プロジェクトFX 〜 投資家たち 〜 第1話
セリング・クライマックスから口座資金を守れ
ロンガー達はトレーダー生命をかけた
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
益の中の建玉
損の中のクソポジ
みんな何処へ行った 見送られることもなく
草原のロンガー
街角のスワッパー
みんな何処へ行った 見守られることもなく
追証にある金を誰も払いたくない
人はチャートばかり見てる
つばめよ高い空から教えてよ 未来の値を
つばめよ追証の金は今 何処にあるのだろう
2015年 夏、
ロンガーは、2012年からのアベノミクスに始まった、円安に沸いていた。それもそうである、月足チャート見ればわかるが、2012年10月からある程度の下落はあるものの、セリング・クライマックスが発生するほどの暴落はなかったのである。
そんな中、この土龍炎ロング社も2012年10月に設立後、ドル円のロングで順調に利益を出していた。2015年8月に入っても、強気な発言が社員達には多かった。
土龍炎ロング社員 横中(中立部 所属)
『今年は、どこまで円安が進むかなぁ。』
土龍炎ロング社員 牛山(ポジティ部 所属)
『ドル円、130円行っちゃんじゃないか。』
土龍炎ロング社員 熊川(ネガティ部 所属)
『130円までいくかなあ?でもまあ、最低でも126円は超えてくるよね。』
そんな、各部門担当者の強気な発言が目立つ中、8月21日金曜日、雲行きが怪しくなり始めていた。
横中 『上海株、また下落してんだってな大丈夫かな。』
牛山 『今までも、下落したことがあっても影響なかったし大丈夫だろ。それに、市場は2008年のリーマンショックで学んでいるんだし、そう簡単にはパニックにはならないよ。』
横中 『うーん、だといいんだがな。』
牛山は楽観的だった。
そんなとき、神妙な面持ちで、熊川が休憩室に入ってきた。
牛山 『ん?どうした。まーた、お腹でも痛いのか?』と、
いつものように、牛山が熊川をからかった。
熊川 『違うよ! ちょっとVIX恐怖指数が気になってるんだ。』
横中 『恐怖指数がどうかしたのか?』
熊川 『うん、数値が28にまで上昇しているんだ。』
横中 『28って通常時を超えてるじゃないか!』
牛山 『どうせ、一時的に超えてるだけだろ。すぐに戻るさ!』
熊川 『戻れば、いいんだけど。もし、来週もっと上昇したらやばいよね。もし、何かやばいことの前兆だったらどうしよう。もし、・・・』
熊川は、悲観的だった。
牛山 『もし、もしって、カメさんかよっ!』
また、牛山がからかう。
横中 『じゃあ、21日の日足も確定してるし、チャートを分析してみようか。』
中立的な考えをもつ横中が提案をした。
その案に、牛山も熊川も賛同した。
こうして、3人はドル円の日足チャート分析を始めた。
横中 『21日の陰線が120MAに下ヒゲでタッチしているな。』
横中が冷静に言った。
牛山 『確かに、タッチはしている。しかし、ヒゲでタッチしているだけであるから7月8日のパターンと同じだろ。しかも、21日の陰線は7月8日よりも短いし、次の日には陽線で戻すさ。』
牛山の分析は、楽観的ではあるが、的を射ていた。
熊川 『でも、下に抜けたらまずいよね。もし、抜けた場合のことを想定して、損切りのための逆指値を設定しておいた方がいいんじゃないの。』
熊川の考えは、慎重だった。
牛山は強気に言った。
牛山 『120MAは、去年の7月30日に上抜けしてから、今まで一度も下抜けしてないんだぜ。よほどの悪材料がないかぎり抜けないだろう。逆指値だって設定しておけば、オーバーシュートによる一瞬の下ヒゲで引っかかっちゃうんだし、まだ設定する段階ではないだろ。横中もそう思うだろ?』
牛山に賛同を求められ、横中は言った。
横中 『確かに、1年近くも抜けれていない120MAが簡単に抜けるとも思えない、現に、21日も上海株は下落していたが、120MAは抜かれなかった。熊川の言うとおり、逆指値を設定するのも大事だが、牛山の言うとおりにオーバーシュートひっかかってしまうのは避けたいところ。
ここはどうだろう、逆指値を設定はしないが、まずい状況、目安として120円を割りそうにだったら、成行注文で損切りをするというのはどうだろう。』
中立部門の横中らしい、中立的な意見だった。
牛山 『確かに、120円を割りそうな状況であれば、損切りが視野に入ってくるな。』
