2014年04月23日
Up or Outについて
2020/11/1 人気記事につき続編書きました。
UP or OUTやカウンセリングアウトが怖いと思うなら景気循環のタイミングを見よう
* * *
コンサルタントの世界にはUp or Outという言葉がある。
昇進できなきゃ辞めさせられるという意味だ。
Up or Outは一言でいえば“昇進できなければ辞めなさい”というルールで、戦略コンサルでは一定期間に昇進の基準を満たせない場合は、カウンセリングアウトと言って、辞めてもらう方向でファームと話し合いをすることになります。
1つのタイトル(ポジション)で3年というのが一般的ですが、トップ・ファームであっても、そこまで厳しく運用せず、ファームに貢献していれば昇進できていなくても残れるというところもあります。
書いていただいているとおり、運用の厳しくないファームもあると言うことで、ちょっと運用を甘くする事情を推察してみる。
@市場とその企業の需給バランスの問題
売り上げ計画がものすごく野心的なのか、大きなチャンスが次々に舞い込んだのかはわからないけれど、とにかく売り上げが急上昇しているファームは、昇進できない人をやめさせず、人手を確保する必要がある。
完全にファーム側の事情で、クライアント第一でない考え方だけれど、そうなってしまうほど圧倒的なコンテンツを持っているとも解釈できる。
A評価制度設計の問題
たとえばプロジェクトの中で評価が高ければ絶対に昇進できる、という絶対評価制であれば、Up or Outは問題なく機能するはずだ。しかし、実際には昇進枠が国・地域別に設定されていて、しかもその昇進枠はプロジェクトの成否とは関係なく、地域全体の成績によって拡大・縮小したりする。
極端な話をすれば、日本の電気機器メーカーをお客さんにしたプロジェクトが大成功してこの人を昇進させたいと考えたとしても、中国の銀行をお客さんにしたプロジェクトが大失敗して大きな損失を出したからアジア全体の昇進枠がなくなりました、なんてことが起こりうるのだ。
本人の力と関係ない変数が増えすぎて、Up or Outを徹底できなくなることは十分考えられる。
Bファーム内の人材育成の問題
昇進できなかったが、長年の経験を生かして安定したバリューを出せる。新規に採用した人材がなかなか育たず、可もなく不可もなく残った人材が、きちんとバリューを出している可能性がある。
本当にこんな事情なら、採用かOJTが崩壊しているということなので、ものすごくそのファームが心配だが、可能性としてあげておく。
個人的なイメージだけれども、古き良きコンサルティング・ファームでは、@ABいずれの問題も起こらないという印象がある。私が古き良きと言うコンサルティング・ファームは、パートナー制で資本を会社の古株たちが共有しており、売り上げを上げるよりもお客さんの役に立ちたい会社を運営しているというイメージだ。
コンパクトにまとまっていて、会社の規模がせいぜい二百人程度で、社員はみんな顔見知り、何となくお互いの仕事の話も知っているぐらいに狭い世界で生きている。そういう世界では、プロジェクトごとに人事評価をしても、何となくみんな、あの人は凄いとかこの人はあまり今回のプロジェクトではバリューを出せなかったというようなことを知っている。だから、評価“制度”が練られたものでなくても、何となくみんな納得の評価が出せる、というイメージになる。
現実には、トップ・ファームに含まれているかはわからないが、日本の戦略コンサル・経営コンサルは結構上場している。
2007年時点のデータなので少し古いが、上場しているコンサルティング会社の一覧を発見したのでリンクを張っておく。
(http://www.consultantnavi.com/archives/50388291.html)
外資系はパートナー制を守っているイメージがあるけれど、規模はちっともこじんまりとはしていない。
BCGの会社概要を見たら、売上高:2013年 39.5億ドル、オフィス数:45ヶ国 81拠点、全スタッフ数:9,700名となっていた。マッキンゼーとBCGといえば、世界的戦略コンサルティング・ファームの二大巨頭というイメージだが、その中ではBCGは比較的ローカライゼーションに寛容だと聞いたことがある。
全スタッフ数:9,700名の中にはバックオフィスの人員も含まれていると思うが、それにしても、数千の単位のコンサルタントがそれぞれの国独自のやり方で仕事を始めてしまったら、お互いに何をやっているかなんていちいち把握できなくなって、Aのような問題も起きてくるのではと思う。
Up or Outが徹底できるファームが、いまいち想像できない。
今日はここまで。
