瑞龍寺(ずいりゅうじ)は、富山県高岡市にある曹洞宗の仏教寺院。山号は高岡山。本尊は釈迦如来。開基は前田藩前田家3代目当主前田利常、開山は広山恕陽。高岡城を築城してこの地で亡くなった前田家2代目当主、前田利長を弔うために建立された。仏殿、法堂、山門の3棟が近世禅宗様建築の代表作として、1997年(平成9年)に国宝に指定されている。これは富山県下における初の国宝指定であり、2020年(令和2年)11月現在も富山県唯一の国宝である。2015年(平成27年)4月24日、「加賀前田家ゆかりの町民文化が花咲くまち高岡−人、技、心−」の構成文化財として日本遺産にも認定される。
歴史
前田藩2代藩主前田利長(1562年 - 1614年)が、織田信長・信忠らの追善のため、1594年(文禄3年)金沢に創建した宝円寺(後に法円寺と改称)が瑞龍寺の前身である。利長は1605年(慶長10年)、44歳で家督を異母弟の利常(1594年 - 1658年)に譲り、自らは隠居した。利長には実子がなかったため、30歳以上年下の異母弟で、当時まだ少年であった利常を養嗣子としたのである。隠居後の利長は金沢から富山に移転するが、富山城の炎上を機に高岡に移り、ここに新たに高岡城を築いた。前述の法円寺は、利長死去の前年である1613年(慶長18年)、高岡に移された。
前田利長は1614年(慶長19年)没し、後を継いだ3代藩主前田利常は、法円寺を利長の菩提寺とし、利長の法名瑞龍院に因んで寺名を瑞龍院と改めた(後、さらに瑞龍寺に改称)。
伽藍
総門
重要文化財。正保年間に竣工。正面幅三間の薬医門形式。
山門
国宝。現在の門は1820年(文政3年)に竣工したものである。高さは約18mで寺院内で最も高い。1645年(正保2年)竣工した山門は万治年間に場所を移して建てかえられたが、1746年(延享3年)の火災で焼失した。長らく仮の門が建てられていたが、焼失した門と同様の古式な禅宗様式で再建された。
二重門(2階建てで、上層と下層の境にも軒の出をつくるもの)で、屋根は入母屋造、杮(こけら)葺き。二重門では下層の屋根を上層よりも大きくつくることが多いが、この門では上層と下層の屋根の出があまり変わらない。これは積雪時に上層屋根から落下した雪が下層屋根に当たるのを防ぐためといわれる。
下層左右には金剛力士(仁王)像、上層内部(楼上)には宝冠釈迦如来と十六羅漢像を安置する。なお楼上は一般公開していないが、宝物展などが開催された際に公開されることがある。
山門
仏殿
国宝。棟札により1659年(万治2年)の竣工とわかる。
入母屋造、一重裳階(もこし)付きの総欅造りで、屋根は当初杮(こけら)葺きであったが、現状は総重量約47トンの鉛瓦葺きとする。鉛製の瓦を用いる理由は、俗説では非常時に鉄砲の弾にするためともいうが、実際は冬季の積雪対策のためだという。内部を土間床とし、天井の構造材を見せて装飾としている点、組物(柱上にあり、軒や天井を支える構造材)を密に配する点などは禅宗様建築の特色であり、柱、扉、窓などの細部様式も典型的な禅宗様になる。
本尊の釈迦如来と、普賢菩薩、文殊菩薩の釈迦三尊像のほか、達磨座像、跋駄羅尊者像を安置する。釈迦三尊像の上部天井には、前田家の家臣、長連頼(ちょうづらより)九郎左衛門より1658年(明暦4年)に寄進されたといわれる天蓋が架かる
仏殿
法堂
国宝。墨書から1655年(明暦元年)の建立とわかる。
総桧造りの入母屋造、銅板葺き。内部を土間床とする仏殿に対し、法堂は畳敷きで、横2列、縦3列の6部屋を配する方丈形式の間取りで建坪186坪である。手前の3部屋の前面には広縁(板間)があり、その前面は左右に細長い土間廊下とする。こうした平面形式は曹洞宗建築の特色を示す。二代藩主前田利長の位牌を建物中央奥に安置する。
かつて同寺にあった七間浄頭(東司)に祭られていた烏瑟沙摩明王立像を安置する。
法堂
文化財
国宝
瑞龍寺 3棟
仏殿
法堂
山門
重要文化財
瑞龍寺 7棟
総門
禅堂
大茶堂
高廊下
北回廊(大庫裏と鐘楼付属)
南東回廊
南西回廊
紙本墨書後陽成院宸翰御消息
拝観
拝観時間 9:00 - 16:30
拝観料 500円
年に何回かライトアップが行われ、夜間拝観が行われる。
年始には無料開放される。
アクセス
寺は北陸新幹線・JR城端線の新高岡駅とあいの風とやま鉄道(2015年3月13日までは北陸本線)・JR氷見線・JR城端線の高岡駅に挟まれる場所に位置する。寺のすぐ西側を城端線が通るが寺の近くに駅はなく、新高岡駅または高岡駅からのアクセスとなる。
北陸新幹線・JR城端線新高岡駅より
徒歩:15分
バス:1・2番のりばより加越能バス高岡駅方面行きに乗車、「瑞龍寺口」バス停で下車、徒歩5分
あいの風とやま鉄道・JR氷見線・JR城端線高岡駅より
徒歩:10分
バス:南口1番のりばより加越能バス新高岡駅方面行きに乗車、「瑞龍寺口」バス停で下車、徒歩5分
金沢駅より
高速バス:高岡行きに乗車、「瑞龍寺口」バス停で下車、徒歩5分
所在地 富山県高岡市関本町35
2022年11月25日
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