2013年 妻が子宮頸がんになって

12/10
俺。二、三時間寝ていたみたいだ。
妻が夢に出てきた。
覚えてないけど。


吐息が聞こえてくる。


俺が寝てるとこからは
妻が寝てるベッドか下からしか見えない。


すぐにでも起きてきて、トイレって言いそう。

病院じゃなくて、
どっかに遊びにいった先で
なんとか宿を見つけて泊まれたねって感じがした。




妻の吐息だってわかる。
安心するね。


そう。


ほんとに、出掛けた先にいるみたい。








悪い夢を見てたにちがいない。











夢じゃなかった。
何か昨日とは息づかいが。
何か力弱くなったような。
何か違う感じがして目が覚める。





心電図も何か昨日とは違う波がある。



まつげをさわった。
反応が少し弱い。
まつげで反応が悪くなるとよくないってあった。




今は寝てるからだよね。







一昨日は、弟が来たね。
何かにつけて、みんなに話す。

ばかな弟が一人でインドに行った
とか、ほんと、ばっかなんだよねー。
ていいながら。でも、
いつも自慢してたっけ。


あいつ、いつもワンコインしかもってこないんだよね。
ったく、しょーがねーなー。

なぜか弟のはなしをするときは
言葉遣いが荒い。

ほんとの弟ではないんだけど
弟なんだよねー。
そう言ってた妻。

ねーちゃんは憧れだって。こうなりたいって思ってたって。
それは、ねーちゃんも気づいてたけどね。(笑)

俺だってスゲー仲良かったんだから！
他のひとに嫉妬したって少しおこりぎみに話してくれたね。

嬉しかった。
妻にも聞かせてやりたかったな。

きっと、
おまえがワンコインしかもってこないからだろ！
っておこるだろうね。(笑)

結婚式で友人代表にするくらい
自慢の弟。大好きだった弟。

家でよく二人で飲みながらいろんなはなしをしたけど。
しょーもないあいつ。で、よく話題に出てたよ。


すぐに駆けつけてくれてありがとう。
ありがとう。








そのあと、大好きな絵描きがきたよね。

色彩や、筆のタッチ。
ほんとにプロだよ。
美的センスがある妻が認めた。

そして、もらった絵本。

今まで闘病中で、一番嬉しかった言葉を
かけてもらえたって。その時の顔カメラでこっそりとった。


あれから更に大好きになったんだよね。
絵描きさんのこと。

ありがとう。
ありがとう。








昨日はね。
朝から気分がいい日だったよね。
顔が気分が良さそうだった。





近所の人もきてくれたね。

仲良くなれそうな人たちでよかったよね。
子供が生まれたって聞いたときは、本当に嬉しそうに喜んでた妻。

今まで子供がお腹にいたから飲めなかったけど
これで、バーベキューしてしょっちゅう飲めるようになるねって。
そっちかよ！(笑)
「いいたな」ってあだ名つけてて、
奥さんのことはいつしか
親しくしたくて名前で読んでた。

