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2017年02月04日

義歯装用のメリットと弊害

突然ですが、義歯(=入れ歯)を装用する
メリットとは皆さん何だと思いますか?


大部分の方が咀嚼能力との関係性
について考えるのではないでしょうか。
常食の食塊形成において、歯茎のみでは
困難な局面があり、義歯の有用性は
言うまでもありませんね。

またある方は整容との兼ね合いも
挙げられるかもしれません。


これらは医療従事者としては
必要十分な回答だと思いますが、
もし仮にあなたが言語聴覚士ならば
メリットだけでなく、その弊害についても
考察できる必要があります。


自身の残存歯の無い方が
総義歯を装用すると、
その口腔内の容積は実は広く

なることをご存知でしょうか。

これは歯茎同士を噛み合わすより、
奥歯同士を噛み合わせる方が
咬合高径(=咬み合わせの高さ)
が高くなるという説明で納得がいきます。


この口腔容積が狭まった状態が
長期化することで、起こりうる弊害は
舌の可動域低下による
発話明瞭度低下および食塊形成〜移送困難

と推測することができます。

これは言語聴覚士が
段階的摂食訓練を行う上で潜在的な
リスクであるといえるでしょう。

しかし発想を逆転させるならば
義歯は舌の可動域練習や
発声練習において効果的なツールにも
なり得るともいえます。


余談ですが、口腔器官の運動機能が
極端に低下されている方に
他動的に協力が得られない方に対する
訓練はとにかく自動的に『喋る』ことが
選択されがちです。

ですが、文献的にはスピーチは
咀嚼に要する筋力には劣る
(最大出力の4割程度)

とされているんですね。

咀嚼力を維持・改善を図るのならば、
喋ることに過信せず、義歯装用は勿論
スルメイカ等を利用した実践的な訓練が
やはり最適なのでしょうね。
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