プロジェクトFX 〜 投資家たち 〜 第3話
ここにきて、牛山がはじめて動揺を見せた。
それもそのはずである。ドル円はタッチすら難しいと思われていた日足の200MAを下抜けて、 120.25 まで下落してきたのである。
牛山 『去年の8月から一度も抜かれてない200MAを・・・いったい今現在どんな悪材料が出てるんだ!』
横中 『新たな悪材料は出ていないはずだ。』
牛山 『じゃあ、なんで!』
牛山はイラついていた。
横中 『しかも、200MAを抜けただけではないんだ。』
牛山 『ん?どういうことだ?』
熊川 『あっ!ネックラインも抜けてる!』
横中 『そう。日足の7月8日最安値120.41 のネックラインをも抜けてきている。』
牛山 『なんてことだ・・・』
状況は、どう見ても悪かった。三人とも数日前までは120円の大節目だけは下抜けないだろうと思っていたが、今では120円は抜けないでくれとの願いに変わっていたのである。
横中 『まずい状況だ。120円を割ってくれば最悪を想定した場合、週足の52MAがある118円も視野に入る。』
熊川 『いや、もっとだよ。125円をダブルトップとした場合、ネックラインの120.41との値幅は4円59銭。その値幅分の下落を想定すると、120.41 − 4.59 = 115.82 よって115円後半くらいまでは想定するべきだよ。』
牛山 『115円後半て、まさか・・・』
牛山はショックを隠しきれないようだった。
そのとき、横中はハッとした。
ネックラインを超えてくる場合、トップであろうがボトムであろうがそのネックラインまでの値幅分動くのがテクニカルのセオリーである。しかし、その嫌な予測を無意識に外し、週足の52MAがある118円に甘えてしまった自分がいたことに気がついたのである。
もちろん118円で止まる可能性もあるが、このときの状況で最悪を想定した場合は熊川の言うとおり115円後半である。さすが、最悪の想定はネガティ部らしい冷静な分析であると横中は感心した。
横中 『そうだな。最悪を想定した場合、熊川の言うとおり115円後半も考えておくべきだ。第一次警戒態勢に移行する。』
牛山、熊川 『了解。』
【18:00】
ドル円は、120.72 まで回復してきたので、三人は弱冠ホッとしていた。
横中 『120円の節目は簡単には抜けないようだな。』
牛山 『ネックラインより上に来て、200MAまで回復してきたな。』
熊川 『このまま上に行ってくれればいいけど、依然、警戒は必要だね。』
三人がホッとしたおよそ2時間後事態は急変する。
【20:10】
熊川 『大節目の120円が突破された!』
牛山 『マジかよっ!』
横中 『第二次警戒態勢に移行!』
・ ・ ・ 第4話へつづく
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