2017年08月18日
米国景気指標「UM消費者信頼感指数速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年8月18日23:00発表結果検証済)
以下、「T.指標予想要点」「U.過去調査詳細」を事前投稿し、「V.発表結果検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「V.発表結果検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年8月18日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結すると言われています。これは今度、確かめておきましょう。
本指標は、調査数が少ないためブレが大きいという解説を見かけたことがあります。がしかし、本ブログ調査期間に関する限り、他の景気指標と比較して特にブレが大きいようには見受けられません。
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%となっています。
一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、後述する通り、本指標は違います。
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目についてひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
実態差異判別式は、1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+2✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率は62%となります。
前述の通り、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
景況感指数は、発表結果と市場予想の大小関係が前月と入れ替わったことが16回(交代率53%)となっています。同様に、現況指数・期待指数は、それぞれ13回(同43%)・15回(同50%)です。
市場予想はほぼ中立的に行わており、クセのような偏りは見出せません。
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均10pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、それが勝率を下げやすいので気を付けましょう。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%しかありません。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、お薦めできません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年8月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は97.6(前回93.4)で、反応は陽線でした。
現状指数のグラフ推移を見ると、2016年9月分以降の上昇基調は、5月分・6月分の指数低下で基調転換が懸念されていました。がしかし、7月分・今回8月分で、上昇基調維持を予感させます(8月分は低下したものの、その幅が小さかったため)。
期待指数のグラフ推移を見ると、今回8月分が急上昇となっています。
これは、ダウの動きを見るとわかるように、20000ドル・21000ドル・22000ドルといったキリの良い数字の上抜け定着前には停滞が続きます。現在は22000ドルの上抜け前に位置しています。8月2日には、この22000ドルを上抜けた時期があって、速報値ではこの報道が影響した可能性があります。
株価の上昇は繰り返し報道をされ、その後、今度は株価の下げの方が多く扱われているので、確定値はかなり下がるかも知れません。
取引結果は次の通りでした。
結果オーライという言葉の通り、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応を伸ばしたにも関わらず、追撃は売りの短期利確で稼ぎました。
これは4本足チャートではわからないことですが、指標発表からの7分間がペナント型(上下動の振れが徐々に小さくなる動き)で、この間は108.7付近にレジスタンスに何度も跳ね返されたため稼げました。
下記の通り、本指標の直後1分足終値をその後は削る確率が高かったこと、を頭に入れていたことが幸いしました。
事前調査分析内容を以下に検証します。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
T.指標予想要点
2017年8月18日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年8月分の集計結果です。
今回の市場予想と前回結果は次の通りです。市場予想は本記事作成時点の値です。
※ 市場予想は発表直前に確認しておきましょう。
※ 黄色欄は、後述する事前差異判別式の変数と解です。
本指標の特徴は以下の通りです。
- 本指標は、後日発表されるCB消費者信頼感指数と同じような目的・調査内容・対象期間となっています。がしかし、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は50%を僅かに上回る程度しか一致していません。
- そして、本指標への反応は小さく、直後1分足跳幅は10pips以下となったことが60%強を占めています。反応方向は素直で、指標結果の市場予想に対する良し悪しに素直な傾向があります。がしかし、発表から1分経過後に反応を伸ばすことが少なく、追撃には向いていません。
- 反応が小さく、追撃で利を伸ばせず、後日のより反応が大きい指標の参考にもなっていない、ということです。こんなことを書きたくありませんが、ちょっと取引の魅力に乏しい指標だと言えるでしょう。
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今回発表に対する調査・分析結果を以下に一覧します。
