健康

大相撲の力士の平均寿命は、一般人より短命です。特に、横綱は、現役時代、大変なプレッシャーがあり心身にストレスが溜まります。また、多くの力士も、現役時代、体重を維持するため大食し、内臓にも負担が掛かります。そのため、力士の平均寿命は短いと言われます。

しかし、長寿の人もいます。

桂川　質郎：９６歳、綾錦久五郎：９２歳、天城山猪太夫：９１歳、駿河海光夫：９０歳、など、９０歳以上の大相撲経験者がいます。その他、８０歳以上の人も何人もおられます。

その人達の共通点は、何かあるのでしょうか？

＊桂川 質郎（かつらがわ しちろう：１９０７〜２００３）９６歳。
宮城県名取郡（現在の名取市出身）で伊勢ヶ濱部屋所属。
現役時代の体格は身長１７０ｃｍ、体重８８ｋg。
２０歳で、初土俵。最高位は、西前頭筆頭。１９４２年1月場所で、幕内で１５戦全敗を記録し、
同年５月場所引退。激しい稽古で指先は全部骨折し、そのまま放っておいたため曲がったままになっていたそうです。凄まじい闘争心の持ち主です。

引退後は伊勢ヶ濱部屋付きの年寄として、後進の指導に当たる傍ら、一般人向けに相撲錬成道場を設立して相撲の指導普及に努めています。１９５６年、伊勢ヶ濱部屋から分家独立して木瀬部屋（元前頭筆頭の肥後ノ海が創設した、出羽海系の木瀬部屋とは別）を創設します。１９６７年に、娘婿の元前頭９枚目・清の盛に、
木村瀬平の年寄名跡を譲渡して廃業。以後、本郷でマンションを経営しながら、相撲錬成道場や居合道の道場を創設します。

そして、夢想神伝流居合の修行に没頭し、檀崎友彰と名乗ります。段位は居合道範士九段、杖道範士七段、
剣道教士七段となっています。現役時代、見せた激しい性格で、居合、剣道に取り組まれたのでしょう。引退後も色々活動されています。

＊綾錦 久五郎（あやにしき ひさごろう：１９１１〜２００３）９２歳。
石川県羽咋郡志賀町出身。湊川部屋（入門時は振分部屋）所属。
現役時代の体格は身長１７６cm、体重８２kg。
１９２８年、１８歳で初土俵を踏。最高位は西前頭１１枚目。入門時は振分部屋で、部屋の再興のときに
湊川部屋に移籍します。１９３９年、２８歳で廃業。廃業後は自営業を営み、１９５５年〜１９９１年の間
佐渡ヶ嶽部屋でコーチ役として、８０歳まで後進を指導しています。

＊天城山 猪太夫（あまぎやま いだゆう：１９０６〜１９９７）９１歳。
静岡県田方郡伊東町（現在の伊東市）出身。友綱部屋所属。
現役時代の、身長１８５cm、体重９８kg。
１９２５年、１９歳で初土俵。最高位は東前頭１７枚目。１９３８年、３２歳で引退。１９７１年、６５歳で日本相撲協会を停年退職します。

＊駿河海 光夫 （するがうみ みつお：１９２０〜２０１０）９０歳。
静岡県静岡市出身。出羽の海部屋所属。
現役時代の体格は、身長１８６ｃｍ、体重１０５Kg。
１９３８年、１８歳で初土俵。１９４５年１１月場所で廃業。その後、力道山に誘われ、プロレスラーになります。１９５６年、３６歳の時、重量別日本選手権大会に出場し、初代日本ジュニア・ヘビー級王者になっています。


この長寿の力士の共通点は、現役時代、１００ｋｇ程度の体重です。１００ｋｇ程度なら、引退しても、急激に体重を減らす努力をする必要は無く、普通の生活に、すぐ移行出来ます。桂川 質郎氏は、引退後、居合、剣道などに取り組み、かなり激しい運動を続けています。駿河海 光夫 氏は、引退後、プロレスラーになっています。
綾錦 久五郎氏も、８０歳まで、後進を指導されています。

共通点は
＠現役時代から、筋肉質で、１００ｋｇ程度の体重。引退後、体重減らす努力は殆ど要らない。
＠引退後も、体を動かしたり、後進の指導など、色々な活動を行っている。

現役時代引退後も、減量で苦労する事はなかったでしょう。１００ｋｇで戦ったのですから、俊敏な動きだったはずです。引退後の生活でも良く動いていたと推測します。

引退後、適切な体重を維持し、運動や、自分に合う活動を続けていれば、大相撲と言う体に負担の掛かる世界にいた人でも、長寿は、十分可能であると思われます。



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