2024年09月04日
令和四年度修了考査 法適合確認(記述式)問題1
問題1
一貫構造計算プログラムを用いた鉄骨造床組みの荷重計算に関する設問[ No.1 ]、一貫構造計算プログラムを用いた鉄筋コンクリート造ラーメン架構の保有水平耐力計算に関する設問[ No.2 ]及び木造2階建て建築物の1階柱の引抜き力の計算に関する設問[ No.3 ]に解答せよ。
[ No.1 ]
図1に示すような鉄骨造片持小梁をもつ床組みを、一貫構造計算プログラムで形状どおりに入力した。一貫構造計算プログラム内では、床組みの一様分布荷重は亀甲分割して計算され、大梁に作用する支配荷重分の部材荷重(分布荷重や集中荷重)として計算される。なお、本一貫構造計算プログラムでは、応力計算と断面検定は柱及び大梁についてのみ行い、小梁の応力計算と断面検定は別途行っている。
図1 片持小梁をもつ床伏図
この構造計算における注意点を述べた下記の記述の空欄@〜Dに入る適切な語句を次頁の選択肢 (ア)〜(ト) の中から選び、文章を完成させよ。なお、同じ記号を複数回選択してもよい。
そのため、小梁、大梁に作用する床荷重が実況に応じて計算されたとしても、大梁G1に作用する部材荷重が[ B ]評価される。この不具合を解消するために、この床組み内の小梁をすべて大梁としてモデル化する方法もあるが、入力が煩雑となる。そこで、入力の煩雑化を避け、小梁を小梁のままモデル化する場合は、[ @ ]による[ C ]分を大梁G1への追加荷重として入力する必要がある。
片持小梁Csb40のたわみは、通常の元端固定条件下の計算では[ D ]評価されることから、控え小梁sb40及び支持大梁G1、支持小梁sb50も含めた解析モデルで計算する必要がある。
【 選択肢 】
(ア) 作用反作用 (イ) 支点反力 (ウ) 力のつり合い
(エ) てこ反カ (オ) 計算誤差 (カ) と等価に
(キ) の2倍に (ク) より大きく (ケ) より小さく
(コ) とつり合わなく(サ) 適切に (シ) 過小
(ス) 過大 (セ) 重複 (ソ) 2倍に
(タ) 支配荷重 (チ) 荷重増大 (ツ) 誤差荷重
(テ) 重複荷重 (ト) 不つり合い力
答え
[ 解答解説 ]
@ (エ) てこ反カ
A (ク) より大きく
C (チ) 荷重増大
D (シ) 過小
この床組みにおいて、片持小梁Csb40は、控え小梁sb40と連梁になっており、大梁G1と小梁sb50の2点で支持されている。このとき、片持小梁Csb40の出の長さに対して、控え小梁sb40の長さが短いため、てこ反カの影響で、G1支持点の反力は、片持小梁Csb40に作用する支配荷重より大きくなる。
そのため、小梁、大梁に作用する床荷重が実況に応じて計算されたとしても、大梁G1に作用する部材荷重が過小評価される。この不具合を解消するために、この床組み内の小梁をすべて大梁としてモデル化する方法もあるが、入力が煩雑となる。そこで、入力の煩雑化を避け、小梁を小梁のままモデル化する場合は、てこ反カによる荷重増大分を大梁G1への追加荷重として入力する必要がある。
片持小梁Csb40のたわみは、通常の元端固定条件下の計算では過小評価されることから、控え小梁sb40及び支持大梁G1、支持小梁sb50も含めた解析モデルで計算する必要がある。
[ No.2 ]
図2に示すような鉄筋コンクリート造ラーメン架構(直交方向もラーメン架構)の保有水平耐力を計算するために、一貫構造計算プログラムを用いて静的弾塑性荷重増分解析(以下、「増分解析」という)を行った。その結果、図2(a)に示すように、各階梁のヒンジ発生に先行して早期にせん断破壊する柱があった。そこで、「脆性部材がないものとして計算する方法」を採用するために、図2(b)のようにこの柱を両端ピンとしてモデル化し、あらためて増分解析を行い、保有水平耐力を求めた。
