分足跳幅は20pips以上に達します。がしかし、直前10-1分足が20pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(2) しばしば(頻度30%)直前1分足跳幅が10pips以上に達します。がしかし、直前1分足が10pips以上動いても、それが直後1分足の方向や程度を示唆しているとは言えません。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ40%・33%でした。戻り比率が30%以上のときは、長ヒゲが多く発生して取引が難しい指標だと言えます。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は72%です。そして、その72%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが95%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
がしかし、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは48%と、50%を切ってしまっています。直後1分足と直後11分足とが反転したことは28%しかないものの、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことが24%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が78%と、偏りが目立ちます。
また、直後10-1分足と直後11分足の方向一致率が70%、直後1分足と直後11分足の方向一致率が72%と、高くなっています。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
直前10-1分足は、事前差異・事後差異・実態差異との方向一致率がそれぞれ77%・73%・73%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線ということになります。そして、もし直前10-1分足が陰線/陽線ならば、発表結果は市場予想・前回結果を下回る/上回る、ということです。
また、事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ79%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しには、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月17日17:30発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、注目していた全項目で前回を下回りました。がしかし、前年比を除く前月比・コア前月比・前年比で市場予想を上回ったため、弱い陽線で反応しました。
市場予想を上回っても売上が減っているのなら、BOE利上げには繋がりません。発表直後から陰線でも不思議ではない結果でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
指標発表を跨いだ取引は、気の迷いでしょうか、止めてしまいました。そんなときに限って、シナリオが当たっていました。
FXをやっていると、何をやっても駄目なとき、というのがあります。そんなときにやけくそになって取引すると、もっと酷い目に遭います。だから、やけくそになるぐらいなら、何もしない方がマシです。そんな感じの取引になってしまいました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 全般的な特徴は次のように捉えていました。
「指標発表前に大きく動きがちにも関わらず、その方向は指標発表後の反応方向との関係が見出せません。指標発表前後を問わず、長いヒゲを生じることも多く見受けられます。最も取引が難しい指標だと言えるでしょう。」
今回、損切になったのは、単に私がついていなかったからかも知れませんが、この内容は来月もそのままでいいでしょう。 - 判別式については次のように捉えていました。
「判別式符号は、事前差異について直前10-1分足との方向一致率が77%、事後差異について直後1分足との方向一致率が79%です。」
事前差異判別式結果はマイナスで直前10-1分足は陽線、事後差異判別式結果はプラスで直後1分足は陽線でした。事前差異を外し、事後差異は当たったようです。
外した事前差異の方は、来月3%ぐらい期待的中率が下がるでしょう。 - 指標発表後の取引方法について、次のように考えていました。
「追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。がしかし、指標発表から1分を経過すると、早期追撃で得たポジションは早期利確すべきです。そしてもし、その後も追撃を繰り返すなら、焦らずにタイミングを計って、「超」短期取引(せいぜい10秒とか20秒の取引)に徹する方が良いでしょう。」
結果は直後1分足値幅を直後11分足が削っており、この内容はこれで来月も良いでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線でした。
- 直後1分足は直前10-1分足と同じ方向と見込みました。結果は、直後1分足と直前10-1分足とは同じ方向になりました。
- 追撃は早期開始・短期利確するつもりでした。結果は、反応を伸ばさず損切となりました。
- 発表から1分を過ぎたら、追撃は超短期利確が狙える機会を窺って行うつもりでした。分析を外しまくりだったので、もう追撃は止めておきました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月16日
豪州雇用統計発表前後のAUDJPY反応分析(2017年8月17日10:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。
指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。
失業率については、リーマンショック前の2008年頃には4.1%まで低下したことがあります。直近では2017年5月分の5.1%が最も低い数字です。
2015年末を境に、それ以前に比べて反応が小さくなっています。それ以前からRBAは利下げを行っていたので、その時期に大きく情勢が変わったことは、FRBの利上げ開始です。米豪金利差が小さくなるスピードが速まると、豪雇用統計への反応が小さくなる理由はわかりません。
とは言え、それでも本指標が大きく反応する経済指標のひとつであることには変わりありません。
大きく反応する指標なので、指標発表時刻を跨いでポジションを取ることは薦められません。大きく動く指標の分析で最も大切なことは、どうすれば発表後の追撃が容易になるか、です。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsです。分布は、19-37pips跳ねたことが47%と半分近くあります。それ未満の18pips以下だったことは13%しかありません。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、失業率と新規雇用者数と労働参加率の各項目について、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
そして、上から4行目・5行目・6行目は、それぞれ事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足・実態差異と直後11分足の方向一致率が高くなるように、係数を求めています。
結果、本指標ではそれらを細かく使い分けるよりも、同じ係数の判別式として使っても、方向一致率があまり変わらないことがわかりました。
判別式は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、です。
過去発表時の直後1分足は、この判別式の符号がプラスのとき陽線でマイナスのとき陰線となる正解率が80%となります。
式が表す内容を掴みます。
失業率は、過去のグラフ推移を見ると、市場予想と発表結果のズレが0.1〜0.2%程度です。仮に0.1%上振れした場合を想定すると、この上振れをキャンセルし得る新規雇用者数は、判別式の係数から0.4万人の増加ということになります。
失業率の市場予想とのズレは0.1〜0.2%程度しか起きない、とします。このとき、新規雇用者数0.8万人以上のズレが起きれば、先の判別式係数の関係で、直後1分足の反応方向は新規雇用者数のズレに依存します。そして、新規雇用者数の0.8万人というズレなんて、しょっちゅう起きていると見立てます。
