2024年09月06日
令和四年度修了考査 法適合確認 No.1 - 10
修了考査(法適合確認)
法適合確認
(選択理由記述式4肢択ー問題)
[ No. 1 ]
構造設計者としての倫理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 構造設計の高度化が進み、ー級建築士全体の中から構造を専門とする技術者を特定する必要が生じ、構造設計ー級建築士制度が制定された。
2. 構造設計者は、建築基準法では担保できないもろもろの要件を精査し、設計に反映させなければならない。
3. 構造設計者がその職務を全うするためには、新しい技術や学術的知見に基づく継続的職能開発(CPD)を自ら行っていくことが不可欠である。
4. 現在の高度に発達したコンピュータソフトウェアは、構造工学の知識習得や構造的センスの醸成が不足している技術者が使っても誤用のおそれがなく、妥当な結果が得られるほどに進化したものとなっている。
答え
4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(テキストP. 9)
2. 記述の通り。
3. 記述の通り。
4. コンピューターソフトウェアの利用者には、構造工学の知識習得と構造的センスの醸成が必要。構造設計者にとって解析プログラムを使用することは、あくまで構造設計のための手段であることを強く認識し、解析後には結果の評価を必ず行って解析内容が妥当かどうかを確認しなければならない。(テキストP. 12)
[ No. 2 ]
建築基準法及び建築士法における構造関係規定の位置づけに関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 既存不適格建築物の所有者•管理者などには、その建築物を常時適法な状態に維持するための努力義務が課せられている。
2. 構造計算適合性判定の要否及び構造設計ー級建築士の関与の要否は、共に構造設計で採用した構造計算方法により決定される。
3. 「一の建築物」として扱われる場合であっても、エキスパンションジョイントにより構造力学的に独立したものと判断される場合については、それぞれの部分を別の建築物とみなし、構造計算などの構造関係規定への適合を判断する。
4. 耐久性等関係規定は、構造計算の有無や方法にかかわらず適用される。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(法第8第1項)
2. 構造計算適合性判定の要否は計算方法によるが(法第20条第二号イ又は第三号イ)、構造設計ー級建築士の関与は建築物の規模による(士法第20条の2第2項)。
3. 記述の通り。
(法第20条第2項及び令第36条の4)
4. 記述の通り。
(令第36条第1項)
[ No. 3 ]
建築基準法における地震力に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 高さが60mを超える超高層建築物については、建築物の供用期間中稀に発生する地震動(数度は経験することが予想されるレベル)及び極めて稀に発生する地震動(安全上検討が必要な最大級レベル)に対して検討する。
2. 建築基準法第20条第1項第二号の建築物の屋上から突出する水槽で、取り付け部からの高さが2m以下の場合、地震力に対する検討は不要である。
3. 建築物の地震力について、地震層せん断力係数を乗じる荷重の算定にあたり、特定行政庁が指定する多雪区域内においては、固定荷重及び積載荷重のほか、積雪荷重を加えるものとする。
4. 限界耐力計算を採用した建築物の屋根ふき材は、風圧力に加え、地旋力に対する検討も必要である。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
検討には時刻歴応答解析が用いられることが多い。(法第20条第1項第一号)
2. 屋上から突出する水槽、煙突その他これらに類するものにあっては、高さに関係なく検討する必要がある。(技術基準解説書P.269、平12国交告第1389号)
3. 記述の通り。
地震力算定用重量には短期積雪荷重の35%を見込む。(技術基準解説書P. 249、令第82条第一号〜第三号、第82条の5第一号)
4. 記述の通り。
屋根ふき材、特定天井に対しても耐震計算も含んでいる。
(技術基準解説書P.456、令82条の5第七号)
[ No. 4 ]
建築基準法における荷重及び外力に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 積載荷重を建築物の実況によらない方法で設定し、基礎の垂直荷重による圧縮力を計算する場合、教室に連絡する廊下で、基礎のささえる床の数が3のときは、当該廊下の床の積載荷重として採用する数値を2,000 N/m2まで減らすことができる。
2. 雪下ろしを行う慣習のある地方で、雪下ろしを行い、これによる積雪量の軽減の実況等を表示する場合、積雪荷重の計算にあたって考慮すべき最低限の積雪量は1mである。
