2015年01月26日
艦隊これくしょん-艦これ-第2話感想〜二次創作設定の扱いとゲーム内への流入の可能性について〜
艦これ第3話の展開についてネット界隈で盛り上がっていますが、3話未見のため今のところ感想は省略。
TwitterのTLに流れてくる情報から察するに、第1話と第2話で描いてきたものとの温度差があったのかなぁと考えてはいますが、まぁ視聴を楽しみにしていたいと思います。
「艦隊これくしょん〜艦これ〜」は情報量が少ないゲームである。
主人公が「提督」となること、その指揮する少女が艦船型少女=艦娘(かんむす)と呼ばれる存在であること、彼女たちが「駆逐艦や巡洋艦などの旧日本海軍等の艦艇を擬人化した女の娘」であること……ゲームを始める前の提督がゲームのホームページだけで知りえる情報は、それくらいのものであろう。戦闘の際に発するセリフや彼女らの性格を示す図鑑の説明はあるものの、ゲーム内の世界情勢や敵である「深海棲艦」の正体、そもそも艦娘たちがどういう存在なのかを具体的に示すような情報はほとんど公開されていない。コンプティークなどに記載された各種開発者インタビューからは、ある程度の設定はあるような節も伺えるが、2015年現在では艦これの世界観全体像はおぼろげで、大半がユーザー側の予想の域を出るものではない。
とはいえ、艦これがここまで人気を博したのも、これらの設定の穴が理由の一つとしてあげられるだろう。「新世紀エヴァンゲリオン」の意図的に作られた設定の穴にファンたちがこぞって独自の考察をあてがい、数多くの考察本を生み出したことは有名な話である。艦これにおいても、こういった設定の穴を理由とした人気がある側面があると考えられる。
国内最大規模の同人イベントたるコミックマーケットでは、ゲームサービス開始から1年足らずで「艦これ」のジャンルコードが独立したものとして新設された。また、コミュニティサイト「Twitter」上では「艦これ版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負」のハッシュタグの元に多くの艦これファンが毎夜イラストを投稿しており、イラストコミュニティのpixivやニコニコ静画のランキングにおいて、その上位を艦これイラストが飾ることは決して少なくない。
これらのファンの二次創作作品には、自身の作品の完成度を高めるために独自の設定が盛り込まれることが多い。たとえば、ゲーム上では明確ではない提督というキャラクターに対して、作者自身を投影して若い男性として設定したり、あるいは手練れというイメージを先行させて初老の指揮官という風に描いたり、はたまた愛着を持たせるためにペンギンや猫といった愛嬌のある動物にしたり、といった具合である。作品を作る上で設定に空白の部分があるとどうしても脈絡がなくなってしまうし、話の流れを円滑にするために新しい設定を考え出すというのは、二次創作活動ではままあることである。
艦これの認知度が上がるたびに、設定の穴に対して様々な独自設定が考え出されていった。そういった中で、一人のファンが作り出した設定がその二次創作作品だけにとどまらず、ファンの間で共通認識となったゲーム外の設定もいまや多数存在する。詳しい説明は省略するが、公式設定としてファン側から逆輸入された設定も存在するので驚きである(分かりやすいところでは軽空母・鳳翔の居酒屋/小料理屋設定などが具体的な例としてはあげられるだろう)。
ともあれ、艦これの人気においては設定の穴に由来した二次創作活動の活発さは見逃せないことは、間違いない。
艦隊これくしょん -艦これ- 第2話「悖らず、恥じず、憾まず!」は主人公である吹雪の成長を描く回であった。同時に、吹雪が所属する第3水雷船隊の面々がその成長をサポートし、成長した彼女を鎮守府のメンバーが認める回でもある。第1話では失敗続きであった彼女だが、第2話では持前の根性と仲間たちの協力をもって秘書官・長門に自分の可能性を見せることに成功する。赤城と同じ艦隊になる、という吹雪の目標にはまだまだ遠い。しかし確実な一歩には違いなく、まだまだ未熟な吹雪に視聴者もまた可能性を見出すことができたのではないだろうか。
