2020年03月15日
うつ病〜過去の経験が体を縛りつける心の病〜
今回はうつ病についてまとめましたので参考になればと思います。
うつ病は心の風邪と例えられるほど誰にでも起こり得る身近でありふれた病気です。
患者は年々増加傾向にあり自殺との関連も深く大きな社会問題として注目されています。
まず、うつ病がどのような病気なのか疫学を含めてお話しします。
うつ病とは、
「憂鬱気分が落ち込むといった抑うつ気分の状態が社会生活を困難にするくらいひどくなり長く続く病態」
です。
うつ病を発症すると抑うつ気分だけでなく集中力が低下して仕事がはかどらなくなる、自分は価値のない人間だと思うようになるなど、様々な症状がみられ自分自身を苦しめてしまいます。
しかし、憂鬱気分が落ち込むなどの症状は誰もが経験することであり、本人も家族などの周囲の人もそれがうつ病であるということになかなか気づきにくいのが特徴です。
また、周囲からは怠けている、頑張りが足りないなどと誤解されてしまうことも少なくありません。
そのため、医療機関への受診が遅れて症状を悪化させてしまい、やがては日常生活に支障をきたすようになり、最悪の場合自身を追い詰めて自殺に至ってしまうこともあります。
うつ病は自殺の原因や動機として最も注目されている病気であり大きな社会問題になっています。
国内におけるうつ病の発症頻度は二十歳以上の一般住民4134人を対象にした調査によると過去または現在においてうつ病にかかったことのある人の割合生涯有病率は6.2%で約16人に1人の割合です。
これを日本の20歳以上の人口で換算すると約600万人がうつ病にかかっていることになります。
この数字からもわかるようにうつ病は決して稀な病気ではなくごくありふれた身近な病気であると言えます。
また、性別で比較してみると平成14年度の厚生労働科学研究特別研究事業報告では男性4.6%、女性9.7%とあり、女性の方が男性よりも約2倍多くなっています。
その理由としては、女性特有の身体的特徴や男女の社会的役割の格差などが考えられています。
また、年次別の総患者数の推移は厚生労働省患者調査によると1996年と比較して2008年では約70万人となっており約10年で3倍以上に増加しています 。
うつ病の発症にはモノアミン系と呼ばれるノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンの3種類の神経伝達物質が主に関与しています。
通常の状態では、
ノルアドレナリンはその強い各勢力により意識を維持し、意欲や積極性などの精神機能を高め自律神経系にも関与しています。
ドーパミンは喜び快楽を司り、集中力やる気などの精神機能を高め運動機能にも関与しています。
セロトニンはノルアドレナリンやドパミンを調節して精神を安定化させる働きがあり、喜びや悲しみなどの感情のバランスを保ちます。また、睡眠に関係するメラトニンに代謝されることから睡眠リズムにも関係しています。
これらの神経伝達物質は常に互いにバランスを取り合って適正な精神状態を保っていると言われています。
しかし、過度のストレスなどが長期に持続するとノルアドレナリンやセロトニンなどの量が減少して神経伝達物質のバランスが崩れ、うつ病を発症しやすくなると言われています。
少し小難しい話になってしまいますが、ストレスが加わると視床下部を介して副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが血中に分泌されます。血中のコルチゾール濃度が異常に高くなると海馬などでコルチゾールが多いから減らそうという指令が発生します。
しかし、慢性的にストレスが加わると上昇したコルチゾール濃度を調節し減らそうとする機能がうまく働かなくなり、コルチゾールの濃度は以上に上昇してしまいます。
そして、このような状態が持続されると海馬は障害されて萎縮し、鬱病発症するとも考えられています。
うつ病の中には現在使用されている抗うつ薬に反応しない者がその約30%にみられており、うつ病の発症原因の一つとして海馬の障害も考えられています。
これは一例に過ぎません。うつ病を発症する要因には環境の変化などによるストレス、うつ病にかかりやすい性格、身体的な問題などがあり、様々な要因が重なって発症すると考えられています。
環境の変化などによるストレスとは配偶者の死、リストラ、定年、身近な人とのトラブル、家族間の不和などショックの大きな出来事に限らず、昇進、栄転、結婚、出産、子供の結婚、独立などの明るく喜ばしい出来事などもあり発症の要因となっています。
