借金生活２０００

人間は感情の生き物である
前の日まで固い信念を持っていても
ころっと忘れたように気が変わってることはよくある事だ
我慢するという事は大変である
自分にプラスになると信じ、我慢こそ自分を高める物
と思っていてもやはり我慢するのは大変である
スポーツをやっていた人はそこの考え方がしっかりしているらしい
私もスポーツでもやっておけばよかったのかもしれない
嫌な事があると、つい心が折れそうになる
今日は仕事場へ着いてから作業着を忘れてしまった事に気づいた
私服で仕事をするわけにもいかず
職長に相談したがズボンのサイズが無く
結局2時間くらい仕事を始めれず
めったくそに怒られてしまった
作業着で通勤できないからこんな事になるんですよと
変な言い訳をしてしまい
職長の怒りをより爆発させてしまった
明日は仕事に行きたくない気分である
ただ毎日仕事に出て帰ってくれば必ず給料は貰える
言ってみると簡単だが
毎日いろんな人と接し、嫌な事もいっぱいある
嫌でも明日はまた笑顔で接しなければいけない
全く仕事ってやつは大変である

強くなりたい全てにおいて
私がムキムキのマッチョになる事は絶対にムリだろう
だが鉄の心を持つことはできるかもしれない
嫌な事があったり、つまらない日が続くと
パチンコに行きたいと頭によぎることがある
一回いったら勝っても負けても
また通いだして10万、20万使うに決まっている
とわかっていても心のどこかで気になっている
パチンコをやめて3ヶ月がたった
以前みたいに休みになると朝からパチンコのことばかり考え
気がつくと家を出て、パチンコ屋に向かい歩き出している
そんな事はなくなったが
たまにコンビニでパチスロ必勝ガイドなどを目にすると
非常に気になるのである
自分の好きな台で出玉を増やしている時は
本当に幸せで楽しい時間である
ただその何倍も苦しまなければならない
行けば行くほど必ず負ける
とりあえずビールを飲みほとぼりが冷めたが
またパチンコに行きたくなる時が何回もあるだろう
全国からパチンコ屋が無くなればいいのに

1年後を信じてとにかく毎日仕事に出よう
仕事に行って帰ってこればいい
そしてパチンコに行かなければ必ず成功する
自分で商売しても成功するかわからない
その前に、始める為のお金もない
どうやって商売を始めるかもわからない
そんな事をいつまでも考えててもしょうがない
仕事にさえ出れば必ずお金が貰える
パチンコは勝ちと負けがあるが
普通の仕事に行って負ける事は絶対ない毎日必ず8千円勝つのだ
金銭感覚が狂うとたかだか8千円と思ってしまうが
8千円は大金である、本当に大金である
でも、仕事がやっぱり嫌で毎日やめたいと思っていた
それでも1年後を信じてとにかく毎日仕事に行った
2ヵ月後、延滞せずに給料の範囲内でやりくりできるようになった
借金も着実に減ってきている
順調に借金が減ってくると気分的に前向きになれる
地味な生活だった、20代で遊びもせず仕事だけの毎日
ただいつからかその生活があたりまえになりつつあった
車が無くても、遊んでなくても、髪がもっさりしてても
自分の金でやりくりしている
それだけで満足しつつあった
努力の楽しさを感じれるようになっていた
パチンコの事が何回か頭によぎったが
すっからかんになって家も無く、街をさまよった記憶がなんとかブレーキをかけてくれた
一度痛い目にあうと人間は強くなる

もし頑張った分だけ給料に反映されるのなら
どんなに仕事がおもしろいだろうか
毎日同じ事の繰り返し
殺風景な職場、ロッカー、食堂
食堂なんてパンとカップラーメンの自動販売機があるだけ
仕事にやりがいは感じれなかった
私だけでなく、みんなそうなんだろうか？
休憩時間もみんな黙々とタバコを吸っている
工場というところは本当に冷めている
むき出しのコンクリートや鉄筋
忙しく動き回るフォークリフト
昼か夜かもわからない窓のない工場内
あと何年もこんな仕事をするのかと思うとうんざりする
ラーメン屋で修行でもしてみようかな
タクシーの運転手でもしてみようかな
いざ働いてみると理想と現実の違いにすぐ嫌になるくせに
楽して稼ぎたいそんな気持ちがいつも心のどこかにある

借金を返すというのは大変である
額が大きくなればなるほど身にしみてそう思うようになった
完済まであと3年近くはかかる
どんなに頑張っても最低2年はかかるだろう
毎月の支払いと生活費、家賃など
給料から差し引くと本当に少ししか残らない計算になる
急な出費も絶対この先あるだろうし
掛け持ちのバイトでもすればいいのだが
2つ仕事を持つというのは本当に大変である
本業の仕事で残業なんかがあった日の事も考えなければいけないし
1ヶ月25万くらいもらえる仕事はないだろうか？
自動車の製造は体力的に相当しんどいし
住宅の営業なんかはやった事もないし
給料が高いという事は精神的に相当しんどいのであろう
こないだ職場でKさんという人が仕事をやめてクレープを焼くと言っていた
車を改造して店舗を持たずにいろんな場所で商売するらしい
その日に現金で収入が入る、羨ましいかぎりである
いったい1日どれくらい売れるのだろう？
1日3万円くらい売れるのなら私もやってみたいものである
ただクレープの焼き方もしらないし
商売を始める方法も聞いたがいまいちよくわからなかった
工場ばっかりで働いていた私はそんな事を考えた事もなかった
私も、もっと賢くならなければ
きっといい方法があるはずだ