上記とは別の観点で見るに、アニメ艦これでは二次創作設定のいくつかがアニメ設定として流入されることが示された回ともいえる。ゲーム内でもおぼろげに示されているような設定もあるため、どこからが二次創作設定にあたるかは明確には区別しづらくはある。ただ、足柄の合コン失敗設定、赤城の大食い設定あたりは二次創作設定の影響が強く出たものとして捉えられるだろう。
アニメの設定として出す以上は何事につけて賛否両論があるわけだが、特に足柄の設定に関しては言及される機会が多いように感じられる。中には二次創作設定を逆輸入することで艦これというコンテンツそのものの衰退を招く、と主張している人もいるわけだが、個人的には懐疑的である。
そもそも二次創作設定を公式設定に逆輸入をして失敗した例はどれくらいあるのだろうか。有名なところでは「アイドルマスター」は二次創作設定を逆輸入しつつも大成功を収めているし、私自身は詳しくないが、MMORPGを舞台にしたファンタジー作品「ログ・ホライゾン」も二次創作作品のキャラクターやアイテムを逆輸入して世界観の拡大に一役かっているらしい。二次創作作品の設定を逆輸入して失敗したという作品について調べてみたが、そもそもそういった作品自体が少なく、私が探した範囲では見当たらなかった。
ただ、二次創作作品の設定を入れないで欲しい、という意見は理解はできる。公式設定ではない以上、それらの設定は認知性は高くはなく、ものによっては自分が思い描いていたキャラクター像と大きく剥離してしまっているものもあるためだ。そもそも足柄には実在した同名の艦に基づいた「飢えた狼」という設定はあるものの、これは戦場を渇望しているという部分がクローズアップされているだけであり、飢えた→男に飢えている→合コンで失敗している、という風に構築された二次創作設定との差は、結構大きいものだ。この差が他のキャラクターにも現れていくのなら、確かにコンテンツが衰退していくという意見も分からないものではない。
ただ、「二次創作設定の流入」だけに過剰な反応をしてしまうのも、また問題かなと考える。
多くの人が懸念しているのは、二次創作設定が「アニメ」だけではなく「ゲーム」へも流入してしまうことだと予想するが、これはおそらくないはずである。なぜなら、2015年までのメディアミックス作品の動きを見る限り、そういう例がないためだ。
艦これには二次創作作品に限らず、多くのメディアミックス作品が存在する。提督が存在する作品もあるし、艦娘以外の普通の人間が鎮守府内にいると描いている作品もある。それらは公式と強い関わりを持つ作品ではあるものの、あくまで艦これの世界観を描いた作品群の一つにすぎない。
アニメもまた、艦これのメディアミックス作品の一つである。二次創作設定の流入に注目がいきがちだが、赤城に憧れている吹雪、重巡が駆逐艦の教導をするという教育体制、艦娘と提督以外はいない鎮守府と、アニメオリジナルの要素が数多く盛り込まれている。「二次創作設定を多く盛り込んでいる」という点もアニメ艦これを構築する要素の一つであるし、何より、二次創作こそが艦これをここまでの知名度に至らしたものであるのだから、積極的に二次創作設定を盛り込んでいく姿勢も「あり」か「なし」かでいうと、私は「あり」だと考える。文句をつけるとしたら、足柄に対するフォローを入れられなかったところか。
話を戻そう。
メディアミックス作品の設定が将来的にゲーム内へと輸入される可能性がないとは言わないが、2015年までのメディアミックス作品の動きを見る限りその例はない。足柄の合コン設定が今後もお話として引っ張られるかは怪しいが、あくまで「アニメの艦これ」におけるお話として楽しめばいいと考える。もちろん楽しめないという足柄のファンもいるだろうから、そういう人ならアニメスタッフを糾弾してもいいだろう。私も電ちゃんがギャグとして昇華されずにプラズマ扱いされるような展開には文句もつけるし。
二次創作設定が必ずしもゲーム内に逆輸入されるとは限らないし、アニメはアニメの世界観で楽しめばいいんではなかろうか。
