2018年07月05日
従軍奇談 その2
従軍奇談 その2
南方戦線から内地に逃げ戻る将官と沖縄特攻 (肚に据えかねる話)
日本軍の戦況は日増しに不利になりつつある1945年に入ると、南方戦線から内地に向かうベタ金(将官の肩章や襟章は縞が無く地が一面に黄金色であるため「ベタ金」と俗称されていた)が時々広州の飛行場に給油のための中継地として立ち寄った。彼等は戦況報告と言う名目で内地に向かっていたのだろうが、我々には逃げ帰るとしか映らなかった。
勿論、そんなことを口に出すものは居ない。将官は我々にとっては雲の上の存在である。上官侮辱罪となるから口が裂けても言えない。彼等は決まったように小指を除く4本の指には分厚い金の指輪が見えた。台湾経由の航路の気象条件をパイロットに説明するのが私達の任務である。
小型の戦闘機はエンジンを掛けた侭、搭乗者は将官一人、滑走路脇で説明を聞くパイロットのそばに立って「大丈夫か?、大丈夫か?」と何度も念を押す将官の態度には何か「俺は死にたくない」と言う気持ちが伝わってくる。
「これが日本軍の将官か」と唾を吐きたくなる気持ちを抑えながら「一体部下の将兵は何人戦死しているのか」と内心では言いたかった。明日の爆撃で死ぬかもしれない情況にある私たちに向かって「ここは無難で好い処だ」などと口走る始末「一体何を考えているのだ」と呆れた。
日本軍の将官が皆そうとは思わない。私が体験した数名は例外中の例外と思いたい。我々の仲間も後で「あのベタ金野郎」などと陰口を叩いていたから、皆彼等に対してはそう思っていたにに違いない。中には指輪だけでなく、ピカピカした腕輪までしたのも居たと言う話を仲間達はして居た。
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色々なハプニングが起こった。沖縄特攻が盛んになった頃のある日、整備兵の一人が突然単身で小型機に搭乗して飛び立った。「今飛んだのは誰だ」と騒ぎになった。空中勤務の戦闘隊員を点呼したら皆地上に居る。誰が操縦して居るのか?そのうち整備兵の一人が居ない事が分かった。暫くたってその飛行機は戻ってきて主滑走路を少し外れた処で胴着(胴体着陸)し、機体は壊れた。
整備兵の彼は機体や操縦装置は良く知ってる。操縦桿を引けば主翼のフラップ(下翼)が下がり機首が上り機体が上空目掛けて飛び立つことも勿論知っている。ただ、実際の操縦経験が全く無いだけだ。飛び立つには燃料を補給し、始動車(当時は車で言えばセルモーターでエンジン起動できるものは未だ無かった。
始動車というプロペラを回転させる自動車を使ってエンジンを始動させて居た)がないと飛行機は飛べない。少なくも数名の協力が必要な筈だ。この辺りどうなっていたのかは謎である。
私が直接彼に聴いた訳ではないが「沖縄特攻の話を聞いて居ても立っても居られず沖縄に行く心算だった」と一機壊した彼は言ったそうだ。飛び上がるには上がったが、爆弾も装着していない油も足りない、航空路の地図も持っていないことに気付き引き返したと言う。離陸は簡単だが着陸は難しい。「良く旋回して飛行場に戻れたものだ」と空勤の連中は驚いていた。
飛行機の数が少なくなって貴重品だったその頃、これを壊した罪は重い。本来なら軍法会議ものだが「その意気たるや良し」と言うことか、余り重い処罰にはならなかったらしい。
つづく
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