借金生活２０００

いつまでこんな生活してるんだ
自分でわかっていながらやめる事ができなかった
毎日ギャンブルで負けては翌朝に無気力な状態で仕事へと向かう
2、3万勝っても次の日にはあたりまえのようにスッカラカンになっている
競艇の事が頭から離れなくなっていた
一発大穴を当てればまた競艇でしばらく生活できるかもしれない
私は一撃で大金を手に入れてから働くことがバカバカしいと思い始めていた
簡単な事だ20倍に1万円賭けて当たれば1ヶ月働かなくていいのである
私は未だに競艇で大金をつかめると信じていた
確かに買えばいつかは当たる
私はそれがいつも明日だと信じていた
自分だけは絶対に勝てると訳の分からない自信を持っていた
パチンコであったら30、40万負けたらさすがに回収不可能だと気付くかもしれないが
競艇、競輪の場合はいくらでも賭ける事が出来るため一気に負け額を回収することもある
それが一番やっかいなのである
可能性が少しでもあると自分だけはその薄い可能性を引けるかもしれない
そう思ってしまいどんどん深みにハマる
負けが続けば続くほど後には引けなくなる
軍資金さえあればなあ
軍資金さえあれば固いレースだけに絞って絶対無茶な買い方はしないのに
絶対に100万円競艇で取り返してやる
私は完全にギャンブル依存症になっていた
自分でもわかっていながらやめる事ができなかった
というよりもやめる気などさらさらなかった

完全に泥沼にはまっていた
別に支払いがあって生活が苦しいわけではなかった
また初心に戻ればそれで問題は解決するのである
しかし大金を一瞬で手にした私はもしかしたら今日何１０万という大金が手に入るかもとどこかで思っていた
1ヶ月我慢して節約することがものすごい遠回りで苦痛であると感じていた
毎日負けては後悔し、次の日は今日もタダ働きだとうなだれていた
そんな状態で仕事に出てもただ辛いだけである
ギャンブルにハマると仕事への意欲を根こそぎ持っていかれてしまう
とにかく仕事が嫌で嫌でしょうがなかった
辞めたくても金がないから辞めれないのである
大金はそう簡単には手に入らない
金に困ると本当に身にしみて実感する
早く気付け！腹をくくって今日から頑張るしかないんだぞ！

今日から現場が違うところになった
大型ダンプの誘導である
現場事務所に着きおはようございますとあいさつすると
1人、2人あいさつを返してくれたが、あとはみんな無反応であった
全体的にあまりガラがよくない非常に居心地が悪い
仕事が始まってすぐバック誘導している時に鉄の棒にひっかかって転んでしまった
すると運転席から「じゃまだー」と大声で怒鳴られてしまった
とにかくダンプの誘導は胃が痛くなる
一般道に出る時もぜんぜん誘導に従ってくれないし
バックする時は危なくていつもヒヤヒヤしていた
仕事が終わり会社に帰り社長に現場変えてもらえませんかと聞くと
あと3週間だから頑張ってよ最初からそんなんじゃどこ行っても同じだよと言われてしまった
明日もあの現場かと考えると憂鬱で仕方なかった
金が無いから今仕事をやめるわけにはいかないのである
日当の6000円を持ってボートピアへと向かう
あんな現場行きたくない一発当てて今日で仕事辞めてやる
3-1　5000円　一点買い　　当たれば約8万円
結果は4-5 32.8倍　　カスリもしなかった
明日もまたあの現場に行かなければいけない
ビールとチーズでも買って気晴らしでもすればよかった
なぜ工場の仕事を辞めてしまったんだ
警備員の仕事を始めてから毎日毎日後悔していた
翌朝休むか迷ったあげく日当欲しさに気付くと現場にいた
現場事務所の居心地が悪く仕事が始まるまで1人で外に立っていた
汚れたダンプが数台、汚い和式便所、山のように積まれている砂利
ここにはパチンコ屋やボートピアのようなお金の匂いは全く感じない
これからまた1日が始まると思うと気が遠くなった

