2019年09月08日
アルフレド・デスパイネ インタビュー キューバ野球の問題点を指摘
アルフレド・デスパイネ、数日前に日本での独占インタビューに応えてくれた
Trabajadores、2019年9月8日、 Joel García León記者
世界選手権に参加していた柔道のキューバ代表チームを訪問しに彼が品川プリンスホテルに行くと、ロビーでは子どもたちや日本人が彼を知っていて、サインをねだった。アルフレド・デスパイネはこのアジアの国の野球界におけるアイドルであり、もちろん、現在の何らかのテーマについて意見を述べたり、日本での自身の経験や将来について語ることを最も認められた存在である。
これは独占インタビューである。世界で二番目に重要なプロ野球リーグでの通算150本塁打を達成する数日前のこと。彼のことばのひとつひとつが暗黙の教訓や使命やキューバらしさを伝えてくる。
- 今季は波がありますね。いいスタートを切って、そのあと少し下降して、今はまた上り調子。試合数がとても多いハードスケジュールの厳しさが堪え始めていますか。
とても長いシーズンのなかで、グラウンドの大半は人工芝だし、負傷も当たり前。最近のケガは打撃練習でのスイングによるものだった。膝の痛みはしっかりしたダイエットと薬のバランスでコントロールできている。またこれにはキューバでハードなトレーニングをして、こっちに来てから休んでいないことも関連してる。夏は打撃の調整がしやすい時期だ。チームでの私の仕事は打点をあげることであり、本塁打を打つことであり、できるだけ多くの試合でプレーするよう努めることだ。ここまでそれができている。
- 日本リーグでいまと同じチームとさらに2年契約する用意がありますか。それともほかのオファーがすでにありましたか。
今季はこのチームとの契約の最後の年だ。何も言われていない。12月1日に自由契約選手の状態になる。2度の優勝を経験した今のチーム(ソフトバンク・ホークス)と契約するか、または、最初に在籍した別のチーム(千葉ロッテマリーンズ)とするか。私はもう日本リーグでのリズムはつかんだ。だから今はさらに2年の契約を考えている。もしかしたらもう少し長い期間のオファーを受けるかもしれないけど、それには税金の問題や、家族との時間まで、じっくり考えなければならないだろう。
- 本塁打を打つたびに見せるヘルメットを持って足を上げるジェスチャーはファンのあいだでトレードマークになってますね。
あれは自然発生的に生まれて、そのまま続けている。今やあれをやらないと試合での問題になるんだ。人びとはあれを期待しているし、記者たちですら要求するほどだから。ここではキューバ以上に野球がとても息づいている。ファンがたくさんいるんだ。
一例をあげよう。数日前にテレビ番組の取材で水族館に行ったら、そこにいた子どもたちがほとんど収録をさせてくれないんだ。一時間以上写真を撮ったりサインをしたりしたんだから。時には少しうんざりするときもあるよ。特に家族と一緒に電車や飛行機で旅行しているときなどはね。でもそういう環境にも慣れてくるものなんだ。君が知っている通り、私は名声に浮かれるタイプの人間ではないから。
- ソフトバンクはキューバ選手が最も多いチームです。往々にしてわれわれの文化からかけ離れたアジアの習慣や規律の中で暮らすあなたたちの生活はどんなもんなんですか。
私たちはとても仲良くやってるよ。モイネロ、グラシアル、オスカル・ルイス・コラース、アリエル・ミランダ、そして私。米国人が1人、スペイン語を話すオランダ人が1人、ベネズエラ人も1人いる。私の家で食事して、別の日にはモイネロの家で、というふうに続けている。これにとても助けられている。以前は一人だったし、滞在はもっとつらかった。
でもここには「年長者と新人」という不文律があるんだ。私はチームではもっともベテランの外国人選手なので、コーチ陣や選手たちも私になんでも話をしにくる。新人選手に何かを伝えるために私のところに来るんだ。電車やバスの中や試合前のミーティングや試合中には電話で話してはダメとか、音楽を聴くには常にイヤフォンを使わなければならないとか、自宅では決められた音量以上は上げてはダメとか。私たちは明るさを失うことなく適応してきた。私たちはプロとして活動しているんだからね。
- 議論のある2つの話題にいきましょう。パンアメリカンリマ大会での結果をデスパイネはどう見ましたか。何が足りなかったでしょう。モチベーションなのか、それともほかの何かか。