2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度37%)あります。この11回の直後1分足跳幅は35pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、この11回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(45%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去7回(23%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は38pipsで、これは過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません(0%)。
つまり、直前1分足跳幅が平均より少し大きく10pips動いたときは注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
一般に戻り比率が30%を超えるとヒゲが目立つ傾向があります。がしかし、本指標直後11分足は、まんべんなく戻しているためか、直後11分足ローソク足にヒゲは目立ちません。
直後1分足と直後11分足については、ローソク足観察よりも他の分析結果を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%となっています。それほど安心してポジションを持ち続けられる数字ではないので、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。
動きは、発表と同時にどーんと陰線側に跳ね、すぐに陽線側へと転じました。がしかし、陽線側への反応は伸び悩み、発表から1分を過ぎる頃には陰線側に転じました。
発表時刻を跨いでポジションを持っていた場合、ロングであれショートであれ、安全のためには損切せざるを得ない動きでした。
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだ取引では、大きく陰線側に振れたのを見て損切しました。すぐに陽線側に転じたものの、安全のため、これは仕方ありません。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日10:30に豪州雇用統計が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月16日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 2015年末頃を境に、本指標は反応程度が一段小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。
- 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
- 追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 危ないので自己責任でお願います。
今回の指標結果の予想分析結論は、発表直後が陽線、です。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
(3) 反応一致性分析によれば、直後1分足の陽線率が73%と、偏りが目立ちます。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始です。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足は陽線と見込みます。
(3) 追撃は、反応方向を確認したら、早期参加・短期利確です。
(4) 発表から1分を過ぎて追撃するなら、短期利確の繰り返しで行います。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
新規雇用者数の調査は、事業者の給与支払い帳簿を基に集計したものです。
指標の良し悪しを見る上で、豪州人口が自然増であることや毎月の離職者も存在することを踏まえると、+1万人ぐらいが中立的な数字ではないでしょうか。
失業率については、リーマンショック前の2008年頃には4.1%まで低下したことがあります。直近では2017年5月分の5.1%が最も低い数字です。
2015年末を境に、それ以前に比べて反応が小さくなっています。それ以前からRBAは利下げを行っていたので、その時期に大きく情勢が変わったことは、FRBの利上げ開始です。米豪金利差が小さくなるスピードが速まると、豪雇用統計への反応が小さくなる理由はわかりません。
とは言え、それでも本指標が大きく反応する経済指標のひとつであることには変わりありません。
大きく反応する指標なので、指標発表時刻を跨いでポジションを取ることは薦められません。大きく動く指標の分析で最も大切なことは、どうすれば発表後の追撃が容易になるか、です。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で37pipsです。分布は、19-37pips跳ねたことが47%と半分近くあります。それ未満の18pips以下だったことは13%しかありません。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、失業率と新規雇用者数と労働参加率の各項目について、ひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
そして、上から4行目・5行目・6行目は、それぞれ事前差異と直前10-1分足・事後差異と直後1分足・実態差異と直後11分足の方向一致率が高くなるように、係数を求めています。
結果、本指標ではそれらを細かく使い分けるよりも、同じ係数の判別式として使っても、方向一致率があまり変わらないことがわかりました。
判別式は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、です。
過去発表時の直後1分足は、この判別式の符号がプラスのとき陽線でマイナスのとき陰線となる正解率が80%となります。
式が表す内容を掴みます。
失業率は、過去のグラフ推移を見ると、市場予想と発表結果のズレが0.1〜0.2%程度です。仮に0.1%上振れした場合を想定すると、この上振れをキャンセルし得る新規雇用者数は、判別式の係数から0.4万人の増加ということになります。
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失業率の市場予想とのズレは0.1〜0.2%程度しか起きない、とします。このとき、新規雇用者数0.8万人以上のズレが起きれば、先の判別式係数の関係で、直後1分足の反応方向は新規雇用者数のズレに依存します。そして、新規雇用者数の0.8万人というズレなんて、しょっちゅう起きていると見立てます。
2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。
(2) 2015年2月以降前回発表までの29回で、新規雇用者数の前月結果と発表結果が入れ替わったことは16回あります(頻度55%)。そして、前回6月分発表では、発表結果が市場予想を僅かに下回りました。よって、今回は発表結果が市場予想を上回る期待的中率は55%ということになります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が9pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去11回(頻度37%)あります。この11回の直後1分足跳幅は35pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、この11回の直前10-1分足と直後1分足の方向は5回(45%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が8pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去7回(23%)あります。この6回の直後1分足跳幅の平均は38pipsで、これは過去全平均37pipsとほぼ同じです。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は1回も一致していません(0%)。
つまり、直前1分足跳幅が平均より少し大きく10pips動いたときは注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