ついに所持金が1000円をきった
さすがにもう働かなければいけない
近くの警備会社に面接に行き、明日から来てくれと言われた
仕事が決まって少しほっとしたが
明日から朝早く起きて外の仕事をすると考えると面倒くさくてしょうがなかった
とにかく働いて20万円くらい貯めよう
20万貯めたらまた日払いの仕事を探せばいい
そんな事を考えているうちに眠ってしまい翌朝になっていた
外を見ると大雨である
こんな中仕事をするのかと思いつつとりあえず会社へと向かった
車で工事現場へと連れて行かれ片側通行をやらされた
とにかく気が休む暇がなく
ちょっと気を抜くと車が近くまで来ていて止める事ができない
一般の人に迷惑をかけてはいけないのでとにかく仕事に集中した
大雨の中自分を呪っていた
あれだけ借金でいたい目にあっておきながら
なぜまたギャンブルをしてしまったのか
なぜ前の仕事をやめてしまったのか
こんな警備の仕事に比べれば工場の方が全然良かった
やっとの事で夕方になり仕事が終わった
家に帰りこんな大変な仕事を明日もやらなきゃいけないのかと考えると嫌でしょうがなかった
フルキャストに行くことも考えたが
今は神戸に住んでいるため行くだけで交通費もかかるし
朝の仕事をするとなると大阪まで行くのはちょっとしんどかった
警備員の仕事は私には向いてなかった
毎日、今日も仕事へ行きたくない明日やめよう
そんな事ばかり考えていた
競艇で一気にまくって20万くらい作ったらその日に仕事をやめよう
日当6000円を貰っては競艇で負ける
そんな日がしばらく続いた
私は完全に金銭感覚を見失っていた

1日中暗い部屋の中でふとんの中に潜っている
そんな日が2週間も続いていた
とにかく外に出る気がしなかった
所持金はあと150円である
ただ先月まで働いていたので明日先月分の給料が入る
暗い部屋でテレビをつけるわけでもなく
ただ何も考えずにふとんに潜っていた
明日ボートピアへ行こうそれだけは決めていた
そんなこんなで次の朝になった
とりあえず給料をおろしに銀行へ行った
そのままボートピアへと直行し午前中に6万円ペロッと負けた
熱くなってしまい次のレースで5万も負けた
午後4時半には合計15万円負けていた
ほぼ給料全て使ってしまった
所持金はあと4800円である
私はどうやら相当重症なようだ
結局家に帰りまた暗い部屋でふとんに潜っていた
あまりにもあっさり負けすぎてしまった
金銭感覚が完全に狂ってしまったようだ
なんとか一発大穴を当ててこの悪夢から抜け出したかったのに
また仕事を探さなければいけない
しばらく競艇で楽しく遊んで暮らすつもりだったのに
とりあえず証明写真を撮りにいった
その後コンビニで履歴書とビールを買い部屋へと戻った
帰ってすぐに履歴書を書こうと思ったが
なぜか全く書く気が起きなかった
たぶん思考回路が停止していたのであろう
とりあえずビールを飲み部屋を暗くした
約1年分の大金をギャンブルで一瞬にして失った私は
バカバカしくてとても働く気にはなれなかった

もう一週間も外に出ていなかった
何も考えたくなかった、テレビも何もつけずにただ部屋を暗くして寝ていた
しかし、袋ラーメンがなくなったためやむを得ず外に出た
所持金はあと2600円
外に出ると妄想の世界から現実に戻る、特に昼間は最悪だ
部屋に戻り暗いふとんの中にもぐり落ち着きを取り戻す
考えてしまうのは競艇の事ばかり
当たった舟券を払戻の機械に入れ
万札がガサッと出てくる光景を私は忘れる事ができなかった
楽して金が儲かると本当に最高の気分になる
しかし、楽して金は儲からない
やっぱり働くしかないのである
ついこないだまで20、30万くらいの舟券を立て続けに取り
168万円の貯金を作りあげた
どこまでも行けそうな気がした
それが気付くと小銭程度の金しか無く
また働き口を探さなければいけない状況である
しかし、私は絶対に競艇で取り返すと心に誓っていた
パチンコとは違い必ず勝てると信じ込んでいた
大金は正常な判断力を破壊する
私は木っ端微塵に破壊されてしまったようだ

狙い目のレースを探していた
なんとしても一発当てておきたい
絶対に勝てそうなレースを探して3日目
絶好調の松井繁が1枠で出走するレースを見つけた
スポーツ新聞の予想もほぼ全て◎
日刊スポーツには松井で間違いないとまで書いている
オッズはあまり高くないので1口5万ずつ買うことにした
1-2 5万　　1-3 5万　 1-5 5万
絶対の自信があった
まずはこれを当てて次のレースの軍資金にしよう
と思っていたらまさかの松井4着
朝からいきなり15万円も負けてしまった
さらに次のレースで8万円負け後には引けなくなってしまった
今日は土曜日なので競馬がやっている、こうなったらもう競馬しかない
急いでタクシーに乗ってボートピアからWINSへと移動する
400円くらいする競馬新聞を片っ端から買い、一番硬そうなレースを探した
8レースにオッズ2.1倍でデビューから3連勝している馬がいた
こいつなら絶対勝ってくれるだろう
これで勝っても負けてもギャンブルを引退しようと決め
単勝1点買いで50万
これで勝てば168万あった時の状態へ戻れる、勝ってギャンブルをやめよう
結果は4着、所持金あと26万円
今朝にはあった100万円が消えてなくなってしまおうとしていた
信じたくないが財布の中にはあと26万しかないのである
大穴を狙ってなんとか逆転を試みたがカスリもしなかった
午後4時20分、所持金4万7千円
歴史的大敗である
何年ぶりだろうか気がつくとパチンコ屋へといた
スロットを見てもジャグラーと知らない台ばかりである
あまりした事がないパチンコを無気力で無意味に何も考えず打っていた
4万円負けたが悔しくもなんともなかった
ここまで来たらもうどうでもよかった
競艇で大勝したのはあれは奇跡だった
もともと無かった金だ、落としたとでも思えばいい
となんとか開き直ろうとしたが
精神的ダメージは相当大きかった

