2017年08月17日
米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月17日22:15発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月17日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。景気良し悪しを計る兆候のひとつとして、本指標は眺める方が良さそうです。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は67%でした。
事後差異判別式符号と直後1分足の方向一致率は66%でした。
実態差異判別式符号と直後11分足の方向一致率は66%でした。
どの判別式にせよ、70%を超える一致率となる判別式は導けませんでした。
これは、反応が小さな指標なので、そのときどきのトレンドに反応が埋もれてしまうためと考えれば、この結果は納得できます。
逆に言えば、そのときどきのトレンドで結果が決まるなら、指標分析には意味がありません。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
本指標では取引を行いません。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
今回の発表があっても鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、変化の兆しが窺えません。ただ、設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。
巻頭に述べたように、ほぼ反応しない指標のため、分析に手間暇をかける気がしません。よって、以下は定量的な分析結果でなく、定性的な分析に主観的解釈を加えたものです。
このところ、鉱工業生産は原油・ガス・石炭の価格の影響を受けているようです。
製造業生産は、自動車販売との相関が高いようです。
設備稼働率を押し上げるためには、製造業よりも鉱工業のシェールガス油井の稼働率が上がらないと難しいようです。
なお、珍しいことにFRBは今回の発表で、予定時刻より早くデータを公表してしまったそうです。原因は単純なヒューマンエラーだと発表されています。反応が小さい指標で良かったですね。
巻頭指標要点に挙げた通り、反応が小さ過ぎて取引には向かない指標です。
数か月毎に数値・傾向をチェックして、指標方向を当てやすい兆しが見出せるまで、本指標での取引は行いません。
事前調査分析内容を以下に検証します。
この内容で、暫く間違いないでしょう。
取引しないので、シナリオもありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月17日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年7月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 最も指標結果に素直に反応する指標発表直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
- かすかな指標発表の影響として、市場予想に対する発表結果の良し悪しと直後1分足方向とは、62%の方向一致率があります。
もし、この62%の素直に反応したときに反応方向を見てから追撃しても、直後1分足は6pips跳ねたら、過去平均の利確ポイントに達してしまいます。
この程度なら、反応が大きい指標で、直前1分足で陰線にかけた方が勝率も利幅も稼げます。 - よって、本指標は指標分析に基づく取引に向いていません。そのときどきのトレンドを見た方がマシです。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。景気良し悪しを計る兆候のひとつとして、本指標は眺める方が良さそうです。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目をひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は67%でした。
事後差異判別式符号と直後1分足の方向一致率は66%でした。
実態差異判別式符号と直後11分足の方向一致率は66%でした。
どの判別式にせよ、70%を超える一致率となる判別式は導けませんでした。
これは、反応が小さな指標なので、そのときどきのトレンドに反応が埋もれてしまうためと考えれば、この結果は納得できます。
逆に言えば、そのときどきのトレンドで結果が決まるなら、指標分析には意味がありません。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
【4. シナリオ作成】
本指標では取引を行いません。
以上
2017年8月17日22:15発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
今回の発表があっても鉱工業生産と製造業生産のグラフ推移からは、変化の兆しが窺えません。ただ、設備稼働率は、2016年11月分以降の上昇基調が77%手前で4か月連続停滞しています。
巻頭に述べたように、ほぼ反応しない指標のため、分析に手間暇をかける気がしません。よって、以下は定量的な分析結果でなく、定性的な分析に主観的解釈を加えたものです。
このところ、鉱工業生産は原油・ガス・石炭の価格の影響を受けているようです。
製造業生産は、自動車販売との相関が高いようです。
設備稼働率を押し上げるためには、製造業よりも鉱工業のシェールガス油井の稼働率が上がらないと難しいようです。
なお、珍しいことにFRBは今回の発表で、予定時刻より早くデータを公表してしまったそうです。原因は単純なヒューマンエラーだと発表されています。反応が小さい指標で良かったですね。
(5-2. 取引結果)
巻頭指標要点に挙げた通り、反応が小さ過ぎて取引には向かない指標です。
数か月毎に数値・傾向をチェックして、指標方向を当てやすい兆しが見出せるまで、本指標での取引は行いません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 最も指標結果に素直に反応する指標発表直後1分足跳幅は、過去平均でたったの6pipsです。分布を見ると、4-8pipsに76%が収まっています。
そして、かすかな指標発表の影響として、市場予想に対する発表結果の良し悪しと直後1分足方向とは、62%の方向一致率があります。
もし、この62%の素直に反応したときに反応方向を見てから追撃しても、直後1分足は6pips跳ねたら、過去平均の利確ポイントに達してしまいます。
この程度なら、反応が大きい指標で、直前1分足で陰線にかけた方が勝率も利幅も稼げます。 - よって、本指標は指標分析に基づく取引に向いていません。
この内容で、暫く間違いないでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
取引しないので、シナリオもありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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