重要ポイント
1. 建物の振動
建物に影響する振動の主なものは、地震の水平方向の振動。
バネの先におもりを付けて自由振動させた時の固有周期の式を建物にも適用する。
建物の質量が床のレベルの一点に集中していると考えたときのモデルでは
固有周期 T = 2 π√(m/k)
m:質量
k:バネ定数
2. 建物の水平剛性
建物の水平剛性(バネ定数)を用いる一質点の片持柱では
k = 3EI/h3
剛なはりで結ばれたラーメンの柱
(柱脚がピンの場合)
k = 3EI/h3× 2(柱2本分)
(柱脚が固定の場合)
k = 12EI/h3× 2(柱2本分)
3. 応答スペクトル
@同じ地震動によっても建物の固有周期により、揺れ方(応答)は異なる。
1質点系の構造物に地震動を入力した時の構造物の変位、速度、加速度の最大応答値を、その系の固有周期を横軸にとって示したものを応答スペクトルという。
応答スペクトルには下記のタイプがある。
a ) 変位応答スペクトル
b ) 速度応答スペクトル
c ) 加速度応答スペクトル
地震により建物に作用する水平力は、質量と加速度の積なので、加速度応答スペクトルは、地震力と密接な関係がある。
A建物の振動は永久に続くものではなく、様々な要因で減衰が起こるが、応答スペクトルの値はその減衰により変化し、減衰が大きいと応答値は小さくなる、
4.多層骨組の振動
@多層階の建物では質点が階層分だけあり、振動モードが質点数だけ存在する。
A全ての質点が同じ方向に揺れているものを一次振動モードといい、この時の周期を一次固有周期という。
B振動モードには、その次数と同じ数の節(不動点)が存在する。
C建築物の一次固有周期は高さから概算できる。
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
T = 0.02 h
鉄骨造、木造
T = 0.03 h
( h:高さ [ m ] )
5.減 衰
(1) 粘性減衰
弾性範囲内での内部減衰の一般的な値
鉄筋コンリート構造の方が大きい
・鉄骨構造 1〜2%前後
・鉄筋コンリート構造 3%前後
・木構造 3〜5%前後
(2) 履歴減衰
塑性変形能力が高いほど、減衰性が大きい。