全然当たらなくなった
貯金は100万をきった
1週間で約70万円も負けてしまった
つい最近まで嘘みたいに勝ち続けていたが
これが本当の実力なのかもしれない
18レース外して、やっと当てたが払い戻し32600円である
前みたいに20万くらいの大穴は全く取れなくなった
完全に自信を無くしてしまい、仕事を辞めた事を後悔した
それでもまだ100万円ある
とりあえず、またギャンブルをやめよう
そう思い家電量販店で働きはじめたが3日しか持たなかった
頭の中は競艇の事ばかり
なんで70万円も使ってしまったんだ
こないだのレースがもし当たっていれば38万円だったのに
決まったと思ったが最後に捲くられてしまった
あれさえ当たっていればまだ130万円はあったのに
時給1000円で働くのが非常に苦痛に感じた
一瞬にして大金を手に入れたため
1ヶ月働いてわずか16万円の給料を貰うという事がものすごい遠回りに思えた
楽して儲けたい、できれば働かずに遊んで暮らしたい
やっぱり50万円きったら働きだそう
また、一発大穴を当てれば一気に取り返せるかもしれない

大快挙である大進撃である
飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこの事である
競艇をやりだして1ヶ月私は信じられないくらい勝っていた
26万、21万、35万、23万など大きい勝ち額が信じられないほど続いた
賭ける額も大きくなったが、10万負けても、20万取り返す
とにかく絶好調だった
競艇で物足りず、競輪もするようになった
競輪は全く当たらずストレートで29万円負けた
しかし、初めての当たりが払い戻し89万円
わずか短期間で168万円の貯金ができた
もう一生競艇と競輪で食っていこう、本気でそう思っていた
完全に金銭感覚が狂った私は
自分でレオパレスを借り、仕事もやめてしまった
仕事なんかするよりも競艇を真剣にやった方が金になる
日給56000円
今の仕事なんかバカバカしくなってしまった
この勢いがずっと続くものだと思っていた
仕事を辞めることに何の迷いもなかった
あと1ヶ月後には300万貯金がある、私はそんな気でいた
どこからその自信が出たきたのであろうか
自分で努力して貯めた168万円であれば、たぶん300万円貯金出来ていたかもしれない
ギャンブルをしている限り貯金などあっという間に溶けてなくなる
この時点でギャンブルをやめてたなら
後から何回も、何回も後悔する事になる

毎朝スポーツ新聞を買うようになった
仕事に行くバスの中、休憩時間、家に帰ってから
競艇のページだけを何回も何回も読んでいた
その日のレースの予想と次の日の結果をノートに貼りメモをしていく
競艇は全部で6艇、1着、2着を当てる2連単なら確立は30分の1
払戻金は一番内枠の1が来なければ、基本的に高くなる
だからそういうレースを狙おうと思う
kさんのアドバイスは手広く買っても全然勝てない、絶対に2点買いまで、それ以上は買うなとの事らしい
パソコンを持っている人なら競艇の公式ページから全レースを見る事ができる
私は狙い目だと思うレースを2点買いで予想し、仮想の収支表をつけてみた
1日目は当たり無し、仮想収支マイナス23000円
2日目も当たり無し、仮想収支マイナス25000円
3日目は1レース当たり、仮想収支プラス58600円
4日目は大穴が当たり、仮想収支プラス92800円
なんか少し自信がついて次の日ボートピアへと行ってみた
11レースに外枠が得意な山崎智也が5枠で出走する
オッズも20倍近くつく、新聞の予想は2番人気だ
思い切って5-1 5000円　　5-4 5000円で買ってみた
レースが始まり山崎智也のまくり差しが炸裂
最初のコーナーを曲がり5が先頭2番手争いは1と2若干1が優勢か？
次のコーナーを曲がり先頭から5-1-2の順番でだいぶ差が開いた
そのままレースは決まり、初めて買ったレースでなんと的中させてしまった
払戻金は93000円
嬉しくてすぐに帰宅し、パソコンでそのレースを何回も再生して喜びに浸っていた
もしかして競艇で食っていけるかも？
そんなよからぬ考えが頭をよぎっていた
いや、本気で競艇で食っていけると思っていたのでした