2017年10月07日
精神看護師の退院支援と看護
退院支援の制度と看護
精神科病棟には長期入院者の問題があり、政策として退院支援の制度が策定されています。
長期入院者の変化が少ない事と退院支援の看護を考えていきます。
精神科病棟の年間の新規入院患者数は40万人で5万人は入院期間が1年以上となっています。
1年以上入院している患者の数はやや減少していますが入院者数と同等の人数が退院しているため、入院者全体の数の変化は少ないです。
入院者が入院治療を終えても退院が出来ない状態は、医療的な課題(病状、回復の程度など)以外の要因で退院が出来ない事があります。
退院困難な要因として4つが挙げられ、
1つめに65歳以上の高齢者。
2つめに退院先が自宅外、独居。
3つめに家族サポートがない、もしくは低い状態。
4つめに経済状況に不安がある事です。
また、入院当初の状態から退院後の継続医療、看護の必要性が高いと判断される状態が5つあります。
1つめに約3か月以内の再入院。
2つめに再発の要因が医療中断。
3つめに服薬管理に介助が必要。
4つめに認知機能に課題がある。
5つめにADLに介助を要する状態です。
これらは入院当初から判断できるため、生活保護、介護保険、障害者制度などがない場合は早めに調整をする必要があります。
入院時のスクリーニングによって退院支援のアセスメントを早期に行いこれらは全ての看護者に求められる能力です。
再入院の状況をみると白石の調査では、
6か月後の再入院率は統合失調症が約30%、躁うつ病は、約35%と結果が出ています。
そのため、退院後に患者の疾病を理解し再入院しないための問題を考え解決していくことが重要です。
現在の精神科看護の1番の取り組みは新たな長期入院者を生み出さない事です。
一般病院と同様に地域包括ケアシステム、地域完結型医療の構築を目指しています。
そのため、「精神科医療は特別という考え方ではなく、一般化と同じように考える」事が必要です。
退院の考え方として、病気の治療、管理等は地域にある様々な医療資源や社会資源を活用して対応し、地域全体で支える医療と考える事です。
一般病棟でも、完全に治療が終了していなくても、外来、在宅医療、訪問看護等を活用しています。
精神科病棟でも急性治療は入院医療で行い、回復期は地域医療で継続医療、看護によって一般医療と同様の医療体制を目指していく方針となっています。
退院支援の看護を考えるうえで退院をするという事は患者にとって大きな不安である事を理解しなければなりません。
看護者は退院する場所の選択肢を提示し患者が決定した事を手助けし、生活力の回復と自尊心の回復を看護します。
また、目標を一緒に決決める事で患者の責任が生まれ、成功体験を増やし、認められる事で前向きに考える事に繋げます。
さらに看護師だけでなく他職種と連携して支援していくことも必要です。
以上の事より、現在の精神科の退院支援の制度と一般病棟と比較し、目指す方向は同様で地域と連携して早期の退院を目指す事が長期入院者の減少に繋がる事になります。
また、入院時から退院するために患者に必要な看護を早期に判断することも看護師の務めです。
さらに、退院後の生活状況を考えた目標を患者と一緒に設定していく事で再入院の減少に繋がる様に支援していく必要があります。
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