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SFは衰退しました

 SFファンというものは本読みの中でさえしばしば身の置き所を見失いがちになる。SFは死んだ、SFは衰退した――などという心無い言葉はずっと昔から囁かれている。辛うじて滅んではいないだけで、興味のない人間からすれば何の略称なのかすらわからないような状態だ。
 大抵はライトノベルやアニメなどにうっすらと溶けるように寄生して生き延びているというような状態で、おおっぴらにSFとして売り出すとセールスはまずコケる。そしてますますSFは日陰に隠れてしまう。
 当然、そうなると同好の士を探す事すらなかなか難しくなる。「村上春樹っていいよね」「もしドラ読んだ?」という会話は気軽に出来ても「テッド・チャンっていいよね」「啓示空間読んだ?」は難しい。
 そうなるとブログなりツイッターなりで誰も読まない怨嗟の言葉を綴る以外に発散のしようがない。そう思っていたら、少しばかり発散に手を貸してくれる本を見つけた。
「今日の早川さん」という漫画なのだが、SF読みならタイトルだけでピクリと反応してしまうことと思う。内容はざっくり言えば、読書オタクたちが好き放題言いまくる漫画だ。
 登場人物の名前が早川、岩波、富士見……といったあたりで大体わかると思うが、出版社の名前がモチーフになっている。他にフルネームで国生寛子(こくしょう・かんこ)がいるが、これはおそらく「国書刊行会」から。こちらもフルネームで帆掛舟(ほかけ・ふね)だが、創元SF文庫の裏にそんな絵のマークがあったように思う。
 それらのキャラクターが、出版社の特色(得意分野)を趣味としていて、放言を吹きまくるという体裁だ。
 本に対するツッコミなどの掛け合いを読んでいると「あるある」と呟きたくなるような内容が多い。なかなか面白いのだ。
 難点があるとすれば、SFとクトゥルフは薄くでも齧っておかないとわからないネタが多いことと、登場人物は女性ばかりなのに絵柄がさっぱり可愛くない辺りか。ヘタに萌えを狙われても胸焼けするばかりなので個人的には万々歳ではあるのだが。
 それから、本書に出てくる本に読んでいないものがあると、読みたくなってしまうところもだろうか。これでは金も暇も蔵書スペースも足りない。嫌な現実である。

 

今日の早川さん



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