もちろん、旦那さんとも親しくしたがってた。
てゆーか、二人とも仲良くしてたけど。
一生の付き合いだから、
いいたなでよかったよね。

よく話題が出たよね。



来てくれてありがとう。
ありがとう。








ズバッと言うけど、ほんとはやさしい。
最初であったときは早口すぎて何をいってるか聞き取れなかった俺。

妻はなぜわかるのか。
不思議でしょうがなかったな。

家で四人で飲んだよね。
ディズニーも楽しかった。
花火大会も毎年恒例になれる感じだった。
妻が病気になる前までは。

昨日は、眉毛を整えてくれたり
化粧を少ししてくれて
ありがとう。


いつもは目をしっかり閉じてその状態が続くなんて
できなかった。かおをふかれるのもいやがってたのに。

ちゃんとわかってしっかり目を閉じて
目元にクリームを塗られて
嬉しそうだった妻。



食べ物のはなしをしてたら
お腹がすごくなってたつま。
いつものお腹の痛みかなと思ってたけど
すげー大きな音なってたね。


腹減った？


口元が何かを食ってるように動いてた。
いや、あれは食ってた。

何食ってるの？


食い終わったらお腹いっぱいになったのか
それいこうお腹はならなかった。


何時間も手を握ってくれてありがとう。
ありがとう。










長い付き合いだよね。
沢山出掛けた。

いろんなことした。
みんなのコラボ楽しかったことだらけ。
楽しい思い出が多すぎる。


自分から遊ぼうと言わない妻。
でも、ほんとは沢山遊びたかった。

遊びに誘われると、
今度出掛けるんだぁ。
いつも嬉しそうに話してたよね。


自分からも遊ぼうって言えばいいのに。
自分からは誘えないんだよね。


妻は、妹が大好きだった。

本当に。

本当に。


疲れてるのに来てくれてありがとう。
ありがとう。






大好きな看護師さんたちも沢山。
言い切れないほど感謝だらけ。

闘病中の妻が再び入院したとき。
ただいまー。また来ちゃったって
複雑だけど
みんなに会えたの。
嬉しがってたよね。

はじめからみてきてくれた看護師さんや先生。
新しく関わった看護師さんや、先生。

みんな妻の中で新たな。
友達になっていたよね。

闘病中どれほど不安だったか。
それを紛らしてくれた人たち。
妻の新たな大好きな人たち。

いつもありがとう。
ありがとう。












もってあと、数日。

こないだ先生に言われた。
わかってる。




少しずつ弱っていく妻。
それは、毎日見てるから


わかりたくないけど
わかってしまう。


わかってるよ！






現実として受け入れられない。







やだ。
嫌だよ。






この、辛い一年半以上の
闘病生活は何だったんだろう。






そのなかでも一生懸命
前向きに闘って乗り越えたり
くぐり抜けたり


次から次へと
楽しいことを見つけようと頑張ってたね。



辛いなかでも楽しくしてた。
おばかさん。

抗がん剤治療中で、髪の毛が抜けた時
とてもショックを受けてたよね。

それでも、謎にウィッグの下に着ける網だけ
いつもつけててふざけてたよね。



全部とれたときなんか、ガムテープではがしてたし(笑)






闘病生活が始まってから
笑顔の物たちがますます増えた。







辛い思いをさせたりしたことも沢山あったね。

なんで、意識があるときにちゃんと謝れなかったんだろう。

ごめんね。

ごめんね。


こんなに辛い闘病生活。

俺しかいないのに。
冷たくしたことも。
ほんとにごめんね。



ごめんね。



疲れたとか言ってごめんね。



ごめん









自分のストレス発散のために。気を紛らすために。

闘病を経験したひとにしかわからないことを
伝えたかったために。

応援したかったひとのために。

誰かのために。
自分のために。
妻が頑張ったという。
妻が確かにいたことを。
闘病記録を残したい。





自分の気持ちが
こんな風に変わるとは思ってなかったブログ。
辛いから
今日でおしまい。



いつか自分が書いたこのブログを
読むことができるだろうか？






沢山の人たちに会わせてくれた妻。
ありがとう。


沢山いろんなことを教えてくれた妻。



もっと。

もっと。

沢山教えてほしいよ。




いつも、一番に俺のことを思ってくれて
ありがとう。




もっと。

もっと。


沢山一緒にいたい。




もっと。

もっと。


一緒に出掛けたい。




もっと



もっと







やすこ。

あなたにあえて

本当に

本当に

よかった。




俺は幸せです。









苦しまないでほしい。
もう、ただただ
それだけがせめてもの願い。








最近。こんな穏やかな気持ちで。
妻とこんなに長く
一日一日を過ごせてる毎日が
とても幸せに感じる。




もう少しだけ。

もう少しだけ。

この時間がほしい。





返事が来ない。
それでも。
俺も聞こえてるよ。
ずっとそばにいるからね