うまく言葉がまとまらないが、文章も長くなったのでそんな当たりさわりのない文でこの感想の締めとしたい。
TwitterのTLに流れてくる情報から察するに、第1話と第2話で描いてきたものとの温度差があったのかなぁと考えてはいますが、まぁ視聴を楽しみにしていたいと思います。
「艦隊これくしょん〜艦これ〜」は情報量が少ないゲームである。
主人公が「提督」となること、その指揮する少女が艦船型少女=艦娘(かんむす)と呼ばれる存在であること、彼女たちが「駆逐艦や巡洋艦などの旧日本海軍等の艦艇を擬人化した女の娘」であること……ゲームを始める前の提督がゲームのホームページだけで知りえる情報は、それくらいのものであろう。戦闘の際に発するセリフや彼女らの性格を示す図鑑の説明はあるものの、ゲーム内の世界情勢や敵である「深海棲艦」の正体、そもそも艦娘たちがどういう存在なのかを具体的に示すような情報はほとんど公開されていない。コンプティークなどに記載された各種開発者インタビューからは、ある程度の設定はあるような節も伺えるが、2015年現在では艦これの世界観全体像はおぼろげで、大半がユーザー側の予想の域を出るものではない。
とはいえ、艦これがここまで人気を博したのも、これらの設定の穴が理由の一つとしてあげられるだろう。「新世紀エヴァンゲリオン」の意図的に作られた設定の穴にファンたちがこぞって独自の考察をあてがい、数多くの考察本を生み出したことは有名な話である。艦これにおいても、こういった設定の穴を理由とした人気がある側面があると考えられる。
国内最大規模の同人イベントたるコミックマーケットでは、ゲームサービス開始から1年足らずで「艦これ」のジャンルコードが独立したものとして新設された。また、コミュニティサイト「Twitter」上では「艦これ版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負」のハッシュタグの元に多くの艦これファンが毎夜イラストを投稿しており、イラストコミュニティのpixivやニコニコ静画のランキングにおいて、その上位を艦これイラストが飾ることは決して少なくない。
これらのファンの二次創作作品には、自身の作品の完成度を高めるために独自の設定が盛り込まれることが多い。たとえば、ゲーム上では明確ではない提督というキャラクターに対して、作者自身を投影して若い男性として設定したり、あるいは手練れというイメージを先行させて初老の指揮官という風に描いたり、はたまた愛着を持たせるためにペンギンや猫といった愛嬌のある動物にしたり、といった具合である。作品を作る上で設定に空白の部分があるとどうしても脈絡がなくなってしまうし、話の流れを円滑にするために新しい設定を考え出すというのは、二次創作活動ではままあることである。
艦これの認知度が上がるたびに、設定の穴に対して様々な独自設定が考え出されていった。そういった中で、一人のファンが作り出した設定がその二次創作作品だけにとどまらず、ファンの間で共通認識となったゲーム外の設定もいまや多数存在する。詳しい説明は省略するが、公式設定としてファン側から逆輸入された設定も存在するので驚きである(分かりやすいところでは軽空母・鳳翔の居酒屋/小料理屋設定などが具体的な例としてはあげられるだろう)。
ともあれ、艦これの人気においては設定の穴に由来した二次創作活動の活発さは見逃せないことは、間違いない。
艦隊これくしょん -艦これ- 第2話「悖らず、恥じず、憾まず!」は主人公である吹雪の成長を描く回であった。同時に、吹雪が所属する第3水雷船隊の面々がその成長をサポートし、成長した彼女を鎮守府のメンバーが認める回でもある。第1話では失敗続きであった彼女だが、第2話では持前の根性と仲間たちの協力をもって秘書官・長門に自分の可能性を見せることに成功する。赤城と同じ艦隊になる、という吹雪の目標にはまだまだ遠い。しかし確実な一歩には違いなく、まだまだ未熟な吹雪に視聴者もまた可能性を見出すことができたのではないだろうか。
