2013年03月04日
夏と花火と私の死体 乙一
価格:440円 |
九歳の夏休み「わたし」は友達である弥生ちゃんにあっけなく殺される。弥生ちゃんは自分が殺したことを隠し、兄の健くんに相談する。そこで健くんは「わたし」を隠してその時頻発していた誘拐事件に偽装することを提案する。大人たちの追及から逃れながら死体を隠そうとする幼い兄妹を、死体の「わたし」の視点で書いたホラー小説。
図書館で見かけて題名の異様さに惹かれ、思わず手に取っていた作品です。
この作品のおもしろいところ。それは殺された私〔五月〕の目線でストーリー語られているところです。決して幽霊目線というわけでもなく、あくまでも死体目線なのです。死体になった五月は殺された恨み言を言うわけでもなく、死体を隠そうとする兄妹のその後を淡々と語っていきます。
正直死体である五月よりも、弥生、健兄妹の方が不気味に感じました。時々私は子供には純粋さと同時に、平気で虫を殺せるような残酷さを感じることがあります。この兄妹からは子供であるゆえの純粋さと残酷さを同時に感じましたね。
兄妹が死体を隠しきれるのか、ハラハラしながら読みましたが、ラストには予想を上回る結末が待っていました。異様な不気味さ、死体から見た目線などとにかく斬新な作品でした。怖いもの好きな私には楽しめましたよ^^
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