3. 建築物に近接して、風の方向に対してその建築物を有効に遮る他の建築物がある場合、その方向における設計用風圧力を限度に減らすことができる。
4. 沖積粘性土の下層面が地盤面下15m以深の地域で、杭周面に圧密沈下のおそれのある軟弱な粘性土が存在している場合、杭周面に下向きに作用する摩擦力を考慮して杭耐力の安全性を検討する必要がある。
答え
1
[ 解答解説 ]
1. 教室につながる廊下なので基礎用は3,200N/m2で、支える床の数が3なので0.90倍してよいので2,880N/m2までの低減となる。 (技術基準解説書P.273、令85条) (技術基準解説書P.273、令85条)
2. 記述の通り。
(技術基準解説書P.274、令86条第6, 7項)
3. 記述の通り。
但し、遮蔽物が建築の供用期間中存在することが絶対条件。また、どの程度低減できるのかは風洞実験等により確認する必要がある。(令87条第3項、技術基準解説書P. 281)
4. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 309)
[ No. 5 ]
建築基準法における鉄骨造の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 許容応力度計算(耐震計算ルート1-1及びルート1-2)においては、崩壊形の検討を行わないため、柱に板厚が6mm以上の冷間成形角形鋼管を使う場合は、柱の降伏が先行する可能性があることを前提として、柱の必要耐力を割り増す必要がある。
2. 許容応力度等計算(耐震計算ルート2)においては、曲げを受ける柱及び梁部材が必要に応じた塑性変形を生じるまでに局部座屈が生じないことを確かめなければならないが、その検討は部材の塑性化が想定される領域についてのみ行えばよい。
3. 保有水平耐力計算(耐震計算ルート3)においては、露出柱脚に伸び能力がないアンカーボルトを使う場合は、柱脚で保有耐力接合の条件が満たされていても、保有水平耐力の確認では1階の比値を0.05割り増すなどの措置をとる必要がある。
4. 保有水平耐力計算(耐震計算ルート3)においては、保有水平耐力の算定には接合部のパネル降伏を考慮しなくてよいこととしているが、これはパネル部及び近傍接合部が早期に破断しないという条件下でのみ可能である。
答え
3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(技術基準解説書P.355、平19国交告示第593号第一号イ(3))
2. 記述の通り。
局部座屈の検討は、部材の塑性化が想定される領域について行う。(技術基準解説書P.363)
3. 伸び能力のないアンカーボルトを使用した場合であっても、柱脚の保有耐力接合を満足する場合は、Dsを割り増す必要はない。(技術基準解説書P.636、642)
4. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 375、376)
[ No. 6 ]
鉄筋コンクリート造建築物の耐震計算ルート3において、構造特性係数Dsを算出するために、柱の種別を定める指標が規定されている。これらの指標が柱の塑性変形能力に影響するどのような脆性破壊に係るものなのか、次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. h0/D(内のり高さ/せい)は主として、せん断破壊に係る指標である。
2.σ0/Fc(軸方向応力度/コンクリートの設計基準強度)は主として、圧縮破壊に係る指標である。
3. τu/Fc(平均せん断応力度/コンクリートの設計基準強度)は主として、せん断破壊に係る指標である。
4. pt(引張鉄筋比)は主として、斜め引張破壊に係る指標である。
答え
4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 395)
2. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 396)
3. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 395)
4. ptは付着割裂破壊に係る係数である。
(技術基準解説書P. 396)
[ No. 7 ]
木質材料及び木質構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 燃え代設計に用いることのできる製材は、日本農林規格(JAS)に適合したものに限られ、無等級材を用いることはできない。
2. 集成材等建築物は部材の断面寸法を大きくし、燃え代設計を行えば準耐火構造とすることが可能であるが、層間変形角は1/150 rad以下に制限される。
3. 耐震計算ルート1の場合、筋かいが負担する水平力の割合に応じて、地震力を割り増す必要がある。