図2 鉄筋コンクリート造ラーメン架構の保有水平耐力計算
この構造計算における問題点と対処法を述べた下記の記述の空欄@及びAに入る適切な語句を解答欄に記入し、文章を完成させよ。
答え
[ 解答解説 ]
@ 鉛直力を支持
A せん断破壊する時点の手前
脆性部材がないものとして計算する方法」は、脆性部材を取り除いたとしても周辺の部材で鉛直力を支持できる場合を想定したものである。せん断破壊する柱の両端をピンとすることは、せん断破壊した後も、その柱が鉛直力を支持できると仮定していることになるので、このモデル化は別途詳細な検討をしない限り不適切である。柱のせん断破壊モードを許容し、強度抵抗型の架構(Ds = 0.55)として設計する場合で、この架構の保有水平耐力を増分解析で計算する場合、せん断破壊する時点の手前で増分解析を打ち切り、その時点を保有水平耐力とする必要がある。
[ No.3 ]
図3は、木造2階建て建築物の南側の鉛直構面の軸組を示している。この軸組に耐力壁の許容せん断耐力に見合う右向きの水平力が作用したときの、図中の左端の1階柱(ア) の柱脚接合部に生じる引抜き力T1を式(1)により算定する場合の以下の(問1)及び(問2)に解答せよ。ただし、1階柱(ア) には、鉛直荷重による押え込み力 7.30 kNがかかっているものとする。
図3 南側鉛直構面軸組図
(問1)
この軸組の柱脚接合部に生じる引抜き力T1を求めた下記の記述の空欄@〜Fに入る数値を解答欄に記入せよ。
壁倍率1.0は、許容せん断耐力で[ @ ]kN/mに相当することから、1階柱(ア) の右側耐力壁(ウ) の許容せん断耐力は、[ A ]kNである。2階柱(イ) の右側耐力壁(エ) の許容せん断耐力は、[ B ]kNである。
したがって、式(1)に1階と2階のそれぞれの値を代入すると、以下のようになる。
T1 = {[ A ] × (3.0 /1.0) × 0.8 +[ B ]×( [ C ]/ 1.0) × [ D ] } − [ E ]
=[ F ] kN
答え
[ 解答解説 ]
@ 1.96
A 4 × 1.96 × 1.0 = 7.84
B 3 × 1.96 × 1.0 = 5.88
C 2.80
D 0.80
E 7.30
F 24.69
壁倍率1.0は、許容せん断耐力で1.96kN/mに相当することから、1階柱(ア) の右側耐力壁(ウ) の許容せん断耐力は、4 × 1.96 × 1.0 = 7.84kNである。2階柱(イ) の右側耐力壁(エ) の許容せん断耐力は、3 × 1.96 × 1.0 = 5.88kNである。
したがって、式(1)に1階と2階のそれぞれの値を代入すると、以下のようになる。
T1 = {7.84× (3.0 /1.0) × 0.8 +5.88 ×( 2.80/1.0) × 0.80 } − 7.30
=24.69 kN
(問2)
現在の標準的な計算法では、柱脚の接合金物の選択にあたっては、式(1)で引抜き力を算定し、それを上回る引抜き耐力を有する接合金物を選択することとしている。この方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものを選び、解答欄にその番号を記入せよ。
1. この方法は、水平力によって耐力壁に生じる存在応力から引抜き力を求めるものである。
2. この方法は、内装下地石膏ボードや垂れ壁•腰壁などの、いわゆる雑壁の耐力が考慮されていないことから、安全側とはならない場合がある。
3. 下階の柱にかかる鉛直荷重による押え込み力の算定では、上階からの鉛直荷重を考慮する。
答え
1
[ 解答解説 ]
耐力壁に生じる存在応力 → 耐力壁の許容せん断耐力
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