本書の読者、そして英語を生業としない日本人にお勧めしたいのは、もう一方の道である。すなわち、基礎的な英語だけは身につけておいて、あとは自分の得意分野に専心するという生き方である。
斎藤兆史『日本人に一番合った英語学習法』祥伝社 177頁
以前は、『総合英語One』の例文を「基礎的な英語」と考えてみましたが、別の観点から「基礎的な英語」を考えた場合、英語を読む根本的な勘所を押さえたものが必要なのではと思うのですね。あやふやな読み方ではない、1語、1語をゆるがせにしない読み方を身に付けることが「基礎的な英語」を身に付けることといえましょう。
今年の4月から、ぼちぼち『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』のKindleで勉強をはじめ、一応、3周して、現在、4周目に入ったところです。「黄リー教」と呼ばれている本書は、総合英語などの文法書とは一線を画する書です。他の英語参考書とも違うのですね。徹底的に英語のしくみを解説し、身に付けさせようとする教科書となっております。
「単語の意味を適当につなぎ合わせて、意味を推測する」のが読むことだと思っている人は、知らない単語がちょっと出てきただけで、お手上げになってしまいます。「本当の読み方」を身につけた人は、1文に知らない単語が3つ、4つ出てきても、英文構造は正確にわかります。
(中略)
丸暗記と勘に頼ったフィーリング英語で一生を終わりたくなければ、英文を構成する1単語1単語の働きを正確に認識して、自分で意識的にコントロールできる力を身につけなければなりません。そのためには、本書で説明している「品詞と働きと活用の相互関係」を理解することが絶対に必要なのです。
薬袋 善郎 『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本』 研究社 45頁
「黄リー教」は、「本当の読み方」を身に付けさせる教科書であり、英文の構造をなんとなくではなく、正確に理解させる教科書なのですね。読むのが大変とはいえますが、日本人が英語を読めるようになるためには、大変な思いをしなければならないのは当然であり、時間もかかると考えておくべきですね。安易に英語がマスターできると思ってはいけません。
今までの英語の読み方を思い出しますと、まさに「単語の意味を適当につなぎ合わせて、意味を推測する」でありました。このような感じですから、いつまでたっても、英語が読めるようにならなかったのですね。
ところが、「黄リー教」を学ぶと、まだまだではありますが、英語が読めるという実感が得られるのですね。正確に読めているという感覚があります。もちろん、すべての英文が読めるわけではありませんが、読める英文に関しては、なんとなくこうだろうというのではなく、間違いなくこの構造であり、この意味であると読まざるを得ないという確信をもって読める英文が増えてくるのですね。
「黄リー教」には、サブテキストとして『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本 徹底反復練習』と『基本文法から学ぶ 英語リーディング教本 実践演習』の2冊があり、充実したラインナップとなっています。
この3冊を何度も繰り返すと「基礎的な英語」が身に付くと考えるのがよいでしょう。ただ、「黄リー教」そのものは、索引等を除く実質的な部分が450頁ほどあり、なかなかの大部です。『徹底反復練習』、『実践演習』は、それほど大部ではありませんが、2冊合わせると400頁以上になりますから、やはり、大部といえましょうか。
いずれにしても、「黄リー教」3部作をマスターして、英語の構造を把握する力を付けることが肝要です。もちろん、「黄リー教」ですべてをカバーできるわけではありませんから、足りないところは、辞書や総合英語などの文法書を活用しながら、英文を読んでいけばよいわけですね。