また、睡眠習慣や食習慣の変化、クリスマスなどといったイベントなどの日常生活での些細な変化も要因となることがあります。
ここで、昔の学術を紐解くとうつ病は発症する前の性格病前性格に共通点があることは古くから指摘されていました。
うつ病にかかりやすい性格(精神的な部分)についてはクレッチマーの循環気質、下田の執着気質やテレンバッハのメランコリー性格で分類されてることが多いです。
これらに共通するのは、真面目、責任感が強い、仕事熱心几帳面といった性格です。このような性格は安定した状況下では良い面が現れますが、切羽詰まった状況になると柔軟性に欠けストレスを溜め込んで精神的な負担を受けやすく結果としてうつ病になりやすい傾向にあると言えます。
身体的になりやすいものには、前述したような女性特有の身体的特徴、事故後の後遺症、身体疾患および治療薬の副作用などが挙げられます。
女性特有の身体的特徴とは妊娠、出産、月経、更年期障害などで起こる女性ホルモンの急激な変化が考えられています。
また、事故などで頭部の障害を受けた人はうつ病を発症しやすく頭部以外の部位に重傷を負った人でも約2割にうつ病を発症したとの報告があります。
加えて、うつ病を引き起こしやすい主な身体疾患には中枢神経疾患や内分泌代謝疾患などが挙げられます。こちらは後日深く掘り下げてお話ししますね。
さらに、基礎疾患の治療に用いられている薬剤の副作用としてうつ病を引き起こしてしまうことがあります。
うつ病を引き起こす可能性がある薬剤にはウイルスを殺すインターフェロン製剤やコルチゾールを主成分とする副腎皮質ステロイド薬などがよく知られています。
インターフェロン製剤が鬱を引き起こすメカニズムは、簡単にいいますと海馬の神経形成を抑制することと外側から色々な作用を持つインターフェロンを取り入れることで神経と免疫、内分泌系のバランスが崩れてしまうためだと考えられています。
ステロイドが引き起こす理由は、コルチゾールの増加によって海馬が萎縮して鬱が引き起こされるためと考えられています。
以上のように発症の原因について簡単にまとめさせていただきました。適宜画像入れたり修正していきます。
次回は「うつ病の症状とその特徴」についてお話しします^^。ありがとうございました。
※生きる希望が湧いてくるような法則ブログも書いています。ぜひこちらも参考にしてください
→https://ho-soku.com
うつ病とは?
うつ病は心の風邪と例えられるほど誰にでも起こり得る身近でありふれた病気です。
患者は年々増加傾向にあり自殺との関連も深く大きな社会問題として注目されています。
まず、うつ病がどのような病気なのか疫学を含めてお話しします。
うつ病とは、
「憂鬱気分が落ち込むといった抑うつ気分の状態が社会生活を困難にするくらいひどくなり長く続く病態」
です。
うつ病を発症すると抑うつ気分だけでなく集中力が低下して仕事がはかどらなくなる、自分は価値のない人間だと思うようになるなど、様々な症状がみられ自分自身を苦しめてしまいます。
しかし、憂鬱気分が落ち込むなどの症状は誰もが経験することであり、本人も家族などの周囲の人もそれがうつ病であるということになかなか気づきにくいのが特徴です。
また、周囲からは怠けている、頑張りが足りないなどと誤解されてしまうことも少なくありません。
そのため、医療機関への受診が遅れて症状を悪化させてしまい、やがては日常生活に支障をきたすようになり、最悪の場合自身を追い詰めて自殺に至ってしまうこともあります。
うつ病は自殺の原因や動機として最も注目されている病気であり大きな社会問題になっています。
国内におけるうつ病の発症頻度は二十歳以上の一般住民4134人を対象にした調査によると過去または現在においてうつ病にかかったことのある人の割合生涯有病率は6.2%で約16人に1人の割合です。
これを日本の20歳以上の人口で換算すると約600万人がうつ病にかかっていることになります。
この数字からもわかるようにうつ病は決して稀な病気ではなくごくありふれた身近な病気であると言えます。
また、性別で比較してみると平成14年度の厚生労働科学研究特別研究事業報告では男性4.6%、女性9.7%とあり、女性の方が男性よりも約2倍多くなっています。
その理由としては、女性特有の身体的特徴や男女の社会的役割の格差などが考えられています。
また、年次別の総患者数の推移は厚生労働省患者調査によると1996年と比較して2008年では約70万人となっており約10年で3倍以上に増加しています 。
うつ病発症の仕組み:やる気がないだけなのか?、体がそうさせているのか?
