2018年03月26日
「銀と金」(福本伸行)メモ
「銀と金」は「平井銀二」という男に競馬場でスカウトされた「森田鉄雄」が、アルバイトとして雇われる部分から始まる。当初金を持っておらず、大敗した折に空に舞った馬券が金に見えるという、競馬ジャンキー状態になっていた森田であるが、やがて銀二がとんでもない高利貸しをしている事実に直面する。
彼はそこで「銀王」と呼ばれていた。
強気に出る時と甘く出る時を見定めて金を貸すその様に呆然とする森田。
しかし一番恐ろしいのは、金を返せる見込みもなく、心中か夜逃げを決め込んでやってきた男。彼の事情を読み、大金を渡してからこの一言。
「行き先が決まったら、オレにだけ連絡をよこすんだぜ」
食うか食われるかのサバイバルなのである。
電子書籍
……
「銀と金」を間違えて表記されることもよくあるが、福本作品ファンの中でも根強い人気を持つ作品である。
福本伸行先生が元々人間の心理描写が細かく精密に作成されているため、騙す側と騙される側の心理戦が非常に緊迫した状態で読めることも大きな要因であるだろう。
多くの場合勝側の森田達なのだが、大きな痛手を負ったことがないだけとはいえ、騙されて負ける側も一筋縄ではいかない部分が魅力でもある。
やがてもう一人の人間が加わったのが競馬場であった。銀二のような人間がチームメンバーを探すには一番適している、という話であったとはいえ、なかなかに皮肉めいた物語である。
何度も読み返すと、不思議と政治のニュースがおもしろくなってくる作品である。
実写ドラマ化はVシネも最近のものも当たり作品であったので、多少の好みはあるだろうが一番気になったバージョンの作品から選ぶのもまた一つの楽しみ方であろう。
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