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2023年12月03日

次回作 プロローグ(仮)

以下執筆中の次回作
出だし
このままいくかまったくわかりませんが
いやたぶん変わっていくんだろうな




〔レコードオブ・カライリの記憶〕(仮)

〔高校一年夏〕
初ライブが終わった。
成功だった。
通い詰めたスタジオの店長の協力のおかげで練りに練った演出をすることができて、たくさんの人が見に来てくれた。オリジナル曲が最高だったとみんなのテンションが爆上がりで褒めてくれてバンドのメンバー達も大喜びだった。メンバーは小学校のとき同じピアノ教室でいっしょだった男子達で盛り上がって結成した4人構成。バンドによくあるメンバー集めの苦労はなかったものの、どうしていいか分からなくて困ったことも一度や二度ではなく辛い時期もあった。
曲は中学の時から作り始めていたし、ギターの練習も手が壊れる直前までがんばったし、3年以上の歳月をかけた構想が初めて形になった。それがこうして手ごたえを感じる結果となり、俺としても嬉しくて泣くほどの状況のはずだった。
しかし―――
一番来てほしかった彼女の姿はなかった。
何かの事情でたまたま来てくれなかっただけかと思ったが、それまで毎日のように顔を合わせていたのに、その日を境にパッタリと姿を見せなくなった。スタジオの店長に聞いても、あれから一回も来てないという。
彼女のバンドのメンバーに聞いても連絡がつかなくなっているという。もともと携帯電話を持っておらず、連絡手段としては自宅の固定電話。不在なら彼女の祖父母に伝言後、彼女が掛けなおしてくるという方法をとっていたそうだ。
「あれからカピの家に電話しても誰も出ないし」と彼女のバンドメンバー。
capiというのが彼女の名前だ。もちろん芸名。
彼女は今のバンドの正式メンバーではなく、入院しているボーカルが戻って来るまでの臨時メンバーだった事は聞いていた。カピはベースを弾きながら歌うというスタイルのボーカルだったので、同じバンドにベースが二人いるというかなり珍しい状態となっていておもしろいバンドだと思っていた。
それにしても彼女だけでなく、家族まで連絡がつかないとはきっと何かあったに違いない。
だが確かめようにも家の場所を知ってる者も誰もいない。カピのバンドメンバー達もスタジオ内で知り合っただけで、まだプライベートの事まで深く関わってなかったそうだ。
俺も本名や住所などは初ライブ後に告白してからゆっくり聞けばいいと考えていたし、彼女の様子の変化とかは分からなかった。ライブの準備に没頭していたのが裏目に出たのかもしれない。
「なんてこった、こんなことならもっと色々聞いとくんだった・・・」
会話の内容と言えば、音楽の話とか普段の学校の話とか芸名の由来がカピバラかと思いきやよく知りもしないバイクレーサーからテキトーに取ったとかそういうくだらない話ばかりしていて、こんなに好きになりながら肝心な情報はほとんど知らない。スタジオに行けばいつでも会えると思って完全に油断していた。
カピは俺の作る曲の事をとても好きだと言ってくれてテンション上がってたし、ひそかに自分のバンドのボーカルになってもらおうと狙っていたりもした。見た目もカワイイ・・というか可愛げがある・・というか、あまり美人美人してない感じが安心できる顔立ちとでもいうのか、まあとにかく元気で明るくていっしょにいると何かがんばろうって思えてくる。作詞もできるので作詞capi作曲オレの楽曲を彼女があのライブハウスで歌ってくれたらサイコーだな。俺とツインボーカルとかもいいなあ。あのベーシスト二人体制も案外良かったし、となると、ツインボーカル・ツインベースってすごくね!?それをこういう感じで・・こりゃデビューできるな、ワハハハ。などと妄想が止まらなくなることが度々あった。
彼女に見せたくてがんばってきたという面もかなりのパーセンテージを占めていて、こちらが勝手に盛り上がっているだけで、カピの方が告白されそうな気配を察知して、それがイヤでもう会わないようにしてるだけという可能性も考えた。