うつ病の発症にはモノアミン系と呼ばれるノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンの3種類の神経伝達物質が主に関与しています。
通常の状態では、
ノルアドレナリンはその強い各勢力により意識を維持し、意欲や積極性などの精神機能を高め自律神経系にも関与しています。
ドーパミンは喜び快楽を司り、集中力やる気などの精神機能を高め運動機能にも関与しています。
セロトニンはノルアドレナリンやドパミンを調節して精神を安定化させる働きがあり、喜びや悲しみなどの感情のバランスを保ちます。また、睡眠に関係するメラトニンに代謝されることから睡眠リズムにも関係しています。
これらの神経伝達物質は常に互いにバランスを取り合って適正な精神状態を保っていると言われています。
しかし、過度のストレスなどが長期に持続するとノルアドレナリンやセロトニンなどの量が減少して神経伝達物質のバランスが崩れ、うつ病を発症しやすくなると言われています。
少し小難しい話になってしまいますが、ストレスが加わると視床下部を介して副腎皮質からストレスホルモンであるコルチゾールが血中に分泌されます。血中のコルチゾール濃度が異常に高くなると海馬などでコルチゾールが多いから減らそうという指令が発生します。
しかし、慢性的にストレスが加わると上昇したコルチゾール濃度を調節し減らそうとする機能がうまく働かなくなり、コルチゾールの濃度は以上に上昇してしまいます。
そして、このような状態が持続されると海馬は障害されて萎縮し、鬱病発症するとも考えられています。
うつ病の中には現在使用されている抗うつ薬に反応しない者がその約30%にみられており、うつ病の発症原因の一つとして海馬の障害も考えられています。
これは一例に過ぎません。うつ病を発症する要因には環境の変化などによるストレス、うつ病にかかりやすい性格、身体的な問題などがあり、様々な要因が重なって発症すると考えられています。
環境の変化などによるストレスとは配偶者の死、リストラ、定年、身近な人とのトラブル、家族間の不和などショックの大きな出来事に限らず、昇進、栄転、結婚、出産、子供の結婚、独立などの明るく喜ばしい出来事などもあり発症の要因となっています。
また、睡眠習慣や食習慣の変化、クリスマスなどといったイベントなどの日常生活での些細な変化も要因となることがあります。
ここで、昔の学術を紐解くとうつ病は発症する前の性格病前性格に共通点があることは古くから指摘されていました。
うつ病にかかりやすい性格(精神的な部分)についてはクレッチマーの循環気質、下田の執着気質やテレンバッハのメランコリー性格で分類されてることが多いです。
これらに共通するのは、真面目、責任感が強い、仕事熱心几帳面といった性格です。このような性格は安定した状況下では良い面が現れますが、切羽詰まった状況になると柔軟性に欠けストレスを溜め込んで精神的な負担を受けやすく結果としてうつ病になりやすい傾向にあると言えます。
身体的になりやすいものには、前述したような女性特有の身体的特徴、事故後の後遺症、身体疾患および治療薬の副作用などが挙げられます。
女性特有の身体的特徴とは妊娠、出産、月経、更年期障害などで起こる女性ホルモンの急激な変化が考えられています。
また、事故などで頭部の障害を受けた人はうつ病を発症しやすく頭部以外の部位に重傷を負った人でも約2割にうつ病を発症したとの報告があります。
加えて、うつ病を引き起こしやすい主な身体疾患には中枢神経疾患や内分泌代謝疾患などが挙げられます。こちらは後日深く掘り下げてお話ししますね。
さらに、基礎疾患の治療に用いられている薬剤の副作用としてうつ病を引き起こしてしまうことがあります。
うつ病を引き起こす可能性がある薬剤にはウイルスを殺すインターフェロン製剤やコルチゾールを主成分とする副腎皮質ステロイド薬などがよく知られています。
インターフェロン製剤が鬱を引き起こすメカニズムは、簡単にいいますと海馬の神経形成を抑制することと外側から色々な作用を持つインターフェロンを取り入れることで神経と免疫、内分泌系のバランスが崩れてしまうためだと考えられています。
ステロイドが引き起こす理由は、コルチゾールの増加によって海馬が萎縮して鬱が引き起こされるためと考えられています。
以上のように発症の原因について簡単にまとめさせていただきました。適宜画像入れたり修正していきます。
次回は「うつ病の症状とその特徴」についてお話しします^^。ありがとうございました。
※生きる希望が湧いてくるような法則ブログも書いています。ぜひこちらも参考にしてください
→https://ho-soku.com
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/9703194
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック