雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ
夏ノ暑サニモ
マケヌ
丈夫ナカラダヲ
モチ
欲ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシズカニ
ワラッテイル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト
少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲ
カンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシ
ワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
小サナ萱ブキノ
小屋ニイテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ
看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテ
ソノ稲ノ束ヲ負イ
南ニ死ニソウナ人アレバ
行ッテ
コワガラナクテモ
イイトイイ
北ニケンカヤ
ソショウガアレバ
ツマラナイカラ
ヤメロトイイ
ヒデリノトキハ
ナミダヲナガシ
サムサノナツハ
オロオロアルキ
ミンナニ
デクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
ソウイウモノニ
ワタシハナリタイ
宮沢賢治『雨ニモマケズ』三起商行株式会社
「アラユルコトヲ ジブンヲ カンジョウニ入レズニ ヨクミキキシ ワカリ ソシテワスレズ」の部分は、物事をどのように観察すべきか、どのように学ぶべきかの指針といえましょう。
自分を勘定に入れて、いろいろ考えますと、邪念、雑念が入り、正しく物事を見ることができません。自分に都合のいいように考えるだけであり、間違った認識を得ることになります。当然、間違った認識から正しい行動が生じるはずはなく、不幸へ一直線となります。
まずは、自分を勘定に入れずに、よく見て、よく聞くことですね。まあ、これがなかなかできないことですが、宮沢賢治はさりげなく、そうすべきであると書いています。
よく見て、よく聞いた後は、分かる必要があります。ただ見て、ただ聞いてという場合も少なくありません。分からなければなりません。理解しなければなりません。自分の中で消化する必要があるのですね。
そして、それだけでなく、理解したことを忘れないようにしなければなりません。忘れてしまうならば、いざというとき役に立ちません。いつでも理解したことを活用できるよう、忘れず、覚えておくことです。
「雨ニモマケズ」のこの部分は、あまり注目されないかもしれませんが、よくよく読むと重要なことが書いています。人間のあるべき姿の1つ形があらわれています。理性的人間、智慧ある人間の特徴ともいえましょうか。
このミキハウスの宮沢賢治の絵本には、宮沢賢治が手帳に書き付けている「雨ニモマケズ」の全文が写真で掲載されています。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を、所謂、真筆にて読めるのですね。当然、歴史的仮名遣いとなっていますが、日本語ネイティブである我々からすると、さほど難しくはありません。
また、絵本ですから、絵があるのですが、この絵を描いているのが柚木沙弥郎さんです。明るい色を使い、味わい深い絵を描かれております。「雨ニモマケズ」を読みながら、柚木沙弥郎さんの絵を見ると、心穏やかになりますね。不思議な絵本です。