久々に怪獣紹介をしたいと思います。
今回はゴジラシリーズより暴竜(暴龍)アンギラスの紹介です。
アンギラスの初登場はゴジラシリーズ2作目「ゴジラの逆襲」でゴジラにとっては初めての対戦怪獣となりました。
「アンギラス」という名前はかつて地球に生息していた鎧竜の一種・アンキロサウルスの通称、という設定であり、初登場作品『ゴジラの逆襲』にて第一目撃者の証言がアンキロサウルスと一致した事が名前の由来ですが、
作中「アンキロサウルスの資料」として提示されたイラスト・生態は通説とまるで異なるもので、狂暴な肉食性で体長もなんと45mとして紹介されるなど、現実世界のアンキロサウルスとは完全に乖離しています。そのため、あくまでも名前だけ借りたオリジナルの恐竜だと考える必要がありそうです。
全身の至る所に脳髄が分散しており、ゴジラ以上の体格ながら素早い動きができるという、後のゴジラの「第2の脳」の元ネタと思わしき設定があります。
水爆実験で復活・変異を起こした恐竜、というゴジラと似た共通点を持ちながら、激しく争う事になりました。
「ゴジラの逆襲」では時期は不明だが、岩戸島にて2代目ゴジラと戦いを繰り広げているのを、島に不時着した主人公らによって目撃され、その後海中に没したかに見えたが、ゴジラと共に大阪へ上陸。大阪湾岸部〜心斎橋〜淀屋橋〜大阪城公園と熾烈な戦いを繰り広げながら、大阪のど真ん中を蹂躙していきました。
互いに喉ばかりを狙って噛み付き攻撃を行うという非常に動物的な戦闘を行ったが、隙を突かれてついに自らが喉を食い破られてしまい、さらに(それまでは効果の無かった)はずの白熱光を浴びて炎上し、大阪城と共に炎の中で絶命しました。
2代目は「怪獣総進撃」にて登場し、凶暴だった初代と違ってゴジラや他の怪獣に協力的で、後のゴジラの良き相棒となります。
キラアク星人に操られて怪獣ランドを抜け出し、ゴジラとともに伊豆でキラアク星人の基地を攻撃しようとした攻撃部隊に襲い掛かりました。
その後、洗脳が解けると富士の裾野にて、地球怪獣軍団の一員としてキングギドラと対戦し、噛み付き攻撃を行ってダメージを与え、結果としてキングギドラは史上稀に見る悲惨なリンチの末に死亡し、地球の平和は守られたのでした。
「オール怪獣大進撃」は一郎少年の夢が舞台となっている為、夢の中の怪獣島の住人として登場でした。
「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」では本格的にゴジラの相棒としての描かれ方が強くなりました。
東京郊外からの不審な音波(実は地球侵略をもくろむM宇宙ハンター星雲人が宇宙へと発信していた信号だった)を察知したゴジラに頼まれ、怪獣島から東京へと偵察に出撃し、相模湾から上陸するも、何も知らない人類側がメーサー殺獣光線車を中心とした大部隊で迎撃を行った為、撤退を余儀なくされました。
その後、人類側がM宇宙ハンター星雲人の野望に気づくも、信号を察知したガイガンとキングギドラが飛来。これをうけて迎撃を決意したゴジラと共に東京へ上陸し、2対2の激闘を展開されます。
当初は、M宇宙ハンター星雲人の指示をうけて巧みに戦う敵怪獣達に苦戦を強いられますが、人類側の作戦によってその指示系統が壊滅すると形勢は逆転。
ゴジラと連携して、トゲの生えた背中で体当たりをかますなどの攻撃によって相手側を追いつめ、ついには宇宙へと追い返す事に成功しました。
因みにゴジラとの会話内容は、吹き出しとなって観客にも見える。ゴジラの相棒として偵察任務を忠実にこなしたが、会話の内容などを見る限りどちらかというとその扱いは子分でした。口調は媚びへつらうわけではなく、タメ口だしたが。
「ゴジラ対メガロ」では本筋には殆ど絡まない、すこしだけの登場。
物語の発端となる水爆実験が行われた際、怪獣島にもその影響が及んで地割れが発生し、これに飲み込まれひっくり返るという憂き目を見てしまいました。
