2020年03月15日
うつ病治療〜診断ってどうやってやっているの?、自分ももしかしたら・・・?〜
今回はうつ病の診断の流れについてお話しします。
診断の流れとしてうつ病が想定される場合にはまず、外来受診前などに患者が記入した自己評価表でどのような症状があるのかを確認します。
自己評価表は診断の補助手段としてよく用いられており、厚生労働省による心の健康度自己評価表やうつ病自己評価尺度、SDS ベック、うつ病自己評価尺度 、BDI、 こころとからだの質問票 、PHQ9などがあります。
ここではこれらの評価方の中から心の健康度自己評価表について紹介します。
心の健康度自己評価表は A B C の三項目合わせて8問からなり回答方法は「はい」「いいえ」で答える簡単なものです。
A項目は抑うつ気分意欲や興味の喪失、罪責感、倦怠感などに関する質問
B項目は自殺への思いに関する質問
C項目はうつ病の原因となるエピソードに関する質問
となっています。
A項目では1から5番の質問のうち回答の箇所が二つ以上選択された場合、または B 項目では6番と7番のどちらか一つでも回答された場合、また C 項目の8番が「はい」と回答され、その記載内容に配偶者や家族の死亡親戚や近隣の人の自殺医療機関からの退院などが当てはまる場合、すなわち A 項目から C 項目のいずれかに該当すればうつ病が考えられ、専門医による診療が進められます。
次に、問診では精神症状、身体症状、過去のエピソードなど現病歴を確認します。合わせて、治療歴、生活歴、家族歴、身体疾患歴、薬物歴や家庭環境、自覚している性格なども確認します。
次に、うつや不眠などの原因となる身体疾患などがないかを確認するために身体検査や血液検査などが行われます。
必要に応じて脳梗塞や認知症などの身体疾患との鑑別のために、脳波 CT、 MRI などの画像検査を行うこともあります。
そして、自己評価票と問診で確認された内容および臨床検査による身体疾患の除外などを総合的に判断した上でうつ病の診断基準に基づいた診断が行われます。
うつ病の診断基準は精神科医療の現場において米国精神医学会の DSM 4診断基準もしくは世界保健機構 WHOの作成した ICD 10の診断基準が多く用いられています。
厚生労働省地域におけるうつ病対策検討会で発表されているうつ対応マニュアルでは DSM 4が用いられていることからここでは DSM 4の診断基準について紹介します。
DSM 4の診断基準では、うつ病は気分障害の一つとして分類されています。
気分障害はうつ病性障害と双極性障害に分けられ、さらにうつ病性障害は大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害に分けられています。
この内、大うつ病性障害がいわゆるうつ病を指します。
そして、大うつ病性障害の診断基準を満たさず、軽いうつ状態が慢性的に続く場合を気分変調性障害、それ以外を特定不能のうつ病性障害と分類されています。
双極性障害は気分が高まる躁状態と気分が沈むうつ状態が繰り返し現れるのが特徴です。
かつては躁鬱病と呼ばれていましたが、現在では双極性障害という病名が使われています。
双極性障害はうつ状態から始まることが多く軽い躁状態が認識されないことがあるためうつ病と見分けがつきにくいケースも多くあります。
双極性障害とうつ病は治療法が根本的に違うため、初心者には躁状態のエピソード既往歴を十分に確認して鑑別することが大切です。
DSM 4診断基準によるうつ病の診断では基本的症状としてA項目と B 項目を合わせて9つの症状により判定されます。
A項目の抑うつ気分と興味または喜びの喪失はうつ病の必須症状とされており、うつ病であれば少なくともどちらかの症状を有しています。
B 項目では食欲の減退あるいは増加、睡眠障害、不眠あるいは睡眠過多、精神運動の障害、強い焦燥感、運動の静止、疲れやすさ、気力の減退、強い罪責感、思考力や集中力の低下、自殺への思いが挙げられています。
うつ病の診断では A 項目と B 項目を合わせて合計1つ以上の項目に該当していることが条件です。
また、症状が現れる期間はほとんどが一日中毎日見られ、2週間以上持続していること、障害の強さについては症状のために精神的もしくは社会的な障害が生じていることとそれぞれ基準を満たすことが必要です。
以上の条件を満たしている場合にうつ病と診断されます。
そして、うつ病と診断された場合にはハミルトンの抑うつ評価尺度などを用いて、重症度の評価が行われます。
ハミルトンの抑うつ評価尺度はうつ病の重症度を表す17項目で構成された17項目版とこれにうつ病の種類などを表す四項目を追加した21項目版があります。
一般には、17項目版が用いられており、評価項目の合計点が23点以上を最重症、19から22点を重症、14から18点を重等症、8から13点を軽症、7点以下を正常と評価しています。
また、この重症度の評価は薬物療法などによる治療効果の判定基準にも用いられています。
以上になります。お疲れ様でした!(画像は後ほど入れていきます。早めに伝えたいので早めにブログに載せさせていただきます。)
診断内容は難しい部分が多く、読むのに苦労してしまったかもしれません。。
当てはまる症状があればすぐ受診!という流れで気軽に受診するようにしてくださいね。
次回はうつ病治療に関して最後になります。「うつ病に合併しやすい不安障害」について記事にします。
その後、薬の服薬指導について書いていきますね。薬の効き方、薬の特徴についてまとめますのでお楽しみに。