チームと首脳陣に責任はない。野球は以前のものとは違う、ということに早く気付かなければならない。いま世界のどのチームにも大リーグや3Aまたは2Aの選手たちがいるのに、われわれは質の低いチームと対抗戦をやっている。そのあとそれが大会であらわれる。
わずか5試合のためのトレーニングとしてはとても長かったんじゃないか。ここ日本では試合数は多いが、練習は1か月半だけだ。リマに出場した各チームの大半は1週間か15日前に集まっている。
代表チームのスカウティングのシステムを変える必要がある。われわれは情報なしで何度も大会に出ている。いまの野球は情報戦だ。相手の投手陣は4つの球種をマスターしているが、これはキューバでは見られない。米国大学選抜チームがわれわれが対戦した最高レベルの相手であり、彼らをわれわれはほとんど打てなかった。
最低でも90マイルのときに、これに適応するには練習では93マイル以上で取り組まなければならない。キューバには93〜95マイルの直球を投げる投手はほとんど残っていない。これをどうやって解決するか。
日本では対戦する投手が左投げであれば、事前のウォーミングアップで左投手が投げてくれる。とても速い投手が相手であれば、より速く投げる投手に頼むことができる。われわれの投手陣はもっと多くの球種をマスターする必要がある。直球、カーブ、スライダーでは、国際大会でアウトを取るのが一層難しくなっているからだ。
モチベーションはプレッシャーがたくさんあるために切れてしまう。ここ日本は球場外では君の生活に誰も手を出してこない。それはその通り、もし結果を残さなければ捨てられるということだ。君はプロであり、早めに到着する、酒やタバコはやらない、必要な休息時間をとる、といったやるべきことをわかっているのだから。これがわれわれの選手たちには欠けている。
海外との契約選手の場合には、おそらく時差と、ボールの変更が影響したと思う。ここ日本には世界最高の投手陣がいて、たまに球速がより遅い投手と対戦すると調整に遅れることがある。
全部見直すべきだ。でも確かなことは、あのチームに参加していようがいまいが、キューバの野球選手にとってひじょうにつらいパフォーマンスだったということだ。
- プレミア12が近づいています。あなたは、わが国の連盟を介さずに日本や他のリーグ(協定が取り消されたMLBを除く)と契約しているキューバ選手が、国内リーグの選抜選手たちとともに召集され、そこからプレミア12の代表チームがつくられることに賛成しますか。
もしわれわれがすぐれた役割を果たし戦うことを望むのであれば、キューバ野球連盟と契約してはいないがここでプレーしている選手たちに機会を与えるべきだ。オネルキス・ガルシア、アリエル・ミランダ、アレクサンデル・ゲレーロ、ダヤン・ビシエド、レオニス・マルティン。ほかにも韓国、メキシコ、ドミニカ共和国、プエルトリコでプロ経験を持つ選手たちがいて、彼らは召集されれば力になれる。
日本のリーグは9月24日に終わる。プレミア12に向けて短縮したからだ。もしキューバ代表チームがアジアに合宿に来るなら私はここで合流すれば向こうまで移動しなくてすむ。非常に高いレベルの大会になるし、五輪出場権獲得は厳しいことだ。しかしすぐに行動を起こせば不可能ではない。
- 最後に、グランマのメンバーたちとキューバにいるすべてのフォロワーたちに何か一言。
わがチームには、二次ラウンド進出に向けて全力でがんばってください、そこで私はプレーオフに合流できるでしょう。キューバ国民には、私たちを応援し続けてください、われらの国技で夢を見るのをやめないように、また私たちは五輪出場権を目指して全力を出します。ここにいる私たちのことも、国内リーグでプレーしている選手たちのことも応援を続けてください。野球は皆のものです。
キューバTV パンアメリカンリマ大会5位決定戦 キューバ対ドミニカ共和国 10回ダイジェスト(2019年8月3日)
パンアメリカンリマ大会5位決定戦 キューバ対ドミニカ共和国 10回の攻防(2019年8月3日)
キューバ対米国大学生選抜 第二戦ダイジェスト(2019年7月3日)
キューバTV デスパイネ150号本塁打(2019年9月5日)
Alfredo Despaigne: de Japón, Lima y el Premier
http://www.trabajadores.cu/20190908/alfredo-despaigne-de-japon-lima-y-el-premier/
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