一般に戻り比率が30%を超えるとヒゲが目立つ傾向があります。がしかし、本指標直後11分足は、まんべんなく戻しているためか、直後11分足ローソク足にヒゲは目立ちません。
直後1分足と直後11分足については、ローソク足観察よりも他の分析結果を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) よく(頻度37%)直前10-1分足跳幅が10pips以上動きます。がしかし、直前10-1分足の反応が10pips以上動いても、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られないように気を付けましょう。
(2) ときどき(頻度23%)直前1分足跳幅が10pips以上動く場合があります。この場合、注意が必要です。過去事例では、こうした場合には全て、直前1分足と同じ方向に直後1分足が反応していません(逆か始値終値同値)。釣られて直前1分足が伸びた方向に追撃すべきでありません。
(3) 直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は9pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率24%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが63%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは55%となっています。それほど安心してポジションを持ち続けられる数字ではないので、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が86%、直後1分足は陽線率が73%と、偏りが目立ちます。そして、直前1分足と直後1分足の方向一致率が25%(不一致率75%)となっており、矛盾はありません。
その他、直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ80%・83%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
実態差異と直後1分足の方向一致率が70%となっています。前回結果に対する発表結果の良し悪しの影響も受けています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月17日10:30発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
発表結果は新規雇用者数が+2.79万人(予想+2.0万人)となり、初期反応は陽線となりました。がしかし、常勤雇用者数△2.03万人(前回+6.2万人)の悪化が嫌気され、陰線側へと転じました。
動きは、発表と同時にどーんと陰線側に跳ね、すぐに陽線側へと転じました。がしかし、陽線側への反応は伸び悩み、発表から1分を過ぎる頃には陰線側に転じました。
発表時刻を跨いでポジションを持っていた場合、ロングであれショートであれ、安全のためには損切せざるを得ない動きでした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
発表時刻を跨いだ取引では、大きく陰線側に振れたのを見て損切しました。すぐに陽線側に転じたものの、安全のため、これは仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 全体的な傾向について、次のように捉えていました。
「2015年末頃を境に、本指標は反応程度が一段小さくなりました。とは言え、それでもかなり大きく反応する指標なので、発表時刻を跨いでポジションを持つことには慎重でなければいけません。」
この内容は来月もこのままで良いでしょう。
気になったので、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きかったことを調べてみました。
このブログで、4本足ローソク足の記録を残していたことは、2016年12月分と2017年3・5・6月分と今回の5回です。このうち、2016年12月分と今回の2回(頻度40%)で、直後1分足の逆跳幅が順跳幅より大きくなっていました。
つまり、例え分析が当たっていても、一旦は逆方向に動くことが多いことがわかりました。
このことは、次回以降に指標の特徴として追加しておきます。 - 判別式について、次のように捉えていました。
「過去の直後1分足の反応方向は、ー5✕失業率の差異[%]+2✕新規雇用者数の差異[万人]+1✕労働参加率の差異[%]、という判別式符号と83%一致しています(プラスならば陽線、マイナスならば陰線)。式の係数の大きさから言えば、失業率0.1%のズレは、新規雇用者数0.4万人に相当します。」
結果は、今回の事後差異がプラスで、直後1分足は陽線だったので、問題ありません。 - 取引方法について、次のように捉えていました。
「追撃は、指標発表後に反応方向を確認したら早期開始に向いています。そして、発表から1分を過ぎたら早期利確した方がよいと思われます(1分経過を待たずに利確すできるなら、その方が良い)。その後の追撃は、短期利確の繰り返して行った方が良いでしょう。」
結果は、直後11分足が直後1分足の方向と反転しているので、この内容で問題ありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオを検証しておきます。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 直後1分足は陽線と見込みました。結果は陽線でした。
- 追撃は、反応方向を確認したら、早期参加・短期利確を狙いました。結果はこれで良かったと思います。
- 発表から1分を過ぎて追撃するなら、短期利確の繰り返しで行った方が良いと考えていました。結果は、直後11分足が直後1分足の方向と反転したので、この内容で問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
英国雇用統計発表前後のGBPJPY反応分析(2017年8月16日17:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月16日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険新鮮件数が2017年7月分の集計結果で、平均給与と失業率が2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
です。
意外なことに反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいことがわかります。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が69%となりました。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が87%となりました。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、+1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が62%となりました。
もちろん、これらのように複雑な式を指標発表直後にぱぱっと解くことなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、その指標がこの計算に用いた仮定に沿った素直な反応をしていることがわかる点にあります。仮定とは、各差異とローソク足方向の関係に相関がある、ということです。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度20%)あります。この6回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(37%)あります。この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%あります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%あります。直後1分足と直後11分足とが反転したことは21%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが28%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月16日20:00頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良い結果と言って良く、反応は陽線でした。