ありがとうございました。
診断の流れとしてうつ病が想定される場合にはまず、外来受診前などに患者が記入した自己評価表でどのような症状があるのかを確認します。
自己評価表は診断の補助手段としてよく用いられており、厚生労働省による心の健康度自己評価表やうつ病自己評価尺度、SDS ベック、うつ病自己評価尺度 、BDI、 こころとからだの質問票 、PHQ9などがあります。
ここではこれらの評価方の中から心の健康度自己評価表について紹介します。
心の健康度自己評価表は A B C の三項目合わせて8問からなり回答方法は「はい」「いいえ」で答える簡単なものです。
A項目は抑うつ気分意欲や興味の喪失、罪責感、倦怠感などに関する質問
B項目は自殺への思いに関する質問
C項目はうつ病の原因となるエピソードに関する質問
となっています。
A項目では1から5番の質問のうち回答の箇所が二つ以上選択された場合、または B 項目では6番と7番のどちらか一つでも回答された場合、また C 項目の8番が「はい」と回答され、その記載内容に配偶者や家族の死亡親戚や近隣の人の自殺医療機関からの退院などが当てはまる場合、すなわち A 項目から C 項目のいずれかに該当すればうつ病が考えられ、専門医による診療が進められます。
次に、問診では精神症状、身体症状、過去のエピソードなど現病歴を確認します。合わせて、治療歴、生活歴、家族歴、身体疾患歴、薬物歴や家庭環境、自覚している性格なども確認します。
次に、うつや不眠などの原因となる身体疾患などがないかを確認するために身体検査や血液検査などが行われます。
必要に応じて脳梗塞や認知症などの身体疾患との鑑別のために、脳波 CT、 MRI などの画像検査を行うこともあります。
そして、自己評価票と問診で確認された内容および臨床検査による身体疾患の除外などを総合的に判断した上でうつ病の診断基準に基づいた診断が行われます。
うつ病の診断基準は精神科医療の現場において米国精神医学会の DSM 4診断基準もしくは世界保健機構 WHOの作成した ICD 10の診断基準が多く用いられています。
厚生労働省地域におけるうつ病対策検討会で発表されているうつ対応マニュアルでは DSM 4が用いられていることからここでは DSM 4の診断基準について紹介します。
DSM 4の診断基準では、うつ病は気分障害の一つとして分類されています。
気分障害はうつ病性障害と双極性障害に分けられ、さらにうつ病性障害は大うつ病性障害、気分変調性障害、特定不能のうつ病性障害に分けられています。
この内、大うつ病性障害がいわゆるうつ病を指します。
そして、大うつ病性障害の診断基準を満たさず、軽いうつ状態が慢性的に続く場合を気分変調性障害、それ以外を特定不能のうつ病性障害と分類されています。
双極性障害は気分が高まる躁状態と気分が沈むうつ状態が繰り返し現れるのが特徴です。
かつては躁鬱病と呼ばれていましたが、現在では双極性障害という病名が使われています。
双極性障害はうつ状態から始まることが多く軽い躁状態が認識されないことがあるためうつ病と見分けがつきにくいケースも多くあります。
双極性障害とうつ病は治療法が根本的に違うため、初心者には躁状態のエピソード既往歴を十分に確認して鑑別することが大切です。
DSM 4診断基準によるうつ病の診断では基本的症状としてA項目と B 項目を合わせて9つの症状により判定されます。
A項目の抑うつ気分と興味または喜びの喪失はうつ病の必須症状とされており、うつ病であれば少なくともどちらかの症状を有しています。
B 項目では食欲の減退あるいは増加、睡眠障害、不眠あるいは睡眠過多、精神運動の障害、強い焦燥感、運動の静止、疲れやすさ、気力の減退、強い罪責感、思考力や集中力の低下、自殺への思いが挙げられています。
うつ病の診断では A 項目と B 項目を合わせて合計1つ以上の項目に該当していることが条件です。
また、症状が現れる期間はほとんどが一日中毎日見られ、2週間以上持続していること、障害の強さについては症状のために精神的もしくは社会的な障害が生じていることとそれぞれ基準を満たすことが必要です。
以上の条件を満たしている場合にうつ病と診断されます。
そして、うつ病と診断された場合にはハミルトンの抑うつ評価尺度などを用いて、重症度の評価が行われます。
ハミルトンの抑うつ評価尺度はうつ病の重症度を表す17項目で構成された17項目版とこれにうつ病の種類などを表す四項目を追加した21項目版があります。
一般には、17項目版が用いられており、評価項目の合計点が23点以上を最重症、19から22点を重症、14から18点を重等症、8から13点を軽症、7点以下を正常と評価しています。
また、この重症度の評価は薬物療法などによる治療効果の判定基準にも用いられています。
以上になります。お疲れ様でした!(画像は後ほど入れていきます。早めに伝えたいので早めにブログに載せさせていただきます。)
診断内容は難しい部分が多く、読むのに苦労してしまったかもしれません。。
当てはまる症状があればすぐ受診!という流れで気軽に受診するようにしてくださいね。
次回はうつ病治療に関して最後になります。「うつ病に合併しやすい不安障害」について記事にします。
その後、薬の服薬指導について書いていきますね。薬の効き方、薬の特徴についてまとめますのでお楽しみに。
ありがとうございました。
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