2016年06月17日
冤罪物語 連載20
経営について、あれこれと指針をもらう。アイデアの耳打ちなどがあって、私の会社を無借金経営に持ち込んだ時は随分喜んでくれました。そのお方は2重床の先駆者です。竹中工務店さんから、
「この2重床を手掛けるならどうぞ」
と、言われるままにパテントを頂いて、開発当初はフローリングスタンパーとして2重床を開発したのでした。当時は、スラブに穴を開けて床を支える支持脚を止めていました。現在では、接着剤で止めるようになっています。
完成度の非常に高い2重床に仕上がっています。施工の好さも加わって市場のシェアは他を圧倒しています。
弟からその方の伝言を聞いた私は、早速会社にお邪魔しました。すると、今度新しい事業部をつくるからそこに来たらどうだというのでした。私は当初独立した仕事を紹介してもらうつもりだったので、正直に言うと迷ったのでした。
その新しい事業部というのは、廃プラからコンパネの代わりになる板をつくるというのです。コンパネを取り巻く環境は、木材の世界的不足で品質が落ちて、値段が高くなっていて使いづらくなっている。
そこで、廃プラからコンパネ同等の品質があって、値段が安ければ忽ち市場を席巻できる。ここに着目したのでした。廃プラは、リサイクル向けの原料として供給されているというのです。
飯田には大きな関連工場が稼働している。そこへ、既に「押し出し機」はセットして試運転を始めたばかりだというのでした。これは高分子化学の分野です。私のやってきた醸造食品の分野とは離れすぎていて、今までの経験は役に立ちそうもなかった。さて、困ったなとここでも大いに迷いましたが、
「大丈夫お前ならできる。始まったばかりで皆同じレベルだからやってみろ。定年なんぞ気にするな、体の動くうちはいつまでも居ろ。飯田で工場長でもやったらどうだ」
と、勧めてくれるので、真剣にやって成功させることに挑戦したくて、引き受けることにしました。工場長が目当てではありません。小さい会社でも経営者でやってきた経験から、能力の無い者が役職についても、対内的にも対外的にもうまく行きません。
益は何もなく害ばかり。ということは分かっているからです。私は、工場長は別としてお願いします。と言いました。すると、
「給料は幾ら欲しい」と言うのです。私は、
「年金をもらい始めているので、高給は必要ありません。賞与も要りません。年間200万でお願いできませんか」
「なんだ、そんなものでいいのか」
「今の私には十分です」
これで、入社が決まりました。高分子化学・・・プラスチック・・・廃プラ・・・やりましたね。真剣に取り組みました。初めは何にも分かりません。分からないから見て覚える。本から学ぶ。ネットで調べる。あらゆるところから学びました。
情報も仕入れました。お陰様で、試作品づくりと、調査と情報収集が仕事ですから、時間はタップリと与えられていました。1日中勉強する時間のようなものですから、大よそが分かるまでには、そんなに時間は必要ありませんでした。
ただし、大よそです。ここまではたちまち分かりました。この先は、実験を重ねるから長い道のりになる。
そんな予感がしていました。続く。
「この2重床を手掛けるならどうぞ」
と、言われるままにパテントを頂いて、開発当初はフローリングスタンパーとして2重床を開発したのでした。当時は、スラブに穴を開けて床を支える支持脚を止めていました。現在では、接着剤で止めるようになっています。
完成度の非常に高い2重床に仕上がっています。施工の好さも加わって市場のシェアは他を圧倒しています。
弟からその方の伝言を聞いた私は、早速会社にお邪魔しました。すると、今度新しい事業部をつくるからそこに来たらどうだというのでした。私は当初独立した仕事を紹介してもらうつもりだったので、正直に言うと迷ったのでした。
その新しい事業部というのは、廃プラからコンパネの代わりになる板をつくるというのです。コンパネを取り巻く環境は、木材の世界的不足で品質が落ちて、値段が高くなっていて使いづらくなっている。
そこで、廃プラからコンパネ同等の品質があって、値段が安ければ忽ち市場を席巻できる。ここに着目したのでした。廃プラは、リサイクル向けの原料として供給されているというのです。
飯田には大きな関連工場が稼働している。そこへ、既に「押し出し機」はセットして試運転を始めたばかりだというのでした。これは高分子化学の分野です。私のやってきた醸造食品の分野とは離れすぎていて、今までの経験は役に立ちそうもなかった。さて、困ったなとここでも大いに迷いましたが、
「大丈夫お前ならできる。始まったばかりで皆同じレベルだからやってみろ。定年なんぞ気にするな、体の動くうちはいつまでも居ろ。飯田で工場長でもやったらどうだ」
と、勧めてくれるので、真剣にやって成功させることに挑戦したくて、引き受けることにしました。工場長が目当てではありません。小さい会社でも経営者でやってきた経験から、能力の無い者が役職についても、対内的にも対外的にもうまく行きません。
益は何もなく害ばかり。ということは分かっているからです。私は、工場長は別としてお願いします。と言いました。すると、
「給料は幾ら欲しい」と言うのです。私は、
「年金をもらい始めているので、高給は必要ありません。賞与も要りません。年間200万でお願いできませんか」
「なんだ、そんなものでいいのか」
「今の私には十分です」
これで、入社が決まりました。高分子化学・・・プラスチック・・・廃プラ・・・やりましたね。真剣に取り組みました。初めは何にも分かりません。分からないから見て覚える。本から学ぶ。ネットで調べる。あらゆるところから学びました。
情報も仕入れました。お陰様で、試作品づくりと、調査と情報収集が仕事ですから、時間はタップリと与えられていました。1日中勉強する時間のようなものですから、大よそが分かるまでには、そんなに時間は必要ありませんでした。
ただし、大よそです。ここまではたちまち分かりました。この先は、実験を重ねるから長い道のりになる。
そんな予感がしていました。続く。
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