そして、以降もGBPの近々の取引方針として、これほど良い結果でも発表から2h程度で指標発表前のレートまで戻したことを覚えておきましょう。
内容を見ておきます。
失業保険申請件数は△0.42万人で、マイナスとなったのは2月以来5か月ぶりです。失業率は4.4%と、ここ数年の最低水準まで低下しました。平均所得も上昇し、2%を上回りました。
当然、直後1分足は50pips弱まで一気に跳ね上がりました。これより大きな直後1分足跳幅は、2015年8月まで遡らないとありません。
取引結果は次の通りでした。
反応が大きすぎて、追撃できるpipsが少なすぎました。わかりやす過ぎる結果も困ったものです。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月16日17:30に英国雇用統計が発表されます。今回発表は、失業保険新鮮件数が2017年7月分の集計結果で、平均給与と失業率が2017年6月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 初期反応平均値は30pipsも跳ねています。反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいため、追撃では利確ポイントを見極めることが難しい指標だと言えます。
- 個別の発表項目の増減を見ても、反応方向がわかりにくい指標です。事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、です。この判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は87%です。
- 指標発表前に10pips以上動くことがよくあります。がしかし、過去事例に依れば、こうした動きは指標発表後の反応方向と関係あるとは言えません。
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今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 2015年1月以降前回までの直前10-1分足の反応方向は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、という判別式が有効です。事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は69%です。
(2) 直後1分足の反応方向は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、という判別式が有効です。事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は87%です。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃で、発表から1分を過ぎたら早期利確すべきです。その後の追撃にはあまり適していません。
(2) 反応一致性分析の結論は、以下の通りです。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。この結果は反応一致性分析の結論と矛盾しています。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 追撃は、反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。大きく反応したときには、直後1分足や直後11分足の跳幅に対し値幅は30%以上となります。一方向に伸びるときにも上下動が大きくなる可能性が高いので、ご注意ください。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
日本を除く主要国では、雇用統計発表直後の反応が他の指標発表時よりも大きくなる傾向があります。これは、雇用統計がその国の景気を最もよく表しており、失業率が高いそれらの国で中銀金融政策に大きな影響を与える、と考えられているからです。
英国では日本よりもかなり早くから派遣雇用者が多いという特徴がありました。そもそも終身雇用という制度がないという雇用環境も、我々とは異なります。景気見通しや株価見通しに、雇用者数が敏感に反応しがちです。そうした社会的背景を知らないと、英国雇用統計はよくわからないものです。
同時発表される平均所得は、我々の日頃の言葉で言えば平均給与といった方がイメージに合うと思います。少なくとも数年前までは参考程度の指標でしたが、直近2年程度はこの多寡に反応しています。
ざっくりとキリの良い数字で具体的にイメージするなら、年収1200万(600万)のとき1%(2%)上昇すると、来年の月給が今年よりも毎月1万円増えるということです。この水準は日本のバブル末期(1990年頃)の状態とほぼ同じです。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で32pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また上表分布を別の言い方で説明すると、
- 16pips以下だったことは37%
- 17-32pipsが20%
- 33-48pipsが20%
- 49-63pipsが13%
- 64pips以上は10%
です。
意外なことに反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいことがわかります。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+10✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー5✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が69%となりました。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が87%となりました。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、+1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が62%となりました。
もちろん、これらのように複雑な式を指標発表直後にぱぱっと解くことなどできません。この判別式の意義は、一致率が高いほど、その指標がこの計算に用いた仮定に沿った素直な反応をしていることがわかる点にあります。仮定とは、各差異とローソク足方向の関係に相関がある、ということです。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が15pipsです。ぱぱっと計算しやすいように、跳幅が20pips以上だったことは過去6回(頻度20%)あります。この6回の直後1分足跳幅は15pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均32pipsと比べて半分以下です。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。
次に、直前1分足は過去平均跳幅が9pipsです。跳幅が10pips以上だったことは過去11回(37%)あります。この11回の直後1分足跳幅の平均は45pipsで、これは過去全平均32pipsより明らかに大きくなっています。そして、このとき直前1分足と直後1分足の方向は4回(36%)一致しています。
つまり、直前1分足の反応が平均より少し大きく動いたとき、直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する可能性が高い、と言えます。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は11pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率34%)です。直後11分足のそれは14pips(戻り比率33%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度20%)直前10-1分足跳幅が20pips以上動くことがあります。過去事例では、それが直後1分足の方向を示唆しているとは言えません。反応程度はむしろ小さくなる傾向が窺えます。釣られて怪我しないように気をつけましょう。
