2016年06月13日
冤罪物語 連載17
私は、2つの選択肢からどちらかを選ばねばならなかった。実益を取るか、名誉を取るか。
・・・・どちらも私のものなのに、大いに矛盾している。だが、この状態ではどうにもならなかった。
弁護士は東京での役割を終えて、接見に来た。
「・・・どうですか、どちらかに決めてますか」私は、
「あんな市民権を得る資格の無い女たちに、してもいない罪を認めて示談にするのは御免だ」
「分かりました。では、刑務所に入って戦う覚悟をしてください。会社は消滅してしまってもよくて、貴方の貸したお金は諦めるということですね。ではその方向で考えます。依頼者の意向に従うのが私の役目ですから」
余りにあっさりと言う。正直に言えばまだ決めかねて、迷っている最中なのだ。弁護士は、
「証人さえ居れば簡単に決着するのですが、私が当たった方は見ていないからどうにもなりません」
この時は、見たという方は居なかったのだ。だが前回書いた通り、近くに住む友人は、私が暴行していない姿を2人が見ていると話してくれた。だが、それは何もかも終わった後のことで、この時点では2人のうち1人は、弁護士が訪ねているのだが『見ていない』と嘘を言われてしまった。
この事が約1年を経て後で分かった時、私は何も言わなかった。弁護士にも言っていない。遅すぎるからだ。私がそれを聞く前の事件から4か月後の11月には、私を逮捕した時の警察署長が自殺している。年が明けて3月には定年退職が待っていた。それなのに自殺してしまった。
見ていたのに、見ていないと嘘を言われてしまったこと。定年間際の署長の自殺。見えないどこかで何かが起こっているのか、全ては私の身の錆なのか・・・・・。選択を迫られていたこの時の私に、何か月も先のことなど分からない。
ここでは兎に角、順序良く話を進めていきます。
詳細な記録を書き残していながら、5回の引っ越しでそれを紛失してしまった今は、記憶に頼るしかありません。だがデタラメを書けないので、なるべく思い出して正直に表現します。
私は自分の62歳という年齢のこと。
これから何処で、どう生活していくかということ。
名誉を追えば、一時と雖も、実刑で刑務所に行く場合を覚悟すること。
貸したお金を返してもらうという実利を追えば、会社を存続させなければならなくなり、真実や名誉などとはまるで無縁になること。
考えを巡らすのだが、なかなかまとまらなかった。私は、この時目が虚ろだったのだろう。弁護士に見透かされている。
「シッカリしてください。どちらでも進めます。私が気になるのは年齢のことです。時間が掛かるるのは裁判の常です。証明責任はこちらにありますから時間が掛かります。その間に商売に嫌気が指して会社を整理されると、名誉だけしか残らなかったということになりかねません。これに名誉も無くなったら最悪です」
・・・・続く。
・・・・どちらも私のものなのに、大いに矛盾している。だが、この状態ではどうにもならなかった。
弁護士は東京での役割を終えて、接見に来た。
「・・・どうですか、どちらかに決めてますか」私は、
「あんな市民権を得る資格の無い女たちに、してもいない罪を認めて示談にするのは御免だ」
「分かりました。では、刑務所に入って戦う覚悟をしてください。会社は消滅してしまってもよくて、貴方の貸したお金は諦めるということですね。ではその方向で考えます。依頼者の意向に従うのが私の役目ですから」
余りにあっさりと言う。正直に言えばまだ決めかねて、迷っている最中なのだ。弁護士は、
「証人さえ居れば簡単に決着するのですが、私が当たった方は見ていないからどうにもなりません」
この時は、見たという方は居なかったのだ。だが前回書いた通り、近くに住む友人は、私が暴行していない姿を2人が見ていると話してくれた。だが、それは何もかも終わった後のことで、この時点では2人のうち1人は、弁護士が訪ねているのだが『見ていない』と嘘を言われてしまった。
この事が約1年を経て後で分かった時、私は何も言わなかった。弁護士にも言っていない。遅すぎるからだ。私がそれを聞く前の事件から4か月後の11月には、私を逮捕した時の警察署長が自殺している。年が明けて3月には定年退職が待っていた。それなのに自殺してしまった。
見ていたのに、見ていないと嘘を言われてしまったこと。定年間際の署長の自殺。見えないどこかで何かが起こっているのか、全ては私の身の錆なのか・・・・・。選択を迫られていたこの時の私に、何か月も先のことなど分からない。
ここでは兎に角、順序良く話を進めていきます。
詳細な記録を書き残していながら、5回の引っ越しでそれを紛失してしまった今は、記憶に頼るしかありません。だがデタラメを書けないので、なるべく思い出して正直に表現します。
私は自分の62歳という年齢のこと。
これから何処で、どう生活していくかということ。
名誉を追えば、一時と雖も、実刑で刑務所に行く場合を覚悟すること。
貸したお金を返してもらうという実利を追えば、会社を存続させなければならなくなり、真実や名誉などとはまるで無縁になること。
考えを巡らすのだが、なかなかまとまらなかった。私は、この時目が虚ろだったのだろう。弁護士に見透かされている。
「シッカリしてください。どちらでも進めます。私が気になるのは年齢のことです。時間が掛かるるのは裁判の常です。証明責任はこちらにありますから時間が掛かります。その間に商売に嫌気が指して会社を整理されると、名誉だけしか残らなかったということになりかねません。これに名誉も無くなったら最悪です」
・・・・続く。
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