小林秀雄さんが私たちの高等学校へ講演にきたことがあります。
(中略)
小林さんは、外国語の本を読むのにも、一日一冊を片づけられる程度のはやさがなければ、そもそも外国語の知識というものは使い道にならない、という演説をしました。
加藤周一『頭の回転をよくする読書術』光文社 97頁
加藤周一が通っていた高等学校は、旧制一高であり、現在の東京大学教養学部ですが、小林秀雄が講演に来るとは相当なことですね。そして、講演の内容も外国語の本を一日一冊読めるほどの力がなければならないというのですから、強烈です。レベルが高すぎますね。目眩がしそうです。
我々からすると浮き世離れした話に聞こえます。もちろん優秀な人は一定数いますから、小林秀雄、加藤周一のような人がいるのは確かですが、我々庶民からしますと、知性の超人の話にしか受け取れません。
小林秀雄が講演に来てくれるというのもすごいのですが、その聴衆の一人が加藤周一というのもすごいことですね。加藤周一は、さらりと書いていますが、なかなかディープな話です。
レベルが高いところには、レベルが高い人々が集まるということでしょう。我々も少しでもレベルが高いところに至れるように日々精進しなければなりませんね。外国語の本を一日一冊読むのは無理にしても、それなりの速度で読めるようにはなりたいものです。ある程度の速度で読めませんと読む気にならないですからね。