(2) よく(37%)直前1分足跳幅が10pips以上動くことがあります。過去事例では、そうした場合に直後1分足は反応方向こそわからないものの、大きく反応する傾向があります。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ34%・33%でした。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は79%です。そして、その79%の方向一致時だけに注目すると、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは65%あります。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら早期追撃です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは52%あります。直後1分足と直後11分足とが反転したことは21%しかないものの、直後11分足は直後1分足の値幅を削ったことが28%あります。
早期追撃で得たポジションは早期利確すべきであり、そしてその後の追撃にはあまり適していません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が76%と、偏りが目立ちます。
直前10-1分足は、直前1分足との方向一致率が28%(不一致率72%)となっています。直前10-1分足は陽線ということです。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が79%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が69%です。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線の可能性が高い、と言えます。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ87%・79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月16日17:30発表
以下は2017年8月16日20:00頃に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全面的に良い結果と言って良く、反応は陽線でした。
そして、以降もGBPの近々の取引方針として、これほど良い結果でも発表から2h程度で指標発表前のレートまで戻したことを覚えておきましょう。
内容を見ておきます。
失業保険申請件数は△0.42万人で、マイナスとなったのは2月以来5か月ぶりです。失業率は4.4%と、ここ数年の最低水準まで低下しました。平均所得も上昇し、2%を上回りました。
当然、直後1分足は50pips弱まで一気に跳ね上がりました。これより大きな直後1分足跳幅は、2015年8月まで遡らないとありません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
反応が大きすぎて、追撃できるpipsが少なすぎました。わかりやす過ぎる結果も困ったものです。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 本指標の反応程度について次のように捉えていました。
「初期反応平均値は30pipsも跳ねています。反応が小さいことも多く、大きく反応するときには反応程度のばらつきが大きいため、追撃では利確ポイントを見極めることが難しい指標だと言えます。」
来月もこの内容で問題ありません。 - 指標結果と反応方向の関係について次のように捉えていました。
「個別の発表項目の増減を見ても、反応方向がわかりにくい指標です。事後差異(発表結果ー市場予想)判別式は、−1✕失業保険申請件数事前差異[万人]+30✕平均所得(含ボーナス)事前差異[%]ー30✕失業率事前差異[%]、です。この判別式の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直後1分足の方向の一致率は87%です。」
来月もこの内容で問題ありません。 - 本指標取引上の注意点について次のように記していました。
「指標発表前に10pips以上動くことがよくあります。がしかし、過去事例に依れば、こうした動きは指標発表後の反応方向と関係あるとは言えません。」
今回、直前10-1分足跳幅が10pipsとなり、直後1分足の反応方向はそれと同方向でした。引き続き、確率的な捉え方を続けます。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陰線でした。
- 追撃の方針を次のように記していました。
「反応方向を確認したら早期参加し、発表から1分を過ぎたら利確のタイミングを計りましょう。大きく反応したときには、直後1分足や直後11分足の跳幅に対し値幅は30%以上となります。一方向に伸びるときにも上下動が大きくなる可能性が高いので、ご注意ください。」
結果は、発表直後に跳ね上げると、17:33には多少戻しました。17:36に直後11分足の高値を付けると、その後は戻していきました。よって今回は、過去の傾向に沿った反応だったと思われます。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
2017年08月15日
米国実態指標「小売売上高」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月15日21:30発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月15日21:30に米国実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
同時刻に、景気指標「NY連銀製造業景況指数」と物価指標「輸入物価指数」が発表されます。過去の反応程度を見比べる限り、これらの指標よりも本指標への反応の方が大きいことがわかっています。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高は重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で26pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また分布は、
です。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比と前年比のどちらが反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、前月比と除輸送機器(コア前月比)を、項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算はどちらが反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、2✕前月比事前差異+1✕コア前月比事前差異、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が60%となりました。
個々の項目毎の直前10-1分足との方向一致率よりは高くなるものの、それほどアテになる数字ではありません。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が83%となりました。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この実体差異判別式は、ー2✕前月比実態差異+1✕コア前月比実態差異、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が55%と高くなります。
個々の項目毎の直後11分足との方向一致率よりは高くなるものの、それほどアテになる数字ではありません。
判別式の各項係数に基づき、影響が大きい方のコア前月比推移に注目します。
コア前月比のグラフ推移を見ると、前回結果と市場予想とが入れ替わったことが12回(頻度41%)です。50%に近く、本指標は市場予想後追い型ではありません。
次に、関連指標であるCPIとの相関有無はわかりやすいのです。
2017年2月分から前月6月分まで直近5か月は、小売売上高とCPIとは同時発表されていました。同時発表なので、反応方向は同じです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。
この実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果を比較します。すると、直近5か月の実態差異符号も完全に一致しています。
CPIが前回結果より上昇/下降するときは、小売売上高も前回結果より上昇/下降するのです。
