「いかに我が身は正直にして世間・出世の賢人の名をとらんと存ずれども・悪人に親近すれば自然に十度に二度・三度・其の教に随ひ以て行くほどに終に悪人になるなり」(最蓮房御返事、1341頁)
いくら自分自身を律し、正しい行いができると思っていても、悪人や悪人の集団に交わってしまうと、最初は何ともないようであっても、次第に悪人の集団の空気に馴染んでしまい、結局、悪人程度の人間に成り下がってしまいます。
信仰をしている中で、所属している宗教団体があると思われますが、大体、宗教団体というものは胡散臭い側面を持っています。
すべてが良いという宗教団体がないのと同様に、すべてが悪いという宗教団体もありません。
それぞれの宗教団体には、それなりにいいところがあります。
ただ、教団が大きくなるにつれ、悪い部分が増えていく傾向があります。
よって、宗教団体に深く関わり過ぎると、結局、信仰に悪影響を及ぼすことがあります。
「宗教団体に悪いところがあっても、いいところもある」と言って、宗教団体と深く関わっている人がいますが、観察するところ、上記の御文のように、次第にその宗教団体の悪いところに染まってしまい、いいところを吸収できずにいます。
本人は、その宗教団体のいいところと触れていけばよいと思っていたのでしょうが、上手く行かないようです。
宗教団体とは、ある一定の距離を保ちながら、深入りすることなく、付き合うのがよいでしょう。
深入りしますと、上記御文で指摘している通りになりますから、十分に注意することですね。
自分は大丈夫だと慢心しないことが肝要です。
所詮、個人が巨大な宗教団体と対決したところで勝ち目はありません。
宗教団体を変えていこうなどという無駄な努力は一切やめ、自らの信仰を透徹させることに力を注ぐべきですね。