本書は、タイトルが示す通り、戦後日本の宗教と政治とを論じています。
二部構成になっており、第一部では、戦後すぐに日本を占領していたアメリカによる宗教政策について述べられています。
GHQの日本に対する宗教政策については、知らないことばかりですから、参考になりますね。
第二部では、戦後日本の新宗教の政治参加について述べられています。
まずは、参議院議員選挙に候補者を出した宗教団体のことを述べながら、後半部分では、創価学会と公明党とに特化して論述しています。
戦後日本の宗教と政治を考える上で、非常によくできたレポートと見受けられます。
大学の「宗教学」や「宗教社会学」などの講義で教科書として活用するならば、もってこいの本といえるでしょう。
事実を丹念に紹介している点で、レポート、教科書としては優れているのですが、果たして、本書が博士論文に相当するのかどうか、よく分からないですね。
私は、宗教学、宗教社会学については、あまり存じ上げませんが、一見したところ、当該学問を発展せしめているとは感じられませんでした。
政教分離原則について、いろいろ述べられていましたが、この点については、憲法学の分野で研究が進んでおり、本書において、取り立てて述べるほどのことはないのではないかと思いますね。
それよりも、宗教学、宗教社会学的に突っ込んだ論考があった方がよかったと思いますね。
当該学問の最先端の研究になっているならば、博士論文でしょうが、そうでなければ、博士論文ではないでしょう。
ただ、本書そのものは、いい内容ですので、レポート、教科書としては、無類と評価することができます。
宗教学、宗教社会学専攻の学生さんにとっては、非常に参考になる資料といえましょう。
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