この傾向をアテにするならば、7月分CPIは既に8月11日に発表されています。実態差異はプラスでした。よって、今回の小売売上高実態差異もプラスと予想されます。
残念なことに、今回の市場予想はプラスとなっています。前回より数値改善するのだとしても、市場予想を上回るか下回るかはわかりません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 事後差異判別式は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が83%となりました。
判別式係数の符号がプラスで方向一致率が83%という数字を見る限り、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しがちです。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 同月分CPIの実態差異が上昇/下降したとき、小売売上高の実態差異も上昇/下降することが、直近5回の発表でわかっています。7月分CPI実態差異はプラスだったので、本指標今回の実態差異もプラスと予想されます。
がしかし残念なことに、本指標今回の事前差異(市場予想ー前回結果)もプラスなので、今回の実態差異がプラスでも、市場予想を上回るか否かはわかりません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。跳幅がその2倍の10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。この3回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均26pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(100%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が10pips以上となったときには、その方向に直後1分足が反応することを示唆している可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。跳幅がその2倍の10pips以上だったことは過去1回(3%)あります。この1回の直後1分足跳幅は22pipsで、直前1分足と直後1分足の方向が逆になっています。
つまり、直前1分足跳幅が10pips以上となったときには、直後1分足がそれと同じ方向に反応するとは言えません。慌てて釣られないように注意しましょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率23%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) まれに(頻度10%)直前10-1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、その方向に直後1分足が反応することを示唆している可能性があります。
(2) ごくまれに(頻度3%)直前1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、直後1分足がそれと同じ方向に反応するとは言えません。慌てて釣られないように注意しましょう。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ23%・29%でした。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、過去に方向が一致した時には全て反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したらすぐに追撃開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは60%です。直後1分足と直後11分足とが反転したことは17%しかなく(大きな損切リスク)、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことも23%(小さな損切リスク)です。
小分けに短期利確を繰り返すにせよ、最初に得た追撃ポジションの含益を伸ばすにせよ、追撃は徹底すべき数字とです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が93%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・72%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
ちなみに、直後1分足が素直に反応しがち(期待的中率70%以上)という性質は、指標分析においてとても大切です。この特徴がない指標では、何をどう分析してどんな傾向があったとしても、それが「傾向」なのか「偶然の偏り」なのかの区別がつかなくなる、と考えられます。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月18日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前月比・コア前月比(除輸送機器)ともに前回・予想を上回り、反応は陽線でした。発表直後陽線は5か月ぶりです。
指標のグラフ推移は、前月比・コア前月比ともに直近ピークの2017年4月を上回り、前月比は2016年12月以来、コア前月比は2017年1月以来の良い数字です。それらの時期はトランプ相場終盤の最も米国指標全般に良かった時期です。
同時発表されたNY連銀製造業景況指数も大幅改善しており、USD相場の目下最大懸念は政権不安という感じです。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足が値幅4pipsの陽線となったのは2016年3月分以来です。まぁ負けても仕方ありません。
事前調査分析内容を、以下に検証します
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月15日21:30に米国実態指標「小売売上高」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
同時刻に、景気指標「NY連銀製造業景況指数」と物価指標「輸入物価指数」が発表されます。過去の反応程度を見比べる限り、これらの指標よりも本指標への反応の方が大きいことがわかっています。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 本稿は8月14日に記しています。市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標実態差異(発表結果ー前回結果)符号は、同月分のCPI実態差異符号と一致します(直近5回の一致率は100%)。けれども残念なことに、7月分CPI実態差異符号はプラスで、今回の本指標市場予想は前回結果を上回っているので、今回発表結果が市場予想を上回るか否かは特定できません。
- 過去の直後1分足の反応方向は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線)と83%一致しています。
- 初期反応は大きく、反応方向は素直で、追撃は徹底に適した指標です。
ーーー$€¥ーーー
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 事後差異判別式は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が83%となりました。
判別式係数の符号がプラスで方向一致率が83%という数字を見る限り、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しがちです。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 同月分CPIの実態差異が上昇/下降したとき、小売売上高の実態差異も上昇/下降することが、直近5回の発表でわかっています。7月分CPI実態差異はプラスだったので、本指標今回の実態差異もプラスと予想されます。
がしかし残念なことに、本指標今回の事前差異(市場予想ー前回結果)もプラスなので、今回の実態差異がプラスでも、市場予想を上回るか否かはわかりません。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) まれに(頻度10%)直前10-1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、その方向に直後1分足が反応することを示唆している可能性があります。
