2016年06月20日
冤罪物語 連載23
この後、廃プラからの試作品づくりに専念した。材質はPPとPEで、それに発泡剤・時には木粉を混ぜて試作を重ねた。この廃プラのリサイクル原料は500sのフレコンに入っている。
飯田に行く日は試作。行かない日は調査・研究の繰り返しでした。
原料を入れるホッパーには、天井クレーンでフレコンを釣り上げて投入する。その後同じホッパーに発泡剤を入れる。
(注・専門家の方は、原料の混合工程が無いので、この順序ではまともではないと気付くハズです。何故かこのようにしていました。これを、我が社の協力工場になっている、プラスチックの成形会社の人も指摘しないのです。現場に来て何回も見ているのに、この間違いの指摘が無いのでした。後述します)
ホッパー最下部は、原料を押し出す金型手前の、熱で原料を溶かす『スクリュー部』に送り込むためのスクリューがあって、一定量が熱で原料を溶かす『スクリュー部』に送られる仕組みになっている。
『スクリュー部』には、入り口から出口まで設定温度があって、コントロールされている。
設定温度に達すると、原料を吐出する金型部から、溶けた原料が押し出される。
原料はベルトの上に吐出される。一定の吐出量と、原料を受けてベルトで引っ張る速度。それを上下のローラーで厚さを一定にしている。これで板の厚さが決まる。その後冷却部で冷やされると、板になって出てくる。
この後は露出部になっていて、板は指定幅でカットされ、指定の長さでカットされる。これで、板になる。初めのうちは板になって出てきた物を、直後に粉砕機で粉砕してしまうだけだった。
「こうすると・こうなる」の繰り返しで、粉砕していた。粉砕したそれは熱履歴が1回多いことを承知で設計すれば使える。不思議に思ったのは木粉入りとそうでないものは、別けて粉砕しないと後々困る。これを指摘しようとしたが止めた。
それよりも決定的に「不備」があった。伝えるならそれが先なのだが、伝えなかったのは新規事業部を取り巻く環境を見渡すと「大きな何か隠れている」気がしてならなかった。何か変なのだった。
決定的な不備は、原料の混合設備が無い事です。プラスチックの成形では、原料と可塑剤を混合して成形します。この混合は均一でないと製品の性能が不安定になってしまいます。
これを嫌って、混合設備は均一に混合できる仕様でなくてはなりません。バージン原料の混合は材料の擦れ合いで発熱します。冷却装置が必要です。その位大がかりな装置で確実に均一にしています。
この初めの一歩で、製品の完成度と安定性が決まってしまうのです。実に大切な工程です。この混合設備無しでは、まともな製品にはなりません。
これが無いのです。普通でしたら、これを私は会長に報告しなければならないのですが、それをしなかったのは、次の理由があったのです。
このプランチックの成形を、相談役無しで手掛ける事は無謀です。普通は相談役にその道の大家を招きます。会長の場合は、その相談役は現役の成型メーカーに依頼していました。
私は、リーダーと一緒にその会社を訪ねて、塩ビ板の試作の実際を見学しています。会長はその会社を信用しているのでした。ですが、私はその時点では既に「何で廃プラ設備の混合器の不備を指摘しないのだろう。この会社何を考えているんだ」と疑っていました。
私は会長への報告を伸ばしていました。この後も変な事が起こるのでした。入社から半年後の時期です。続く。
飯田に行く日は試作。行かない日は調査・研究の繰り返しでした。
原料を入れるホッパーには、天井クレーンでフレコンを釣り上げて投入する。その後同じホッパーに発泡剤を入れる。
(注・専門家の方は、原料の混合工程が無いので、この順序ではまともではないと気付くハズです。何故かこのようにしていました。これを、我が社の協力工場になっている、プラスチックの成形会社の人も指摘しないのです。現場に来て何回も見ているのに、この間違いの指摘が無いのでした。後述します)
ホッパー最下部は、原料を押し出す金型手前の、熱で原料を溶かす『スクリュー部』に送り込むためのスクリューがあって、一定量が熱で原料を溶かす『スクリュー部』に送られる仕組みになっている。
『スクリュー部』には、入り口から出口まで設定温度があって、コントロールされている。
設定温度に達すると、原料を吐出する金型部から、溶けた原料が押し出される。
原料はベルトの上に吐出される。一定の吐出量と、原料を受けてベルトで引っ張る速度。それを上下のローラーで厚さを一定にしている。これで板の厚さが決まる。その後冷却部で冷やされると、板になって出てくる。
この後は露出部になっていて、板は指定幅でカットされ、指定の長さでカットされる。これで、板になる。初めのうちは板になって出てきた物を、直後に粉砕機で粉砕してしまうだけだった。
「こうすると・こうなる」の繰り返しで、粉砕していた。粉砕したそれは熱履歴が1回多いことを承知で設計すれば使える。不思議に思ったのは木粉入りとそうでないものは、別けて粉砕しないと後々困る。これを指摘しようとしたが止めた。
それよりも決定的に「不備」があった。伝えるならそれが先なのだが、伝えなかったのは新規事業部を取り巻く環境を見渡すと「大きな何か隠れている」気がしてならなかった。何か変なのだった。
決定的な不備は、原料の混合設備が無い事です。プラスチックの成形では、原料と可塑剤を混合して成形します。この混合は均一でないと製品の性能が不安定になってしまいます。
これを嫌って、混合設備は均一に混合できる仕様でなくてはなりません。バージン原料の混合は材料の擦れ合いで発熱します。冷却装置が必要です。その位大がかりな装置で確実に均一にしています。
この初めの一歩で、製品の完成度と安定性が決まってしまうのです。実に大切な工程です。この混合設備無しでは、まともな製品にはなりません。
これが無いのです。普通でしたら、これを私は会長に報告しなければならないのですが、それをしなかったのは、次の理由があったのです。
このプランチックの成形を、相談役無しで手掛ける事は無謀です。普通は相談役にその道の大家を招きます。会長の場合は、その相談役は現役の成型メーカーに依頼していました。
私は、リーダーと一緒にその会社を訪ねて、塩ビ板の試作の実際を見学しています。会長はその会社を信用しているのでした。ですが、私はその時点では既に「何で廃プラ設備の混合器の不備を指摘しないのだろう。この会社何を考えているんだ」と疑っていました。
私は会長への報告を伸ばしていました。この後も変な事が起こるのでした。入社から半年後の時期です。続く。
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