- 指標結果の予想分析は、わからない、が結論です。個別分析結論要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。 - 過去のローソク足の特徴は以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。 - 定型分析の結論は次の通りです。
(1) 指標一致性分析の結論は以下の通りです。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
(2) 反応一致性分析の結論は以下の通りです。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
(3) 反応性分析の結論は以下の通りです。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%です。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、あまりお薦めできません。 - 以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
(1) 直前10-1分足は陰線と見込みます。
(2) 直後1分足終値が付く頃に、逆張り短期取引をやってみます。
以上の詳細ないしは論拠は、以下の「T.調査・分析」に記しています。
U.過去調査詳細
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正しています。
【1. 指標概要】
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結すると言われています。これは今度、確かめておきましょう。
本指標は、調査数が少ないためブレが大きいという解説を見かけたことがあります。がしかし、本ブログ調査期間に関する限り、他の景気指標と比較して特にブレが大きいようには見受けられません。
ーーー$€¥ーーー
本指標に関する調査期間と、過去の反応程度・分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%となっています。
一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、後述する通り、本指標は違います。
【2. 既出情報】
(2-1. 過去情報)
(2-1. 過去情報)
過去の発表結果と市場予想を下図に一覧します。
下図は発表結果と市場予想をプロットしています。市場予想は発表直前の値をプロットし、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままをプロットしています。
項目が多いため、個別項目毎に細かくグラフを眺める前に、見るべきポイントを絞り込みましょう。各項目毎に反応方向にどの程度影響しているのかを下表に纏めておきました。
上表の上3行は、各項目についてひとつずつ反応方向との一致率を求めています。これは予備計算のようなもので、この予備計算は最も反応方向との一致率が高い項目に注目しています。
上から4行目は、事前差異(市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
上から5行目は、事後差異(発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
最下段6行目は、実体差異(前回改定値結果ー市場予想)と直後11分足の方向一致率が高くなるように、各項目の係数を求めています。
事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
実態差異判別式は、1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+2✕期待指数事前差異、と決めます。このとき、実態差異判別式の符号と直後11分足の方向の一致率は62%となります。
前述の通り、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
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景況感指数は、発表結果と市場予想の大小関係が前月と入れ替わったことが16回(交代率53%)となっています。同様に、現況指数・期待指数は、それぞれ13回(同43%)・15回(同50%)です。
市場予想はほぼ中立的に行わており、クセのような偏りは見出せません。
ーーー$€¥ーーー
以上の分析要点は以下の通りです。
(1) 最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅は、過去平均で10pipsです。分布は10pips以下となったことが61%を占めています。
(2) 一般論として、反応が小さい指標は指標発表前後のトレンドの影響を受けやすく、指標発表結果の反応がわかりにくい(もしくは、極端に短時間)ことが多いものです。がしかし、本指標はそうではありません。
指標発表直前10-1分足方向に対し事前差異は意味を持ち、指標発表直後1分足に対し事後差異は意味を持っています。
(3) 事前差異判別式は、−1✕景況感指数事前差異+1✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事前差異判別式の符号(プラスが陽線・マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向の一致率は74%となります。
事後差異判別式は、2✕景況感指数事前差異+3✕現況指数事前差異+1✕期待指数事前差異、です。このとき、事後差異判別式の符号と直後1分足の方向の一致率は79%となります。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示します。
まず、直前10-1分足は、過去平均跳幅が7pipsです。その跳幅が10pips以上だったことは過去6回(頻度19%)あります。この6回の直後1分足跳幅は13pipsで、これは直後1分足跳幅の過去全平均10pipsとほぼ同じです。そして、この6回の直前10-1分足と直後1分足の方向は3回(50%)一致しています。