4. CLTパネルエ法の建築物は耐展計算ルート1で設計することができるが、一体型架構の大版パネル架構は耐震計算ルート1で設計することはできない。
答え
3
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(技術基準解説書P.420、昭62建告第1902号)
2. 記述の通り。
(技術基準解説書P.420、令第109条の2の2)
3. ルート2の場合に筋交いが負担する水平力の割合(B)による割増が必要になる。(技術基準解説書P.422、昭55建告第1791号第1)。
4. 記述の通り。
(平28国交告示第611号、テキストP.240)
[ No. 8 ]
建築基準法における耐風設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 平成12年建設省告示第1454号に定める基準風速V0は、平坦で開けた田園地帯などにおける高さ10mでの、再現期間50年の暴風の最大瞬間風速に相当する値である。
2. 超高層建築物等では、風方向のバフェティングの他に、建築物の後流に周期的に発生するカルマン渦による風直交方向振動を考慮する必要がある。
3. 日本建築学会の「建築物荷重指針 同解説」では、風向係数が取り入れられて、風向別の設計風速が算定できることになっているが、法令ではこれを認めていないので注意が必要である。
4. 風によって生じる振動に対する居住性については法令上の規定はないが、建築物の用途によっては重要な課題であり、再現期間1年の風速による最大応答加速度により評価することができる。
答え
1
[ 解答解説 ]
1. 最大瞬間風速ではなく、10分間平均風速である。(テキストP. 106)
2. 記述の通り。
直交方向振動や捩れ振動についても考慮しなければならない(平12建告1461号第3、技術基準解説書P. 488、テキストP. 110)
3. 記述の通り。
告示で定める風力係数、風圧係数および速度圧などの定義と異なる場合はそのまま使用できない。(テキストP. 116)
4. 記述の通り。
(テキストP.209)
[ No.9 ]
建築基準法における保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. 必要保有水平耐力の計算においては、大地震動時における一質点系構造物の弾性応答1G(G:重力加速度)の水平力をもとに、標準せん断力係数C0を1.0以上と定めている。
2. 建築物全体の浮き上りによる転倒崩壊形となる場合、浮き上がりを考慮して保有水平耐力を計算する必要がある。
3. 脆性的な破壊をする部材を持つ建築物等の保有水平耐力は、一般に、それらが破壊するときの変形状態において各部材が負担する水平せん断力の和として求めてよい。
4. 鉄筋コンクリート造建築物の耐力壁直下の基礎については、通常の場合、基礎固定とした保有水平耐力の計算を行う。
答え
2
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 341)
2. 転倒崩壊形となる場合でも浮上りは生じないものとして計算する。
(技術基準解説書P. 346)
3. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 347)
4. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 347)
[ No. 10 ]
建築基準法における保有水平耐力計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、不適当とする理由を述べよ。
1. Ds算出時に部分崩壊形、局部崩壊形となり、崩壊形を形成していない階が存在する場合、その階にさらに水平力が作用したと仮定した場合の崩壊形を別途適切に求め、そのときの応力を用いて部材種別の判定を行う。
2. Dsは、建築物の振動に関する減衰性及び各階の靱性に応じて、建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。
3. 鉄筋コンクリート造耐力壁の基礎回転系の破壊形式は、脆性的な破壊ではないとして、Ds算出時に用いる耐力壁の種別の判定に係る要因としては除外されている。
4. 保有水平耐力の計算にあたり、転倒に対する基礎の検討が要求されているのは、塔状比が6を超える建築物に限られている。
答え
4
[ 解答解説 ]
1. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 397)
2. 記述の通り。
(技術基準解説書P. 342、394等)
3. 記述の通り。
回転系の崩壊形では部材種別を決めることが出来ないため固定としている。
(技術基準解説書P. 402)
4. 転倒に対する検討は塔状比が4を超える場合である。(技術基準解説書P. 343)
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