2016年05月15日
スラムダンク その後 〜Another Story 国体編 Part62 拮抗
神奈川 24
秋田 16
秋田の反撃が始まったが、神奈川の勢いが止まったわけではなかった。
藤真は経験が豊富なだけあって、河田に向かう流川へ今度はボールを回さなかった。
花形を経由して赤木がスピンムーヴで美紀男を抜き去り、ダンクを決めた。
オフェンスで1対1になると美紀男は赤木の敵ではなかった。
しかし、秋田も落ち着いて攻められるようになっていた。
キーマンは松本と河田の両名だった。
美紀男を中心に添えて、河田、松本がミドルレンジで自由に動き回り、神奈川のディフェンスをかき乱すようになった。
寄せ集めの神奈川のディフェンスをあざ笑うように、絶妙なタイミングで深津からのパスを松本、河田の両名がどんどん決めていった。
第2Qが終わった時点での得点差は広がることもなかったが、縮まってもいなかった。
神奈川 46
秋田 38
高頭「膠着状態だな。もう少し点差を開いておきたかったが・・・。」
これは高頭の本音だった。リードしているとはいえ、経験豊富な秋田が相手だったので油断ができないと考えていたからだ。
三井「赤木よ、意外と弟は成長しているな。」
赤木「フン。あの体は少しだけ厄介だ。」
思ったより赤木の体力が消耗していた。本来、河田兄に闘志をぶつけるはずだったが拍子抜けした形の時間帯が続いた。
赤木に限って手を抜くというのはあり得ないが心が河田兄と戦いたがっていた。
心と体が不一致な状態で戦っていたため、消耗が激しかったのだ。
そのくせ、1年坊主の河田弟の体重と圧力は思ったよりすごかったため、体力が消費していた。
また、花形も野辺の圧力が想像以上だったため、途中から参戦したがそこまで余裕はなかった。
花形「さすがに山王だな。点差ほどリードしている余裕がない。」
藤真「・・・。深津がおとなしいな。あれだけ痛めつける戦略を実行したのに、チームのマネジメントに徹しているのが気になるな。」
牧「確かにな・・・。アイツはそんなにおとなしいやつではなかったはずだからな。」
藤真「まぁ、このままおとなしくしてくれると助かるんだがな。」
赤木「相手は絶対王者山王工業。そんなに甘くはないわ!」
清田「(うぉっ、ゴリラっぽい。)」
赤木「ゴリラ!?」
清田「い、いや、な、何でもないっす。(な、なんだこのおっさん、すっげぇ地獄耳)」
三井「仙道、後半が勝負だからな。あくびをしている暇はないぞ。」
仙道「そろそろ出番が来ないと寝てしまいそうで。」
一方、秋田陣営は、
中山「監督っ、すみませんでした。試合に出してください。自信をもってプレーします。」
中山はベンチに帰ってずっと考えていた。全力でプレーしている山王工業のメンバーを見ていて恥ずかしくなっていたのだ。
雲の上の存在だと思って、気持ちが蹴落とされていたが、ひたむきなプレーをしているメンバーをみると、自分と何も変わらない高校生だとわかった。
勝利への執念が違うだけだと感じたのだ。
その気持ちが監督への言葉となった。
堂本「ああ!。その言葉を待っていたぞ。だが、もう少し待て。
もう少しで神奈川の弱点があらわになる。そうなればお前の出番だ。」
河田「あと少しだな。」
深津「そうピョン。」
河田も深津も気づいていた。神奈川がほころびかけていることを。
桜木「ああー、もうつまらん。試合に出れないとこんなにつまらんとは!!」
安西「そうですね。しかし、今は我慢です。今無理すると取り返しがつかなくなりますから。なんといっても冬の選手権を湘北が制するための秘密兵器ですから。」
(タプタプ)
桜木「オヤジっ!わかってるじゃねーか」
久々に桜木のタプタプが炸裂した。すかさず彩子のハリセンが飛んだ。
これがパターンになっていた。
そうこうしているうちにあっという間に第3Qが始まった。
(続く)
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