2015年02月12日
完全側臥位法での経口摂取
ここ最近専門分野のカテゴリから
逸脱した普通のブログと化して
おりましたので、本日は久しぶりに
それらしい話題を取り上げて
みたいと思います。
ここ1〜2年の間、プライベートの関係で
目ぼしい学会参加ができていませんでしたので
新しい知識や技術の吸収が停滞しています。
今年は久しぶりの学会参加を
考えてはいるのですが、
本日は先日、職場の部門内での勉強会で
『完全側臥位法』が興味深かったので、
断片的にですがご紹介します。
『完全側臥位法による嚥下リハビリテーション』
※詳細は「総合リハビリテーション(2012年10月)」等参照
この方法は山形・鶴岡協立
リハビリテーション病院の福村直毅医師が
2007年に発見し、普及に努めている方法です。
今までの誤嚥のリスク回避は
リクライニング体位30°〜60°や
横向き嚥下、一側、うなずき嚥下といった
方法が一般的でした。
しかし、これらの方法は中等度以上の
嚥下障害に対しては効果が薄い事が
多くみられていました。
座位姿勢では食べ物が
声門前後のスペースから
溢れ易く喉頭進入〜誤嚥し易いのです。
そこで、重度障害の方を中心に
完全側臥位を取ることで重力が働き、
咽頭側面に通常の3倍量もの貯留スペース
が出来、声門から離れた位置から誤嚥する
事無く、通過が可能になるというものです。
この方法の適応は文献としては
仮性球麻痺(=皮質延髄路【皮質と延髄を結ぶ神経】障害)で、
の下記症例のいずれかとなっています。
@咽頭の知覚障害により嚥下反射が遅れ
嚥下前誤嚥がみられる症例
A咽頭収縮力の障害のために
中下咽頭残留を来し嚥下後誤嚥がみられる症例
実際にこちらの方法の導入前と
導入後に経口摂取へ以降した患者が
約40%改善したという文献もあるようです。
また、以下の点が運用面での
最大の利点と挙げられています。
◎経口摂取が可能な全身状態であれば
絶対禁忌の症例は無い。
◎貯留スペースは解剖学的に出現する空間であり、
頸部・咽頭筋群の協調の巧緻性や
介助者の熟練に関係なく、再現性が高い。
但し、この方法の注意点としては
食後はトロミ茶等で口腔内や咽頭部の
残留物を除去する必要があるようですね。
私の職場では未だこの方法は
導入していませんが、斬新過ぎる体位の為、
本人・家族は勿論ドクターをはじめとした
関連職種との情報共有と連携が必須だと思います。
また、導入時にも姿勢設定の上、
VE(=嚥下内視鏡検査)を
実施するといった各過程を
確立しなければ実現は困難でしょう。
完全側臥位姿勢は経口摂取の
最後の砦なのですから。
逸脱した普通のブログと化して
おりましたので、本日は久しぶりに
それらしい話題を取り上げて
みたいと思います。
ここ1〜2年の間、プライベートの関係で
目ぼしい学会参加ができていませんでしたので
新しい知識や技術の吸収が停滞しています。
今年は久しぶりの学会参加を
考えてはいるのですが、
本日は先日、職場の部門内での勉強会で
『完全側臥位法』が興味深かったので、
断片的にですがご紹介します。
『完全側臥位法による嚥下リハビリテーション』
※詳細は「総合リハビリテーション(2012年10月)」等参照
この方法は山形・鶴岡協立
リハビリテーション病院の福村直毅医師が
2007年に発見し、普及に努めている方法です。
今までの誤嚥のリスク回避は
リクライニング体位30°〜60°や
横向き嚥下、一側、うなずき嚥下といった
方法が一般的でした。
しかし、これらの方法は中等度以上の
嚥下障害に対しては効果が薄い事が
多くみられていました。
座位姿勢では食べ物が
声門前後のスペースから
溢れ易く喉頭進入〜誤嚥し易いのです。
そこで、重度障害の方を中心に
完全側臥位を取ることで重力が働き、
咽頭側面に通常の3倍量もの貯留スペース
が出来、声門から離れた位置から誤嚥する
事無く、通過が可能になるというものです。
この方法の適応は文献としては
仮性球麻痺(=皮質延髄路【皮質と延髄を結ぶ神経】障害)で、
の下記症例のいずれかとなっています。
@咽頭の知覚障害により嚥下反射が遅れ
嚥下前誤嚥がみられる症例
A咽頭収縮力の障害のために
中下咽頭残留を来し嚥下後誤嚥がみられる症例
実際にこちらの方法の導入前と
導入後に経口摂取へ以降した患者が
約40%改善したという文献もあるようです。
また、以下の点が運用面での
最大の利点と挙げられています。
◎経口摂取が可能な全身状態であれば
絶対禁忌の症例は無い。
◎貯留スペースは解剖学的に出現する空間であり、
頸部・咽頭筋群の協調の巧緻性や
介助者の熟練に関係なく、再現性が高い。
但し、この方法の注意点としては
食後はトロミ茶等で口腔内や咽頭部の
残留物を除去する必要があるようですね。
私の職場では未だこの方法は
導入していませんが、斬新過ぎる体位の為、
本人・家族は勿論ドクターをはじめとした
関連職種との情報共有と連携が必須だと思います。
また、導入時にも姿勢設定の上、
VE(=嚥下内視鏡検査)を
実施するといった各過程を
確立しなければ実現は困難でしょう。
完全側臥位姿勢は経口摂取の
最後の砦なのですから。
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ご質問有難うございます。
私もトロミ水嚥下後の体位については
適切な判断が難しいです(汗)。
個人的には随意的な咳払いを伴いながら
且つ頭頸部に配慮しつつ、体位を
段階的に調整していくのが
望ましいかなと思っています。
最後にトロミ水でフィニッシュ嚥下をした後、トロミ水が咽頭残留すると思いますが、その後、体の向きは変えてもよいのでしょうか。
体位を変えると、唾液や痰の位置が変わる為か、良くむせます。しかしずっと同じ体位でいられるわけではないので・・・。
>>前田さん
返信が大変遅れて申し訳ありません。
それぞれ情報提供有難うございます。
前田様の御紹介頂いた『イージースワロー』
大変参考になります。
完全側臥位に限らず、一側・うなずき嚥下等
頭頚部の角度調整の徹底は
施設生活でこそ再現が容易ですが、
在宅生活者である程、困難になる傾向にあります。
クッションを組み合わせることで、
簡便に再現性を高める商品に驚きました。
私の施設でも導入を検討させて頂きますね。
完全側臥位支援クッションを福村先生指導のもと、商品化しました。側臥位の安定性、再現性がいいです。使い方も簡単です。
シート部を身体の下に敷くことにより、クッションがずれないのと、クッションが背中に密着し90度を保ちます。
クッションは、0.1%次亜塩素酸消毒できるので、嘔吐、ノロウィルス、感染症にも大丈夫です。