(2) ごくまれに(頻度3%)直前1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、直後1分足がそれと同じ方向に反応するとは言えません。慌てて釣られないように注意しましょう。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ23%・29%でした。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、過去に方向が一致した時には全て反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したらすぐに追撃開始です。そして、小分けに短期利確を繰り返すにせよ、最初に得た追撃ポジションの含益を伸ばすにせよ、追撃は徹底すべきと考えます。
(2) 反応一致性分析の結論は以下の通りです。
直前1分足は陰線率が93%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・72%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前1分足は陰線と見込みます。
(2) 直前10-1分足跳幅が10pips以上となったときのみ、指標発表直前に同方向にポジションを取ります。発表直後の跳ねで利確・損切します。
(3) 指標発表後は早期追撃開始で、複数回に分けて徹底します。
分析結論から言えば、小分けにせずに長くポジションを持っても良い数字となっています。がしかし、今回は同時刻にNY連銀製造業景況指数の発表も予定されています。その結果が本指標と良し悪し一致しないとき、どう反応するのかはわかりません。だから今回は、複数回に分けて短期利確を繰り返しながら追撃した方が良さそうです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高は重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
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本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で26pipsです。反応が大きいため、指標発表時刻を跨いでポジションを持つことは慎重でなければいけません。
また分布は、
- 13pips以下だったことは17%
- 14-26pipsが36%
- 27-39pipsが34%
- 40-52pipsが10%
- 53pips以上は3%
です。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
前期比と前年比のどちらが反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上2行は、前月比と除輸送機器(コア前月比)を、項目毎に反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算はどちらが反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から3行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事前差異判別式は、2✕前月比事前差異+1✕コア前月比事前差異、と各係数を決めると、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率が60%となりました。
個々の項目毎の直前10-1分足との方向一致率よりは高くなるものの、それほどアテになる数字ではありません。
上から4行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この事後差異判別式は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が83%となりました。
最下段5行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
この実体差異判別式は、ー2✕前月比実態差異+1✕コア前月比実態差異、と各係数を決めると、実体差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率が55%と高くなります。
個々の項目毎の直後11分足との方向一致率よりは高くなるものの、それほどアテになる数字ではありません。
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判別式の各項係数に基づき、影響が大きい方のコア前月比推移に注目します。
コア前月比のグラフ推移を見ると、前回結果と市場予想とが入れ替わったことが12回(頻度41%)です。50%に近く、本指標は市場予想後追い型ではありません。
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次に、関連指標であるCPIとの相関有無はわかりやすいのです。
2017年2月分から前月6月分まで直近5か月は、小売売上高とCPIとは同時発表されていました。同時発表なので、反応方向は同じです。
相関の有無は、それぞれの指標の実態差異(発表結果ー前回結果)を用いて調べます。事前差異・事後差異・実態差異のうち、市場予想が含まれないのは実態差異だけだからです。
この実態差異は、それぞれの指標の判別式に実態差異を代入した結果を比較します。すると、直近5か月の実態差異符号も完全に一致しています。
CPIが前回結果より上昇/下降するときは、小売売上高も前回結果より上昇/下降するのです。
この傾向をアテにするならば、7月分CPIは既に8月11日に発表されています。実態差異はプラスでした。よって、今回の小売売上高実態差異もプラスと予想されます。
残念なことに、今回の市場予想はプラスとなっています。前回より数値改善するのだとしても、市場予想を上回るか下回るかはわかりません。
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以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 事後差異判別式は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、と各係数を決めると、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率が83%となりました。
判別式係数の符号がプラスで方向一致率が83%という数字を見る限り、本指標は発表結果の良し悪しに素直に反応しがちです。
(2) 本指標は現在、市場予想後追い型ではありません。
(3) 同月分CPIの実態差異が上昇/下降したとき、小売売上高の実態差異も上昇/下降することが、直近5回の発表でわかっています。7月分CPI実態差異はプラスだったので、本指標今回の実態差異もプラスと予想されます。
がしかし残念なことに、本指標今回の事前差異(市場予想ー前回結果)もプラスなので、今回の実態差異がプラスでも、市場予想を上回るか否かはわかりません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が5pipsです。跳幅がその2倍の10pips以上だったことは過去3回(頻度10%)あります。この3回の直後1分足跳幅は25pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均26pipsとほぼ同じです。そして、この3回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(100%)一致しています。
つまり、直前10-1分足跳幅が10pips以上となったときには、その方向に直後1分足が反応することを示唆している可能性があります。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は5pipsです。跳幅がその2倍の10pips以上だったことは過去1回(3%)あります。この1回の直後1分足跳幅は22pipsで、直前1分足と直後1分足の方向が逆になっています。
つまり、直前1分足跳幅が10pips以上となったときには、直後1分足がそれと同じ方向に反応するとは言えません。慌てて釣られないように注意しましょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は6pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率23%)です。直後11分足のそれは10pips(戻り比率29%)です。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) まれに(頻度10%)直前10-1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、その方向に直後1分足が反応することを示唆している可能性があります。