しかし実際のところは本人に聞いてみないことには分からない。
結局、それからスタジオに彼女が現れることはなかった。

〔高校三年春〕
カピの事はどうにもすることができず、記憶から消すことに撤し、もうあまり思い出すこともなくなっていた。その分バンドの方に集中できると前向きに考えた。
定期的なライブ活動や曲作りに励んだ。ファンも少しづつ増えてきてる気がする。
授業中までも作曲してたり全力を尽くした。おかげで定期テストのクラス順位は45人中43位が定位置だ。どんなに勉強しなくとも43位から下に落ちた事はない。どうやら下に岩盤が二人存在するようで助かる。
幸い俺には勉強しろとうるさく言う親はいない。父は俺が小学校の時に離婚して家を出て行った。母はその後しばらくして病死。なので母方の祖母と二人暮らし。祖父は俺が生まれる前に死んでいる。でもそれなりにお金を残してくれたようで、祖母を見ていても贅沢はしていないもののお金には困る事はないもようだ。

他のメンバー達は勉強とバンドを両立させているので本当に偉いと思う。
そんな環境もあるので、俺はボーカルとギターの二つを担当している。
メンバー達は全員大学進学を志望して勉強している。進学してバンドを続けられるように、なるべく滋賀県内、遠くとも京都の大学を目指してくれている。
俺はというと、何も決まっていない。ただぼんやりとバイトしながらバンドかなというイメージがある。祖母の感じでは私立大学でも費用はどうにかしてくれそうではあるが、遠方の大学とかなればアパート代まではさすがにキツイだろう。そんな祖母の老後の資金を食いつぶしてまで大学に行く理由はない気がする。大卒が就職難とかいう話も聞くし、それだけ考えると絶対意味ないよな。



ある土曜日の事だった、休日で家にいると誰か女の子が訪ねて来たと言ってバアチャンが俺を呼びに来る。
「かわいい子じゃね。ガールフレンドけ?」
「さあ・・しらんけど」(知らんというか、いねーけど)
もう誰だよと思いながら玄関まで行くと、まさかの知った顔。
カピが立っていた。
「え!?カピ!?」
驚く俺にかまわず彼女が話し始める。
「こんにちは。この手紙・・あなたのお父さんから」
といって手紙を渡される。確かに差出人に父の名前が書いてある。父は小学生の時に離婚して家を出て行ったきりだ。あまりに予想外のカピの言動に理解が追い付かない。
「お、お父さん!?お父さんって俺の・・あのバイオリニストの?」
「そう」
「なんで・・・カピが」
「とてもお世話になってる、お友達です」
「え、どういう・・」
「そんなことよりその手紙の内容、読めばわかりますが簡単に言うとあなたの高校卒業後の進路の事。栗東大学に受験して入学してほしいんです。それじゃ、4月に栗東大でお待ちしてます。お邪魔しました。」
とそれだけ言うと帰ろうとする。
「お、おいおい、カピ!ちょ、ちょっと。まだ聞きたいことが山ほど―――」
「かぴ?というのは私の事ですか?」
「え?」
「私、色々と忘れてる事があるようで・・・正直、あなたとは初対面と思ってました。ごめんなさい」
「は!?」
何を言ってるのか分からないが、確かにこの顔は本当に他人を見る表情だ。
(記憶喪失!?マジか)
再び帰ろうとする彼女を慌てて呼び止めた。
「ちょ、ちょっと待った。えと、えと、とりあえず連絡先は?」
「私、電話は持ってません」
(そうだった)
「詳しい事は手紙に書いてありますので。それでは」
またも彼女は帰ろうとする。
「ちょっと待てって、まだ聞きたいことが山ほど――」


〔鬼のように・・・続く〕

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多角磨奏
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