2019年11月01日
ラ・ラ・ラ・サマー・ビーチには贅沢な仕掛けが見え隠れ
今日は「ラララ・サマービーチ」について語ってみたいと思います。
ラ・ラ・ラ・サマービーチはC-C-Bの前身であるCoConut Boys時代に出したアルバム「Boy's Life」(1984年発売)に収録されています。
後に発売された「楽しい夏休み」にも収録されていますね。
渡辺英樹さん作詞作曲のド甘いラブラブな夏ソングです。
夏のビーチをドライブがてらBGMに聴きたくなるようなゴキゲンなナンバーです。
英樹さん本人はCCB解散前に書いたライナーノーツでラララ・サマービーチについて。
「なんだこのヤロー気持ち悪いな、でもまっいいか。」
と一言だけ語っています。
お気楽過ぎる歌詞とポップな曲調に対する照れ隠しなのか何なのか。
この発言のおかげで、この曲はファンの間からもあまり評価されずにいるような気がします。
勿体無い!!!
私はこの曲は、英樹さんの最高傑作の一つだと思っています。
この曲、実はすごい仕掛けだらけなんですよね。
英樹さんが当時どれだけこの曲に力を入れたか、じっくり聞くと本当によくわかります。
この曲、本当に英樹さんが一人で作ったの?
と、首を傾げたくなる事もありました。
英樹さんの歌詞の世界はいつも良い意味で抽象的です。
第一人者の目線から、溢れ出る感情を中心にその思いを言葉にしてストレートに、あるいは技巧を凝らしてライティングしていきます。
英樹さんが描く歌詞の世界は強い感情が優先し、その情景はやはり抽象的です。
ラブソングの場合は、相手の事しか見えない、ストレートな想いをそのままぶつけています。
背景なんか必要ないくらい、そこは二人だけの世界です。
ですがこのラララ・サマービーチは、英樹さんが作詞してきたC-C-Bの曲の中で唯一、異彩を放っています。
この曲の世界観は、感情ではなく情景描写が全てだと言ってもいい。
どこか客観的に二人の世界を見ています。
「サマービーチ」 つまり夏の渚。
この風景がないとこの世界は成り立ちません。
歌詞の透明感、情景描写が本当に綺麗です。
目を閉じると真夏のビーチのランドスケープが浮かび上がってくるようです。
潮騒まで聞こえてくるような・・・(アルバム「楽しい夏休み」の影響かもしれませんがw)
♪波のパラダイス パラソルの影に 甘い罠が見え隠れ
英樹さんの歌詞には珍しく、「パラソル」や「波」といった、具体的なアイテムが登場します。
この辺は真夏の海を形容する、どストレートな表現です。
この浮かんでくる情景のビーチは、具体的にはワイキキなのかサンタモニカなのかゴールドコーストなのか、はたまた湘南なのか熱海なのかそれは分かりません。
そこは人それぞれの想像力でよいと思います。
♪君の背中にコパトーン塗らせて 男はみんなギラギラ・ハンター あの手 この手で
♪焼けた肌に 男はストップ・モーション
♪熱い視線 感じたなら 夜は二人を モノトーン 変えてく
「コパトーン」「焼けた肌」「ギラギラ」
この辺の言葉の使い方も本当に上手いです。
「夏」を表現するために、これでもかってぐらいの小道具を惜しげもなく使っています。
「ギラギラ・ハンター」という言葉からも想像できるように、浜辺で女の子を軽くナンパする内容の歌詞です。
ですが気だるい雰囲気が効いていて、ちゃらいナンパ男のギスギス感は不思議と感じません。
ぼんやりと聴いているだけでもうトランス状態です。
そして英樹さんの得意技でもある、韻の踏み方がまた絶妙。
「コパトーン」と「モノトーン」
「ギラギラ・ハンター」と「ヒソヒソ・ムード」
もう、あの手この手を駆使して技を入れていくテクニシャンです。
もうたまらんわー(○´∀`)σ)'Д`○)
この贅沢加減っぷり。言葉の使い方、韻の踏み方。
これぞ渡辺英樹流の美しさ、軽快さ。滲み出てくる独特のフェロモンです。
英樹さんはこの技をCCB後期まで使い倒します。
最後に出したアルバム「信じていれば」の中の英樹さん作詞の収録曲にも沢山入ってますからね。
「Ass Fool」や「ひとりの世界」なんかも韻の踏み方上手いです。
そしてこのラララ・サマービーチの何が凄いかって、この曲に使われてる技は韻だけではありません。
♪危ない yai yai ya-i
↑ これ、わかるでしょ?
有名なシングル「空想Kiss」のアレですよ。
♪そんなことないやーい 失恋じゃないやいやーい 諦めてないやーい
あれ?
そうなんです。
松本隆氏が
C-C-Bのyai yai の使い方は、実は英樹さん発祥なんですね。
これもC-C-Bのテンプレの一つ。
そしてC-C-Bと言えばシモンズドラム、ですよね。
実はこのラララ・サマービーチにもしっかり使われています。
♪浜辺でみんな ヒソヒソ・ムード 秘密の・・・
この後すぐに笠くんのシモンズによるフィルイン入ります。
ポコポンっと♪
このフィルインがたまらないんですよね。
シモンズドラムはココナッツ・ボーイズがC-C-Bに改名する前から使われていたんですね。
気づいてる人少ないんじゃないかなぁ。
このデキの良さ。小技の入れ方。贅沢な手法。
案外この曲もシングル候補の一つだったんじゃないの?とすら思ってしまいます。
さすがにBoy’s Life時代は作詞を秋元康に、作曲を芹澤廣明に依頼してたくらいですから、ラララ・サマービーチがシングルカットされる事は現実的にはありえなかったのでしょうけど。
ラララ・サマービーチは渡辺英樹さんの遺作の中でも、もっともっと注目されるべき作品だと思います。
出来ればヘッドフォンで聴き直して欲しい。
特に落ち込んだとき、現実逃避したい時にお奨めの一曲です。
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posted by northern70jp at 14:05| CCB曲解説