自身の失敗から学んだ教訓、そこには「復活の道」も描かれている。
盛衰循環図
![盛衰循環図.002.jpeg](/underpar2/file/E79B9BE8A1B0E5BEAAE792B0E59BB3.002-thumbnail2.jpeg)
曰く、人生は困窮から始まり、そこで挫けてしまうと挫折し前に進まない。しかし、めげずに「発憤」し邁進すれば(勤倹)、一定の財が手に入ると説く(富足)。
ここからが分かれ道で、「足を知る」ことによって、人格や品性、徳を高める道(修養)に進めばやがて真理を悟る(喩義)。さらにその先には静かに楽しむ(清娯)生活、安らかな境地(安楽)と続く。
しかし、財を築いた(富足)のところで、とたんに奢ってしまう人がいる(傲奢)。さらに利益をむさぼり(喩利)、「人の道」から外れ、やがて周囲の人々に見破られ立ち行かなくなり苦悩する(煩悶)。そして「困窮」に戻ってしまう。
人生の縮図ともいえる教訓であるが、救いとなるのは困窮に陥っても挫けずに発奮すればまた財を手に入れる(富足)への道があるということです。
善次郎氏自身が何回も困窮に落ちた経験があり、その経験からこの盛衰循環図を示した。20代当初、玩具屋や鰹節屋兼両替商に勤めたが投機に走ったあげく失敗し、離婚、退職を経験。それでもくじけずに25歳で独立し、乾物と両替を商う安田商店を開業。善次郎氏は酒タバコをやめ、勤倹を誓うことで、質素な生活を心がける。再び困窮に落ちないために、自らを律し、自分の天職を金融業と定め、私的に事業を営むことを自ら戒めた。
小さな商店から始まったものが、やがて安田銀行(現在のみずほフィナンシャルグループ)設立。その後、損保会社(現在の損害保険ジャパン日本興亜)、生保会社(現在の明治安田生命保険)、東京建物等への設立へと続く。
盛衰循環図は晩年に書かれたものであり、安田家の後継者たちへ「おごることなかれ」と教訓として語り継がれる。
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