上記とは別の観点で見るに、アニメ艦これでは二次創作設定のいくつかがアニメ設定として流入されることが示された回ともいえる。ゲーム内でもおぼろげに示されているような設定もあるため、どこからが二次創作設定にあたるかは明確には区別しづらくはある。ただ、足柄の合コン失敗設定、赤城の大食い設定あたりは二次創作設定の影響が強く出たものとして捉えられるだろう。
アニメの設定として出す以上は何事につけて賛否両論があるわけだが、特に足柄の設定に関しては言及される機会が多いように感じられる。中には二次創作設定を逆輸入することで艦これというコンテンツそのものの衰退を招く、と主張している人もいるわけだが、個人的には懐疑的である。
そもそも二次創作設定を公式設定に逆輸入をして失敗した例はどれくらいあるのだろうか。有名なところでは「アイドルマスター」は二次創作設定を逆輸入しつつも大成功を収めているし、私自身は詳しくないが、MMORPGを舞台にしたファンタジー作品「ログ・ホライゾン」も二次創作作品のキャラクターやアイテムを逆輸入して世界観の拡大に一役かっているらしい。二次創作作品の設定を逆輸入して失敗したという作品について調べてみたが、そもそもそういった作品自体が少なく、私が探した範囲では見当たらなかった。
ただ、二次創作作品の設定を入れないで欲しい、という意見は理解はできる。公式設定ではない以上、それらの設定は認知性は高くはなく、ものによっては自分が思い描いていたキャラクター像と大きく剥離してしまっているものもあるためだ。そもそも足柄には実在した同名の艦に基づいた「飢えた狼」という設定はあるものの、これは戦場を渇望しているという部分がクローズアップされているだけであり、飢えた→男に飢えている→合コンで失敗している、という風に構築された二次創作設定との差は、結構大きいものだ。この差が他のキャラクターにも現れていくのなら、確かにコンテンツが衰退していくという意見も分からないものではない。
ただ、「二次創作設定の流入」だけに過剰な反応をしてしまうのも、また問題かなと考える。
多くの人が懸念しているのは、二次創作設定が「アニメ」だけではなく「ゲーム」へも流入してしまうことだと予想するが、これはおそらくないはずである。なぜなら、2015年までのメディアミックス作品の動きを見る限り、そういう例がないためだ。
艦これには二次創作作品に限らず、多くのメディアミックス作品が存在する。提督が存在する作品もあるし、艦娘以外の普通の人間が鎮守府内にいると描いている作品もある。それらは公式と強い関わりを持つ作品ではあるものの、あくまで艦これの世界観を描いた作品群の一つにすぎない。
アニメもまた、艦これのメディアミックス作品の一つである。二次創作設定の流入に注目がいきがちだが、赤城に憧れている吹雪、重巡が駆逐艦の教導をするという教育体制、艦娘と提督以外はいない鎮守府と、アニメオリジナルの要素が数多く盛り込まれている。「二次創作設定を多く盛り込んでいる」という点もアニメ艦これを構築する要素の一つであるし、何より、二次創作こそが艦これをここまでの知名度に至らしたものであるのだから、積極的に二次創作設定を盛り込んでいく姿勢も「あり」か「なし」かでいうと、私は「あり」だと考える。文句をつけるとしたら、足柄に対するフォローを入れられなかったところか。
話を戻そう。
メディアミックス作品の設定が将来的にゲーム内へと輸入される可能性がないとは言わないが、2015年までのメディアミックス作品の動きを見る限りその例はない。足柄の合コン設定が今後もお話として引っ張られるかは怪しいが、あくまで「アニメの艦これ」におけるお話として楽しめばいいと考える。もちろん楽しめないという足柄のファンもいるだろうから、そういう人ならアニメスタッフを糾弾してもいいだろう。私も電ちゃんがギャグとして昇華されずにプラズマ扱いされるような展開には文句もつけるし。
二次創作設定が必ずしもゲーム内に逆輸入されるとは限らないし、アニメはアニメの世界観で楽しめばいいんではなかろうか。
うまく言葉がまとまらないが、文章も長くなったのでそんな当たりさわりのない文でこの感想の締めとしたい。
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