2018年08月02日
一緒に学ぼう 世界史のポイント 2 《文明の発祥・メソポタミア》
世界史講義録より参照
世界史講義録 その2
文明の始まり・・・メソポタミア文明2
アッカド王国
前2400年頃、シュメール地方に初めて統一国家が出来ます。これがアッカド王国。建国したのはシュメール人では無くメソポタミア北部の山地に住んでいたアッカド人。民族系統はセム系と言います。残された言語で民族系統を判断するのですが、セム系と云うのは現在のアラブ人と同じです。念を押して置きますが、シュメール人は民族系統不明ですよ。アッカド王国の王の名前を覚えて置きましょう。
サルゴン1世。史上最初の大王と言って好いでしょう。アッカド王国はサルゴン1世だけ覚えれば好いからね。ここからはサルゴン1世のオマケの話。サルゴン1世の伝説を記した粘土板も発見されている。
サルゴン1世のお父さんはアッカド王、処がお母さんは尼さん。その尼さんがサルゴンを妊娠、出産してしまう。尼さんが子どもを産むのは許されていないので、彼女は生まれたばかりのサルゴンを籠に乗せて川に流すんです。マア、捨てた訳ね。
サルゴンは灌漑人に拾われ、彼の息子として育てられます。成長した後、イシュタル女神が彼を愛し、そして王として君臨したと云うんです。
英雄と云うのは一度は捨てられ、成長してから別の世界から異様なパワーを身に着けて帰って来る。そして、本来あるべき地位に就く。こう云うパターンの話を英雄流離譚と云うそうです。世界各地に似た様なパターンの神話や物語が残されて居ます。
アーサー王の出生の話や、旧約聖書のモーセも同じです。それから、お母さんが尼さんと云う処、イエスの母が処女マリアと云う話を連想しませんか。ここは、際どいですが考え始めると面白い処ですよ。もっと、大胆に連想を飛躍させると、川に流す処、逆に流れて来る側から描けばこれは桃太郎ですね。
桃太郎は鬼退治して英雄に為りますが、一体誰が何処から流したんでしょうね。桃太郎の原型の原型もヒョットしたらこれかも知れませんね。考え始めたらキリが無いね。
アッカド王国のサルゴン1世によって統一されたメソポタミアも、200年程経つと、山岳民族の侵入によって又分裂します。豊かで、文化の高いメソポタミア地方は周辺の蛮族にとっては格好の略奪対象です。アワヨクバそこを支配出来ればこれに越したことは無い。
メソポタミアの歴史は次から次へと、この地に侵入する諸民族の歴史といっても好い位です。アッカド王国滅亡後、一時はシュメール人のウル第三王朝と云うのが栄えますが、これもエラム人とかアムル人とか云うのが侵入し崩壊します。
バビロニア王国
次にメソポタミアを統一したのがセム系アムル人が前19世紀に建てた古バビロニア王国です。別名バビロン第一王朝、前17世紀まで続きます。都は有名なバビロン。王も一人覚えて下さい。ハンムラビ王です。
この王は、シュメール時代からこの地方に行われて来た法律を集大成したので有名。ハンムラビ法典。超重要です。
ハンムラビ法典の説明します。特徴二つ。
1 同害復讐の原則
「目には目を、歯には歯を」ですね。「もし人が自由人の目を潰した時は、彼の目を潰す」(第196条) 誰かに危害を加えたら、同じ事をされると云う事だ。非常に厳しい法律の様に感じますね。でも、この同害復讐の原則は復讐に合理的な限度を定めたと云う点で社会が発展したことを示しています。多くの民族が侵入し、戦を繰り返したメソポタミア地方は、生きて行く上で常に緊張していなければいけなかったと思います。
古バビロニア王国の支配者はアムル人でしょ、支配されて居るのはシュメール人・アッカド人・その他色々な民族が居たと思う。違う言葉をしゃべって違う風習で暮らしている。争いが起きた時どうやって仲裁するか、合理的なルールが必要だったんだね。そう云う中で生み出されたのが同害復讐の原則。
2 身分差別的刑罰
「もし奴隷が自由人の頬を殴った時は、彼の耳を切り取る」(第205条) 奴隷が自由人に危害を加えたら、それ以上の重い刑を受ける訳だ。逆に身分の高い者が奴隷を傷つけても罰金で済みます。厳しい身分差別があった事が判ります。
この「頬を殴った時は」と云う表現、頭の隅の方に残して置いてください。これに関する話を又何れします。以上二つの特徴を見ると現代的感覚からは矢張り残酷な感じがします。しかし、ハンムラビ法典のあとがきにこんな文がある。
「強者が弱者を虐げ無い様に、正義が孤児と寡婦とに授けられる様に」この法を作ったと。単純に古い時代は野蛮だったとか遅れていたとか、考え無い様にして下さい。
古バビロニア王国は前1600年頃には北方から移動して来た新手の諸民族に滅ぼされますが、これは又後のお話。
参考図書紹介・・・・もう少し詳しく知りたい時は「森を守る文明・支配する文明」PHP新書cover 「環境の変化と文明の興亡の関係を考える・・・環境境考古学」。ギルガメシュ叙事詩やレバノン杉の話葉だけでなく、世界の「森の神々」に着いても詳しく触れています。
メソポタミア文明 おわり
次は古代エジプト文明へ〜
2019 04 19
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