つまり、直前10-1分足の反応が平均より少し大きく動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。
次に、直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
そして、直後1分足の過去平均跳幅と値幅の差は4pips(1ー値幅/跳幅=戻り比率40%)です。直後11分足のそれは7pips(戻り比率44%)です。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、それが勝率を下げやすいので気を付けましょう。
これらの詳細分析は、ローソク足観察よりも他の分析を参照する方が良いでしょう。
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過去のローソク足の特徴を纏めると以下の通りです。
(1) たまに(頻度19%)直前10-1分足跳幅が10pips以上となることがあります。がしかし、過去の傾向から言えば、直前10-1分足跳幅が10pips以上動いたからと言って、それが直後1分足の反応程度や方向を示唆しているとは言えません。慌てて釣られて追撃しないように気を付けましょう。
(2) 直前1分足の過去平均跳幅は3pipsです。その跳幅が10pips以上だったことはありません。直前1分足の特徴は、同値終了(始値・終値が同じ)が9回(29%)もあることです。ヒゲが目立つので、この直前1分足での取引は避けた方が良いでしょう。
(3) 直後1分足・直後11分足の戻り比率はそれぞれ40%・44%となっています。反応が小さい指標は戻り比率が高いくなりがちで、そのことも勝率を稼ぎにくくしがちだと覚えておきましょう。
【3. 定型分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
反応性分析の結果を下表に示します。
指標発表時点から見た直後1分足と直後11分足との方向一致率が50%しかありません。そして、発表から1分経過時点では、順張りより逆張りの方が勝率が高くなるようです。もっとも、勝率が高くても逆張りは損切が大きくなりがちなので、お薦めできません。
次に、反応一致性分析の結果を下表に示します。
ローソク足方向に単純な偏りは見出せません。そして、先に形成されたローソク足が後で形成されるローソク足の方向を示唆している兆しはありません。
最後に、指標一致性分析の結果を下表に示します。
事前差異と直前10-1分足の方向一致率が74%となっています。今回の事前差異はマイナスなので、直前10-1分足は陰線と見込まれます。
事後差異と直後1分足の方向一致率が79%となっています。市場予想に対する発表結果の良し悪しに、素直に反応する指標です。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年8月18日23:00発表
以下は2017年8月19日に追記しています。
V.発表結果検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は97.6(前回93.4)で、反応は陽線でした。
現状指数のグラフ推移を見ると、2016年9月分以降の上昇基調は、5月分・6月分の指数低下で基調転換が懸念されていました。がしかし、7月分・今回8月分で、上昇基調維持を予感させます(8月分は低下したものの、その幅が小さかったため)。
期待指数のグラフ推移を見ると、今回8月分が急上昇となっています。
これは、ダウの動きを見るとわかるように、20000ドル・21000ドル・22000ドルといったキリの良い数字の上抜け定着前には停滞が続きます。現在は22000ドルの上抜け前に位置しています。8月2日には、この22000ドルを上抜けた時期があって、速報値ではこの報道が影響した可能性があります。
株価の上昇は繰り返し報道をされ、その後、今度は株価の下げの方が多く扱われているので、確定値はかなり下がるかも知れません。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
結果オーライという言葉の通り、直後1分足・直後11分足ともに陽線で反応を伸ばしたにも関わらず、追撃は売りの短期利確で稼ぎました。
これは4本足チャートではわからないことですが、指標発表からの7分間がペナント型(上下動の振れが徐々に小さくなる動き)で、この間は108.7付近にレジスタンスに何度も跳ね返されたため稼げました。
下記の通り、本指標の直後1分足終値をその後は削る確率が高かったこと、を頭に入れていたことが幸いしました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を以下に検証します。
- 本指標は、後日発表されるCB消費者信頼感指数と同じような目的・調査内容・対象期間となっています。がしかし、両指標の実態差異(発表結果ー前回結果)は50%を僅かに上回る程度しか一致していません。
この内容は来月もこのままで構いません。 - そして、本指標への反応は小さく、直後1分足跳幅は10pips以下となったことが60%強を占めています。反応方向は素直で、指標結果の市場予想に対する良し悪しに素直な傾向があります。がしかし、発表から1分経過後に反応を伸ばすことが少なく、追撃には向いていません。
今回は、直後1分足跳幅が5pipsでしたが、直後11分足はそのまま反応を伸ばしました。ただ、今回の分析を外しても、まだ反応を伸ばす確率は30%強しかありません。 - 反応が小さく、追撃で利を伸ばせず、後日のより反応が大きい指標の参考にもなっていない、ということです。こんなことを書きたくありませんが、ちょっと取引の魅力に乏しい指標だと言えるでしょう。
これもその通りなので、来月もこの内容で良いでしょう。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は陰線と見込みました。結果は同値で判定無しとなりました。
- 直後1分足終値が付く頃に、逆張り短期取引をやってみました。結果は、発表から7分間有効なシナリオでした。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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