(2) ごくまれに(頻度3%)直前1分足は、過去平均跳幅の2倍10pips以上跳ねることがあります。過去事例ではこうした場合、直後1分足がそれと同じ方向に反応するとは言えません。慌てて釣られないように注意しましょう。
(3) 直後1分足と直後11分足について、過去平均の戻り比率(1ー値幅/跳幅)を求めておきました。結果はそれぞれ23%・29%でした。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は83%です。そして、その83%の方向一致時だけを取り上げて直後1分足跳幅を、直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことが100%です。
指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、過去に方向が一致した時には全て反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したらすぐに追撃開始です。
そして、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは60%です。直後1分足と直後11分足とが反転したことは17%しかなく(大きな損切リスク)、直後11分足が直後1分足の値幅を削ったことも23%(小さな損切リスク)です。
小分けに短期利確を繰り返すにせよ、最初に得た追撃ポジションの含益を伸ばすにせよ、追撃は徹底すべき数字とです。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
直前1分足は陰線率が93%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が83%と高い点を除けば、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事後差異と直後1分足・直後11分足の方向一致率がそれぞれ83%・72%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
ちなみに、直後1分足が素直に反応しがち(期待的中率70%以上)という性質は、指標分析においてとても大切です。この特徴がない指標では、何をどう分析してどんな傾向があったとしても、それが「傾向」なのか「偶然の偏り」なのかの区別がつかなくなる、と考えられます。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月15日21:30発表
以下は2017年8月18日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は前月比・コア前月比(除輸送機器)ともに前回・予想を上回り、反応は陽線でした。発表直後陽線は5か月ぶりです。
指標のグラフ推移は、前月比・コア前月比ともに直近ピークの2017年4月を上回り、前月比は2016年12月以来、コア前月比は2017年1月以来の良い数字です。それらの時期はトランプ相場終盤の最も米国指標全般に良かった時期です。
同時発表されたNY連銀製造業景況指数も大幅改善しており、USD相場の目下最大懸念は政権不安という感じです。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足が値幅4pipsの陽線となったのは2016年3月分以来です。まぁ負けても仕方ありません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 市場予想に関して次のように記していました。
「本指標実態差異(発表結果ー前回結果)符号は、同月分のCPI実態差異符号と一致します(直近5回の一致率は100%)。けれども残念なことに、7月分CPI実態差異符号はプラスで、今回の本指標市場予想は前回結果を上回っているので、今回発表結果が市場予想を上回るか否かは特定できません。」
今回の実態差異符号はマイナスでした。CPI実態差異符号と逆になっています。根本のところで、分析を外していました。 - 判別式について次のように記していました。
「過去の直後1分足の反応方向は、1✕前月比事後差異+2✕前年比事後差異、の符号(プラスで陽線、マイナスで陰線)と83%一致しています。」
上記事後差異判別式符号はプラスでした。反応は陽線で、分析通りでした。 - 指標の特徴について次のように記していました。
「初期反応は大きく、反応方向は素直で、追撃は徹底に適した指標です。」
これで来月も良しです。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りでした。
- 直前1分足は陰線と見込みました。結果は陽線で、損切となりました。
- 直前10-1分足跳幅が10pips以上となったときのみ、指標発表直前に同方向にポジションを取り、発表直後の跳ねで利確・損切するつもりでした。
シナリオに従い、取引を諦めました。
取引を諦めたものの、結果は直前10-1分足と直後1分足の方向は陽線で一致しました。でもまぁ、これはぐずぐず言っても仕方ありません。期待的中率が低い取引は、長い目で見れば勝率を下げてしまいます。 - 追撃シナリオは次の通りでした。
「指標発表後は早期追撃開始で、複数回に分けて徹底します。
分析結論から言えば、小分けにせずに長くポジションを持っても良い数字となっています。がしかし、今回は同時刻にNY連銀製造業景況指数の発表も予定されています。その結果が本指標と良し悪し一致しないとき、どう反応するのかはわかりません。だから今回は、複数回に分けて短期利確を繰り返しながら追撃した方が良さそうです。」
結果的にNY連銀も市場予想を上回りました。小分けにしなくても良い状況になりました。が、小分けで勝負しました。そして、上下動によって、小分けにしなかった場合よりも、pipsは稼げました。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
何でも食べるな!(このブログの広告です)
日本のCMは、企業や商品のイメージ向上のため、他社や競合品の悪口を露骨に言わないそうです。そういうのは何か上品でいい感じです。だから、真似してみました。
若い頃、友人に誘われてキャンプに行ったときのことです。彼は、何だか変な毛がたくさん生えた山菜を採ってきて、天ぷらの準備をしていました。
「これは旨い」と彼は言いました。そして「きっと旨い」と付け加えました。
危なく聞き逃すところでした。
食べたこともない毛の生えたモノを食べてみようという神経は、きっと太くて毛が生えているのでしょう。
その当時から先読みに優れていた私は「私に(調理を)やらせてほしい」と提案しました。もちろん「先に食べてて」と言うためです。
想像していた通り、先に食べた彼は「あいたたた」と悲鳴を上げました。適当なことばかり言ってた舌に、やっぱり毛が刺さっただろう、大ばか者め。
さて、このときの経験から「最初に〇〇を食べた人はすごい」という話を聞くたびに「そんなことはない」と思ってしまいます。何しろ飢饉なんか起きていなくても「これ、食べちゃおう」と考える人だっているのです。
だから、この話の教訓は何でも食べるなです。
このブログだけを宜しく。
若い頃、友人に誘われてキャンプに行ったときのことです。彼は、何だか変な毛がたくさん生えた山菜を採ってきて、天ぷらの準備をしていました。
「これは旨い」と彼は言いました。そして「きっと旨い」と付け加えました。
危なく聞き逃すところでした。
食べたこともない毛の生えたモノを食べてみようという神経は、きっと太くて毛が生えているのでしょう。
その当時から先読みに優れていた私は「私に(調理を)やらせてほしい」と提案しました。もちろん「先に食べてて」と言うためです。
想像していた通り、先に食べた彼は「あいたたた」と悲鳴を上げました。適当なことばかり言ってた舌に、やっぱり毛が刺さっただろう、大ばか者め。
さて、このときの経験から「最初に〇〇を食べた人はすごい」という話を聞くたびに「そんなことはない」と思ってしまいます。何しろ飢饉なんか起きていなくても「これ、食べちゃおう」と考える人だっているのです。
だから、この話の教訓は何でも食べるなです。
このブログだけを宜しく。
以上
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