健康

教える事は学ぶ事と言われます。感覚的に解っていても、いざ教えるとなると、理解してない部分が見えて来ます。スポーツの世界で、超一流と言われる人は、教えられなくても、見ているだけで、感覚をつかみ、技を身に付ける人がいます。こういう人は、理屈抜きで出来てしまうので、教える事は苦手です。しかし、苦心して技術を身に付けた人は、出来るまで色々考えているため、他人に説明出来る人が多いです。

日本人は、子供の頃から漢字を習います。子供の頃は、丸暗記する能力が優れているので、簡単に多くの漢字を覚えてしまいます。しかし、外人が大人になって漢字を覚える事は大変です。そのため、漢字の由来から考え、何故その漢字が出来たかを考えながら覚えた人がいます。

その人はキリスト教徒でした。禁止の禁の字を見た時、その人は、エデンの園を思い出したそうです。エデンの園に「この２本の木の実を食べるな」と示された木があります。それで、木＋木＋示はその物語を示していると解釈しました。その他多くの漢字を聖書から説明されていました。記憶し易すかったそうです。この人は、覚えるのが大変なので、色々考え、他人に説明出来る様になっています。

故障した選手は、治す過程で、筋肉、骨など人体など深く学び、更に生活の在り方まで考える様になります。その結果、同じ様に悩む選手にアドバイスが出来ます。苦しむ経験の中で、様々な事を考え、知識が増えるので、言語化して説明出来る様になります。

何か学んだ時、何となく「理解した気分」になります。しかし、他人に説明しようとする時、解って無い事に気づきます。相撲は、TVなどを通して身近に接しています。それでも、相撲の説明をして下さいと言われると、歴史、所作、組織の仕組みについて何も知っていない事に気づきます。

人間は、色々な感情になります。日々体験しているのに、感情とは何ですか？と問うと説明出来なくなります。

ですから、人に何か説明しようとすると、必ず、様々な疑問が出ます。そのため、色々調べる事になり、真剣に学びます。そのため、学びを深めるには、他人に説明する事は有益です。そこで質問が出れば、更に学びを深めてくれます。

アスリートにとって、競技会が無ければ、単なる遊びとなり、苦しい練習はしません。教える事は、アスリートにとっての、競技会と同じです。

教える機会、発表する機会を持つ事は、自分の学びを深める好機になります。相手がいると、どう説明すれば良いのかなど色々考える為、記憶も定着し易くなります。

日本ハムの監督の栗山英樹監督は、この発表の力で伸びた人と思っています。１９８３年ドラフト外で、ヤクルトに入団します。入った時、周りの人の能力に圧倒されたと言われます。そのため、練習量で勝負し、足が速かったので、左打も取り入れています。そして、５年目に、規定打席は満たさなかったものの、３割を打ち、６年目には、ゴールデングラブ賞を受賞されました。しかし、メニエル病の発症などで、１９９０年、プロ生活７年で引退します。レギュラーを獲得した素晴らしい選手ですが、プロ選手として、傑出した成績ではありません。

ただ、様々な悩みの中で、多くの事を学ばれました。

引退後、解説者の仕事をされます。解説者の多くは、実績ある名選手が多い世界です。そこで栗山氏は、解り易い解説をし「一流の伝え手」になるため必死で学びます。解説の仕事は栗山氏にとり、発表会であり、聴衆に教える事です。ノーランライアン、オジースミスなどメジャーの超一流選手にもインタビューしたり、アメリカの球団経営についても研究しています。

２０年間その仕事を続けた結果、おぼろげながら、自分の中で理想の球団像が出来ていたそうです。その時、監督要請がありました。それでも、「頭がおかしくなるほど考えた。」結果、監督を引き受けました。そして、監督として実績を挙げています。緻密な計画を立て、２刀流れの大谷翔平選手を育てています。

解説の仕事は、栗山監督にとって、学ぶ好機でした。この機会が無ければ、必死で勉強しなかったでしょう。

発表や、教える機会は、自分の学ぶ意欲を強めてくれます。
また、栗山氏が、プロ選手として、一流の実績が無いと言う意識も、謙虚に学ぶ事に繋がっているかも知れません。

色々苦労し、言語化して、説明出来る能力を付ける事は、リーダーとして必要な能力になります。




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