そして、2代目最後の登場となった「ゴジラ対メカゴジラ」では吹雪の中に姿を現し、咆哮するシーンから映画がスタート(このことから、かなりの低温下でも行動が可能の様子。ちなみに劇中のラジオの音声から、この地が根室であると推測される)。
その後、富士山から出現したにせゴジラ(メカゴジラ)の正体を真っ先に見破り、御殿場に出現。地底から現れてにせゴジラを転倒させ、体の棘で切りつけ金属部分を露出させるなどして奮戦するも、顎を裂かれて吐血する(裂かれた部位からの流血にも見える)、何度も地面に叩きつけられるという惨いやられ方で撤退した。
この時には人類側にも「ゴジラと最も仲が良い怪獣」として認知されていました。
VSシリーズやミレニアムシリーズなど、中々登場しなかったアンギラスですが、とうとう「ゴジラ FINAL WARS」にて登場。X星人に洗脳され人類を攻撃し防衛軍の戦艦「火龍」を暴龍怪球烈弾〈アンギラスボール〉という身体を丸めて体当たりする技で撃墜しています。
その後、進撃するゴジラを食い止めるために富士の樹海でラドン・キングシーサーと共にこれを迎え撃つ。
暴龍怪球烈弾〈アンギラスボール〉となってゴジラを攻撃し、1回目は当たってゴジラをよろけさせるものの、次の攻撃は難なく避けられてラドンへと命中してしまい、さらにそれを拾ってキングシーサーが決めたシュートは何故かゴジラは避けようとせずにゴールキーパーよろしくセーブを試みたが、回転がかかっていた為にはずれ、岩盤にめり込んでしまう。
ここに飛び蹴りをゴジラに避けられたキングシーサーが勢い余って衝突し、3匹とものびてしまった。
ただし、ラスボス的存在であるモンスターXとカイザーギドラ以外の怪獣では唯一ゴジラによろめくほどの一撃を与えており、そういう意味では他の怪獣よりはいい扱いだったと言えるでしょう。
アニメ映画やその前日譚である小説などにも登場しました。ここまで長々とアンギラスの活躍を挙げてきましたが、何故アンギラスが不遇とされるのか、その原因は、登場を検討されながら何らかの要因で没になり続けていた事です。
理由は、川北特技監督曰く「四足のためゴジラと並んだ時に絵にならない」「膝をついて動くため、スピード感が出せない」とのことです。
没案を幾つか挙げると、「ゴジラVSデストロイア」が「ゴジラvsゴーストゴジラ」という企画だった時期にはゲスト怪獣としてアンギラスの登場が検討されており、デザイン画も描かれていた。また、デストロイア(企画段階では「バルバロイ」という名前)の一形態としてアンギラス型の怪獣「アンギラス・ハウンド」やバラゴンとの合体形態「バラギラス」の登場も検討されていた。
「ゴジラ・ザ・シリーズ」にも、企画書にはアンギラスの名前が記されていた。
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃」には、護国三聖獣の一体として、「とある黄金の冷凍怪獣」が登場が予定されていたが却下されたのは有名な話。
「ゴジラ×メカゴジラ」では機龍と戦う案が出された(対メカゴジラの時のような前座としての立場での登場だったようだ)。更に「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」では死骸での登場が検討されたがカメーバに変更された。
後者の脚本を担当した横谷昌宏によれば、製作の富山省吾が人気怪獣であるアンギラスに死体役をやらせることを反対したという。
これら以外にも「GODZILLA King of the monsters」で登場が予想されましたが残念ながらアンギラスっぽい怪獣の骨が一瞬映っただけでした。
ゴジラの最初の対戦怪獣で、その後良き相棒(子分?)だったのに、VSシリーズには登場せず、企画段階で没にされる。
これが不遇と言われる所以ですが、そもそも再登場自体検討されないような怪獣も居るんですがね。
如何だったでしょうか?
今回はいつもより長くなってしまいましたね。
それではまたいつか