2017年10月27日
学生時代に見学した解剖見学について
解剖見学
学生時代に人体の解剖見学を某病院で行いました。
教科書や解剖図などでは理解できない事が多くあり、とても貴重な経験が出来て、医療の勉強に対する思いがよりいっそう強くなり、今後の知識習得のためになる体験でした。
また、命の尊さを考えました。御遺体を見ることで、素晴らしい体験が出来ましたが、年齢や、生きていた時の生活や、なぜ死に至ったかという情報はなく、人体の素晴らしさを知る一方で、御遺体に対してのどのような方であったのかと考えました。
ただ、人体の構造をみるのではなく、一人の人間として見ていました。
御遺体を初めて見た光景は、広い空間の静かな場所で白いビニールに包まれている所からでした。
見学を始める前に、黙祷をしました。
号令をかけたのは私であり、未知なる事が続く中で、不安もありましたが、慈悲と畏敬の念を思い行いました。
その後、覆われているビニールが剥がされましたが、顔は隠されたままでした。
私は、顔を見てその人自身の生きてきた生活を考えながら、人体の構造を理解したかったですが、それは不可能でした。
生前に医療者に解剖見学として提供する事を意思表示しました。
そのように、解剖に提供するという事はとても難しい事です。
ご本人の意思もありますが、ご家族の意思もあります。
なぜ提供するのかというと、私たちの様な医療に携わるすべての人の学びのためです。
言葉では表せないほど、素晴らしい事だと思います。
実際に解剖見学をみる
黙とうが終了するとご遺体をそれぞれのグループで順番に見る事になりました。
裸体になっている上半身から始まります。
最初に上半身の皮膚をめくり、内部の臓器を見ました。
一つ一つの説明を聞きながら、目の前の初めてみる臓器を見ながら驚きました。
坐骨神経の太くたくましい神経や脾臓の混濁とした色や、腎臓は確かに後腹膜臓器で小腸に覆われている事や、肋骨によって肺を保護している事などです。
解剖されているご遺体に触れる
一つ一つの臓器や血管や神経は、丁寧に触らないと痛めてしまうので注意する必要があります。
見る事よりも触ってみるほうが、驚く事が多くあり、その中でも印象的だった事を三つ挙げます。
一つ目は、心臓は全身に血液を送る一番重要なものですが、思っていたよりも小さくて軽いものでした。
そして、肺から酸素を受けとった動脈血を全身に送る左心室と全身からの二酸化炭素を回収する右心房の硬さの違いがわかりました。
二つ目は、頚神経叢から始まり、胸腔に入り、心臓の両側に沿って下降する横隔神経が太くて驚きました。
横隔神経だけでなく、他の神経もしっかりと末梢から中枢へとたくましく延びていました。
三つ目は、小腸をみるためにめくった大網です。
これは、存在自体、知りませんでした。
先生に教えてもらい、小腸の前面をおおい、多数の血管が分布し脂肪組織に富み、腹腔内の液を吸収し、腹腔内の炎症部位などに癒着してその広がりを防ぐ働きがあるものと分かりました。
私は、あまりにも大きく広がっている大網が何であるのか分からず血管の塊かと思いました。
このように、解剖見学をして多くの事を学び、知らなかった事を知る大変貴重な経験になりました。
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