健康

幅広い経験、学びが基になり、高いレベルに達します。そのため、高いレベルに行くため、時間がかかり、大器晩成と言う言葉があります。勿論、早熟で、大成うる人もいます。

しかし、もがきながら実力をつける人の方が多いです。プロ野球でも、ドラフトの下位で指名され、後に凄い記録を残す人も多くいます。その一人は福本豊氏（１９４７〜）です。足が速く、通算１０６５盗塁、シーズン１０６盗塁、通算２９９盗塁死、通算１１５三塁打の記録は、それぞれNPB歴代1位です。１９６８年の当時の阪急ブレーブスにドラフト７位指名で入団しました。

阪神で４番を打った事もある掛布雅之選手（１９５５〜）は、１９７３年ドラフト会議で阪神から６位指名です。
同じく、広島、阪神で中軸を打った金本知憲選手（１９６８〜）は、１９９１年広島カープが４位指名です。入団時は非力でした。その後、筋力をつけ中心打者となります。

また上位指名でも、アマチュア時代、順調に活躍した選手ばかりではありません。

今年、引退した上原 浩治投手（１９７５〜 ）は、大学卒業時、巨人の１位指名で入団します。しかし、同じ年、ドラフト１位で西武に入団した松坂大輔投手の様な野球エリートコースを歩んだ訳ではありません。そのためか、地味な印象を受けます。父親が監督をしていた少年野球チーム「寝屋川アスナローズ」で野球を始めます。寝屋川市立第十中学校では野球部がないので、団地内にある「明徳アスナローズ」で野球を続けます。

同時に、陸上部にも入っています。東海大学付属仰星高等学校に進学しますが、１，２年時は陸上部で鍛えた脚力を活かし外野手でした。３年になって投手を始めますが、建山義紀の控えで殆ど登板機会がありません。高校時代は無名選手でした。

そして、体育教師になるため大阪体育大学を受験。合格ラインにあったはずですが、結果は不合格になります。この時のショックは今でも忘れられないと言います。１浪して大阪体育大学に合格。浪人生活は、予備校に通いながら、ジムでトレーニングをし、更に夜間は道路工事のアルバイトもしたそうです。非常に燃えた心に残る１年だったと言われています。大体大では、野球部に入部。1年半ぶり、投球すると、球速はアップし、１４６km/hを記録。浪人時代の、ジムでのトレーニング、道路工事での仕事で筋力がアップしたのでしょう。

「雑草魂」と言う言葉を大事にされていまが、ここまでの生き方が、「雑草魂」です。遠回りに見えて、１浪した時の苦しい生活が、後のプロ野球生活で活かされているはずです。ピンチになっても、パニックにならない強い気持ちが養われ、後にメジャーでクローザーでの登板時の精神力に繋がっていたのではないでしょうか。不利と思われる経験が後に活きています。


三冠王を３度獲得した超一流の打者、落合博満氏（１９５３〜）は、選手、監督として一流の成績を残しました。しかし、高校は秋田工業で、野球の名門校ではありません。しかも、野球部に入りますが、理不尽なしごきがあり、退部。もっぱら映画館で時間を過ごす事が多かったそうです。しかし、野球の能力は高く、試合になると、４番で出場します。そして、１９７２年東洋大学に入学。ここでも、上下関係が嫌になり、すぐ退部。

更に、大学も退学。その後、ボーリングに夢中になり、プロボーラーを目指しますが、プロテスト試験の日、交通違反で罰金を取られ、受験料が払えなくなったと言います。そして、高校時代の恩師の勧めで、東芝府中の野球部で活躍し、１９７８年、ロッテに３位で入団。２５歳の時で遅い入団です。（江川事件が無ければ巨人が２位指名する予定でした。）そして、１９８１年首位打者、１９８２年三冠王、１９８３年首位打者、１９８５，１９８６年と、連続三冠王など、数々のタイトルを獲得します。

そして、打撃技術は同僚の土肥健二の手首の使い方を学ぶなど、鋭い観察眼でレベルアップさせています。プロに入り、独自の研究で能力を一挙に伸ばしています。「もし巨人に入っていたら？」と問われた時「ロッテで自由にやれたから、伸びた」と答えています。もし、プロボーラーになっていたら、巨人に入っていたら、高校時代もっと練習していたら、とか「もし」はありますが、結局、回り道をし、土肥氏の打撃を見たり出来た事が、落合氏にとって最善だったと言えます。

順調に行かなかった事が、最終的に良い結果を生む事に繋がっています。遠回りする事で、様々な学びをする事になり、それが肥やしになり、能力を高めてくれます。上原氏にとっての陸上、浪人生活、落合氏にとって、ボーリングに打ち込んだ事も間接的に野球に役だっているはずです。

ノーベル物理学賞を受賞された湯川秀樹博士は、子供の頃、古典の素読をしていたのが、良かったといわれます。また、理論物理学者で、法華経などのお経がヒントになると言われる人が複数います。ある分野で高い所に行くには、一見無駄と見えたり、遠回りしたと思える経験が役に立っている事が解って来ます。
若くして順調に頭角を現す人もいますが、素晴らしい実績を残した人でも、殆どの場合、色々な遠回りに見える経験をしています。


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