熊川 『そうだね。目安をつけておかないと、損切りを迷ってしまうからね。』
その意見に牛山も熊川も納得した。
ここで、牛山がさらに楽観的な見解を述べた。
牛山 『それに、その下の200MAを見てみろよ、去年の8月19日に離れてから、今まで、タッチすらされてない線だぜ、タッチするだけでも難しいのに下抜けするとは思えない。200MAに守られている120円台は安泰だ。』
ポジティ部の牛山らしい、楽観的な見解であった。
横中 『確かに。』
熊川 『そうだね。心配し過ぎかもね。2つの抵抗線をすぐに抜けてくるとは考えにくいしね。』
200MAに120円台が守られている安心感から、熊川はホッとしているようであった。
その日は、ポジティ部門の牛山の意見に横中、熊川ともに賛同し、3人が楽観的になったことは確かだった。この時点で、誰もがセリング・クライマックスの“セ”の字すら想像していなかった。そう、あのネガティ部門の熊川までも・・・
その日の夜、就寝前に横中は布団に入りながら考えていた。
『今年に、入って恐怖指数が20を超えたことは何回かあったが、いずれも20前半だった。今回は20後半というのが、引っかかる。』が、月曜になれば、わかることだし、下がるであろうと思っていたので、気にしないで寝ることにした。
8月24日 月曜日の朝、
横中が出社して、ディーリングルームに入ると牛山と熊川が何やらもめていた。明らかに熊川が動揺しているのがわかった。
横中 『どうした熊川、何があった!』
ロンガー達はトレーダー生命をかけた
平成27年8月24日、
世界同時株安が起こり、為替では
セリング・クライマックスが発生した。
下は、そのときのドル円の日足チャートである。
値動きの少ない通貨ペアと言われているドル円が、
たった1日で約6円も暴落した。
ロンガーは阿鼻叫喚し、
市況2ちゃんねるのショーターからは、
『ロンガー息してる?』、『ロンガーざまぁー!』などと、
ののしられた。
数々のロンガーが退場し、またあるものは追証になり、
トレーダー生命を奪われた。
しかし、
そんな状況下でも生き残ったものがいた。
これは、歴史的な大事故の中で生き残り、
不屈の精神で立ち向かった
ロンガー達の物語である。
世界同時株安が起こり、為替では
セリング・クライマックスが発生した。
下は、そのときのドル円の日足チャートである。
値動きの少ない通貨ペアと言われているドル円が、
たった1日で約6円も暴落した。
ロンガーは阿鼻叫喚し、
市況2ちゃんねるのショーターからは、
『ロンガー息してる?』、『ロンガーざまぁー!』などと、
ののしられた。
数々のロンガーが退場し、またあるものは追証になり、
トレーダー生命を奪われた。
しかし、
そんな状況下でも生き残ったものがいた。
これは、歴史的な大事故の中で生き残り、
不屈の精神で立ち向かった
ロンガー達の物語である。
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
デンデデンデ デデンデン♪
益の中の建玉
損の中のクソポジ
みんな何処へ行った 見送られることもなく
草原のロンガー
街角のスワッパー
みんな何処へ行った 見守られることもなく
追証にある金を誰も払いたくない
人はチャートばかり見てる
つばめよ高い空から教えてよ 未来の値を
つばめよ追証の金は今 何処にあるのだろう
2015年 夏、
ロンガーは、2012年からのアベノミクスに始まった、円安に沸いていた。それもそうである、月足チャート見ればわかるが、2012年10月からある程度の下落はあるものの、セリング・クライマックスが発生するほどの暴落はなかったのである。
そんな中、この土龍炎ロング社も2012年10月に設立後、ドル円のロングで順調に利益を出していた。2015年8月に入っても、強気な発言が社員達には多かった。
土龍炎ロング社員 横中(中立部 所属)
『今年は、どこまで円安が進むかなぁ。』
土龍炎ロング社員 牛山(ポジティ部 所属)
『ドル円、130円行っちゃんじゃないか。』
土龍炎ロング社員 熊川(ネガティ部 所属)
『130円までいくかなあ?でもまあ、最低でも126円は超えてくるよね。』
そんな、各部門担当者の強気な発言が目立つ中、8月21日金曜日、雲行きが怪しくなり始めていた。
横中 『上海株、また下落してんだってな大丈夫かな。』