UP or OUTやカウンセリングアウトが怖いと思うなら景気循環のタイミングを見よう
* * *
コンサルタントの世界にはUp or Outという言葉がある。
昇進できなきゃ辞めさせられるという意味だ。
Up or Outは一言でいえば“昇進できなければ辞めなさい”というルールで、戦略コンサルでは一定期間に昇進の基準を満たせない場合は、カウンセリングアウトと言って、辞めてもらう方向でファームと話し合いをすることになります。
1つのタイトル(ポジション)で3年というのが一般的ですが、トップ・ファームであっても、そこまで厳しく運用せず、ファームに貢献していれば昇進できていなくても残れるというところもあります。
書いていただいているとおり、運用の厳しくないファームもあると言うことで、ちょっと運用を甘くする事情を推察してみる。
@市場とその企業の需給バランスの問題
売り上げ計画がものすごく野心的なのか、大きなチャンスが次々に舞い込んだのかはわからないけれど、とにかく売り上げが急上昇しているファームは、昇進できない人をやめさせず、人手を確保する必要がある。
完全にファーム側の事情で、クライアント第一でない考え方だけれど、そうなってしまうほど圧倒的なコンテンツを持っているとも解釈できる。
A評価制度設計の問題
たとえばプロジェクトの中で評価が高ければ絶対に昇進できる、という絶対評価制であれば、Up or Outは問題なく機能するはずだ。しかし、実際には昇進枠が国・地域別に設定されていて、しかもその昇進枠はプロジェクトの成否とは関係なく、地域全体の成績によって拡大・縮小したりする。
極端な話をすれば、日本の電気機器メーカーをお客さんにしたプロジェクトが大成功してこの人を昇進させたいと考えたとしても、中国の銀行をお客さんにしたプロジェクトが大失敗して大きな損失を出したからアジア全体の昇進枠がなくなりました、なんてことが起こりうるのだ。
本人の力と関係ない変数が増えすぎて、Up or Outを徹底できなくなることは十分考えられる。
Bファーム内の人材育成の問題
昇進できなかったが、長年の経験を生かして安定したバリューを出せる。新規に採用した人材がなかなか育たず、可もなく不可もなく残った人材が、きちんとバリューを出している可能性がある。
本当にこんな事情なら、採用かOJTが崩壊しているということなので、ものすごくそのファームが心配だが、可能性としてあげておく。
個人的なイメージだけれども、古き良きコンサルティング・ファームでは、@ABいずれの問題も起こらないという印象がある。私が古き良きと言うコンサルティング・ファームは、パートナー制で資本を会社の古株たちが共有しており、売り上げを上げるよりもお客さんの役に立ちたい会社を運営しているというイメージだ。
コンパクトにまとまっていて、会社の規模がせいぜい二百人程度で、社員はみんな顔見知り、何となくお互いの仕事の話も知っているぐらいに狭い世界で生きている。そういう世界では、プロジェクトごとに人事評価をしても、何となくみんな、あの人は凄いとかこの人はあまり今回のプロジェクトではバリューを出せなかったというようなことを知っている。だから、評価“制度”が練られたものでなくても、何となくみんな納得の評価が出せる、というイメージになる。
現実には、トップ・ファームに含まれているかはわからないが、日本の戦略コンサル・経営コンサルは結構上場している。
2007年時点のデータなので少し古いが、上場しているコンサルティング会社の一覧を発見したのでリンクを張っておく。
(http://www.consultantnavi.com/archives/50388291.html)
外資系はパートナー制を守っているイメージがあるけれど、規模はちっともこじんまりとはしていない。
BCGの会社概要を見たら、売上高:2013年 39.5億ドル、オフィス数:45ヶ国 81拠点、全スタッフ数:9,700名となっていた。マッキンゼーとBCGといえば、世界的戦略コンサルティング・ファームの二大巨頭というイメージだが、その中ではBCGは比較的ローカライゼーションに寛容だと聞いたことがある。
全スタッフ数:9,700名の中にはバックオフィスの人員も含まれていると思うが、それにしても、数千の単位のコンサルタントがそれぞれの国独自のやり方で仕事を始めてしまったら、お互いに何をやっているかなんていちいち把握できなくなって、Aのような問題も起きてくるのではと思う。
Up or Outが徹底できるファームが、いまいち想像できない。
今日はここまで。
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