待ちに待った給料日がやってきた
先月の任意整理の分割金、消費者金融の滞納分
現在使っているauのケータイの滞納分
これらを支払い所持金あと8万7千円
ファミマTカードとドコモから
催促の電話がしょっちゅうかかってくるので
できるなら払ってしまいたいが
今月の任意整理の分割金と消費者金融の支払いがあるので
他に支払う余裕など全くない
あと1ヶ月催促の電話が続くと考えると胃が痛くなる
できることならパチンコで一気にまくってしまいたいが
負けた時の事を考えるとここで踏みとどまなければいけない
しかし考えるのはパチンコと金の事ばかり
勝負する金がなくならない限りパチンコの事が頭から離れない・・・
勝負する金があるから行きたくなるんだ
使うべき事に先に使ってしまおう
5日早いが消費者金融と任意整理の分割金を払ってしまった
スーパーに行って袋ラーメンを大量に買って
コンビニでタバコを2カートンだけ買った
所持金はあと5千円
これで勝負する事はできなくなった
使うべきではない金を持っているからいけないのだ
5、6万持っていると強気になってパチンコにいってしまう
パチンコなんかに使ってたまるか
何回も何回もパチンコ屋に大金を払い続けてきた
もうパチンコ屋には払わない、払うべきところに払うんだ

日曜日の昼テレビを見ながらタバコを吸っている
家ではタバコを節約するつもりが
気付けばもう朝から10本くらい吸ってしまった
退屈でしょうがないのだ
所持金はあと63円
給料日までやっと5日になった
給料が入ったらとりあえず滞納している分を払って
今月分も払ったら5万円も残らない
とにかくパチンコに行くのだけはやめよう
電話代やクレジットカードは余裕ができたら返そう
あれもこれも考え出すと
早く返したいと焦りだすと
結局パチンコに行ってさらに遠回りする事になる
一気にまくった時は最高に気分がいいが
もし負けると大変な目に会う
2、3万負けたら最後
引くに引けなくなって有り金全部突っ込んでしまう
余裕がある時に2、3万負けても痛いが
生活がかかった勝負で2、3万負けたら後に引けるはずがない
金がなくなるにつれ拷問になってくる
生活がかかったパチンコは拷問である
わかっていても時すでに遅し
一気にまくって生きてパチンコ屋を脱出するしかないのである

任意整理してからも滞納をしてしまった私
ついに弁護士事務所から電話があった
滞納に関しては直接消費者金融と話してくれという事であった
ああ、早く滞納している分だけでも返さねば
しかし、支払う物が多すぎる
昔使っていたドコモのケータイ
換金率の高い物をケータイ払いで買ったため
合計10万近く払わなければいけない
大事に使っていたファミマTカードも
パソコンやゲームを一気に30万円分買ったため
毎月1万5千円払わなければいけない
パソコンなら10万で買った物がよくて7万円くらい
ゲームなら5千円で買った物がよくて3500円くらい
はっきり言って大損である
しかし、手持ちの金が無くなったら
それでもいいから当日にすぐ金が欲しいのである
ああ、パチンコさえしなければ
仕事の送迎のマイクロバスを降り家へと帰る
コンビ二も吉野家も金がない私には無意味である
金が無い状態で街に出ると
ちっとも楽しくないし、ものすごく疲れる
吉野家で毎日晩飯を食べてかえってもせいぜい１万ちょっとである
なぜその金をパチンコ屋で20分で使ってしまうのか
パチンコなんて大金持ちの遊びである
なぜ庶民がこんな大金を賭けてギャンブルしているのか？

パチンコをやめないかぎり借金は減らない
もうそれは十分すぎるほどわかっていた
勝率は3割、1回の平均負け額は約3万
私がパチンコの収支をつけていた時までの平均値である
なぜこんなにハマってしまったのか？
たぶん最初に吉宗をやって30、40万負けてからであろう
なんか物を買ったのではなく
勝負してそんな大金をつぎこむと
あきらめるわけにもいかないのである
楽して金を儲けると本当に最高の気分になる
タダ程高い物は無い、なんかその言葉に似ているのだが
働きもせずに大金を得ようとするとろくな事にならない
株や競馬なら10人のうち1人か2人は
もしかすると本当に大金を得てるのかもしれない
パチンコに関してはたぶん100人のうち98人は失敗していると思う
シビアに勝とうとパチンコに取り組む人ほど
パチンコで利益を上げるのがどれほど難しいかわかっていると思う
もしパチンコで時給1000円の仕事より稼いでる人なら
たぶん自分で経営者になっても成功するような気がする
1日にパチンコで10万勝とうが20万勝とうが
パチンコ屋に行き続けるかぎり
それは嘘のように消えてしまう
負けるシステムが完全に確立されている
トータルでパチンコ屋対客でパチンコ屋が負ける事は100％無い
パチンコ屋に客が入った時点でパチンコ屋の勝ちなのだ

なぜパチンコをやめれないのか？
私の場合金銭的悪循環がその原因であった
今月どころか来月の支払いも危うい
そんな状況になると勝負してしまう
パチンコ屋など行けば行くほど金は減っていくのだが
なんとか今月を凌ぎたいという一心で
少ない金を持ちパチンコ屋へと行く
金が底をつきそうになると非常に不安になる
今月はもうそれしかないのである
勝負する金がなくなったら借りる以外に方法はない
そして今まで何回もそれを繰り返して
借りれるところなんてもう無い
私には5万や10万が一瞬にして作る魔法は使えないのである
金がなくなればどうしようもない、何もできない
働いて給料日を待つしかない
借金の催促の電話がかかってきても金がないというしかない
給料の前借が出たらまず滞納しているところを返さなければ
と思っていても金を手にすると
どうしてもどうしてもどうしても一撃を夢見てしまう
どうすればパチンコに行かなくなれるのか