牛山 『今までも、下落したことがあっても影響なかったし大丈夫だろ。それに、市場は2008年のリーマンショックで学んでいるんだし、そう簡単にはパニックにはならないよ。』
横中 『うーん、だといいんだがな。』
牛山は楽観的だった。
そんなとき、神妙な面持ちで、熊川が休憩室に入ってきた。
牛山 『ん?どうした。まーた、お腹でも痛いのか?』と、
いつものように、牛山が熊川をからかった。
熊川 『違うよ! ちょっとVIX恐怖指数が気になってるんだ。』
横中 『恐怖指数がどうかしたのか?』
熊川 『うん、数値が28にまで上昇しているんだ。』
横中 『28って通常時を超えてるじゃないか!』
牛山 『どうせ、一時的に超えてるだけだろ。すぐに戻るさ!』
熊川 『戻れば、いいんだけど。もし、来週もっと上昇したらやばいよね。もし、何かやばいことの前兆だったらどうしよう。もし、・・・』
熊川は、悲観的だった。
牛山 『もし、もしって、カメさんかよっ!』
また、牛山がからかう。
横中 『じゃあ、21日の日足も確定してるし、チャートを分析してみようか。』
中立的な考えをもつ横中が提案をした。
その案に、牛山も熊川も賛同した。
こうして、3人はドル円の日足チャート分析を始めた。
横中 『21日の陰線が120MAに下ヒゲでタッチしているな。』
横中が冷静に言った。
牛山 『確かに、タッチはしている。しかし、ヒゲでタッチしているだけであるから7月8日のパターンと同じだろ。しかも、21日の陰線は7月8日よりも短いし、次の日には陽線で戻すさ。』
牛山の分析は、楽観的ではあるが、的を射ていた。
熊川 『でも、下に抜けたらまずいよね。もし、抜けた場合のことを想定して、損切りのための逆指値を設定しておいた方がいいんじゃないの。』
熊川の考えは、慎重だった。
牛山は強気に言った。
牛山 『120MAは、去年の7月30日に上抜けしてから、今まで一度も下抜けしてないんだぜ。よほどの悪材料がないかぎり抜けないだろう。逆指値だって設定しておけば、オーバーシュートによる一瞬の下ヒゲで引っかかっちゃうんだし、まだ設定する段階ではないだろ。横中もそう思うだろ?』
牛山に賛同を求められ、横中は言った。
横中 『確かに、1年近くも抜けれていない120MAが簡単に抜けるとも思えない、現に、21日も上海株は下落していたが、120MAは抜かれなかった。熊川の言うとおり、逆指値を設定するのも大事だが、牛山の言うとおりにオーバーシュートひっかかってしまうのは避けたいところ。
ここはどうだろう、逆指値を設定はしないが、まずい状況、目安として120円を割りそうにだったら、成行注文で損切りをするというのはどうだろう。』
中立部門の横中らしい、中立的な意見だった。
牛山 『確かに、120円を割りそうな状況であれば、損切りが視野に入ってくるな。』
熊川 『そうだね。目安をつけておかないと、損切りを迷ってしまうからね。』
その意見に牛山も熊川も納得した。
ここで、牛山がさらに楽観的な見解を述べた。
牛山 『それに、その下の200MAを見てみろよ、去年の8月19日に離れてから、今まで、タッチすらされてない線だぜ、タッチするだけでも難しいのに下抜けするとは思えない。200MAに守られている120円台は安泰だ。』
ポジティ部の牛山らしい、楽観的な見解であった。
横中 『確かに。』
熊川 『そうだね。心配し過ぎかもね。2つの抵抗線をすぐに抜けてくるとは考えにくいしね。』
200MAに120円台が守られている安心感から、熊川はホッとしているようであった。
その日は、ポジティ部門の牛山の意見に横中、熊川ともに賛同し、3人が楽観的になったことは確かだった。この時点で、誰もがセリング・クライマックスの“セ”の字すら想像していなかった。そう、あのネガティ部門の熊川までも・・・
その日の夜、就寝前に横中は布団に入りながら考えていた。
『今年に、入って恐怖指数が20を超えたことは何回かあったが、いずれも20前半だった。今回は20後半というのが、引っかかる。』が、月曜になれば、わかることだし、下がるであろうと思っていたので、気にしないで寝ることにした。
8月24日 月曜日の朝、
横中が出社して、ディーリングルームに入ると牛山と熊川が何やらもめていた。明らかに熊川が動揺しているのがわかった。
横中 『どうした熊川、何があった!』
・ ・ ・ 第2話へ つづく
もし、この記事が気に入って頂けたら、ツイッターや はてなブックマーク等で シェアをお願いします。 新しい記事を書く はげみになります。